平成12年度 第1回水環境分科会
資料7

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技術シート

登録番号:地下水-4

環境項目

地下水

技術等

の種類

調査・予測

評価・その他

技術等の名称

水文:不飽和帯調査(土壌水分・水分特性測定法・浸透量)

技術等の概要

(土壌水分調査)
土壌水分調査には、採土・炉乾燥法、テンシオメーター法、電気抵抗法、中性子法TEM波TDR法等がある。
・採土・炉乾燥法:最も古典的な直接法であり、現場にて所定の円筒貫入式採土器を用いて採土し、採土時及び炉乾後の重量との差から土壌水分量を測定する方法。
・テンシオメーター法:テンシオメーターにより土壌中の水分張力を測定し、既知の土壌水分特性曲線により、測定した水分張力から水分量を算定する方法。
・電気抵抗法:土壌中の電極を有した吸収体の吸湿水分と土壌水分が平衡に達した時の電気抵抗を測定する方法。電気抵抗から土壌水分量の算定には、別途、キャリブレーションにより電気抵抗と土壌水分との関係を求めておく必要がある。
・ガンマー線法・中性子法:間接法として最も信頼ある手法であり、ガンマー線の水分による減衰原理を利用したガンマー線法や高速中性子の水分による熱中性子化の原理に基づいた中性子法がある。
・TEM波TDR法:電磁波の伝送特性から土壌水の誘電特性を求めて水分量を捉える方法。
(水分特性測定法)
水分特性測定法には、ポテンシャル領域に応じていくつかの測定法がある。吸引法や土柱法は、マトリックスポテンシャルの高い領域で、加圧版法や加圧膜法、サイクロメーター法はマトリックスポテンシャルの低い領域で用いる。
・吸引法や土柱法:基準水面を下げて試料に負圧(cmH2O)をかけ、平衡状態に達した土壌の含水量を適時直接測定する。
・加圧版法:試料に対する圧力を加圧ポンプにより行う方法。吸引法に比べて大きなサクション(マトリックスポテンシャル×(-1))について測定が可能。
・サイクロメーター法:土壌水は大気の水蒸気と平衡状態にある場合、土壌水の全ポテンシャルエネルギーと大気中の水蒸気のポテンシャルエネルギーは等しくなる原理を利用して、各相対湿度に対する含水量を直接測定し、土壌ポテンシャルと含水量との関係を求める方法。
(浸透量)
浸透量の測定方法には、実験施設として円筒型とトレンチ型、実験方法として定水位法、変水位法、準定水位法、一定量注入法等がある。実際に設置されると予想される施設形状や実験に要する手間、注入水の確保等の条件により適宜選定する必要がある。

調査・予測の必要条件

(土壌水分調査)
・テンシオメーター法:測定した水分張力から水分量の算定には、事前に土壌水分特性曲線(pF試験により求まる)が必要となる。
・電気抵抗法:電気抵抗から土壌水分量の算定には、事前にキャリブレーションにより電気抵抗と土壌水分との関係を求めておく必要がある。
・ガンマー線法・中性子法:キャリブレーションにより中性子水分計のカウント比と土壌の体積水分量(採土・炉乾燥法による)を求める必要がある。
(水分特性測定法)
・サイクロメーター法:本方法で算出されるのは、土壌のトータルポテンシャル(マトリックポテンシャル+浸透ポテンシャル)であるため、浸透ポテンシャルを電気伝導度等から求め、差し引く必要がある。

適用範囲

(浸透量調査)
・現地実験は、地下水位が高い時期に行うのが望ましい。
(土壌水分調査)
・ガンマー線法・中性子法、:原位置・不攪乱測定が可能。基本的に土性により左右されない。操作が簡単。現場において多地点の移動測定が可能。測定精度が非常に良い。
・TEM波TDR法:原位置・不攪乱測定が可能。精度的に放射線法(ガンマー線法・中性子法)と同等。キャリブレーションが簡単。操作が簡単。
(水分特性測定法)
・水分特性測定法には、ポテンシャル領域に応じていくつかの測定法があり、各ポテンシャルに応じて測定方法を選択する必要がある。

課題

(土壌水分調査)
・採土・炉乾燥法:サンプル缶の大小による測定値のばらつきがある。また、原位置における連続測定が不可能、測定に時間と労力がかかる。
・テンシオメーター法:多少のタイムラグ、温度及びヒステリシスの影響を受ける。
・電気抵抗法:温度、土壌溶液による影響、吸収体の個体差、測定精度の問題、電気的ノイズの影響がある。現場測定には極限られた条件下でのみ実用可能。
・ガンマー線法・中性子法:放射線源としての取り扱い及び管理が必要。放射線源の崩壊変動がある。自動測定が困難。キャリブレーションに手間を要する。

参考とした文献・資料 ・「改訂地下水ハンドブック」(㈱建設産業調査会 1998年)
・「土壌物理環境測定法」((財)東京大学出版会 1995年)
・「土壌標準分析・測定法」(日本土壌肥料学会監修 1993年)
・「防災調整池等技術基準(案)解説と設計事例((社)日本河川協会 1986年)
備考 ・マトリックポテンシャルとは、土壌水の表面張力や土粒子の吸着力によるポテンシャル。
・浸透ポテンシャルとは、溶質を含むことにより生じるポテンシャル。
・土壌の水分特性は、マトリックポテンシャルと土壌含水量との関係を表す。
技術の内容の説明資料 あり・なし 事例 あり・なし

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