環境影響評価制度総合研究会技術専門部会報告書(平成8年6月)
環境影響評価の技術手法の現状及び課題について
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資料-3 調査対象国等における対象範囲
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国・ | 環 境 要 素 | 選 定 方 法
機関名 | |
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アメリカ| 一義的には決められていない。し| 具体的な評価項目は、事業の特性
|かし、国家環境法施行規則第1508条|や環境影響の著しさ等に応じて、主
|第8項では、影響として生態系的、|導連邦政府機関がスコーピング等の
|美的、歴史的、文化的、経済的、社|手続きを通じ、関係する省庁や公衆
|会的衛生的影響を挙げている。 |の意見を勘案して定める。
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カナダ | 一義的には決められていない。し| 主務省庁がスコーピングにより決
|かし、カナダ環境影響評価第2条で|定するが、事業が調停人(mediator)
|は、健康、社会経済条件、物理的、|もしくは審査委員会(review panel)
|文化的遺産、伝統的な目的のために|に付託される場合には、環境大臣が
|原住民が現在利用している土地及び|主務省庁と協議の上決定する(CEAA
|資源、歴史的・考古学的もしくは古|第15条(1)、16条(3))。
|生物学的に重要な構造物、敷地もし|
|くは物事への影響を含むとしてい |
|る。 |
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オランダ| 一義的には決められていない。一| 個別案件ごとに、環境影響評価委
|般的には、環境の範囲として人間 |員会、公衆、アドバイザーの意見を
|(公衆衛生)、植物、動物、物資、|聞き、主務官庁が示すスコーピング
|水、土壌、大気、文化的・歴史的遺|ガイドラインで掲示する。
|産、自然、景観等への影響が含まれ|
|ている。 |
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欧州共同| EC指令第3条において、人間・| 環境当局、事業者、担当当局によ
体(EU|動物及び植物、土壌・水・大気・気|るスコーピングの実施を提示してい
|象及び景観、以上の要因間の相互作|る。
|用、物的資産及び文化的遺産を挙げ|
|ている。 |
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イギリス| 都市農村計画規則の付属文書3の| 個別案件ごとに事業者と地方計画
|第2項において、人間、植物相、動|庁との事前協議(スコーピング)に
|物相、土壌、水、大気、気候、景観|より選定される。
|、各要素の相互作用、有形資産、文|
|化遺産を挙げている。 |
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ドイツ | 環境影響評価法第2条第1項にお| 評価項目の詳細は、事業者と所管
|いて、人間、動物、植物、土壌、水|官庁との間でのスコーピングにより
|、大気、気候、景観並びに文化財、|選定される。
|その他の物的財産を挙げている。 |
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フランス| 自然保護法施行令第2条第1項に| 実際の調査範囲は、事業者、民間
|おいて、動物及び植物、風景及び景|コンサルタント、様々な行政機関が
|観、土壌、水、大気、気象、自然環|参加した非公式な協議の場で決定さ
|境、生物学的均衡、個人の財産及び|れる。
|文化遺産の保護、近隣の快適さ(騒|
|音・振動・悪臭・光害)、衛生・安|
|全及び公衆衛生を挙げている。 |
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国・ | 環 境 要 素 | 選 定 方 法
機関名 | |
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世界銀行| 事業により異なるが、ガイドライ| 個別案件ごとにスコーピングによ
(WB)|ンでは以下の事項が掲示されてい |り選定される。
|る。 |
| 農薬、多様性、沿岸・海洋資源、|
|文化財、ダム貯水池、有害物質、社|
|会文化、公害、環境・自然資源関連|
|国際条約、国際河川、強制移住、再|
|定住、自然災害、労働環境、先住民|
|、熱帯林、流域、湿地、原生地 |
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アジア | 事業により異なるが、ガイドライ| 個別案件ごとにスコーピングによ
開発銀行|ンでは以下の事項が掲示されてい |り選定される。
(ADB)|る。 |
|物理的資源:地形、土壌、気候、表|
|流水、地下水、地質 |
|生態的資源:水産、水生生物、野生|
|生物、森林、貴重・脅かされている|
|種、荒地・保全地域 |
|人的・経済開発:人口・地域社会、|
|インフラ施設、制度、交通、土地利|
|用計画、発電・送電、農業開発、鉱|
|物開発、観光資源(これらに限定さ|
|れない) |
|生活の質:社会経済価値、公衆衛生|
|、レクリエーション資源・開発、美|
|的価値、文化的価値(これらに限定|
|されない) |
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アジア | 分野別ガイドラインにおいて、そ| 個別案件ごとにスコーピングによ
太平洋 |れぞれ提示されている。 |り選定される。
経済社会|(例:ハイウェイ) |
委員会 | 表層水、大気質、地形、水産、森|
(ESCAP) |林、陸上動物、騒音、土地利用、美|
|観、工業、再定住、考古学的・歴史|
|的な重要性、公衆衛生、社会経済 |
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