平成13年度 第1回総合小委員会

Ⅰ-7 事後調査の必要性と役割

1 事後調査の必要性の検討

    予測および環境保全措置の立案結果において、事業による影響予測の不確実性が大きいと判断された場合、環境保全措置の効果または影響が不確実であると判断された場合、もしくは他の環境要素への影響が不明確であると判断された場合には、工事中および事業の供用後の環境の状態や環境保全措置による効果などに関し、事後調査を実施する必要がある。
    事後調査の必要性とその内容については、以下の点に留意しながら、図Ⅰ-7-Ⅰに示した手順に従って検討する。また、その結果実施することとした事後調査の内容および調査結果の取り扱いに関する方針については、事後調査の実施案として一覧表などに整理し、準備書、評価書においてできる限り具体的に記載する。

    <事後調査の検討に当たっての留意点>


  なお、事後調査の結果から追加的措置が発生する場合にはその方法など、必要がないと判断された場合にはその根拠などを含めて、公表される必要がある。

2 事後調査の役割
 

 1) 工事中および供用後の適切な対処
  事後調査の結果は、まずは、当該事業における追加的な環境保全措置などの適切な実施につなげることが基本である。
  したがって、評価書もしくは修正評価書の段階で公表した事後調査実施案にしたがって、工事中および供用後に事後調査を実施し、その結果から追加的措置が必要と判断された場合には、その対処の方法などに関する事業者の見解を含めて公表しなければならない。
  また、事後調査結果から、特段の追加的処置の必要性が認められず、予測したとおりの環境保全措置の効果が認められた場合にも、その根拠を含めて事後調査結果として公表する。

 2) 事後調査結果の積極的な活用
    事後調査結果は、適切な調査方法の確立、予測精度の向上、客観的・定量的な環境保全措置の目標の設定根拠の取得、環境保全措置の効果の検討に関する客観的情報の提供など、将来の環境影響評価技術の向上に資する貴重な情報でもあるので、積極的に整理・解析され、活用されることが重要である。そのためには、事後調査の結果を基礎的なデータを含めて広く公開し、活用に供するための仕組みを作っていくことが望まれる。

図Ⅰ-7-1 事後調査の必要性と内容の検討手順

   影響予測の結果

←───┬───→

環境保全措置の効果予測の結果

   予測の結果を整理する
   ○ 重大な影響はない
   ● 影響の予測の不確実性が大きい
   ○ 影響は生じるが環境保全措置で確実に回避または低減できる
   ● 環境保全措置により回避または低減を図るが、効果は確かでない
   ○ 代償措置により確実に影響を補うことができる
   ● 代償措置を実施するが、その効果は確かでない
   ● 環境保全措置による他の環境要素への影響が不明確である
   ● 十分な対策をとれないため慎重な監視を行う必要がある

●の場合に事後調査が必要



    予測の不確実性、予測した項目の特性(変化が大きいなど) から、事後調査を必要とする項目を検討・選定する


   事後調査の内容を検討する
   ○事業による影響、環境保全措置の効果を把握するための調査項目
   ○調査の範囲、空間的・時間的な密度(調査地点数・回数など)
   ○調査の時期、期間
   ○環境影響の少ない調査手法
   ○既存資料、他の機関のデータ活用
   ○実施体制 など


  調査結果の取り扱いを検討する
○解析方法
○公開方法
○不測の場合の対応方法
○実施体制 など


事後調査の実施案

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