本調査の総論及びケーススタディによって課題として抽出された事項についてまとめる。
3-1 温室効果ガス等での課題
本年度の調査において対象とした環境要素のうち、温室効果ガス等については、以下のような課題がある。
1)早期に対応が必要な内容
(1)温室効果ガスについて
本調査においては、温室効果ガスのうち3項目(CO2,CH4,N2O)を対象として予測・評価手法の検討を行っている。このほかの温室効果ガス予測手法についても検討が進められており、手法の確立が必要である。特に、「地球温暖化対策法」の対象となっているフロン類、六フッ化硫黄などへの対応が必要である。
(2)温室効果ガス以外の項目
温室効果ガス以外の項目について予測・評価に必要なデータに関する原単位等の調査・研究がなされている項目がある。特に温室効果ガスにおける対象物質と重複する項目があるフロン類については、オゾン層破壊物質として予測・評価も検討の対象となり得る。
2)長期的視野に立って継続的に検討を進めるべき項目
温室効果ガス以外で「地球環境保全に係る環境への影響のうち温室効果ガスの排出量等環境への負荷量の程度を把握することが適当な項目」として考えられる項目があり、他の環境要素での取り扱いとの整合性や環境負荷としての予測・評価の手法の検討を進める必要がある。
それらの項目としては、非再生資源の枯渇(鉱物資源、エネルギー資源など)、大量に消費される資源(熱帯雨林等の木材、水資源など)や有害物質等があり、さらに土地利用なども検討の対象となり得ると考えられる。
このような項目を検討対象と考えるには、現在の環境負荷分野として取り扱うべき枠組みの再検討が必要になる可能性があり、長期的な視野での継続的な検討対象と考えられる。
3-2 廃棄物等での課題
1)発生量原単位情報について
本年度の検討では基本的に廃棄物発生量の予測については、原単位を用いて行う方法を示したが、ケーススタディの段階では参考とした事業計画に示されている計画値と差があることが確認されている。
これは、原単位データでは業種の分類が産業大分類または中分類程度であるための誤差が原因と考えられる。
したがって、廃棄物発生量原単位の精度向上のためのデータ整理が必要と考えられる。
2)産業廃棄物の排出後の処理・処分について
現状では産業廃棄物の排出後の処理・処分の内容を事業者の判断で決めることが難しい状況であるため、予測・評価においても一般廃棄物とは相違して、安全な処理・処分を行うことの可能なものであるかどうか判断ができていない。
ただし、廃棄物については、事業者自らが排出した廃棄物に関してその安全性の程度を認識し、必要に応じて工程等の改善により排出する廃棄物の種類や性状を変更することが、本来的には望ましい姿であり、改善について検討が必要である。