目次
1.指摘事項と対応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
5- 1 |
2.海域における環境影響評価の対象になると想定される事業 ・・・・・・・ |
5- 7 |
3.事業の影響要因と環境要素との関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
5- 8 |
4.海域の類型区分と環境要素との関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
5- 12 |
5.環境特性に関わる調査・予測の留意点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ |
5- 14 |
1.指摘事項と対応
付録については事前に委員から指摘事項をいただき、それに対して修正を含め対応を検討した。その結果は表5-1に示すとおりである。
表5-1(1) 指摘事項とその対応
[2.海域において対象となる事業の想定]
表5-1(2) 指摘事項とその対応
指摘事項 | 対応 |
p5-7の3行目、5行目文章の修正(磯部委員) | 修正しました。 |
工作物の供用に際して(特に道路や空港)、灯火 や照明の影響を含めることが必要ではないか。 (中田委員) | 事業実施区域周辺の環境や工種等を踏まえて、影響要因を細分化することは必要であると考えています。ここでは、影響要因 と環境要素の基本的な関係や留 意事項を各マトリクスや影響フ ローで示すことを目的としてお り、全体のトーンをそろえることとし、主務省令レベルで示し ました。 |
「流動」や「水質」はあまりに大きなくくりで、 漠然としすぎている。もう一段階細かい検討が最初 の段階でも必要ではないか。(中田委員) | |
「各種面整備」がよく判らない。例を示す。(石川委員) | 主務省令で対象となっている対象事業名をp5-7に記載しまし た。 |
表5-2と整合を取るために、p5-7に「環境事業団が行う土地造成」を記載する。(磯部委員) | 「各種面整備」の内容とほぼ同様であることから、この事項に 追加しました。 |
[3.事業の影響要因と環境要素との関係]
表5-1(3) 指摘事項とその対応
指摘事項 | 対 応 |
p5-8の下から4行目の文章の修正。(大島委員) | 修正しました。 |
表5-2の環境要素の区分の水環境の水質におい
て、水質(水の汚れ)と濁りの違いは何か。 (磯部委員) |
水の汚れとはCOD等の水質汚濁を意味し、濁りとは懸濁物質等を意味しています。 |
表5-2(2)の事業の種類「鉄道」は「鉄道・軌道」 に修正。(磯部委員) | 修正しました。 |
表5-4では潮間帯が入っています。しかし、表5-2 には潮間帯、若しくは海岸に対する配慮がないと思 います。例えば、埋立、干拓で防波堤及び護岸の工事で環境への負荷が△になっています。表5-2は海岸線を加えて影響を考えるべきだと考えます。(岩田委員) | 「環境の負荷」は、環境影響評価法において温室効果ガスの排出量等や廃棄物の発生量等とされています。左記の内容については「地形及び地質」に該当すると考えています。 |
表5-2で、「底質」欄の考え方(○のつけ方)が 今ひとつよく分からない。底質への直接の影響とし てどのようなことが想定されているのか。水質悪化と連動した底質変化はそれに含まれるのか(溶出などはそうした状況のもとで起こる?)。 (中田委員) | 一次的な影響と二次的な影響の両方を含めています。 |
温排水の取放水に関して、栄養分の多い下層水を 表層水に放流することによる富栄養化の問題はない のか。(中田委員) | 発電所(火力)の「排水」として考慮しています。 |
表5-2の大気環境にNOx、SOx etc.は含まないの か。(石川委員) | この事項についてはご意見をい ただきたい。 |
表5-2(1)の「廃棄物最終処分場」の工事の実施に "車両の搬出入"を追加。(石川委員) | 左記の内容は「最終処分場の設置の工事」に含まれます。 |
表5-2(2)の「面整備」には防潮等の護岸は含まれ るのか。(石川委員) | 含んでいません。ここでの面整備は海岸線付近の陸上での事業 を対象としており、海面におけ る事業は「埋立、干拓」として います。 |
「環境事業団が行う土地造成」はよく分からない ため具体例で示す。(石川委員) | 調査中です。 |
[3.事業の影響要因と環境要素との関係]
表5-1(4) 指摘事項とその対応
指摘事項 |
対応 |
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・「面整備」の工事実施にあたり、'雨水の排水'は水 質すべてに影響します。'造成工事'は濁り・水中照 度に影響します。(岩田委員) | 表5-2の丸印は、各主務省令で挙げられている項目であり、一般的に検討されるべき項目とし
て考慮している。ご指摘のあっ
た点については、事業内容や工種、事業を実施する地域の状況等によって追加される項目であると考えられます。
表5-2は一般的な項目として作成するべきなのか、すべての状況を踏まえて作成するべきであるのか、ご意見をいただきたい。 |
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・発電所(火力)の工事の実施において、環境要素 である底質に丸印を付けた理由は何か。(磯部委員) | |||||||||||||||||||||||||
・堰の供用で「濁り・水中照度」に印がついていな いのはなぜか(放水路にはついている)。河川改修 やダム・堰の建設によって遮断される砂泥の影響や流量をコントロールすることによる砂泥輸送状況の変化の問題はないのか。(中田委員) | |||||||||||||||||||||||||
・影響要因である「堰及び護岸の存在」では問題と
なっている事業がある(諫早、中海本庄工区)。 表5-2に丸印の追加(石川委員)
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表5-3において、資材等の運搬に記載されている 「資材及び機械の運搬に用いる船舶の運行」は表5-2と整合を取るべきである。(磯部委員) | 各主務省令において、影響要因 の記載内容(具体的、抽象的)に相違がみられます。ご指摘のあった事項については 「工事用資材等の搬出入」に含 まれます。 |
[4.海域の類型区分と環境要素との関係]
表5-1(5) 指摘事項とその対応
指摘事項 |
対 応 |
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・表5-4について、海水域と汽水域の区別がはっき りしない(定義が必要)。例えば、海水域と汽水域 の砂浜で河川流量の印の付け方が全く違うのはどう いうことか。(中田委員) | 類型区分については、平成11年報告書(Ⅰ)で挙げられた類型区分を参照しました。 また、海水域の砂浜は、周辺に河川のない海域に位置しているものとして扱っています。 | |||||
・海水域と汽水域の分類の必要はないと考える。ま た、貝殻礁と貝床の相違はなにか。(磯部委員) | ||||||
・表5-4に丸印の追加(石川委員)
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これらの事項についてはご意見 をいただきたい。 | |||||
・表5-4に丸印の追加(岩田委員)
底質は空欄のすべての環境に○と思います。 波浪はすべての環境に対して◎と思います。 |
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・表5-4について、濁りと堆積物は同一に考えられないと思います。堆積物に埋まればすべての環境が影響を受けます。(岩田委員) |
同様に考えています。 |
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意味の確認ですが、漂砂は「砂が流れていって無くなる」ことで、「砂が流れてきて溜まる」のは含まれないのですね。(岩田委員) | ご指摘のありました両方の意味を含んでいます。 |
[5.環境特性に係わる調査・予測の留意点]
表5-1(6) 指摘事項とその対応
指摘事項 |
対 応 |
・計画地域によっては例示した要因以外にも影響を 及ぼす要因がある場合もあるので、具体的な事業を 行う地域の状況を見て十分検討必要がある。 (大島委員) | 事業、地域特性に応じた影響を詳細に検討することが必要ということであり、総論に記載しています。付録では特に記載する必要はないと考えています。 また、総論への反映については検討する必要があるものもある。 |
・一次的影響(短期的に現れる)、中長期的に影響 するものもあるので、時空間、スケールの扱いは必 要ではないか。(石川委員) | |
・表5-5~5-7について、どういう気象条件の時に ある要因の影響が大きくなるかという点については 述べておいた方がよい。(大島委員) | |
・表5-5~5-7について、生態系の機能はどの環境 特性であれ、産卵場、育成場、避難場、索餌場を入 れた方がよいと思います。表5-6(2)だけ、潮汐が入 っています。どの環境特性であれ、この項目を入れ るべきではないでしょうか。(岩田委員) | |
・表5-5(1)の"想定される主な影響"に「水質の変化 (プランクトン生産の変化)」を追加する。また、" 主な把握事項"に「水質、一次生産の変化」を追加 する。 (石川委員) | 修正しました。 |
表5-5(2)の"想定される主な影響"に波浪の変化を追 加する。 また、「主な把握事項」1~2行目の「・・・流入負荷 量及び・・・」を「・・・流入負荷量の変化状況及び・・・」 とする。"留意点等"に「短期及び中長期的に影響す る項目及び範囲を考慮する。」を追加する(表5-6 (2)、表5-7(2)も同様)。(石川委員) | 修正しました。 |
・表5-6(1)の"主な把握事項"の4番目の事項「工事 による濁りの発生状況、拡散状況」に「堆積状況」 を追加する。(石川委員) | 修正しました。 |
・表5-7には、浅海域の浄化機能の変化の問題を含んでいるのか。(中田委員) | 地域によっては検討対象となる可能性があると考えているが、 平成12年報告書(Ⅱ)での機能 に関する記載に準じ、ここでは 対象としていない。 |
[5.環境特性に係わる調査・予測の留意点]
表5-1(7) 指摘事項とその対応
指摘事項 | 対 応 |
・表5-2で影響要因と環境要素との関係を細項目毎 に明らかにした(影響マトリクス)ことと、表5-5 では影響要因が2大区分(工事の実施と土地又は工 作物の存在及び供用)に戻ってしまい、また、環境 要素も粗い物に戻ってしまったことの関係が納得で きない。むしろ、表5-5では細分化された影響要因 と生物・生態系との関係を海域の類型毎に記述して はどうか(ちょっと大きすぎて対応不可能と思いま すので、無視しても結構です)。(磯部委員) | 表5-4のマトリクスに○、◎がついた事項に対する表とすべきであり、また、表5-5は主たる留意点に絞り込みすぎていると
いう意見と理解しました。今後の対応についてご意見をいただきたい。 |
[その他]
指摘事項 |
対 応 |
・章の題目「海域において対象となる事業の想定」 を「海域における環境影響評価の対象になると想定される事業」とした方がよいのでは。(磯部委員) | 修正しました。 |
・対象となる事業の中に「浮体構造物」の問題を含 める必要はないか。また、浮体を含めて構造物に付着する生物による有機物負荷は考慮されているの か。(中田委員) | 浮体構造物は、環境影響評価法 の対象事業ではないことから今回の検討では考慮していません。 |
・マトリクスでは十分に表現されないかもしれない長期・累積的な影響や諸要因の相加・相乗作用、あるいは直接の対象海域に限定できない広域的な影響については、どのように対処するのか。(中田委員) | 左記の内容と同様なことは平成12年報告書(Ⅱ)の「総論」で記載されている。再度、ここで記載するかどうかについてご意見をいただきたい。 |
・影響要素と生物・生態とをどのように結びつけて 影響評価をするかが問題である。環境としてはわず かな変化でもある種の生物や生態系には決定的な影 響を及ぼす可能性がある。(中田委員) |
平成12年報告書では、調査・予測手法の検討のため、内湾砂泥域海域における埋立事業を対象としてケーススタディを行った。本報告書では、このケーススタディで用いた内湾砂泥域海域を含む様々な環境特性についての調査、予測等に関する留意点を整理する。
このような整理を行うにあたり、事業による生態系への影響を想定する際に、影響要因と環境要素や生物・生態系との関係を明瞭に示すために、影響マトリクスを作成するとともに、マトリクスでは表現しにくい影響の伝達経路を影響フローで明らかにする必要がある。
この影響マトリクス及び影響フローの作成にあたっては、以下の事項を考慮する。
[1]海域における環境影響評価の対象になると想定される事業
[2]事業の影響要因と環境要素との関係
[3]事業の影響要因と生物・生態系との関係
[4]各事業の影響フローと調査・予測の留意点
2.海域における環境影響評価の対象になると想定される事業
ここで対象とする事業は以下に示すとおりであり、環境影響評価法に定める対象事業のうち海域環境に影響を及ぼす可能性のある事業とした。
[1]埋立(及び干拓)
海域環境に対する影響が大きい事業であると考えられる。
これは、法の定める規模要件として、埋立が50ha以上であるのに対し、他の面整備事業が100ha以上であることからも理解できる。ただし、埋立事業の影響要因は、工事の実施及び土地又は工作物の存在に限っており、供用時は別事業との扱いとなっている。
[2]発電所、飛行場、廃棄物最終処分場
環境影響評価法で定める事業で埋立地を利用し、かつ影響が大きいと想定される事業であると考えられる。
[3]道路、鉄道・軌道
海域部分の直接的な改変が想定される事業であると考えられる。
[4]堰(河口堰)、放水路
海域部分の直接的な改変は想定されないが、海域に対する影響が大きい事業であると考えられる。
[5]各種面整備・環境事業団が行う土地造成
各種面整備事業も海岸部の改変等により海域部分への影響が想定されるが、その影響の程度は通常上記の事業に比べて小さいことから、上記の事業の例を参考にすれば生態系への影響の想定は可能であると考えられる。なお、各種面整備事業とは、環境影響評価法で対象事業となっている土地区画整理、新住宅市街地開発、工業団地造成、新都市基盤整備事業、流通業務団地造成、都市基盤整備公団が行う宅地造成、地域振興整備公団が行う宅地造成である。
[6]港湾計画
港湾計画においては、港湾計画で定められている港湾開発等の構造や施工工程、施工方法を定めていないこと、土地利用等の細部を定めるものでないこと、予定される事業活動の細部等は港湾計画段階では不明なこと等、事業特性の想定、それに伴う事後調査等の想定が困難である。港湾計画が対象事業としての規模が、埋立て・掘り込み面積が300ha以上でであることを考慮すると、上記の埋立事業及び埋立地の利用に関する事業の例示から影響の想定が可能であると考えられることなどから、先ずは例示からは除外している。
3.事業の影響要因と環境要素との関係
海域に係る事業の影響要因と生態系に関する環境要素との関係は表5-2に示すとおりである。
このマトリクスの影響要因は、各種事業を対象とした省令であげられている影響要因をベースに示している。環境要素は、影響要因の変化が生態系に対し直接的又は間接的に影響を及ぼす要素を踏まえて抽出した。
参考として、省令で示された各影響要因の内訳として想定される主な要因(具体例)は表5-3に示す。
表5-2(1)(2) 海域に係る事業の影響要因と生態系に関係する環境要素との関係
4.海域の類型区分と環境要素との関係
海域の類型区分と環境要素との関係は表5-4に示すとおりである。
これは表5-2であげられた環境要素と海域の類型区分との関係を示したものであり、事業の影響要因、環境要素、海域類型区分の相互の関係を明確にできるようにするとともに、事業海域の環境要素で類型化される海域類型に対して、事業特性より抽出される影響要因により変化する環境要素を抽出できるように配慮したマトリクスである。
5.環境特性に関わる調査・予測の留意点
平成12年報告書にケーススタディとして対象にした内湾砂泥域海域と異なる環境特性について、事業特性により影響が及ぶと想定される環境要素を踏まえ、調査・予測の留意点について検討した。その結果は表5-5~表5-7に示すとおりである。
これは、各事業が実施され、影響が及ぶと想定される環境要素について下記に示す環境特性で行われた場合、"想定される主な影響"、"調査・予測に関する留意点(主な把握事項、留意点等)"を検討した結果である。
[1]磯場、藻場が存在する海水域(存在する類型:岩礁域、海藻藻場)
[2]サンゴ礁が存在する海水域(存在する類型:サンゴ礁)
[3]浅海域が存在する外海に面した海水域(存在する類型:砂浜、砂泥底域)
【参考】
今回の検討を行う際、基礎資料として事業による環境影響フローと事業による影響が想定される環境要素と海域の類型区分との関係及び調査・予測の留意点等(埋立・干拓、飛行場及び発電所のみ)について整理した。
事業の環境影響フローは図5-1~図5-10、事業による影響が想定される環境要素と海域の類型区分との関係及び調査・予測の留意点等は表5-8~表5-10に示すとおりである。
各事業の環境影響フローは、類型区分に対して、多様な地域特性や事業特性を考慮して作成したフローである。また、生態系の機能に関しては、事業による影響要因、対象となる海域に存在する類型、その海域での類型が持つ生態系の機能の想定が困難であることから、その類型が消失するかどうかという視点からフローに組み入れている。
表5-5(1)(2) ある環境特性で行われる環境要素に関する調査・予測の際の主な留意点 (磯場・藻場が存在する海域)
表5-6(1)(2) ある環境特性で行われる環境要素に関する調査・予測の際の主な留意点 (サンゴ礁が存在する海域)
表5-7(1)(2) ある環境特性で行われる環境要素に関する調査・予測の際の主な留意点 (浅海域が存在する海域)
図5-10(1) 環境事業団が行う土地造成の工事に係る環境影響フロー
図5-10(2) 環境事業団が行う土地造成の供用に係る環境影響フロー
表5-8(1)(2) 事業による影響が想定される環境要素と類型区分との関係及び調査・予測の留意点等(埋立、干拓)
表5-9(1)(2) 事業による影響が想定される環境要素と類型区分との関係及び調査・予測の留意点等(飛行場)