大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(I)<スコーピングの進め方>(平成12年8月)

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第6章 今後の検討課題

今後の検討課題

 今年度の本検討会では、環境影響評価法において新たに加わったスコーピングに着目し、その効果的な運用を支援するため、さまざまな検討を進め、本報告書の各章で整理してきた。
 また、「スコーピングの進め方」を解説することにより、スコーピングに限らず、調査・予測・評価をどのように行うべきかについても幅広く言及することができたと考えている。
 しかし、幅広く解説した分だけ、重点的に説明すべきことが均一化され、調査・予測・評価の進め方について具体性に富む説明ができなかった部分があることも否めない。特に、環境アセスメントの実績が少ない環境負荷分野、水循環に視点をおいた水環境分野、土壌機能に着目した土壌環境分野等の調査・予測・評価手法については、今後、事例を積み重ねるとともに、さらに掘り下げて研究すべきテーマとなっている。また、これまでの環境影響評価における予測値と事後調査結果の関係を統計的に調査し、予測手法の向上のための検討にフィードバックすることも必要であると考えられる。なお、今年度の検討対象としていなかった環境保全措置や事後調査等については、次年度以降本格的な検討を行う必要がある。今後は、これらの課題について、より具体的な考え方や技術手法を提示できるように検討を進め、随時公表していきたい。
 さらに、今回行った技術レビューなどを踏まえた検討により、次に掲げるような環境保全施策全体にかかわる課題についても指摘がなされた。

大気質におけるディーゼル粉じん(DEP)の調査方法と基準の作成
白煙現象の調査・研究
騒音における指標量の統一化と基準等の再構成
騒音における複合影響に関する調査・研究
複雑地形や緩衝建築物における振動伝搬特性の調査・研究
家屋内における振動の調査・研究
低周波音に関する基礎研究(測定法、感覚閾値等)
水循環への影響に関する調査・研究
土壌機能への影響に関する調査・研究
ライフサイクルアセスメントを応用した環境負荷に関する調査・研究
廃棄物等に関するアセス手法の調査・研究
地球環境等に関するアセス手法の調査・研究
アセス技術のデータベース化とその評価

 これらの課題について調査・研究が進むことにより、環境アセスメント技術も進歩していくことになるため、各学会、研究者等との連携が必要である。
 なお、最近提出されている方法書を見る限り、多くの者から意見を引き出して早い段階から環境配慮の検討に活かすために、わかりやすく、事業者の姿勢・考え方を具体的に示した方法書は少ない。事業特性、地域特性に応じて個々別々に創意工夫のなされた環境影響評価が行われる必要があり、そのためにも本報告書が活用されることを期待したい。