自然との触れ合い分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
自然との触れ合い分野の環境影響評価技術(II) 調査・予測の進め方について(平成12年8月)

自然との触れ合い分野の環境影響評価技術(II)TOPへ戻る

1.主要関係文献一覧

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
1       都市~近郊 シンボルとなる景観資源の抽出とその構成要素の分析 道内都市部住民を対象とした想起アンケート [1] 北海道におけるシンボライズされた都市景観要素としての緑地
[2] 造園雑誌 48(5) 270-275
[3] 浅川昭一郎、鈴木幹雄、小林昭裕
[4] 1985
2         全般 眺望タイプ別の視点場となりやすい場所の抽出 地域住民に対するアンケート調査とその分析 [1] 好んで眺める風景と視点場等の保全
[2] 小原豊明
[3]  
[4]  
3         緑地 緑地の抽出とそれに対する市民意識の把握 空中写真判読、一般市民アンケート調査 [1] 都市計画における緑地の調査研究(II)緑地意識と緑地の保全・整備、長野市を事例として
[2] 第14回日本都市計画学会学術研究発表会論文集、415-420
[3] 丸田頼一、阿部邦夫、島田正文、峯村富太
[4] 1979
4         河川 河川景観に対する評価決定要素の分析 アンケート結果を数量化II類を用いて分析 [1] 大阪市内における都市河川の景観分析に関する一考察
[2] 土木学会第35回年次学術講演会講演概要集 第4部、328-329
[3] 佐藤道彦、松川昭夫、浜田圭一郎
[4] 1980
5         自然風景地~全般 景観解析(地域区分)の基本的手法・考え方の整理 メッシュアナリシス、オーバーレイ [1] 自然風景地計画のための景観解析 I
[2] 観光、15,58-64
[3] 塩田敏志、小島通雅、前田豪、布施六郎
[4] 1967
6         自然風景地~全般 囲繞景観の解析手法・考え方の整理 メッシュアナリシス、オーバーレイ [1] 自然風景地計画のための景観解析 II
[2] 観光、16,63-69
[3] 塩田敏志、小島通雅、前田豪、布施六郎
[4] 1967
7         自然風景地~全般 眺望景観の解析手法・考え方の整理 メッシュアナリシス、オーバーレイ [1] 自然風景地計画のための景観解析 III
[2] 観光、17,58-64
[3] 塩田敏志、小島通雅、前田豪、布施六郎
[4] 1967
8         湖岸 景観の類型化手法の検討 地形×土地利用を用いた区分、メッシュアナリシス併用 [1] 景観類型化から見た湖岸環境に関する考察
[2] 昭和56年度 第16回日本都市計画学会学術研究発表会、361-366
[3] 中岡義介
[4] 1981

 

(その1)

概要
アンケートにより想起された地点・施設について、カテゴリー分け(景観分類、立地傾斜度、対DID立地条件等)し、その傾向について分析。
カテゴリーの分析により、対象地の特性・傾向等(自然的-人工的、歴史的-近代的等)の把握が可能としている。
当該研究では、こうした分析の成果を都市計画立案にあたって配慮すべき事項として活用することを提案。
好まれる眺望を視点と視対象との関係から「[1]通景(ヴィスタ景)」「[2]囲繞景・中近景」「[3]囲繞景・遠景」「[4]水平景」に区分。それそれの保全対象とすべき典型的な視点場を抽出。
[1]通景:谷詰の独立峰、裏山・神社等の境内、峠、渓流上等
[2]囲繞景・中近景:田園の中の小高い丘、周辺の山、自宅及びその周辺、上流の山・峠、下流の河川敷等
[3]囲繞景・遠景:高台・公園等、土手、地区外の山・峠
[4]水平景:高台、公園、高架、河川敷、河口、海岸等
長野市内の都市計画区域全域を対象に、1/25000航空写真から1000㎡以上の緑地を抽出、分布地区や緑地種別(公園、山林、河川、社寺林等)で分類し、その分布傾向を分析。
一般市民3000人を対象としたアンケート調査により長野市全域及び居住地周辺の「多い緑、少ない緑、残したい緑」について意識を把握。その結果以下のような傾向が得られている。
[1]緑に対する意識は身の回りの緑量によって規定される、[2]緑の認知は視覚的に見えること、もしくは利用することにより生じる、[3]居住地周囲の山林や社寺林等の歴史性のある緑の認知が高い、[4]河川緑地の認知度が全般的に低い
数量化II類を用いて河川を撮影した5枚の写真に対する評価(親しみを感じるか否かの二極)を外的基準とし、一般市民アンケート結果から抽出した河川イメージを要因として分析。
調査結果では、河川景観の評価要素としては、「自然性」や「広々とした」といった空間要素よりも「護岸形状」「澄んでいる」といった河川形態が重要である点が確認された。
景観の構造分析には、大きく分けて以下の2通りが考えられる。
[1]結節地域型:景観の主題をなす中心核とその影響圏からなるような結節地区ごとに区分していく方法。中心核となるものが優先的に決まっている(≒絶対的な保全対象が存在する)場合に適する。
[2]均等地域型:均等の特性を持つモザイク的な地区に区分していく方法。前者に対し、中心核となるものが曖昧な場合や、小規模多数の中心核が分布する場合に適する。
景観解析を行う場合の分析指標は、個人的な偏差のない物理的指標を用いる必要がある。
解析は、対象地域にメッシュをかけ、各グリットについて各種指標を用いた評価をする方法が挙げられる。メッシュの大きさは、計画の内容、対象地域や内包される景観のタイプにより適切に設定する必要がある。
景観タイプは大きく「囲繞景観」「眺望景観」に分類される。一般に囲繞景観は直接的操作(創造)が可能であるが、眺望景観は操作不可能である。ただし、囲繞景観の操作により、眺望景観の評価を変化させることは可能である。
囲繞景観には眺望景観と異なり、近・中・遠景といった距離的概念が内包される。ただし、囲繞景観と眺望景観の区別は単純に距離で決定されるのではなく、全体の景観のスケール感等により個々に異なってくる。
囲繞景観は、概ね[1]地表状態(自然生態系)、[2]集落その他(人工造型系)、[3]地形の要素から決定される。
眺望景観の良否は、基本的に[1]眺望地点の状況(遠くがよく見えること)、[2]眺望対象の状況(興味を惹く対象があること)の2点によって決定される。
眺望の解析には、[1]視界量(可視空間量、どれだけ広い範囲が見渡せるか)、可視/不可視(興味対象が見えるか)、興味対象の見込角(興味対象の水平・垂直方向の見えの大きさ)、視野構成(仰・俯瞰、興味対象との間に介在する地物等)等を総合的に判断する必要がある。
琵琶湖を対象に湖岸景観と後背の内陸の景観を個別に類型化、次にその関連性を考慮して類型化。
湖岸から最大250m程度内陸側までを湖岸を形成する領域と捉え、類型化の対象領域としている。
第1段階として出現する要素の複雑度(モザイク度)と出現する要素の内容(地形や土地利用)により湖岸、後背地それぞれを類型化し、第2段階としてその組み合わせの状況により再整理、最終的には19の類型に区分している。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
9         海岸 眺望形態に応じた視点の類型化 海にまつわる古地名(例:日和山等)や文学に描写された視点位置等を分析 [1] 海岸景観及びその体験の典型に関する研究
[2] 昭和60年度 第20回日本都市計画学会学術研究論文集、391-395
[3] 斎藤潮
[4] 1985
10         自然風景地 風致的重要性から見た森林の類型化手法の検討 森林に係わる定量的諸条件を用いて類型化を行うためのフローを確立 [1] 森林の風致的類型化に関する研究
[2] 造園雑誌 48(5) 258-263
[3] 油井正昭、石井弘
[4] 1985
11     農村 地名等に着目した空間構成、認識の分析 地域住民ヒアリング、文献調査、現地踏査 [1] 農村集落の民俗空間構成に関する研究
[2] 造園雑誌 48(5) 318-323
[3] 笹谷康之,中村良夫
[4] 1985
12     やや都市的な地域 河岸(土手)の形態による水辺快適性・親水性の分析 被験者を用いた現場実験 [1] 実験現場による水辺快適性の評価
[2] 環境情報科学、14-3
[3] 青木陽二
[4] 1985
13     全般 水辺の価値の分析・整理 風景写真・絵画の題材としての水辺の位置づけを分析 [1] 水辺風景論 風景画・風景写真分析からの試み
[2] 国立公園、374,8-21
[3] 進士五十八
14         河川沿い 景観構成要素とその認識の分析 写真の構図分析 [1] 望ましい環境に関する意識調査
[2] 国立公園、367,18-21
[3] 寺田達志
[4] 1980
15         不定 景観の価値判断基準の整理 主に既往知見の整理 [1] 自然風景地における景観アセスメントの諸問題
[2] 造園雑誌46(1):27-34
[3] 屋代雅充
[4] 1982
16       全般 河川景観の類型化と類型ごとの視点分布傾向の分析 数量化III類 [1] 河川景観の象徴的表現形式に関する研究
[2] 土木学会第36回年次学術講演会講演概要集、135-136
[3] 平田昌紀、中村良夫、北村眞一
[4] 1981
17     観光レクリエーション地全般 観光レクリエーション地の資源性評価 定量的諸条件を点数化し、評価 [1] 北海道地域観光開発の構想計画
[2] 同上
[3] 日本観光協会
[4] 1970
18     レクリエーション地~全般 景観の多様性評価に関する分析手法の検討 定量的諸条件を点数化し、評価 [1] 多様性価値による景域評価手法
[2] ランドスケープ 19、28-31
[3] 勝野武彦
[4] 1976

 

(その2)

概要
海岸景観の体験の仕方は、概ね以下の3タイプに区分される。
[1]陸上視点の典型:実用視点としては「ウオミ、ヒヨリミ」等の内海と外海を対比的に眺める視点が典型的、情緒的視点としては、海陸境界が混沌とした領域若しくは明瞭な様を観賞する視点が挙げられる。
[2]海上視点の典型:視点の移動に伴い変化する陸側の眺望を興味対象とする。
[3]情緒的視点の典型:視点と視対象との間に樹木や霧等が介在することが多い。
森林の風致的価値を[1]学術・歴史・文化的価値、[2]レクリエーション・保健休養価値、[3]環境保全価値の3つに定義。
上記を定量的に評価するため、法規制(自然公園、文化財、鳥獣保護等)、レクリエーション利用の有無・レクリエーション地との位置関係、景観眺望性等の観点から21の指標を設定。
風致林の類型化の方法として、上記指標を用いたフロー形式のチェックリストを確立。フローに基づき風致林を3タイプ6種(都市環境林、文化環境林、厚生休養林、各2種ずつ)に区分、それぞれの風致施業の方向性を検討。
なお、当該研究は、国有林小林班を1ユニットとして取り扱うことを前提とし、指標も森林簿、事業図で判別可能なものと現地調査が必要なものとに分けて検討されている。
方名、地名の分析、現地の地形や土地利用の観察、地元古老へのヒアリング結果から、地域の伝統的な空間認識を解明。
[1]地形に応じた場所の認識、[2]特徴的な場所に対する認識、[3]神社・河川等を基準とした位置関係の認識、[4]海・山を基準とした集落外への方向性、[5]地名と集落内社会との関連づけ、[6]ハレ・ケ・ケガレの場の認識、[7]集落内眺望点の認識
水辺の快適性評価は、水辺への下りやすさと水辺の快適性によってもたらされ、水辺の快適性は土手からの眺めと水遊びによってもたらされ、水遊びは水の中への入りやすさと土手の斜度によってもたらされる。
水辺の快適性を評価する心理的項目は、水辺を構成する法面傾斜角、底質、水鳥、植被率、水面油膜の有無、水面と陸との段差、水温、流速、SS、水際の傾斜度、河川敷の植生高と関連がある。
水辺に対する満足度は、水のきれいさ、流れの緩急等の水そのものの条件のほか、静けさ、空地の有無、アクセス性等が総合的に関連して評価される。
また、その場の雰囲気だけではなく、社会的・人間的・生活的関係の総合的関わりから捉える必要がある。
写真分析結果では、上流から下流に向けて、自然的要素は減少し、人工的(生活的)要素が増加する。
景観の価値は、概ね以下の通り整理される。
[1]精神的安らぎ、快適性(安らぎのある、親しみやすい、開けた、気分転換となる、地域のシンボルとなる眺め)
[2]美的満足感の充足(崇高な、雄大な、繊細な、統一性のある、力強さのある、安定した、迫力のある美)
[3]知的欲求を満たす(珍しさ、新しさ、古さ、研究や観察の対象)
[4]自我の保存(歴史的、原始的、聖域的風景、国民的原風景)
名所図絵、浮世絵等に描かれた河川について数量化III類を用いて19の様式に類型化。
類型ごとに河景の楽しみ方、つまり視点位置(水辺、土手等)と視軸(流軸、対岸)との関係に一定の法則性があることも明らかになった。
単位面積内に存在する観光レクリエーション資源(自然・人文系)を点数化し、資源評価を行ったケーススタディ。
資源評価に用いる主な指標は以下の通り。
<自然系>標高、高原・展望地・湿原・湖沼・渓流・瀑布・海岸・温泉・良好な植生等の有無。
<人文系>利用量、交通施設(空港・道路・鉄道)、レクリエーション施設・特殊人文景観等の有無、自然環境関係の法規制の有無。
キームステッド(1967)によれば、空間の多様性は以下の4つの要素で決定するとされ、これらの要素について1/25,000スケール2km正方メッシュを単位として点数化、隣接メッシュの状況に応じて補正することにより、景域の多様性評価が可能としている。
[1]境界値:植生・水辺(静水・流水)の境界線の距離
[2]起伏量値:メッシュ内の最高/最低地点の標高差
[3]土地利用値:土地利用の状況(水面・樹園地・樹林・痩地・水田・畑地等)
[4]気候因子:気温や降水量。ここでは簡略化のために主に海抜高度により得点化している。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値

19

 

 

 

 

不定 2色間の色彩調和特性の分析 一対比較法による調和色の選定 [1] 測色と色彩心理
[2] 同上
[3] テレビジョン学会・NHK
[4] 1973

20

 

 

 

 

自然風景地 視距離に応じた建築物の色彩特性変化の分析 極限法による視認距離の測定 [1]  
[2] 東京農業大学卒業論文集
[3] 近藤文子
[4] 1974

21

        市街地 高架構造物の規模に応じた視覚的影響(圧迫感)特性の分析 調整法による圧迫感閾値の測定 [1] 新交通システムの都市景観に及ぼす影響に関する一考察
[2] 土木学会誌、1975,9
[3] 樋口忠彦、篠原修、小柳武和
[4] 1975

22

        自然風景地 建築物の視野占有率及び配置による影響程度の分析 評定尺度法による評価決定要素の分析 [1] 国立公園集団施設地区の景観評価に関する研究
[2] 土木学会学術講演会概要集
[3] 樋口忠彦、田口勤、長坂富雄
[4] 1976

23

        自然風景地 法面の視野占有率及び法面形状による調和性の分析 極限法による視野占有率の閾値測定、一対比較法による選好度比較 [1] コンクリート系のり面の大きさと目立ちやすさについて
[2] 道路建設が自然景観におよぼす影響調査報告書(その2)
[3] 樋口研究室
[4] 1980

24

        不定 建築物等の圧迫感・存在感と仰角との相関の分析 写真を用いたマグニチュード推定法・恒常法による閾値、評価決定要素の分析 [1] 土木施設景観の計量心理的評価手法に関する研究
[2] 土木学会年次学術講演会講演概要集第4部
[3] 小柳武和
[4] 1976
25         自然風景地 視距離に応じた建築物のテクスチャーの視認特性、建築物の外観・配置・色彩・規模に応じた視認特性と景観調和手法の分析 恒常法による閾値の測定、評定尺度法・品等法による選好順位付け、想起法によるイメージ分析他 [1] 風景と建築の調和技術
[2] 国立公園、356,4-11/359,17-22
[3] 進士五十八、麻生恵
[4] 1979

26

        市街地~山地 建築物が独立峰の前景に出現した場合の景観影響特性の分析 一対比較法による順位付け、調整法による閾値測定 [1] モンタージュ写真による岩手公園からのビルディングを伴う岩手山の景観解析
[2] 土木学会年次学術講演会講演概要集第4部、330-331
[3] 安藤昭
[4] 1980

 

(その3)

概要
明度が大きいほど、2色間の色彩が調和する。
彩度差の調整のみでは調和が得られにくい。
視認性が特に高いのが白色、特に低いのが茶色。
この傾向は、無雪期において不変である。
高架構造物による圧迫感を回避するには、視距離/高架の高さ=4以上が望ましい。
背景に高架よりも高い建築物が存在する場合、圧迫感は軽減される。
水平画角約60゜の写真上では、建築物の画面占有率が3~4%を越えるとプラス評価が得られなくなる。
建築物等の画面占有率が同じ場合、分散配置よりも集中配置の方がマイナス評価が減少する。
道路の法面が気にかからなくなる閾値は、35mmカメラ35mmレンズ撮影写真中の視野占有率0.021%(室内実験の場合0.019%)である。
台形、三角形、二子山型の3種類の法面形状では、台形、二子山型、三角形の順で目立ちにくくなる。
建築物等による圧迫感は、見えの面積、仰角要因の規定力が大きい。
存在感(目立ち度)では背景との色彩対比の規定力が大きい。
対象への仰角が15゜~20゜以上になると、建築物・工作物等の種類を問わず圧迫感が生じる。
自然風景地で目立ちにくい壁面とするには、複雑な色合いや陰影変化を備える必要がある。
視距離100~200m程度であれば、微細な表面処理(タイル・レンガ張り等)が望ましい。
視距離200~1,500m程度であれば、より大きな壁面の変化(ベランダや軒の設置、窓の配置による明暗処理等)が望ましい。
壁面の凹凸により生じる明暗模様の明部の角度は、0.07~0.13゜(視距離1kmの場合、1~2m幅)が適正である。
縦長、正方形、丸屋根状の外郭形状(特に縦長)は、あらゆる背景下においても調和しにくい。
横長及び勾配屋根は調和しやすい。特に緩勾配屋根はあらゆる背景下で最高の評価が得られた。
横長形状の場合、縦横比1:3が最も高い評価が得られる(1:4が横長の上限)。
背景の比高が大きい場合、横幅の小さいものが調和する。
建築物等はできるだけ低い位置(稜線から下がった位置)に配置すべきである。
高い位置に設置されるものほどスケールを小さく抑えるべき。
視野占有率が同等の場合、縦長形状よりの横長形状の方が視覚的許容限界が高い。
水平画角約40゜の場合、建築物等の視野占有率の許容限界値は、縦長では0.04%、横長では0.06%である。
風景地建築には茶系等が最も好ましく、ついで、緑・青が好ましい。
赤(夏に忌避)、白(冬に忌避)は嗜好の季節変動が大きい。橙・黄色は全般的に好ましくない。
自然風景地に調和する明度/彩度は、3.5~5.5/3.0~6.0(夏景色)、4.0~6.0/3.0~6.0(冬景色)である。
独立峰の前景に建築物が出現する場合、山の中心部よりも左右端にセットバックされた方が景観破壊の印象が低い。
山の中心部からのセットバック距離が同等の場合、建築物による山体の遮蔽面積が小さいほど景観破壊は小さい。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
27         不定 切り土法面の背景に対する大きさ、法面の出現位置に応じた視認特性の分析

評定尺度法による評価決定要素の分析、閾値の推定

[1] 道路の切土法面の景観評価に関する研究
[2] 土木学会年次学術講演会講演概要集第4部、338-339
[3] 山田順一、窪田洋一、小柳武和、中村良夫
[4] 1980

28

        自然風景地 自然風景地内で好まれる建築物等の色彩の分析

写真を用いたSD法による選好度推定

[1] 自然景観地内建築物色彩イメージについての実験的研究
[2] 日本造園学会春季大会発表会要旨、57-58
[3] 麻生恵、永嶋正信、進士五十八、西川生哉、児玉晃
[4] 1981

29

        自然風景地 送電鉄塔の位置・規模の変化に応じた背景となる山稜に対する混乱度の分析

写真を用いた極限法による閾値測定

[1] 自然風景地における垂直構造物の視覚的影響
[2] 造園雑誌、45(4)、247-254
[3] 熊谷洋一、若谷佳史
[4] 1982
30         不定 テクスチャーの特性に関する基礎的研究

観察的手法

[1] 景観におけるテクスチュアに関する研究
[2] 造園雑誌、44(2),102-108
[3] 屋代雅充
[4] 1980

31

        不定 人間の視野特性に係る基本的事項の分析

主に既往知見の整理

[1] 人間の視知覚特性
[2] 新体系土木工学59土木景観計画、68-71
[3] 篠原修
[4] 1982
32         不定 視距離に応じた視認特性(近景・中景・遠景の区分)

主に既往知見の整理

[1] 人間の視知覚特性
[2] 新体系土木工学59土木景観計画、90-91
[3] 篠原修
[4] 1982

33

 

 

 

 

不定 仰角・俯角に応じた眺望特性に係る基本的事項の分析

主に既往知見の整理

[1] 人間の視知覚特性
[2] 新体系土木工学59土木景観計画、91-95
[3] 篠原修
[4] 1982

34

 

 

 

 

自然風景地 視距離に応じた建築物の視覚的印象の支配要因の変化の分析

(具体的記述なし)

[1] 自然風景地における建築デザインの基本に関する景観的考察(上)
[2] 国立公園,307,1-6
[3] 進士五十八、斎藤利弘、麻生恵、田沼和夫
[4] 1975

35

 

 

 

 

自然風景地 建築物の色彩調和に関する基本特性の分析

(具体的記述なし)

[1] 自然風景地における建築デザインの基本に関する景観的考察(下)
[2] 国立公園,308,6-11
[3] 進士五十八、斎藤利弘、麻生恵、田沼和夫
[4] 1975

36

 

 

 

 

森林 緑被率、林床見通し距離に着目した森林景観評価基準の分析

SD法、現場実験による林内透視度の測定

[1] 都市居住者の自然を求める行動の要因を調べる(植生の相観に着目した調査)
[2] 都市の人間環境、37-54
[3] 品田穰
[4] 1987

37

        森林 林冠下の空間量に着目した森林景観評価基準の分析

極限法を用いた現場実験による林内空間閾値の測定

[1] やすらぎの空間を図る
[2] 森を調べる50の方法((社)日本林業技術協会)、154-157
[3] 比屋根哲
[4] 1997

 

(その4)

概要
法高/背景の高さ=0.2~0.3を越えると「切り土面が背景に対して大きい」という評価が得られはじめる。
上記の傾向は、法の面積によらず概ね一定である。
切土法面のスケール感は一次背景によって決定され、二次背景の有無はあまり影響しない。
背景にピークがある場合、ピークと法面との位置関係によらず、スケール感は山頂と法高との高さ比で決定する。
法面のスケール感は、法の出現位置の高低に係わらず切土の実高/背景の高さによって決定される。
法面出現位置の高低と視覚的な安定感との関連性について、法面底辺の高さ/背景の高さ=0.35~0.45を越えると不安定感が増す。
濃黄緑、灰、灰/暗茶、明茶/灰赤が好ましい。
暗茶、暗灰緑等の地味な色はあまり好まれないがカモフラージュの観点からは有望である。
鮮赤、青、オレンジ等の派手な色は好まれない。
複数の色の組み合わせでは、対比色より同系色の方が好まれる。
スケール比(鉄塔の高さ/背景となる山の高さ)が1/2を越えると景観に混乱が生じ始める。
シルエット率(鉄塔のスカイラインからの突出量/鉄塔の高さ)が1/2以上の場合、景観に大きな混乱が生じる。
高い位置に設置されたものや、複数の鉄塔の設置位置の高低差が大きいほど混乱が大きい。
鉄塔相互のスパンが均等な場合、地形を無視した印象を与え、不均等の場合、無秩序性が増大する。
テクスチャーの見え方を把握するには、テクスチャーにより生じる明暗のパターンに着目することが有効である。
実際の眺望対象の観測では、テクスチャーとしての明暗パターンの1周期を見込む視覚の大きさ(テクスチャーとして認識される見込角)は、最小6~10’、最大1~2゜である。(それ以下だとテクスチャーとして識別できず、以上だと一つの要素として認識される)
人間の静視野は、一般に60゜とされる。これは35mmフィルム28~35mmレンズで撮影した写真に近い。
人間の熟視角(対象をはっきりと見ることのできる視角)は、一般に1~3゜とされる。
樹林を眺めた場合、340~460mから2.1~2.8kmがテクスチュアの見やすい範囲(中景)であり、それ以下が近景(樹林内の単木を確認できる領域)、以上が遠景(樹林のテクスチュアが消失し、地形のうねり等が卓越する領域)となる。
スプライレゲンによれば、視点から視対象への仰角に応じて、<45゜以上>完璧な囲繞感、<27゜>囲繞感の閾値、<18゜>最低限の囲み感、<14゜以下>囲繞感の消失、とされている。
俯瞰景の場合、俯角-10゜~-45゜が視覚的に最も重要な領域となる。
自然風景地内における建築物の視覚的印象を支配する要素は、当該建築物に近づくにしたがい、「視野に占める大きさ→輪郭の複雑さ→色彩→表面のテクスチャー」と変化する。
建築物の影響圏を小さくするには縦長よりも横長形状の方が適する(横長形状の方が小さく見える)。
背景となる地形の起伏が大きい方が建築物の影響を受けにくい。
スカイラインに近い方が影響力が大きい。
茶色が自然景観と最も調和する。
白色は視認性は高いが、対比調和色として有望。
赤、橙、黄色等はアクセント的に用いる。
紫の使用は論外。
緑被率が30~90%を越えると「やすらぎ感」の評価が高くなる。
タイプの異なる複数の植生に対する評価では、[1]見通しが良し植生ほど高い評価が得られる、[2]同一植生の場合、林床植生の植物高が低いものほど評価が高い、という結果が得られた。
上記で「やすらぎ」評価の高い植生では、共通して50m以上の見通し距離を有していた。
森林内の天井高(見通し度)を実測し、森林評価の目安とする方法。(品田穰によれば、50m程度の見通しが確保されれば人間はやすらぎを感じるとされる)
当該知見では、L=1m、W=6cmの着色ベニヤ版をつけた測竿をランダムに移動させ、それぞれの地点で被験者が「森林内の天井に達した」と感じる地点まで測竿を上げ、その高さを記録する方法を採っている。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値

38

 

 

 

 

自然風景地~全般 法面の植被状況による景観評価指標、評価基準の分析 複数の法面に対するSD法を用いた分析 [1] 法面の景観評価について
[2] 日本造園学会春季大会研究発表要旨、51
[3] 吉田博宣
[4] 1981
39         森林~全般 微気候条件に着目した森林の快適性評価に関する分析 WBGT(湿球黒球温度指数)の実測 [1] 森林の快適性を図る
[2] 森を調べる50の方法((社)日本林業技術協会)、156-161
[3] 大石康彦
[4] 1997
40       森林~全般 樹林の種類の違いによる視知覚心理学的反応の差異の分析 SD法(実施方法についての概説) [1] 人の心の動きを探る
[2] 森を調べる50の方法((社)日本林業技術協会)、188-191
[3] 大石康彦
[4] 1997
41       森林~全般 複数種類の樹林に対する選好度の分析 写真を用いた一対比較法、順位法 [1] 景観の写真判定
[2] 森を調べる50の方法((社)日本林業技術協会)、168-173
[3] 小林正吾
[4] 1997

42

 

 

 

都市 複数の景観の分類と選好度の分析 写真を用いた選択法 [1] 筑波研究学園都市の景観の分類と評価に関する研究
[2] 昭和55年度 第15回日本都市計画学会
学術研究発表会、295-300
[3] 青木陽二、笹谷康之
[4] 1980

43

森林~全般 樹林内のシークエンス景観把握手法とその分析方法の検討 CCDカメラ付きビデオを用いた観測的手法(現場映像・音声) [1] ビデオ画像で行動を知る
[2] 森を調べる50の方法((社)日本林業技術協会)、182-187
[3] 大石康彦
[4] 1997

44

 

 

 

全般 景観分析・評価、嗜好性分析のための手法概説 現場体験を伴うAHP法 [1] 見えないものを見えるようにする方法
[2] 森を調べる50の方法((社)日本林業技術協会)、192-195
[3] 比屋根哲
[4] 1997

45

森林~全般 好ましい樹林景観(シーン景観)の抽出手法の検討とその分析 レンズ付きフィルムを用いた観測的手法(現場写真撮影) [1] レンズ付きフィルムも使いよう
[2] 森を調べる50の方法((社)日本林業技術協会)、174-177
[3] 比屋根哲
[4] 1997
46       全般 地域住民による景観利用実態の把握 地図指摘調査法 [1] 筑波研究学園都市の景観の分類と評価に関する研究-地図を用いた面接調査の試み-
[2] 第16回日本都市計画学会学術研究発表会論文集、385-390
[3] 青木陽二
[4] 1981

 

(その5)

概要
法面の景観評価は植生の状況(全被度、優占種、優占種被度、優占種地上高)と密接に関係しており、それぞれが法面の景観評価の指標となりうる。
優占種:木本類、全被度:80%以上、優占種被度:70%以上、優占種地上高:2m以上の場合、良好な評価が得られる。
気温、日射、湿度、風速からなる「温熱環境」の総合的な計測指標であるWBGTを用いた場の快適性の評価手法。
WBGTの実測値を日本衛生学会の許容基準等との比較により、温熱環境の快適性を定量的に把握することが可能。
実験結果では、草地>高密林>疎林の順でWBGTが高いことが確認されている。
データロガーの活用により、継続的な無人計測も可能。
環境に対する心理反応を客観的に捉える心理学的手法の一つとしてSD法を紹介。
SD法は形容詞対からなる評定尺度(通常5~7段階)を配置した調査票を用い、被験者に対象に対するイメージについて評定尺度上に○をつけさせる。
その結果について因子分析を用い、因子負荷量と因子軸を求め、最後に因子軸の持つ意味について因子軸を構成する評価尺度から考察する。
因子分析はパソコン統計処理ソフトで実施可能。統計処理には最低10人以上の被験者が必要。
写真を用いた景観評価手法として「一対比較法」と「順位法」を紹介。
[1]一対比較法:撮影した複数の写真で総当たりの対をつくり、2者択一で好ましいものを選択させ、その結果を統計処理し、好ましい景観の順位付けを行う方法。
[2]順位法:撮影した複数の写真を好ましい順に並べさせ、その結果を統計処理、好ましい景観の順位付けを行う方法。
同一写真を用いた上記2通りの実験結果では、概ね同様の傾向が得られている。なお、森林を対象にした実験では、[1]林内の見通しがよい、[2]太い幹が直立している、[3]林床が低い植生に覆われているものが高い評価を得る傾向にある。
地域住民、地域外住民それぞれに70枚の写真を被験者に見せ、見ているものをグルーピングさせる。ついで各群の特色を問い、さらに各写真に選好性から見た評価をさせる。
実験の結果、以下のような傾向が得られている。
[1]地域住民の方がやや細かくグルーピングを行う。
[2]景観の評価は地域住民の方が少し良い値を示す。
[3]好まれた風景は水景・造園地・旧集落、嫌われた景色は造成地・密集住宅地・商店街であった。
被験者の頭部に小型CCDカメラを取り付け、ビデオ映像及び音声を記録する。
撮影された映像(視線の方向、動作、注視対象等)や音声(感嘆等)を分析する。
一定間隔で静止画像をサンプリングし、緑被率や空間構成等を分析すれば、対象地域の景観の傾向の把握が可能。
AHP法を用いて好ましい場(景観)の順位付けや、その評価基準、評価構造等を分析する手法。
AHP法では、予備実験等により適切な評価基準を設定することが重要。
被験者にレンズ付きフィルムを渡し、対象地内の写真を自由に撮らせ、写り混んだ画像の主題、構成等を分析する。
撮影された写真に写った対象の分析(特定の興味対象、要素、構図等)や緑被率等を分析し、好まれる特定の対象や地区景観の基調となる要素等の抽出に用いる。
調査にあたっては、被験者に歩行ルート、撮影地点、撮影した写真に対するコメント等を記録させることが望ましい。
筑波研究学園都市の新住民を対象に地域住民に地図を示し、「好ましい景観を見ている地点」「視対象の広がり」「見ている方向」「嫌いな景観を見ている地点」「自宅位置」を記入させ、さらに好ましい景観を見ている地点の状態、地点周辺の環境、地点で行う活動の種類、視対象の色・形・大きさ、利用季節、地点までの交通手段、その眺望の10点満点評価を質問する。
調査結果では、以下のような傾向が得られている。[1]地図指摘法による景観評価は生まれ育った場所の地形・交通手段、性別が有意に寄与する、[2]好ましい評価が下された景観は公園・遊歩道等の計画的に作られた景観であり、山地や田園を望む景観では眺望の方向性が生じやすい、[3]景観を劣化させる視対象は飲食店街・荒れ地等で、その要因としては騒音・埃等が挙げられた。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値

47

 

 

全般 シークエンス景観の評価手法の検討と分析 シークエンス景観を再現したビデオ画像を用いた選択法とSD法によるイメージ評価 [1] ビデオを利用した景観の評価
[2] 第17回日本都市計画学会学術研究発表会論文集、499-504
[3] 丹羽富士雄
[4] 1982
48       自然風景地~全般 景観評価、快適性評価手法の検討 AHP法(階層化意志決定法) [1] フォレストスケープの評価方法
[2] フォレストスケープ 森林景観のデザインと演出、62-65
[3] 香川隆英
[4] 1997
49       自然風景地~全般 仰角に関する基本的眺望特性の分析 著名な展望台からの眺望特性分析 [1] 仰角
[2] 景観の構造、50-63
[3] 樋口忠彦
[4] 1975
50       自然風景地~全般 俯角に関する基本的眺望特性の分析 著名な展望台からの眺望特性分析 [1] 俯角
[2] 景観の構造、40-49
[3] 樋口忠彦
[4] 1975
51       全般 地域の景観資源、眺望対象の抽出 地域の愛唱歌等の歌詞を分析 [1] (特になし)
[2]  
[3]  
[4]  
52       自然風景地~全般 景観構造の基本形式の分類 代表的な風景形式を模式化 [1] 景観の形式
[2] スケープテクチュア、325-333
[3] 江山正美
[4] 1983

53

 

 

 

 

里地~全般 景域区分とその歴史的変遷の把握 現地踏査(現況把握)及び航空写真判読(歴史的変遷) [1] 自然風景地の景域保全に関する研究
[2] 応用植物社会学研究 12、1-22
[3] 日置佳之
[4] 1983
54         全般 景観分類(景観区区分)の基本的手法の検討 地形、土地利用等に関する既往資料の活用 [1] 景観分類の基本的視点
[2] 昭和56年度 国土景観の分類及び評価手法に関する研究報告書
[3] 環境庁委託 ㈱プレック研究所
[4] 1982
55       河川~全般 河川景観の分析(景観構成要素) 実地調査 [1] 多摩川における河川空間の整備に関する基礎的研究
[2] 新体系土木工学 59 土木景観計画、196-200
[3] 篠原修
[4] 1982
56       河川~全般 河川景観の分析(シンボル性、快適性等) アンケート、心理実験 [1] 都市における河川景観計画に関する方法論的研究 ほか
[2] 新体系土木工学 59 土木景観計画、200-211
[3] 中村良夫、北村真一 ほか
[4] 1982
57       河川 河川景観の歴史的変遷、河川景観の構造分析 現地調査、文献調査 [1] 河川景観の変容構造の把握に基づいた河川景観諸特性の考察
[2] 造園雑誌 47(4) 205-221
[3] 久保貞、中瀬勲、杉本正美、阿部大就、上甫木昭春
[4] 1984

 

(その6)

概要
事前にアイマークカメラ装着の複数の被験者に対象領域を歩いてもらい、その平均的な注視点、注視時間を再現したビデオテープを作成(音声情報は一切無し)。以下の実験を行う。
[1]連続評価:ビデオをシークエンス景観として連続して上映し、好ましい、または好ましくない箇所で所定のスイッチを押し、その画像の内容を分析する。
[2]イメージ評価:つぎにSD法を用いてイメージの評価を求める。
上記実験の結果、連続評価とイメージ評価には高い整合性があることが確認された。
5~6人程度の被験者の集団討議により、調査対象地域内に存在するアメニティ資源とその魅力因子を挙げてもらう。
挙げられたアメニティ資源を一対比較により得点化し、合わせてそれぞれの因子の重要度を算出し、代表的なアメニティ資源や重要度の高い因子等の分析を行う。
この評価方法はレクリエーション機能や森林環境等の多様な対象の評価に汎用可能である。
独立峰への眺望を主題とした複数の著名な展望台からの山頂への仰角は、大半が8.7°程度であった。
また、仰角に応じて、以下のような眺望特性が得られた。
<仰角5°以下>添景的要素として眺められるが、独立峰ばランドマークとしての役割を果たす。
<仰角9°近傍>独立峰を眺望するに最適な仰角、スカイラインのみならず山腹にも興味が持たれる。
<仰角20°近傍>山を眺望するというより、むしろ山の中にいる印象を受ける。
俯瞰景の場合、俯角-10°~-30°が眺望上最も重要な領域となる。
俯角-10°以上であれば、視点と視対象との一体性が薄れる。
俯角-30°以下であれば、視点直下をのぞき込むような状況となり、やや恐怖感を伴う。
校歌や地域の愛唱歌、あるいは小中学校等の社会科教材(地域を紹介した副読本等)の中に出現する自然物、建造物等をレビューし、地域内において一般的に親しまれる景観資源、眺望対象として抽出する。
風景形式の分類に関する既往文献及び典型的な自然風景の構図分析により、風景の基本形式を20の模式に分類。
長野県安曇村を事例地として植生、土地利用に着眼した景域区分を行っている。
航空写真を用いて現在と過去の景域変化を分析し、変化しつつある要素(失われつつある要素)を抽出。
また、変化のトレンドを把握することにより、将来的な景域変化の傾向も予測。
地形×土地利用(植生)の組み合わせに着目した景観分類の基本的な手法を紹介。
作業に用いる資料として土地利用区分図、土地条件図、地形図、植生図、各種資源分布図等を活用。
分類の結果を環境保全機能、郷土景観構成、レクリエーションの場等の指標で点数化し、評価を行っている。
河川に関わる土木構造物、あるいは河川敷の土地利用に応じたの景観的、レクリエーション的役割について整理。
複数地点で撮影した河川の写真を地域住民に見せ、撮影地点の正答率を求めることにより、景観のランドマーク性等について分析。
河川に関わる様々な物理指標と河川に対する被験者の印象(快適性、安全性)の相関について心理実験により分析。
河川景観を構成する要素として、堤内の地形及び土地利用、堤外の物理条件、気象条件、利用状況を整理。
古文学に記された風景、あるいは旧版地形図の状況を現在と比較し、河川景観構成要素の変遷を考察。
淀川を対象として、河川沿いのランドマークとなる要素を抽出、類型化し、その特性を分析。
土地利用状況の同質性に基づき、沿川を複数の景観区に区分。
現地調査、文献調査等により、河川の利用形態の歴史的変遷、行動パターン、行動における水辺の関与度を分析。
河川景観の類型化として、上・中・下流の典型的な河川の構造特性を分析

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
58   農業農村空間 アメニティ保全機能の経済的価値を個人旅行費用法(ITCM)を用いて評価 TCM(インタビューによる) [1] インフォーマルなレクリエーション活動が行われる空間としての環境便益評価-横浜市「寺家のふるさと村」を事例として-
[2] 農村計画学会誌13(2) 
[3] 佐藤洋平・増田健  
[4] 1994.9
59   観光農園 観光農園等の保健休養機能の便益に関する経済的評価の実施 TCM(インタビューによる) [1] 観光農園のもつ保健休養機能の経済的評価-トラベルコスト法の適用-
[2] 農村計画学会誌16(2)
[3] 吉田謙太郎・宮本篤実・出村克彦
[4] 1997.9
60       住宅地 遊びの場とその活動内容の把握・分析 ワークショップ(地図の作成、ヒアリング調査、現地調査) [1] 三世代遊び場図鑑-街が僕らの遊び場だ!-
[2] 同上
[3] 子どもの遊びと街研究会編
[4] 1984
61       森林地域~高密度市街地 博物館等のパンフレットや市販のガイドブックを用い、活動の場の分布とタイプ分析 既存データの分析 [1] 昭和59年度首都圏における緑地環境の整備保全計画調査報告書 第4章
[2] 同上
[3] 環境庁自然保護局
[4] 1985.3
62       再開発地区、旧市街地、山村、田園地区 子どもの遊び環境の変化とその問題点を解明、過去のデータとの比較を行う ヒアリング調査、利用観察調査、公園利用実態調査、社会・文化・都市構造変化調査、文献調査 [1] こどものあそび環境の構造的変化に関する研究-横浜・山形における経年比較調査による-
[2] 1993年度第28回日本都市計画学会学
術研究論文集
[3] 仙田満・岡田英紀
[4] 1993
63       冒険遊び場(公園) 冒険遊び場における子供の体験の内容を行動観察に基づき解明 利用観察調査(分布調査、行動追跡調査) [1] 冒険遊び場(羽根木プレイパーク)の行動調査からみた利用実態について
[2] 造園雑誌54(5)
[3] 長山宗美
[4] 1991
64       林試の森、小石川植物園 樹林や地形、地表面等、遊びの空間を構成する自然的要素と具体的な遊びとの関わりについて考察 利用観察調査 [1] 林試の森、小石川植物園における子供の遊びと空間特性との関係に関する研究
[2] 造園雑誌59(5)
[3] 後藤・下村・熊谷・小野
[4] 1996

 

(その7)

概要
<地域>横浜市寺家ふるさと村
<対象>不特定多数
<調査の視点>「寺家ふるさと村」来訪者が費やす旅行費用を環境財としてのレクリエーションエリアに対する支払意志額が反映されているものと仮定。旅行費用に関するデータを用いて「寺家ふるさと村」に対する需要曲線を推定し、消費者余剰を求める。  
<分析方法>アンケートより「旅行費用の計算」「訪問者頻度関数の推定」「個人特性別の訪問頻度関数の推定」のデータを整理。それを用いて「全体および個人特性別」の消費者余剰を算出。 観光保健休養林機能の便益を、訪問1回あたりの消費者余剰に年間延訪問頻度を乗して算出。
<地域>北海道鹿追町
<対象>観光農園来場者
<調査の視点>都市住民が旅行費用をかけて訪れる場所である観光農園は、旅行費用を「代理市場データ」として利用することができ、TCMによる環境評価が可能であることから、TCMを適用して観光農園が持つ保健休養機能の経済的評価を行った。
<分析方法>アンケート結果を「旅行時間の機会費用」「旅行目的」「クラスター分析により調査対象範囲のゾーニング」「交通費の推定」「入園料」「競合地の影響」といった項目で、データ整理。そのデータをもとに、観光農園に対する一般消費者の旅行費用と訪問頻度の最小二乗法により推定。また、訪問頻度関数の推定も行い、観光農園の持つ保健休養機能の便益を推計を行う。
<地域>世田谷区太子堂
<対象>住民三世代(子供・親・祖父母)
<調査の視点>太子堂の街の中を「遊び」を切り口とし、どのような場所がどのような活動で利用されてきたのかを住民参加型調査により明らかにする。
<分析方法>
<地域>首都圏(神奈川・東京・埼玉・茨城・栃木・千葉)
<対象>自然観察会、バードウォッチング等を実施箇所
<調査の視点>今後の首都圏における緑地環境整備のために、触れ合い事例の整理を通して観察地の特徴、自然観察会の形態、鳥類・昆虫類とのふれあい事例の整理を行う。
<分析方法>実施場所を地域タイプ区分及び都県別にヶ所数で整理。各地域タイプ区分を自然環境および社会環境から評価している。事例の整理から、活動と環境要素の関係を整理している。
<地域>横浜(上菅田、桜台)山形(双葉、山辺)
<対象>高学年の児童、幼児を含む小学生以下の子ども
<M調査の視点>「社会・文化・都市構造の変化と子どものあそび環境」、「子どものあそび環境の変化」の構造等を子どもへのヒアリング調査と定点観察により解明する。
<分析方法>インタビュー調査による各項目選択率分析や、観察結果の分析(あそび人数のカウント)、児童公園利用実態調査、及び社会・文化・都市構造変化に関する資料調査を実施し、過去のデータと比較検討した。比較項目例、社会構造・文化構造・計画的あそび場の変化、あそび時間の変化、あそび集団の変化、あそび方法の変化、あそび空間の変化、あそび環境変化
<地域>東京都羽根木プレイパーク
<対象>来園者(小学生~大人まで)
<調査の視点>「冒険遊び場」という場における、子ども達の遊び環境の現状を、1日の時間経過における公園内の「利用分布」を「行動内容」と合わせて考察。
<分析方法>30分ごとに園内を巡回し、滞在者全員の位置を地図上に記録、グループ別の性別、年令、行動内容などの記録をとる。その結果より、累積滞在者数や一時点滞在者累積図を作成。さらに、公園利用のあり方を、利用者分布・行動内容と遊具設置場所との関係から考察する。
<地域>東京都目黒区林試の森、東京都文京区小石川植物園
<対象>公園利用者
<調査の視点>都内で自然が豊かに残されている公園において、四季それぞれの季節に、2公園同時に1時間ごとに園内を踏査した。乳児から小学校高学年までの子供が遊んでいる場所と形態、遊びの形態、グループ構成を観察し、記録した。
<分析方法>採取した遊びの形態を分類し、各空間区分の空間特性とそこで採集された遊びとから、分類された遊びの多様性と空間特性との関係について分析。さらに、自然遊びに関しては、空間特性と遊びの形態の多様性との関係を分析。多様性の分析にあたっては、空間の特性を説明変数とし、遊びの多様性を外的基準として、数量化I類での分析も行った。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
65     海岸林・公園の樹林空間 樹林空間におけるレクリエーション活動と樹林空間のイメージ評価に関する基礎データの取得 利用観察調査写真提示法 [1] 樹林空間の活動と評価に関する研究
[2] 東京大学大学院修士論文
[3] 藤本和弘
[4] 1978
66       自然条件や都市化等の社会条件の異なる3市 子どもの自然遊びに着目した緑地の保全・活用の方向性を検討 アンケート調査 [1] 子どもの自然遊びと緑地に関する研究
[2] 造園雑誌49(5)
[3] 菅間記子・田端貞寿
[4] 1986
67       都市 遊び場の分布と内容、遊び場に対する要望の調査・把握 アンケート調査(地図記入法、設問法) [1] 野田市の自然環境と子供の遊び及び野生生物の生息状況の報告書
[2] 同上
[3] (社)野田青年会議所、(財)日本野生生物研究センター
[4] 1987
68       市街化が進む平野部、山間地、山麓部 遊び場の分布と内容の調査・把握 アンケート調査(地図記入法、設問法) [1] 昭和60年度近畿圏における緑地環境の整備保全計画調査報告書, 第3章、昭和61年度近畿圏における緑地環境の整備保全計画調査報告書, 第2章
[2] 同上
[3] 環境庁自然保護局
[4] 1986.3、1987.3
69       積雪地域 積雪時・非積雪時の遊びに対する満足度を調査、遊び場整備の提案を行う アンケート調査(地図記入法、設問法) [1] 積雪地域における子供の遊び場選好に関する研究
[2] 第28回日本都市計画学会学術研究論文集
[3] 阿部弘明・中出文平
[4] 1993
70       都市 児童の遊びの環境について考察し、望ましい遊び空間の配置やネットワークを検討 アンケート調査、ワークショップ法 [1] 都市における児童の遊び環境に関する研究-札幌の小学校区内でのプレイスペースネットワークについて-
[2] 1993年度第28回日本都市計画学会学術研究論文集
[3] アグスプラボウォ・小林英嗣・瀬戸口剛
[4] 1993
71       地域特性の異なる地域 児童、保護者間での自然体験に関する時代変遷の分析 アンケート調査(設問法) [1] 児童の自然体験の変化と地域特性との関連
[2] ランドスケープ研究58(5)
[3] Kyung-Rock YE
[4] 1995

 

(その8)

概要
<地域>関東地方の海岸林 公園の樹林空間を中心とする平地林
<対象>関東地方の海岸林24ヶ所 公園の樹林空間を中心とする平地林41ヶ所
<調査の視点>樹林空間におけるレクリエーション活動と、樹林の物理的属性、樹林空間のイメージ評価についての関わりを把握する。レクリエーションの活動タイプは[1]散策型、[2]休息型、[3]運動型の3つに分けた。イメージ評価は[1]総合評価の「好き・嫌い」と、[2]林内感評価を行い、見通しの記録を行った。関わりの仮説検証のために、写真を使ったイメージテストを行った。
<分析方法>利用観察調査の結果より、1)活動タイプと物理的属性との関係 2)活動と隣接空間との関係、3)「好き・嫌い」評価と「見通し」タイプとの関係、4)「林内感」と物理的属性との関係、などの4つの仮説を設定し、考察する。
<地域>群馬県沼田市、千葉県松戸市・銚子市
<対象>各市の青年会議所の会員及びその家族(小学校高学年から80歳代の高齢者まで
<調査の視点>住民意識からみた身近な自然を把握した上で、「頻度の高い遊び」と「その遊びを行う場所」「動植物を使った遊び」などについて質問。世代の変遷に応じた子供の自然遊びの変化に都市化や自然条件によりどのような違いが見られるかを調査する。
<分析方法>アンケートの各項目選択率及びその分析結果による評価例えば、遊びの名前を54種類挙げて、体験したことのあるもの別に集計、さらに性別に分けて考察するなど。
<地域>千葉県野田市
<対象>小学5年生
<調査の視点>野田市の子供及び親子の遊びに関する現状、遊び内容、場所等の行動圏域、野田市の身近な自然の現状と住民意識、身近に見かける生物の実態(どこに何が見られるか)とそれに対するイメージ、今後の整備についての要望
<分析方法>アンケートの各項目選択率及びその分析結果による評価
<地域>近畿圏(琵琶湖地域、金剛生駒地域、六甲地域、紀仙郷地域)
<対象>4地域の公立小学校のうち79校の小学校5年生1~3クラスとその保護者
<調査の視点>児童と親子が、どのような場所でどのような遊びをしているのか、また家からの時間距離を把握し、今後整備が求められる緑地環境へのニーズを明らかにする。
<分析方法>児童が行っている遊びの種類、場所のタイプ、家からの時間距離、親子で行っている遊びの種類、場所のタイプ、家からの時間距離を地図の読みとりにより把握。
<地域>新潟県長岡市
<対象>小学3~5年生
<調査の視点>
[1]:積雪による遊び場の違いへの影響、屋内化・近接化への影響
[2]:地区の特徴の違いによる遊び行動の差と積雪による影響 地区による市街化率の違いと遊び場への距離の関係、およびその積雪による影響
[3]:遊び場タイプごとの遊び行動の違いの要因と積雪時における差、遊び場タイプ別に見た、遊び場までの平均距離と屋外遊び場利用の割合の関係、およびその積雪による影響
[4]:積雪時における遊び場に対する満足度 室内遊びが好きな理由、屋外遊びが好きな理由
<分析方法>小学3~5年を対象に、積雪時・非積雪時の2回、同一児童に対して、個人属性・遊び状況・遊びに対する意識調査を行い、遊び場とその内容については地図記入という方法で調査。さらに積雪時・非積雪時の2時点の結果を比較することにより、季節による変化を捉えようと試みた。
<地域>札幌市
<対象>小学2、4、6年生
<調査の視点>[1]:児童の遊びの環境(遊びの時間・相手・内容・場所)児童たちが遊べる時間、普段に遊ぶ相手、季節の違いや積雪時による遊びの内容や遊び場の違いなど、[2]:屋外での児童の遊びの環境、児童の生活圏域として小学校区を想定した上での、児童にとって望ましい空間の配置やネットワークの検討
<分析方法>アンケートの各項目選択率及びその分析結果による評価、ワークショップ時に作成した通学路ネットワーク・マップ及び遊び場マップの分析による評価を行う。
<地域>千葉県習志野市、佐倉市、成東町
<対象>小学5年生及びその保護者
<調査の視点>住いの周辺でよく接触した(する)自然空間、自然のなかでよくした(する)遊び行動、住いの周辺に存在した(する)もの、住いの周辺に存在した(する)自然空間等、過去と現在における児童の自然体験の変化と地域特性との関連の明確化を行う。
<分析方法>自然体験を「接触した自然空間」と「遊び行動」からなる概念によって定義し、「接触空間」及び「遊び行動」の類型化を図った。さらに各々「接触空間」「遊び行動」の類型と地域特性(土地利用・自然環境)との関連を明らかにした。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
72         世代による自然遊びの内容の違いの分析 アンケート調査(設問法) [1] 子どもの自然遊びと緑地に関する研究
[2] 造園雑誌49(5)
[3] 菅麻記子・田畑貞寿
[4] 1986
73       農村 農村における子どもと地域との関わりについて、その具体的状況を把握 アンケート調査(設問法) [1] 農村における子供の遊びと「地域体験学習」に関する調査報告
[2] 農村計画学会誌Vol.15、No.1
[3] 小池聡
[4] 1996.6
74       首都圏近傍の自然地 世代による「自然とのふれあい」の認識、活動内容の違いの分析 アンケート調査(設問法、地図記入法、イメージマップ法) [1] 子供・親子・高齢者の身近な自然とのふれあい活動に関する研究
[2] ランドスケープ研究60(5)
[3] 海津ゆりえ・宮川浩・真板昭夫・上杉哲郎
[4] 1997
75     歴史的にも特徴のある自然景観地 環境緑地のイメージ解析を通して、野外レクリエーション地域形成の基本モデルを提案 ヒアリング(インタビュー)、アンケート調査、イメージマップ法 [1] 都市周辺部における環境緑地のイメージ解析
[2] 造園雑誌52(2)
[3] 安藤昭・五十嵐日出夫・赤谷隆一
[4] 1989
76       居住地・地域空間 異なる風土のもとで育つ子どもの感覚器官の違いを分析 アンケート調査(イメージマップ法) [1] 子どもが表現した身近な環境の音とにおい地図-北海道と水戸市の事例から-
[2] 愛知教育大学自然観察実習園報告No.15
[3] 寺本潔
[4] 1995.1
77       市街化区域 ため池が保有する緑地環境保全機能を周辺環境との関係から把握・分析 アンケート調査(設問法、4段階評価による尺度法で分析) [1] 近隣居住者から見た「ため池」が保有する環境保全機能に関する研究
[2] ランドスケープ研究58(5)
[3] 山本・安部・増田・下村・岡本
[4] 1995

 

(その9)

概要
<地域>
<対象>
<調査の視点>住民にとっての身近な自然を把握した上で、頻度の高い遊びとそれを行う場所、動植物を使った遊びについて、小学校高学年から高齢者までを対象にアンケート調査し、自然条件や都市化の違い、男女、世代による差異を見る。
<分析方法>
<地域>山形県酒田圏域、愛知県豊橋圏域、宮崎県都城圏域
<対象>小学3年生
<調査の視点>子どもと地域との関わりの問題について、遊びと「地域体験学習」という2つの視点からアプローチ。
<分析方法>アンケートの各項目選択率及びその分析結果による評価「遊び空間の変化とその規定要因」や、「地域体験学習に関する親の意識」などをアンケート調査より、抽出する。
<地域>埼玉県下の6市町村
<対象>子供(小学1、4年生)、その親・高齢者
<調査の視点>回答者が日頃、野外で行っている自然とのふれあい活動について、活動の実施状況(内容、場所、季節等)、活動場所に関する要望、地域の自然に対する意識をたずねる。利用している場所は地図に記入してもらい、理想の活動場所についてイラストを描いてもらった。
<分析方法>[1]:自然とのふれあい活動の内容に関する分析、本研究における「自然とのふれあい」の定義づけを行い、それに適合する活動としない活動に分類した。そのうえで活動のタイプ分類、活動タイプの特徴の把握を行った。[2]:自然とのふれあいの場に関する分析、場のタイプ分類、ふれあい活動の場と活動タイプの関係の把握を行った。
<地域>岩手県盛岡市、北山緑地一帯約590ha(高松風致地区、外山岸地区、愛山地区)
<対象>市街化区域内に居住する満18才以上の住民
<調査の視点>環境緑地のイメージを下記2点より追求することで、レクリエーションの場としての環境緑地の基本モデルを提案。1)環境緑地内の諸要素を人間(集団)がどのように認知しているかを見つけだし、2)それに基づき環境緑地を再構成する。
<分析方法>調査対象地周辺をメッシュ分割し、ランダムに選んだメッシュ内に居住する18歳以上の住民からランダムに選んだ対象者に対し、訪問調査を行った。調査対象緑地の範囲を地図で予め示しておき、緑地の空間的イメージの保有量を口述とマップで再生してもらう。再生の順序と正確さから、被験者が緑地に抱くイメージを把握する。
<地域>北海道斜里郡清水町、網走市、茨城県水戸市
<対象>清水町地区小学6年生、網走市小学5年生、茨城大学付属小学校2、5年生
<調査の視点>「手描き地図」という方法は、子どもの内的表象のあり方が比較的、環境との関連でつかみやすいというメリットがある。地図の中に、子どもが感じる音やにおいのする場所についての記入を求めることを通して、サウンドスケープの教育的意義を考察する。
<分析方法>サウンドスケープ(音景観)を得るために、児童が描いた地図の中から、音に関わる記入のみを取りだし、それらを三つの種類別に分ける。児童が育った社会・生活環境を考慮しながら、音として表現された絵と、においとの表現を、それぞれ「基調音」「信号音」「標識音」という構成要素で区分する。
<地域>大阪府堺市
<対象>ため池と接することの多いと考えられる主婦
<調査の視点>ため池が持つ、微気象を調整する機能、自然らしさを生み出す機能、景観を形成する機能、利用空間としての機能を採り上げ、ため池の存在形態やため池から居住者までの距離とため池が保有する環境保全機能の評価との相互関係を明らかにする。ため池から500m圏内住民へのアンケート調査による。
<分析方法>500m圏内が市街化区域であるため池40池を抽出し、ため池から500m圏内に居住し、身近にため池と接する機会が多いと考えられる主婦を対象にアンケートを実施。アンケートは接触頻度、満足感、環境保全機能に関わる設問、要望等を「非常に感じる~感じない」までの4段階尺度により評価、土地データと組み合わせて解析。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
78       開発・保全地域が不明確なエリア 広域的なエリアを対象とした触れ合い活動の場としてのポテンシャル評価 既存データ(第4回自然環境保全基礎調査「身近な生きもの調査」)を活用した分析 [1] 自然特性に着目した開発保全計画手法調査報告書.第1章
[2] 同上
[3] 環境庁自然保護局
[4] 1993.3
79       山岳~丘陵地 居住地周辺の自然環境の状況に応じた野外活動施設の整備要望の傾向把握 アンケート調査(設問法、地図記入法) [1] 東京圏北西部グリーンフロント地域整備計画調査報告書. 5章
[2] 同上
[3] 環境庁自然保護局
[4] 1995.3
80       里山 エコパークの計画地(敷地)スケールでのポテンシャル評価を行うための生物種群にとっての主体的環境構造の調査・分析 野外調査 [1] 鳥類および昆虫・良性爬虫類による生態環境構造の把握 解析手法開発のためのケーススタディ
[2] 生態計画研究所年報 No.3
[3] 有田一郎・小河原孝生
[4] 1995
81     樹林地 樹林地の保全・活用に向けた基礎条件の分析 ヒアリング調査(インタビュー) [1] 都市における樹林地の保全・活用に向けた価値評価に関する研究
[2] ランドスケープ研究61(5)
[3] 竹末就一・杉本正美・包清博之
[4] 1998
82         自然観察会の対象地 自然観察行動が行われる地域の自然環境の構造解明と緑地の保全計画に対する指針の策定 アンケート調査(設問法、地図記入法) [1] 神奈川県における自然観察行動とその環境
[2] 造園雑誌
[3] 葉山嘉一・勝野武彦・福富久夫
[4] 1987
83         森林地域~高密度市街地 タイプごとの動植物生息可能性分析と触れ合い資源価値を有する動植物の抽出   [1] 昭和58年度首都圏における緑地環境の整備保全計画調査報告書, 第4章
[2] 同上
[3] 環境庁自然保護局
[4] 1984.3
84         自然公園 利用者の体験の分類による行動形態や利用インパクトに対する管理の考え方の差異の分析 アンケート調査(設問法) [1] 野外レクリエーション体験への期待と、行動形態、管理への考え方、許容限界との関連性
[2]  
[3]  
[4]  

 

(その10)

概要
<地域>首都圏(1都6県)
<対象>
<調査の視点>「ふれあい可能性」という観点から、首都圏の自然環境の分析・評価を行う。指標として、第4回自然環境保全基礎調査「身近な生きもの調査」による報告データを活用し、水辺型・里地型生き物の観察が見られた場所を抽出する。
<分析方法>[1]:ふれあい機会性:当該メッシュについて何らかの生き物を報告した「報告者数」[2]:多様性:当該メッシュで報告された生き物の種類数[3]:固有性:特性の生きものの種類に関しての報告の有無、里山型(カタクリ、ニリンソウ)、水辺型(ホタル、サワガニ)[4]:特定種の報告の有無×同報告者数、そのまとまり以上からa~fの6つのタイプを抽出、植生自然度と森林率との関係を分析。
<地域>県立比企丘陵自然公園、県立奥武蔵自然公園
<対象>県立自然公園区域内外に位置する小学校5年生の1学級の児童及びその保護者
<調査の視点>地域における今後の自然公園の役割、整備のあり方を検討するための基礎資料を得る。1)自然公園及び周辺地域にすむ親子の遊びと遊び場所及び整備に対する要望 2)学校の野外活動とその場所及び場所の選択理由
<分析方法>単純集計、クロス集計。
<地域>兵庫県南部の里山
<対象>鳥類、大型昆虫類、両生・は虫類
<調査の視点>複数のハビタットを利用している生物種群を抽出し、その複数のハビタットの共通性を解釈することによって、環境傾度の意味、すなわち、それらの生物種群にとっての主体的環境構造を明らかにしようとした。
<分析方法>観察対象物のメッシュの記録-非記録マトリックスを数量化III類によって、カテゴリーとサンプルの順列づけを行い、各スコア行列を算出。さらにクラスター分析によって、メッシュクラスターを識別する。
<地域>福岡県 樋井川・那珂川に挟まれるエリア
<対象>残存緑地 5ヶ所
<調査の視点>樹林地の保全・活用の前提となる、樹林値の価値を明確にするたの相対的な価値評価の検討を行う。地域住民の樹林地に対する認知と認知領域、その特性、周辺環境との関わりについて検討を行った。
<分析方法>インタビューでは、樹林地の認知状況、樹林地の印象、居住者の周辺環境の構成、自然要素の認識に関する設問を設けた。調査結果より、樹林地の価値に結びつく「人間の反応や環境の構成要素」及び「その構成の関係」について把握。その結果より、樹林地の構成要素の評価項目12個を抽出。さらに価値評価に関わる基礎条件を抽出し、保全・活用に向けて必要事項を考察。
<地域>神奈川県において実施される自然観察会の対象地
<対象>自然保護団体
<調査の視点>神奈川県下の自然保護団体にアンケートを行い、[1]自然観察を行う場所と土地利用との関係、[2]観察距離と土地利用特性の関係、[3]観察対象と土地利用特性の関係について1/25000地図上で明らかにする。
<分析方法>調査結果を集計し、土地利用の模式的区分や観察路の距離と土地利用のありかた、また観察対象と土地利用など、各アンケート項目を関連づけて考察する。
<地域>首都圏(神奈川・東京・埼玉・茨城・栃木・千葉)
<対象>
<調査の視点>上記の地域タイプ区分ごとに、どのような自然(1.緑とのふれあい、2.哺乳類との出合い、3.鳥類との出合い、4.昆虫類との出合い)が可能かを整理。
<分析方法>
<地域>大雪山周辺
<対象>大雪山国利区公園登山者
<調査の視点>利用者が多い地点と利用者が少ない地点を選び、ランダムに選んだ登山者にアンケートを配布し、後日郵送を依頼した。
<分析方法>利用体験に期待した内容をもとに利用者を分類し、行動形態や利用に伴うインパクトに対処する管理への考え方、他の利用者との出会いに関する許容限界に関する違いを検討した。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
85       非日常的な自然風景地 既存のデータベースを活用した空間特性の定量的把握 モデル調査(専門家による現地実験データを用い、コンピュータ解析により定量的に予測) [1] 既存データベースの活用による自然風景地の空間特性の定量的把握について
[2] 造園雑誌Vol50、 No.4、268-279
[3] 下村彰男・前田豪・村田知厚
[4] 1987
86         レクリエーション草地 同上 空中写真撮影、踏みつけ回数-最大滞在者密度モデルの作成と活用、植生調査 [1] レクリエーション草地の生態的収容力に関する研究
[2] 造園雑誌54(1)
[3] 前中久行
[4] 1990
87         連続する市街地 広範囲に連続する市街地内におけるスズメの個体数変化の把握 野外調査、蛇行進法 [1] 市街地内の住宅地におけるスズメ個体数の季節的変化
[2] 生態計画研究所年報 No.3
[3] 有田一郎
[4] 1995
88         国営森林公園内の鳥類観察小屋 観察施設への立ち寄り率の調査・分析 歩行者観察調査、モニタリング [1] 道傍の観察広場への利用者の立ち寄り 国営武蔵丘陵森林公園「鳥・出会いの広場」での測定
[2] 生態計画研究所年報 No.6
[3] 小野三津子・有田一郎
[4] 1998
89       湾沿岸地域 レクリエーションの場の利用程度に応じた費用支払い意志額に基づく環境維持・改善がもたらす経済的価値の評価 TCM、CVM(アンケート調査による) [1] 大阪湾沿岸域水環境の経済的価値評価の試み
[2] 土木学会論文集No.518/IV-28、 107-119
[3] 盛岡通・梁鎮宇・城戸由能
[4] 1995
90     住環境周辺 地域住民が認識する地域景観を構成する要素の抽出 住民参加による歩こう会と地図作り、スライドを用いた座談会、子どもの絵画と作文の分析 [1] 児童の風景描写からみた農村景観への意識化に関する基礎的研究
[2] 造園雑誌56(5)
[3] 木下勇・中村攻
[4] 1993
91         自然公園 「重力モデル」を用いた検討による自然公園を着地としたOD(地域間流動)の解明 OD調査 [1] 自然公園の利用と保護について
[2] 東京大学農学部林学科卒業論文
[3] 笹岡達男
[4] 1976

 

(その11)

概要
<地域>只見川、飛騨川、黒部川各流域
<対象>
<調査の視点>非日常的風景体験の場としての特性に観点を絞り、現地での印象調査の結果とデータベースを活用して算出した指標群との対応関係を検討し、最適な指標を選出した。
<分析方法>文献分析により、空間特性の「把握項目」を検討する。次いで「把握項目」を表すと考えられる最適「指標」の検討を行う。算出した現地調査地点の各「指標」値と現地での空間特性の聞き取り調査(現地印象調査)の結果を比較し、最も相関が高いものを最適「指標」として選出した。被験者を現地に連れていき、周辺500mの範囲を意識してもらい、その空間の「力量性」「多様性」「自然性」各項目に関する印象の大きさを9段階で評価してもらった。そして1点から5点までの評点化を行い、印象値を求めた。その後、全国的に約1km平方のメッシュ情報として整備されている既存の環境情報データベースを活用し、指標を用いた定量的把握を検討。
<地域>奈良若草山、淀川河川公園
<対象>公園利用者
<調査の視点>ピクニックや休息などの静的なレクリエーションが行われている草地で、利用実態と植生状況との関連性を明らかにし、その結果に基づいて生態的収容力を算定する。利用実態についてはケーススタディ地域での年最大滞在者密度を、[1]空中写真を撮ることによる把握、[2]踏みつけ回数と芝生植被率との関係を把握しておき、実際の草地の植被率分布から最大滞在者密度分布の不均等性を間接的に推定する手法を用いた。
<分析方法>生態的収容力を滞在者数や平均滞在時間、日総利用者数を関連づけて分析。
<地域>京都市左京区
<対象>スズメ
<調査の視点>地区センサスを準用し、調査地域内の道路を蛇行進する形で一定のコースを設定。
<分析方法>個体数の増加・減少傾向の有無は、順位相関係数を利用した傾向検定を用いた。傾向変動曲線として、多項式傾向線を用いた。AIC統計量を用いて出てきたトレンドを使って、時系列変動から傾向変動を除去し、時系列を定常化した。
<地域>埼玉県比企郡滑川町 国営武蔵丘陵森林公園 「鳥・出会いの広場」
<対象>観察小屋横歩行者
<調査の視点>園路を通行する歩行者と広場の利用状況を調査員によって記録。記録項目としては、園路歩行者について、時間帯別の通行人数や通行の方向、話題通過などを調査する。
<分析方法>
<地域>大阪湾沿岸域
<対象>大阪湾沿岸域住民
<調査の視点>「利用」、「非利用」による便益差を考慮した上で、沿岸域住民の海洋性レクリエーション活動を通じた水環境管理がもたらす、総経済的価値の評価をTCMとCVMを用いて試みる。
<分析方法>海岸線から80kmまでを海洋性レクリエーション活動の圏域と捉え、その中のレクリエーション地についてはTCMとCVMを、沿岸域全体についてはCVMを適用してアンケートを設計し、配布した。回答結果を、「利用」「非利用」による便益を、4つの価値「オプション的価値」「遺贈価値」「代位価値」「存在価値」について、それぞれ評価する。
<地域>新潟県小国町
<対象>地域住民
<調査の視点>とくに有名な景観資源をもたない農村地域で、どのように地域の景観形成へ、住民の意識化と参加を促すかという方法論を探ることを目的とした研究。とくに児童の作文と絵画の分析を通じて、景観の捉え方として季節や自然現象、歴史・伝統、行事・遊びなど、思い出が審美的態度に関わる要素について考察する。
<分析方法>「私の好きな風景」というテーマで、児童の絵画や作文を募集。応募作品が何を対象に描いているかを分析。景観の捉え方の特性をあげる。
<地域>国立公園(27ヶ所)、国定公園(49ヶ所)、都道府県立自然公園(75ヶ所、89ヶ所、285ヶ所)
<対象>
<調査の視点>公園計画の中に利用圧を反映させるために、国立公園・国定公園・都道府県立自然公園の中に着地(Destination)となる拠点を選び、発地(Origin)は、需要発生の集中するところとして、集中人口5万人以上の都市(182ヶ所)を設定した。地図上で、発着地の全国座標を求めることにより、Dijを求めた。
<分析方法>重力モデルの一般式を用いて、流動量を算出し、OD表を作成する。

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
92         都市 居住地付近の条件の違いに応じた望ましい「身近な自然」に対する意識の分析 アンケート調査(設問法) [1] 世代間の自然要素に対する意識と遊びについて
[2] 造園雑誌48(5)
[3] 山田善之・田畑貞寿
[4] 1985
93           利用空間の選択状況と過去に経験したの自然体験活動内容との相関の分析 アンケート調査(設問法) [1] Past Experience and Behavioral
Choice Among Wilderness Users
[2] Journal of Leisure Research, Vol30, No.2,pp195-213
[3] Bonita L.MacFarlane, Peter
[4] C.Boxall1998
94         国立公園 利用者が利用体験を重視する程度と利用インパクトに対する所感との関係の分析 アンケート調査(設問法) [1] 利用者の利用体験に対する態度に基づく自然公園の管理方策
[2] ランドスケープ研究60(5)
[3] 小林昭裕
[4] 1997
95     自然風景を対象とした写真 記憶に残る自然風景を把握し、心象的な自然風景を解明 アンケート調査(設問法) [1] 思い出に残る自然風景に関する研究
[2] ランドスケープ研究61(5)
[3] 古谷勝則
[4] 1998
96         都市公園 高齢者を配慮した公園計画、整備のための基礎資料調査 アンケート調査(設問法)既存データ活用(地図分析) [1] 高齢者の公園利用と来園距離との関係に関する研究
[2] ランドスケープ研究60(5)
[3] 朴永吉・田代順孝・木下剛
[4] 1998
97         水辺 三世代を対象としたアンケート調査による水辺とのふれあいの時代的変遷の考証 アンケート調査(設問法、地図記入法、イメージマップ法) [1] 水辺の遊びにみる生物相の時代変遷と意識変化-住民参加による三世代調査報告書-
[2] 琵琶湖博物館研究調査報告第9号、琵琶湖博物館
[3] 遊磨正秀・嘉田由紀子・藤岡康弘
[4] 1997.3
98         学校隣接公園 学校公園の地域教育の場としての可能性を提示し、地域コミュニティにおける小学校のあり方を考察 ヒアリング調査 [1] 名古屋市における学校公園の地域住民による利用に関する研究
[2]  
[3]  
[4]  
99     農村(歴史的景観含む) 農村景観における季節性を表す要素の分析 写真分析法 [1] 写真コンクールにみる農村景観の季節性認識
[2] ランドスケープ研究61(5)
[3] 奥敬一・深町加津枝・下村彰男
[4] 1998

 

(その12)

概要
<地域>群馬県沼田市、千葉県松戸市・銚子市
<対象>各市の青年会議所の会員及びその家族
<調査の視点>[1]:世代ごとの自然要素と市民の関わりの把握、[2]:動植物等の自然要素の知見の有無、自然要素を活用した遊び、[3]:どのようなみどりを好むか、どのような遊び場を望むか、等をアンケートにより把握。
<分析方法>アンケートの各項目選択率及びその分析結果による評価。自然に対する知見では、それぞれの種類を知見していると回答した人が有効回答者数に占める割合を算出し、知見度として表現してこれらを比較検討した。また自然要素を活用した遊びでは、記述された遊びを自然要素との関わりの度合いから6タイプに分類し、各種類ごとにタイプ別の遊びを集計する。
<地域>マニトバ州(カナダ)
<対象>
<調査の視点>過去にマニトバ州(カナダ)の公園を訪れ、自然体験をした来訪者にアンケート表を送り、利用するサイトと過去の自然体験、個人の社会的条件などとの関係を明らかにすることを目的として行った。
<分析方法>
<地域>大雪山国立公園(大雪山を中心とした区域1、トムラウシ山~五色ヶ原を中心とした区域2)
<対象>大雪山国立公園の登山者
<調査の視点>利用者が自然公園内で期待する体験の重視度と、インパクトに対処する管理方策への支持、インパクトに対する不快感との関係を検討する。
<分析方法>対象区域を分類変数として、アンケート回答内容を各項目で分散分析を行う。区域事に、利用体験の重視度と利用体験に伴うインパクトに対する管理方策への指示との関係について、X2検定。データの解析には、統計パッケージSAS Ver.6を使用。
<地域>全国
<対象>国立公園国定公園写真コンクール 応募者
<調査の視点>国立公園の写真コンクール応募者を対象に、思い出に残った自然風景、感動した風景、好きな風景などをアンケートでたずね、体験年齢、視点場と視対象、体験した状況などを整理した。
<分析方法>思い出に残った風景の体験年令、自然風景を体験した場所を「視点場」、眺めている対象を「視対象」と呼び、各設問の回答記述を類似性から分類、また体験した状況を整理することにより、特徴の分析を行った。
<地域>戸山公園、荒川自然公園、飛鳥山公園
<対象>都市在住の60才以上の高齢者
<調査の視点>高齢者率が高い都区内の都市公園を対象に、高齢者による公園利用の実態を把握し、利用特性と来園距離、誘致圏域の関係について分析。利用特性についてはアンケートを、来園距離等については居住地と公園間距離を地形図より割り出した。
<分析方法>公園の誘致圏域を決定する来園距離と、公園利用の目的、理由、交通手段とどのような関連性が存在しているかを明らかにするために、来園目的、理由、交通手段別誘致圏域を求めて、それぞれの因子ごとに分析を行った。
<地域>滋賀県琵琶湖
<対象>琵琶湖周辺に居住する三世代の住民
<調査の視点>ここ30~40年の間に琵琶湖、河川、水路、ため池、水田等の水辺と人々の関わり方は著しく変化してきたが、文字による変化の記録はない。湖を中心に人々の暮らしがどのように変わってきたかを住民参加型調査により把握する。
<分析方法>単純集計、クロス集計、回答の一覧等、設問に応じて多様な分析。自由回答をアフター・コーディングし、100人当たりの回答率でグラフ化。
<地域>名古屋市内小学校 8ヶ所
<対象>各小学校の校長、教頭 
<調査の視点>校庭が学校公園に指定されている名古屋市内の小学校の校長及び教頭にヒアリング調査を行い、地域住民による利用、授業での利用、子供たちの利用の実態について博した。
<分析方法>学校公園の歴史的経緯を戦後以来の中で位置づけることで、その意味や役割を確認し、その上で、小学校へのヒアリングによって学校公園の現状、周辺環境と学校公園との関係や空間特性、施設配置、公園の管理問題などを把握する。さらに学校と地域住民との企画事例を考察し、学校公園活用化に向けての利点抽出を行う。
<地域>栃木県那須町芦野地区
<対象>芦野の里写真コンクール応募作品
<調査の視点>農村地域で行われている写真コンクールを分析対象に、人々がとらえた季節感やその表現形態(季節性要素、出現頻度、スケール、焦点性など)を通して、農村景観における季節性認識について考察する。
<分析方法>

 

関連分野・適用要素 空間タイプ 調査目的 調査方法等 資料の出典等
景観 触れ合い [1]:研究等のタイトル、[2]:出典、[3]:著者、[4]:発行年
眺望 囲繞 環境 活動 価値
100     観光リゾート地 日本人が持つ近代リゾートイメージの変遷について考察 文献調査 [1] 軽井沢におけるリゾートイメージの変遷
[2] 東京大学大学院修士論文
[3] 緒川弘孝
[4]  
101     都市近郊林 都市近郊林における史的事項に対応した実際の景観とイメージ、評価の変遷を解析 文献調査法 [1] 武蔵野の景観変遷とそのイメージ・評価の変化
[2] 東京大学農学部林学科卒業論文
[3] 山根ますみ
[4] 1989
102         自然観察地 自然観察において人が動植物を認識する構造を考察 イメージマップ法 [1] 自然観察における動植物の認識構造に関する考察
[2] ランドスケープ研究59(5)
[3] 海津ゆりえ・石光希代子・下村彰男
[4] 1996
103       梅園・中山間地域 農業がもつ環境保全機能や経済効果を経済的に評価し、市場メカニズムによる維持・推進を図るための調査・研究 CVM(量反応方式、価格反応方式)TCM [1] 農業の外部経済効果の計測におけるコンティンジェント評価法の妥当性-コンティンジェント評価法と旅行評価法によるレクリエーション便益の比較-
[2] 農林業問題研究120
[3] 藤本高志
[4] 1995.9
104       歴史的・美的景観をもつ農村地域 歴史的景観維持のための農地保全政策について、事例を用いて考察 TCM、CVM(アンケート調査による) [1] 歴史的景観維持のための農地保全政策の便益と費用の評価-明日香村におけるケーススタディ-
[2] 農村計画学会誌Vol.17, No.1
[3] 藤本高志
[4] 1998
105     自然公園 自然景観地の眺望景観の認識・評価体系の解明   [1] 自然景観における評価と調査に関する研究
[2] ランドスケープ研究61(1)
[3] 古谷勝則
[4] 1997

 

(その13)

概要
<地域>長野県軽井沢
<対象>軽井沢を舞台とする作品群の中から、観光、リゾートに関係する102作品。
<調査の視点>明治時代以降に軽井沢を舞台に書かれた文学作品を通して、近代における日本人のリゾート・イメージの変遷を考察。自然、文物、人間や来軽の目的などを分析した。
<分析方法>作品から、自然・文物・人間に関する描写、及び軽井沢来訪の目的を抽出し、軽井沢の社会状況や空間形態の変遷を考慮しつつ、イメージの変遷を検討した。
<地域>東京都武蔵野
<対象>古代から現在までに至り、武蔵野の描写が含まれている作品
<調査の視点>史的事項、古代・中世~江戸初期から、明治後半、大正、昭和、といった時代において、武蔵野のイメージ・評価を追っていく。
<分析方法>古代から現在までに地理学・民俗学・郷土史等の文献・史料、小説・随筆・和歌等の文学、絵画、写真などをもとに、武蔵野の当時の実際の景観とイメージ・評価がどのように変化したかを解析する。
<地域>全国
<対象>全国の小・中・高校生の応募作品
<調査の視点>小学生から高校生までの子どもが描いた「自然観察路」の分析を行う。どのような動植物が観察対象となっているのか、動植物がどのような観点で抽出されたかを全168作品の解説文から、観察した動植物を形容する言葉を抜き出し、特徴を分類。その結果、動植物の認識構造として「物理的特徴」「親和性」「情報性」「出現性」の4つを抽出。この構成要素のうち、「物理的特徴」「親和性」の2つに注目し、動植物の認識構造を調査。
<分析方法>認識構造の構成要素に対応した動植物側の指標を設定し、観察種類が多かった鳥・虫・植物について、刺激の強さに基づく3段階評価を行う。そして、年齢別に、指標ごとに各段階に属する動植物の被認識度を求め、さらにそれぞれの指標に対する選好度を求めた。
<地域>奈良県西吉野村北曽木
<対象>旅行者
<調査の視点>梅の果実生産のみを目的とする梅園がもたらすレクリエーション的外部経済効果(梅園の鑑賞目的に訪れる人々)をCVMを用いて計測する。得た結果をTCMの計測結果と比較する。
<分析方法>アンケート調査によって得た回答を、CVMの量反応方式(環境財の供給水準の量的変化に対する価値を問う方式;梅園を存続させるために1回○○円の入園料を負担してもいいか)、および価格反応方式(環境財の価格変化に対する需要量の変化を問う方式;入園料金が○○円*なら入園するか(*選択式))を計測し、比較。
<地域>奈良県明日香村
<対象>明日香村
<調査の視点>政策の便益を評価するには、政策が適用されない時「どのような農地」「どれだけの面積」が「どのように変化するか」という情報が必要であるという視点にたち、明日香村の水田について3つのシナリオを設定し、アンケートを実施。
<分析方法>明日香村の農地保全政策(農地転用を防ぐ政策)がもたらす便益を経済評価する。来訪者を対象に、以下のアンケートを実施。1)TCM:現況の変化に伴う来訪意志の変化がもたらすTCM[1]現況と、[2]水田の半分が荒廃、[3]転用、[4]整備それぞれの予想写真を提示し、それぞれの状態での明日香村の魅力、明日香村来訪者数の増減の予想、回答者の再訪意志を尋ねる。2)CVM:現在の景観を維持するために、水田を現状のまま保全する基金/制度ができたとして1回の訪問あたりいくら負担する意志(WTP:Willingness to Pay)があるか。
<地域>
<対象>
<調査の視点>人間によって、自然景観地の眺望景観がどのように評価されているかを明らかにすること。人為的改変行為である工作物の建設に伴う自然景観の変化がどのように人間に感じられるか、その特性の一部を明らかにすること。
<分析方法>人間と自然景観の関係を、下記の実験心理学的な調査分析手法を用いて把握、解析を試みている。レパートリー・グリッド発展法、評定尺度法、品等法、一対比較法、マグニチュード法、SD法、眼球運動記録法など。

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