大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(I)<スコーピングの進め方>(平成12年8月)

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技術シート 登録番号:騒音-4

環境項目 騒音 技術等の種類 予測
技術等の名称 新交通、モノレール及びリニア等の鉄道騒音予測
技術等の概要 [1]鉄道騒音の予測においては、[1]東京大学石井教授らによる提案式(以下、石井らによる提案式)及び[2]鉄道総合研究所の森藤らによる提案式(以下、森藤らによる提案式)が主に用いられているが、これらは、いずれも在来線高架鉄道の騒音の予測を行なうものである。しかしながら、新交通、モノレール及びリニア(リニア推進方式)の騒音予測においても援用されている。この場合には音源のパワーレベルなどについて、実測調査等による類似事例調査により補正等の検証を行なっている。

[2]また、実測調査等による類似事例調査による回帰式により予測を行なう。

調査・予測の
必要条件
・車両形式及び構造の違いから転動音、構造物音に大きな違いが想定されるが、基本となる石井らによる提案式、森藤らによる提案式の適用性を確認するため、類似構造の車両の事例調査が必要となる。

・回帰式による場合は、類似構造の車両の事例調査が必至である。

適用範囲 対象とする車両形式及び構造の鉄道騒音のみ適用となる。
なお、石井らによる提案式及び森藤らによる提案式の適用範囲は添付資料-1に示すとおりである。
課題 [1]リニア(リニア推進方式)の供用路線が限られており、また、そのほとんどが地下構造となっているため、事例調査が非常に困難である。しかし、新交通システム(ゆりかもめ等)については十分な調査が可能である。ただし、供用区間であることから調査結果データの取り扱いは慎重に行なう必要がある。

[2]在来線の高架鉄道において、バラスト系以外の軌道(省力化軌道)の導入が進んでおり、リニア推進方式と同様、石井らによる提案式、森藤らによる提案式を準用しているが、事例調査が困難な状況にある。また、周波数成分の違い等も課題。

[3]鉄道に近接する高層建物への騒音影響を予測する際にも、石井らによる提案式を準用しているが、式の適用範囲以外であること、さらに実測事例と理論減衰に相違が見られることが多々あることから、補正等を行う必要がある。

参考とした
文献・資料
環境庁大気保全局(1995)在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針.

石井聖光・小安勝・長祐二・木庭啓紀(1980)在来線高架鉄道からの騒音予測方法(案)について.騒音制御、4(2)、4-10.

森藤良夫・長倉清・立川裕隆・緒方正剛(1996)在来鉄道騒音の予測評価手法について.騒音制御、20(3)、146-151.

森藤良夫(1997)在来鉄道騒音の評価と対策.騒音制御、21(3)、156-160.

(社)日本騒音制御工学会(1999)環境アセスメントに係る騒音予測とその実習 平成11年度.

東京都・東京臨海新交通(株)(1998)環境影響評価書案 都市高速鉄道東京臨海新交通臨海線(有明~豊洲間)建設事業.

備考

添付資料-1

【予測式の適用範囲】

[1]石井らによる提案式

 本式による方法は、在来線を列車が走行するときその軌道から約10~100mの距離における騒音レベル(転動音、高架構造物音)の概略値を試算するために用いられるもので、次の条件が満たされるときにのみ適用される。

線路が平坦で直線であること
レール継ぎ目を溶接したロングレールであること
列車速度は50~120km/時の範囲で、注目する区間において速度変化がないこと
構造形式は鉄筋コンクリート・ラーメン高架橋とし、鋼桁橋た対象としない
列車の種類は中・近距離通勤用電車とし、電気機関車に牽引される列車、内燃車及び特に短い編成の列車は対象としない
バラスト軌道であること
保線の状況が良好であること
車両の整備が良好で車輪に著しいフラットがないこと

 

参照:石井ほか(1980)

[2]森藤らによる提案式
 基本的な計算式は、石井らによる提案式による方法とほとんど同じであるが、相違点は、
(1)騒音を、転動音、モーターファン音、構造物音の3つに分類した点
(2)各騒音の音源パワーレベルと騒音の列車速度依存を新しく設定した点
  の二つである。この式における適用範囲は、上記の石井らによる提案式による方法と同様である。

 

参照:東京都環境保全局(1995)、森島(1997)、森島ほか(1996)

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