平成13年度 第1回総合小委員会

5 評価手法

5. 1 客観性の確保

  景観において評価の客観性を高めていくためには、環境保全措置の目標において認識項目や指標をできる限り具体的に明記することが重要である。そのためには、調査や予測において、現況の価値認識の把握や変化状況の予測が、客観性の高い説得力のある内容として整理され解説されている必要がある。
  景観の価値認識の把握や変化状況の予測にあたっては、眺望景観と囲繞景観のそれぞれに対して、普遍価値と固有価値の二つの価値軸に照らして重要な認識項目を設定し、認識項目と関わりが深い(相関が高い)代表的指標を既存の知見や研究例などを参考に選定することとしている。したがって、調査の段階での認識項目と指標の選定における客観性の確保が最も基本となる。
  そのため、既存の知見や研究例の引用のみでは説得力ある説明ができないような場合には、個別案件ごとの調査において、現況の景観の価値認識をヒアリングや評価実験等により把握し、その結果と景観の状態把握結果とを解析することにより、相関の高い指標を抽出することも重要となる。
  また、景観の視覚的変化予測はコンピュータ・グラフィック技術の導入により予測精度および再現性が格段に進歩していることから、これらの最新技術を積極的に導入することにより、一般の方々にも分かりやすい予測結果を評価の根拠として示していくことも、評価の客観性の向上にとって大変有効である。

6 事後調査手法
 6. 1 事後調査に関する留意点
  景観の状態変化や価値認識の変化に対する事後調査は、原則として環境影響評価の調査において採用した手法と同様の手法を適用することが基本である。したがって、現況調査において映像情報の取得や、価値認識の把握のためのヒアリング調査や評価実験などをおこなった場合には、事後調査においても、価値認識の変化を確認するために同様の調査を実施する必要がある。
 また、事後調査の実施時期は、評価の前提として見込んだ環境保全措置の効果が出現する時期に対応して実施することとなる。そのため、環境保全措置の効果の出現に対する継続的監視が必要な場合には、同様の調査を経年的に継続する必要がある場合もあり、ある時点で1回確認すればよい場合もあることに留意が必要である。
  環境保全措置の効果の確認は、評価の根拠とした環境保全措置の効果を見込んだ場合の予測結果との比較によりおこなうことから、事後調査結果の公表にあたっては、予測結果との比較がしやすいように整理し、表現される必要がある。

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