火力発電所の廃棄物等についての削減対策の計画がなされている範囲として、地域情報に関する事項及び電気事業に関する事項について既存文献資料により調査を行った。
[1]廃棄物等の処理・処分の状況
発電所を設置する〇〇県における平成6年度の産業廃棄物の発生状況調査では、平成5年度の発生量は、2,992万t、中間処理等による減量化が1,494万t、再資源化が1,494万t、最終処分量が231万tとなっており発生量の9割以上が減量化、再資源化されている。
また、前回調査の昭和63年度と比較すると、発生量(2,705万t)が287万t増加しているのに対 し、最終処分量(1,228万t)は58万t減少している。
電気事業における主な廃棄物には、火力発電所の石炭灰、配電工事に伴い発生する廃コンクリート柱等の建設廃材、電線等の金属屑がある。
平成11年度における廃棄物等の発生量は、717万tで、平成10年度に比較して52万t増加した。一方、平成11年度の再資源化量は581万tで、前年度に比較して88万t増加している。その結果、平成11年度の最終処分量は136万tとなり、平成10年度に比較して36万tの減少となっている。
金属屑は発生量の大部分を有効利用しており、他の廃棄物についても極力有効利用に努めている。
表 4-2-6 主な廃棄物の再資源化量等の推移
種 別 |
平成2年度 (実 績) |
平成9年度 (実 績) |
平成10年度 (実 績) |
平成11年度 (実 績) |
|
建設廃材 (万t) |
発 生 量 |
40 |
49 |
64 |
47 |
再資源化量 |
21 |
30 |
42 |
39 |
|
金 属 屑 (万t) |
発 生 量 |
14 |
20 |
16 |
15 |
再資源化量 |
13 |
19 |
15 |
14 |
注)平成2年度の建設廃材と金属屑は推計値
(2)廃棄物等に係る減量化、適正処理に関する計画等
[1]都道府県が定める計画等
〇〇県の第5次産業廃棄物処理計画(計画期間:平成8~12年)では、産業廃棄物の適正で合理的な処理対策を確立するため、
を基本方針として揚げ、事業者、処理業者、住民及び行政がそれぞれの役割分担と連携のもとで計画の推進を図ることとしている。
また、平成12年度までの努力目標として、発生量3,647万t、減量化量1,623万t、再資源化量1,791万t、最終処分量233万tとしている。
[2]事業者団体または事業者が定める計画等
電気事業では、発生量の抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再利用(リサイクル)に努め、最終処分量の低減に取り組んでいる。
平成22年度には、廃棄物等の発生量が平成2年度の約2倍の1,100万tに増加すると推定している。このような状況に鑑み、今後もさらに再資源化等に努める。
(1)廃棄物の発生量
[1]建設段階の廃棄物
発電所建設工事に伴い発生する廃棄物としては
と予測される。
[2]供用後の廃棄物
LNGを燃料とした火力発電事業に伴う廃棄物としては、
等が挙げられる。
これらの発生量の予測は、従来の同規模事業の実績から推定する。
本事業計画における発生量は
と予測される。
[1]環境保全措置の内容
処分量を削減するため、極力再資源化を図る計画とした。
排出後の処理・処分についてはマニフェストにより記録を保管する。また、ISO14001注)で定める環境管理システムに基づく記録の外部監査を受けるとともに、記録を公表することで、対策の実行について第3者の監視と情報公開に努める。
注)「ISO14001」
国際標準化機構(ISO)が制定した環境マネジメントに関する規格。なお、ISO14000シリーズは環境管理システム、環境監査、ライフサイクルアセスメント等で構成されている。
[2]環境保全措置による削減量
評価にあたってのベースラインは、予想発生量とした。
本事業計画における廃棄物発生量は、建設段階に伴う発生量36万tに対しては、30.5万tを再利用することから84.7%削減する計画であり、供用段階(発電に伴うもの)682t/年に対し、再資源化量は468t/年と68.6%を削減する計画である。
環境保全措置による、廃棄物の再資源化量と処分量を表4-2-7に示す。
表 4-2-7 再資源化量と処分量
項 目 |
発 生 量 |
再資源化量 |
処 分 量 |
建設工事に伴うもの(万t) 建設発生土 建設汚泥 アスファルト、コンクリート屑 |
28 7 1 |
25(89.3) 4.5(64.3) 1(100.0) |
3 2.5 0 |
合 計 |
36 |
30.5(84.7) |
5.5 |
発電に伴うもの(t/年) 排水汚泥 保温材屑 コンクリート屑 廃 油 |
600 30 20 32 |
420(70.0) 13(43.3) 10(50.0) 25(78.1) |
180 17 10 7 |
合 計 |
682 |
468(68.6) |
214 |
注)「再資源化量」の欄の()は各項目のリサイクル率を示す。
なお、発生廃棄物の最終処分にあたっては、排水汚泥、保温材屑、コンクリート屑は最終処分場に埋め立て、廃油は産業廃棄物処理業者に引き渡し、建設発生土及び建設汚泥は△埠頭地域の公有水面埋立区域に埋め立て処分する。
注)ここでは総論で示した廃棄物等における評価事項のうちの一例を示すものであり、実際の評価を行う際には、総論を参考に種々の側面から評価することに留意が必要である。
評価の視点を以下に述べる。
(1)回避・低減に係る評価
[1]実行可能な範囲での最大限の回避・低減措置
実行可能な対策として以下の対策を採用している。
以上の対策により、建設段階では84.7%削減し、供用段階には68.6%を削減する計画となっている。
[2]環境保全措置の実施と効果の確実性
(2)目標との整合に係る評価
[1]建設発生土
[2]建設汚泥
以上により、「建設リサイクル推進計画」の目標値を確保している。