大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(I)<スコーピングの進め方>(平成12年8月)

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技術シート 登録番号:地下水-9

環境項目 地下水 技術等の種類 予測
技術等の名称 水収支モデル:水循環モデル
技術等の概要  流域内について流出成分(蒸発散、表面流、中間流、地下水流)ごとの水分移動量を推定することができる。
 モデルは、大きく概念型と物理型に分けられ、空間表現の違いにより概念型は集中型、斜面要素集合型、分布型に区分され、物理型は分布型のみである。
 我が国及び諸外国で提案、適用されている種々のモデルの特徴は以下のとおり。

[1] 大半のモデルが、流出成分ごとの水分移動量が推定できる。
[2] 斜面要素集合型の概念モデルに類型されるものが多い。最近、国内では分布型の物理モデルが研究対象の主流にある。
[3] 自然循環系のみを対象とするモデルがほとんど。下水道などの人工循環系を扱うのはごく限られたモデルのみ。
[4] モデルの厳密性が高まるほど出力情報は豊富。ただし、必要な入力情報、演算規模が増大し実行上の制約となる。
(海外で開発されたモデルの国内適用事例)
XINANJIANGモデル:琵琶湖流域高時川上流部
MIKE SHEモデル:八王子の支川流域
        海老川の支川(前原川)
MIKE11モデル:利根川本川
TOPMODEL:神戸市山田川
調査・予測の
必要条件
 モデルにより必要となるパラメータは異なるが、概ね以下のとおりである。
 降雨量(日・時間)、気温、土地利用(メッシュデータ)、流域界、地形(メッシュデータ)、人口分布(メッシュデータ)、使用水量原単位、下水道平面図(メッシュデータ)、使用水量実績(工業・農業)(メッシュデータ)、河川縦横断図、表層地質分布、粒度・pF試験、現地浸透試験、上水道漏水実績、帯水構造・流動特性、井戸台帳、地下水分布
適用範囲  モデルにより評価可能項目は異なる。各モデルによる評価可能項目は以下のとおりである。
・水収支法:[1]
・概念モデル:[1]、[2]、([3]、[4]、[5])
(カッコ内はモデルにより評価可能)
・物理モデル:[1]~[5]
([1]経路毎の年循環量、[2]日流量・流況、[3]高水流量、[4]地下水流去量、[5]地下水位・涵養量)
課題
水循環モデルの解析には、多くの種類の情報を整理する必要があるが、必要なデータの入手に手間とコストがかかる。
これまでに充分な計測が行われているものが少なく、新規に計測を要する。
複数の行政機関に分散したデータの収集が必要。
解析を効率良く行うには、目的に応じたデータ項目の絞り込みが必要。
現在のモデルは個々の流域について構築されており、他流域への適用が難しい。
参考とした
文献・資料
備考

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