参加型アセスのような取組みがわが国において定着していくためには、様々な試行錯誤が必要になると考えられます。本書がそのひとつのきっかけになれば幸いです。
今後は実践例を積み上げる中から、さらによりよい実施方法などを検討していく必要があると思われます。以下、今後の課題について提示します。
[1]モデル事業の創出
本書をひとつのヒントにして実践例が広がることを期待します。そのためには、事業者と住民の双方からの積極的な取組みが必要ですが、環境行政からもそのような取組みを促し、情報を提供していく必要があります。そして、関係機関との協議により、モデルとなる実施例を創出されていくことを期待します。
関連調査は、環境影響評価法の施行から期間も短いため、同法に基づいて方法書段階から実施され完了した実施例は少ない状態で行われました。今後の実施例の蓄積に応じて、住民参加の進展状況などを踏まえた検討が必要です。
参加型アセスでは、ファシリテート機能の導入を提起していますが、実際のアセスの案件においてどのように役割を果たすか、その問題点や課題、手法の開発など、さまざまな検討事項が出てくるものと考えられます。また、事業の案件によっては、ファシリテート機能を設けることが適しているかどうかの判断も問われるような場面もあると考えられます。そのような課題を実践的に検討していくことが必要です。
また、参加型アセスが広がっていくためには、ファシリテート機能を担う担当者の育成が必要です。そのような人材育成のプログラムの開発もあわせてすすめていく必要があります。