4) 事後調査
(1) 事後調査の考え方
温室効果ガス等における環境保全措置は、他の環境要素とは相違して、保全対象として複数の対象の中から保全対象を選定してその対象に対して措置を講じているのではなく、種々の保全措置によって温室効果ガス等の環境負荷量を削減するという一つの目標に対して行われている。
各種の保全措置には、前項までに述べたとおり実施又は効果に対して不確実性が存在しており、環境負荷量の把握について事後調査を行うことが望まれる。
また、温室効果ガス等の事後調査については、環境影響評価からの要請とともに、法令・規格等からの要請もある。その事例としては下記の例がある。
温室効果ガス以外の環境要素に対しては、現在のところ環境影響評価の段階で環境負荷量を把握する手法がないため、事後調査において可能な限り多くの環境要素(物質)を選定して事後調査を行うことが望ましい。
(2) 事後調査の手法
温室効果ガス等環境負荷分野での事後調査の対象は環境の状態の変化ではないため、事後調査の対象事項として温室効果ガス等の発生量と発生の原因となる行為等の量的把握である。
なお、環境負荷量の発生量についてISO14001を取得した事業所では、環境側面として温室効果ガスの排出を検討対象としているところが多く、手法として参考にできる。
(ア) 温室効果ガスについて
(a) 直接的行為のみ対象とする場合
温室効果ガスの排出量に関する把握方法としては地方公共団体向けに下記のガイドラインが作成されており、各種事業体でも参考とすることができる。
「地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地方公共団体の事務及び事業に係る温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン 平成11年8月 環境庁地球環境部」
(b) ライフサイクルにわたる環境負荷発生を考慮する場合
ライフサイクルにわたる範囲を検討対象として環境保全措置を検討している場合には、温室効果ガス発生要因となる行為を抽出し、その量を把握するものとする。
(イ) 温室効果ガス以外の環境要素
温室効果ガス以外の環境要素についても基本的には温室効果ガスと同様であり、環境負荷発生要因となる行為を抽出し、その量を把握するものとする。
(3) 事後調査結果の活用
事後調査の結果、環境負荷量が環境影響評価段階の予測値を上回ることがあった場合には、事業計画に立ち返って対策を講じる必要がある。
現在では、温室効果ガスについて削減が法的強制力を持たないため、事業計画の補正等へのフィードバックについて環境影響評価の段階でその方法を述べることが望ましいと言える。