平成13年度 第1回総合小委員会

資料2

(8)注目種・群集の抽出

  (8)-1 陸域

  注目種・群集の抽出は「生態系の地域的な特性の把握」および「構造と機能の検討」を踏まえて行う。抽出にあたっては、主要な種・群集の生態的特性や生息場所、生態系での機能的な役割などや、対象地域の生息場所や生態系の構造・機能のどこに及ぼす影響が大きいのかを十分検討する。

  以下はある丘陵地において注目種の選定を行った例である。表●には注目種・群集の一覧を示す。表の注目種・群集を抽出するにあたっては、「生態系の地域的な特性の把握」および「重要な類型区分の選定」「構造と機能の検討」「事業の影響要因と生態系に与える影響の整理」を通じて生態系への影響を捉える上で重要と考えられた以下の種・群集に着目している(表●、図●、図●、表●参照)。そして、該当する生物種・群集の中から、生態的知見が多く、調査が比較的行いやすいもの、事業の影響を指標しやすいと考えられる種を抽出している。

  なお、実際の環境影響評価では「植物」や「動物」の現地調査により新たに生息する種・群集等の知見が得られた段階で再度整理を行い、追加・修正等を行う必要がある。

表● 注目種・群集の一覧

(8)-2 陸水域

   陸水域生態系において注目種・群集を抽出する際には以下の点に留意する。

  なお、特殊性の視点から注目種を選定しようとする際、陸水域生態系では水域が水を通して連続した環境であることや、水底の基盤環境要素が把握しにくいことなどから、特殊な地形・地質環境を抽出しにくい面がある。しかし、湧水地や支流流入部、ワンドや内湖、孤立して残る自然性の高い水域など、局地的に水質、水温等が異なる環境といった視点から注目種・群集を選定することで、影響がより把握しやすくなると考えられる。

  注目種・群集は基本的に在来種から選定するものとする。しかし、陸水域生態系では生態系の機能を考えるにあたり、無視できない現存量をもつ漁業対象の種苗放流種が存在する。国外あるいは地域外からの移入種による攪乱が陸水域生態系に及ぶ、または及んでいる場合もある。このため、種苗放流種や移入種が在来種や生態系に及ぼす影響も把握する必要がある。そこで、移入種についても対象とする生態系の構造および機能の面から整理を行い、予測・評価に際して必要な要素と判断される場合は調査対象とする必要がある。

  以下はある陸水域において注目種の選定を行った例である。表●に注目種・群集の一覧を示す。表の注目種・群集を抽出するにあたっては、「生態系の地域的な特性の把握」および「重要な類型区分の選定」「構造と機能の検討」「事業の影響要因と生態系に与える影響の整理」を通じて生態系への影響を捉える上で重要と考えられた種・群集に着目している(表●の選定理由を参照)。この例での注目種選定の視点は以下である。

上位性

典型性

特殊性

表● 注目種の選定結果(スコーピング段階)

 

表● 注目種の選定結果(スコーピング段階)

(8)-3 海域

  ある海域において注目種・群集を選定した手順を表●、●に示す。これらは「生態系の地域的な特性の把握」および「重要な類型区分の選定」「構造と機能の検討」「事業の影響要因と生態系に与える影響の整理」を踏まえて抽出された主な生物種から、調査・予測・評価の対象とする注目種を選定するために作成した表である。表●では各種について「産卵場所との関連」「食物連鎖での位置付け」「社会的重要性」等について整理した。これを踏まえて当該海域で評価対象とする注目種の選定を行った例を表●に示す。

表● 注目種選定のための特性等整理例

 

表● 調査・予測・評価の対象として選定して注目種

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