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【考え方等】
a. 基本的事項に「事後調査の結果を公表する旨等を明らかにできるようにすること」を規定していることから、事業者は未加工のデータを含めて事後調査結果を公表することになる。また、再評価は、事後調査結果から環境保全上問題となる事項を抽出するとともに、環境保全措置の適正化を検討するための取り組みであることから、再評価の結果と措置の検討内容等についても公表されることが適切と考えられる。
b. 調査結果等の公表により希少生物の乱獲等が懸念される場合には、これらを未然に防止するための措置として情報を非公表とする等の扱いが必要と考えられる。基本的事項に示すように、希少生物の生息・生育に関する情報については、必要に応じて種及び場所を特定できない形式で整理する等の生物保護上の配慮が必要である。
c. 事業者以外の誰でもが事後調査、再評価の検証を可能とするため、調査の計画・実施から再評価に至るまでの過程を明確に示す必要がある。
d. 調査データ等を事後に検索可能とするため、公表の対象となる全てのデータが電子媒体により参照可能な形式で保存され、地元自治体等に提供される必要がある。さらに、今後環境影響評価のデータセンター等が設立されるような場合には、センターによってデータが一括管理されることも想定される。
e. 新たに環境影響評価を行おうとする事業者が、上記により公表された調査データ(他の事業で得られ、公表されたもの)を活用する場合には、その利用について調査を行った事業者と協議する必要がある。なお、データ引用に伴って生じる責任は、引用した事業者が負うことになる。
f. 今後、より効果的かつ経済的な環境保全の取り組みを可能とするため、国・地方公共団体は定期的に技術手法のレビューを行い、環境影響評価手法全般の技術的向上を図ることが期待される。このためには、事業者が整理した技術情報等についても適切な形で公表し、情報の蓄積を図ることが望ましい。
g. 周辺地域の住民等に対する配慮として、事後調査結果の説明会を開催する等、事業者自らが積極的に説明する場を設けたり、地元自治体の情報公開室等における報告書等の常時閲覧・貸出についても検討することが望ましい。
h. 事後調査結果等を広く一般社会に浸透させること、及び環境アセスメントの技術者・専門家を育成する観点からは、事後調査結果から得られた学術上有用な情報を整理し、学会や学術雑誌における発表等が可能となるよう配慮すべきである。