平成13年度第1回全体会合
資料2-1

  2)他分野との関わり

 土壌環境は、「水環境」の総論において整理したとおり、水循環系において重要な構成要素となっており、また、生態系においても重要な役割を担っているなど、「水環境」、「生態系」といった他の環境影響評価項目で対象とする環境要素と密接に関係している。従って、土壌の調査・予測・評価は他の項目の調査・予測・評価の前提条件となる場合が多いことを踏まえ、関係が想定される環境影響評価項目との作業を統合して検討することも必要である3-1)。

 例えば、土壌と地下水等は相互に密接な関係があり、地下水汚染は多くの場合有害化学物質等が地下水に溶入することにより発生することから、環境影響評価においては相互の関係に配慮した検討が必要である。また、土壌は高等植物から土壌動物、土壌微生物にいたる陸上生態系の重要な基盤的要素であるため、生物多様性分野に係る環境影響評価を行うような事業の場合には、土壌への環境影響と生物の生息に係る環境影響との相互関係に配慮した検討が必要である。

【留意事項】

・3-1) 土壌との関わりの想定される環境要素

・「土壌」<-------->「地下水等」

  地下水汚染は、多くの場合土壌汚染物質の地下水への溶入により発生し、さらに、水循環系における水収支バランスに影響を受けることに留意する必要がある。

  土壌における土壌水分は、水循環の状態を規定する要因となることに留意する必要がある。

・「土壌」 <-------->「生態系」

  土壌は陸上生態系の基礎をなす極めて重要な基盤的要素であり、その調査・予測・評価は生態系の調査・予測・評価の前提条件となる。

  また、生態系は生物と生息環境並びに生物相互の関係を通じて多様な機能を有するが、特に土壌の調査・予測・評価においては、植物による生産、土壌生物による分解、土壌によるろ過・吸着等の浄化というような環境保全機能に着目する必要がある。

  3)本検討における対象範囲

  土壌環境は、水環境や生態系等、他の環境影響評価項目において対象とする環境要素と密接な関係があり、その関係を抜きにして、単独の環境要素として捉えることは適切とはいえない。

  ここでは、土壌環境の調査、予測・評価にあたっての基本的考え方を示したが、調査、予測・評価の考え方については、今年度の水環境や生物多様性分野等の成果を踏まえ、次年度において総合的に検討を行う予定としている。

前へ

次へ