大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(I)<スコーピングの進め方>(平成12年8月)

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技術シート 登録番号:水質-24

環境項目 水質 技術等の種類 予測
技術等の名称 自然浄化効果のモデル化
(藻場生産力予測シミュレーションモデル)
技術等の概要  藻場は、水産動植物の生息繁殖に重要な役割を持ち、海洋土木の分野では藻場の造成技術開発が積極的に進められ、生息環境を考慮した藻場生産力予測モデルの開発も進展が著しい。
 水質等の生息環境を考慮した藻場生産力モデルの開発は、水質モデルへの藻場の影響を考慮することが可能となる。
 本モデルは、流速および水温・栄養塩と藻類生産量との関係をモデル化したものである。

(モデルの概要)
対象藻類:ホソメコンブ
生産量式:植物群落の光合成速度と光強度の関係式をホソメコンブ群落に適用する。
流速・水質(水温・栄養塩)の影響を生産率として、生産量式に取込む。
なお、流速は波浪条件より推算
単位面積当りの生残量(現存量)を予測する。
海藻の総生産量から生残量の算定には、先枯れ・流出量、動物(キタムラサキウニ)による摂餌量を考慮する。
予測期間は、対象藻類の特性(1年生海藻)を踏まえ1年間とする。
調査・予測の
必要条件
・地形条件:水深等
・波浪条件
・流況条件:波浪条件より推算
・水質条件:水温・栄養塩(硝酸態窒素)分布
・藻場分布:海藻被度分布、動物分布等
・藻類群落のモデルパラメータ

光合成速度、群落吸光係数、光強度、日長、葉面積指数、群落内の光減衰率等

・その他関連データ:動物の摂餌量、懸濁物濃度または透明度等

適用範囲 浅海域
予測対象:1年生の大型海藻群落(ホソメコンブ)
予測項目:群落の面積当り生残量(現存量)(kg/m2)
影響要因:波浪・流況・水温・栄養塩・動物の捕食圧
課題 ・基質の傾斜等の形状の違いを反映させること
・栄養塩、ウニ等の捕食動物の分布状況についてのデータの蓄積
・検証海域を増やすこと
・異なる藻類の場合のモデルの構築に要するパラメータ類の知見の取得
参考文献 桑原伸司・佐々木秀郎・北原繁志・松山恵二・清野克徳・谷野賢二(1998)藻場生産力予測シミュレーションモデルの開発.海岸工学論文集、45、1101-1105.

桑原伸司・松山恵二・竹田義則・北原繁志・清野克徳・金川均・谷野賢二(1999)藻場生産力予測シミュレーションモデルの開発(第2法).海岸工学論文集、46、1156-1160.

備考 カジメ群落の生産速度モデルの開発例
・陸上植物の群落光合成理論を発展させたモデル
・光と温度の関数で表現する。濁りおよび温度変化の解析が可能

(資料)
・本多正樹他(1996)海中林(カジメ群落)の生産速度モデルの開発-光・温度因子と生産速度の関係-.電力中央研究所報告書(U95058).

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