大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(I)<スコーピングの進め方>(平成12年8月)

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第1章 環境影響評価法の概要

1 環境影響評価とは

 環境影響評価(いわゆる環境アセスメント)とは、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施にあたりあらかじめその事業による環境への影響について自ら適正に調査、予測または評価を行い、その結果に基づいて環境保全措置を検討することなどにより、その事業計画を環境保全上より望ましいものとしていく仕組みである。

 

2 環境影響評価制度の経緯

 1969年(昭和44年)に米国で、アメリカ合衆国国家環境政策法(NEPA:National Environment Policy Act)として制度化されて以来、世界各国で環境影響評価の制度化が進展した。現在ではOECD加盟29ヶ国全てが環境影響評価の手続を規定する法制度をもっている。
 我が国においては、昭和47年6月に「各種公共事業に係る環境保全対策について」の閣議了解を行い、国の行政機関はその所掌する公共事業について、事業実施主体に対して「あらかじめ、必要に応じ、その環境に及ぼす影響の内容及び程度、環境破壊の防止策、代替案の比較検討等を含む調査検討」を行わせ、その結果に基づいて「所要の措置」をとるよう指導することとし、これにより本格的な環境影響評価に関する取り組みが始まった。
 その後、港湾法や公有水面埋立法の改正(昭和48年)等により、港湾計画の策定や公有水面埋立の免許等に際し、環境に与える影響について事前に評価することとなった。また、瀬戸内海環境保全臨時措置法(同48年制定、同53年に瀬戸内海環境保全特別措置法と改正)にも環境影響評価に関する規定が設けられた。さらに、自然環境保全法に基づき自然環境保全基本方針(同48年)が定められ、この中でも環境影響評価に関する方針が示された。また、発電所立地(同52年、通商産業省省議決定)、整備五新幹線(同54年、運輸省通達)等、行政指導等の形でも環境影響評価が行われることとなった。
 一方、地方公共団体においても、条例については川崎市(同51年)、要綱については福岡県(同48年)を始めとして環境影響評価の制度化が進められた。
 こうした中で、昭和40年代以降に計画が具体化した苫小牧東部、むつ小川原等の大規模工業開発を中心とする地域開発計画については、その実施が環境に重大な支障を及ぼさないよう環境影響評価が実施されてきた。
 また、大規模な国家プロジェクトに関しては環境影響評価を実施すべきとする観点から、閣議で決定された本州四国連絡橋児島・坂出ルート建設事業について環境影響評価が実施された。
 このように、個別法、事業官庁による行政指導等の形で具体的な環境影響評価事例が積み重ねられる中で、統一的な手続による環境影響評価の適切かつ円滑な実施が重要な政策課題となってきた。このため、環境庁においては、昭和54年に出された「速やかに環境影響評価の法制度化を図られたい」旨の中央公害対策審議会の答申を踏まえ、環境影響評価の法制化を図るための調整を進めた。調整は難航したものの、政府・与党の調整の結果、昭和56年4月に環境影響評価法案が国会に提出された。
 しかし、この法案については、衆議院環境委員会で審議が行われたものの採決には至らず、その後継続審査を繰り返した後、昭和58年11月の衆議院の解散に伴い、審議未了・廃案となった。法案の国会再提出も見送られたため、当面の事態に対応するため行政ベースで実効ある措置を早急に講ずるべく、昭和59年8月に「環境影響評価の実施について」の閣議決定を行い、政府として法案の要綱を基本とした統一的なルールに基づく環境影響評価を実施することとなった。
 その後、環境影響評価は、この閣議決定された「環境影響評価実施要綱」、公有水面埋立法等の個別法や個別行政指導、地方公共団体の条例や要綱等に基づき着実に実施され、社会に定着してきた。特に、閣議決定された「環境影響評価実施要綱」による環境影響評価(閣議決定アセス)は、制度が開始されてから合計456件の事業について実施されたところである。その一方で、法律に基づかない行政指導による環境影響評価制度について、制度的な限界も指摘されてきた。
 平成4年にリオデジャネイロで開催された「国連環境開発会議」では、地球環境問題の顕在化に伴い、いかにして持続可能な開発を実現するかという大きな課題が認識されるようになり、これを受けて我が国では平成5年に環境基本法が制定され、この中で初めて国全体の施策として環境影響評価が法律上位置づけられた。

(環境影響評価の推進)
 第20条 国は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境基本法)

 この環境基本法の国会審議の過程で法制化も含め環境影響評価制度の所要の見直しを検討する旨、宮沢総理大臣が答弁し、これを受け関係省庁の参加のもとに環境庁に「環境影響評価制度総合研究会」を設け、環境影響評価制度を巡る諸課題ごとに横断的、総合的に分析する作業を実施した。平成8年6月にはこの研究会の報告がとりまとめられ、更に中央環境審議会の答申を平成9年2月に得て、同年3月に環境影響評価法案の政府案の閣議決定を行い、国会に法案が提出された。この法案は、同年5月6日に衆議院、同年6月9日に参議院で全会一致をもって可決成立し、同年6月13日に公布された。

表1-1 我が国における環境影響評価制度の経緯

S 47. 6. 6 公共事業における環境影響評価の実施を閣議了解 「各種公共事業等に係る環境保全対策について」閣議了解
7.24 四日市公害訴訟判決 開発事業者に環境影響評価を行う注意義務があることを指摘
47~48 個別法改正等による環境影響評価の導入 港湾法・公有水面埋立法、瀬戸内海環境保全臨時措置法の制定等
49. 7. 1 環境庁組織令の改正 環境庁の所掌事務に環境影響評価を明記
50.12.23 中央公害対策審議会へ諮問 環境庁長官から「環境影響評価制度のあり方について」諮問
51. 9 大規模工業開発に係る環境影響評価の実施の指針作成 環境庁「むつ小川原総合開発計画第二次基本計画に係る環境影響評価の実施についての指針」提示
10 初の環境影響評価条例の制定 「川崎市環境影響評価に関する条例」制定
52. 7. 4 通商産業省省議決定 通産省「発電所の立地に関する環境影響調査及び環境審査の強化について」通達
53. 7. 1 建設事務次官通達 建設省「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」通達
54. 1.23 運輸大臣通達 運輸省「整備5新幹線に関する環境影響評価の実施について」通達
4. 1 中央公害対策審議会答申 「環境影響評価制度のあり方について」答申
56. 4.28 環境影響評価法案の閣議決定・国会提出(第94回国会)
56~58 法案が国会で継続審議
58.11.28 法案廃案となる(第100回国会) 衆議院の解散に伴い、審議未了・廃案
59. 8.28 環境影響評価実施要綱を閣議決定 「環境影響評価の実施について」閣議決定
11.21 手続に関する共通的事項を決定 環境影響評価実施推進会議「環境影響評価実施要綱に基づく手続等に必要な共通的事項」決定
11.27 調査等に関する基本的事項を決定 環境庁長官「環境影響評価に係る調査、予測及び評価のための基本的事項」決定
60. 1.14 相当手続条例等の指定 環境庁長官「相当手続等(経過措置)に係る条例等」指定
3.29~
6. 5
対象事業の規模等の決定 主務大臣が環境庁長官に協議して対象事業の規模等を決定
4. 1~
12.12
基本通達等 国の行政機関が、環境影響評価実施要綱に基づき事業者に対して指導等を実施
12. 1~
62.12.22
技術指針の策定 主務大臣が環境庁長官に協議して、対象事業の種類ごとの技術指針を策定
H 5.11.19 環境基本法公布・施行 第20条に環境影響評価の推進に関する規定を設ける
6. 7.11 環境影響評価制度総合研究会第1回会合 総合的な調査研究の開始
6.12.28 環境基本計画の策定・公表 環境影響評価制度のあり方に関する総合的な調査研究の推進を位置づけ
8. 6. 3 環境影響評価制度総合研究会報告書公表 報告書のとりまとめ・公表
8. 6.28 中央環境審議会への諮問 内閣総理大臣より「今後の環境影響評価制度の在り方について」諮問
9. 2.10 中央環境審議会の答申 内閣総理大臣に対して「今後の環境影響評価制度の在り方について」答申
9. 3.28 環境影響評価法案閣議決定・第140回国会提出
9. 5. 6 環境影響評価法案衆議院可決
9. 6. 9 環境影響評価法案参議院可決・成立
9. 6.13 環境影響評価法公布 環境影響評価法(平成9年法律第81号)公布
9.12. 3 環境影響評価法の対象事業の決定 環境影響評価法施行令(平成9年政令第346号)公布
9.12.12 基本的事項の決定 環境庁長官「環境影響評価の規定に基づく基本的事項」を策定・公表
10. 6.12 判定基準、技術指針等の施行 事業種ごとの「環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調 査、予測及び評価を合理的に行うための手法を選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める主務省令」の公布・施行、公告・縦覧の方法を定める「環境影響評価法施行規則」の公布(一部規定の施行)、経過措置に係る書類の指定告示
10. 8.12 方法書・準備書に対する都道府県知事の意見の提出期間等を決定 環境影響評価法施行令及び電気事業法施行令の一部を改正する政令(平成10年政令第273号)公布
10.12.28 環境庁長官・免許等権者の意見提出期間、軽微な修正の要件等を決定 環境影響評価法施行令の一部を改正する政令(平成10年政令第417号)公布
11. 6.12 環境影響評価法施行 (準備書、評価書の記載事項に関する主務省令も同日施行)

3 環境影響評価法の目的

 環境基本法第20条は、環境影響評価を推進するために国が必要な措置を講ずることを求めている。これを受けて、環境影響評価法は、国の制度として、環境影響評価の具体的な手続等を規定しており、法の目的として、次の点を明らかにしている。

環境影響評価が、環境の保全上極めて重要であるとの認識に立っていること。
環境影響評価の手続等を定めるとともに、その結果を事業の内容に反映させるための措置をとること等により、事業に係る環境の保全について適正な配慮がなされることを確保すること。
現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に資することを究極的な目的とすること。

4 環境影響評価法の対象事業

 本法の対象とする事業は、規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれがあり、かつ、国が実施し、または許認可等を行う事業である。
 必ず環境影響評価を行う一定規模以上の事業(第一種事業)を定めるとともに、第一種事業に準ずる規模を有する事業(第二種事業)を定め、個別の事業や地域の違いを踏まえ環境影響評価の実施の必要性を個別に判定する仕組み(スクリーニング)を設けている。(法第2条第2項~第4項)

[1] 「第一種事業」=必ず環境影響評価を行う一定規模以上の事業
[2] 「第二種事業」=第一種事業に準ずる規模を有し、環境影響評価を行う必要があるかどうかについて許認可等を行う行政機関が都道府県知事の意見を聴いて、個別に判定する事業

 対象事業の概念は図1-1のとおり。対象事業の種類及び規模は表1-2のとおり。

図1-1 対象事業と第一種事業、第二種事業の関係
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表1-2 環境影響評価法の対象事業
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5 環境影響評価法の手続

1)法に基づく手続の概要

 環境影響評価法に基づく手続の概要について、手続の流れに沿って以下に示す。
 (図1-2、図1-3)

(1)スクリーニング(第二種事業の判定)

 第二種事業については、事業の許認可等を行う行政機関が、都道府県知事の意見を聴いて、環境影響評価を行わせるかどうかの判定を行う。判定の基準は、環境庁長官が定める基本的事項をもとに、事業種ごとに事業所管大臣が主務省令で定めている。(法第4条)

(2)スコーピング(方法書の手続並びに環境影響評価の項目及び手法の選定)

 事業が環境に及ぼす影響は、個々の事業の具体的な内容(事業特性)や実施される地域の環境の状況(地域特性)に応じて異なることから、環境影響評価の項目及び調査・予測・評価の手法を画一的に定めるのではなく、個別の案件ごとに項目・手法を絞り込んでいくための仕組みとして、スコーピングを導入した。
 事業者は、事業特性及び地域特性の把握を進めるとともに、環境影響評価の項目及び手法の案を記載した「環境影響評価方法書」を作成し、公告・縦覧して、都道府県知事・市町村長・住民等の意見を聴き、これらの意見や事業特性・地域特性の把握結果等を踏まえ、具体的な環境影響評価の項目及び手法を選定する。(法第5条~第11条)

住民等には地域的な限定はなく、環境の保全上の意見であれば誰でも意見を提出できる。
事業計画の早期段階で環境保全の見地からの意見を聴くことにより、柔軟な計画変更も可能となる。

(3)環境影響評価の実施及び環境影響評価準備書の手続

 事業者は、環境影響の調査、予測及び評価並びに環境保全措置の検討を行い(法第12条)、その結果を記載した「環境影響評価準備書」を作成し、公告・縦覧して都道府県知事・市町村長・住民等の意見を聴く。(法第14条~第20条)

方法書と同様に、住民等には地域的な限定はなく、環境の保全上の意見であれ  ば誰でも意見を提出できる。
準備書には、項目ごとに調査・予測・評価の結果を整理したもの、環境保全の  ための措置(複数案などの検討経過も含む)、事業着手後の調査、環境影響の  総合的な評価などについて記載する。

(4)環境影響評価書の手続

 事業者は、準備書手続で得られた意見を踏まえて、「環境影響評価書」を作成する。評価書について、環境庁長官は必要に応じ許認可等を行う行政機関に対し意見を述べ、許認可等を行う行政機関は、当該意見を踏まえて、事業者に意見を述べる。
 事業者は、これらの意見を踏まえて評価書を再検討し、必要に応じて評価書を補正し、環境影響評価手続の成果として最終的な評価書を公告・縦覧する。(法第21条~第27条)

事業者は、準備書に対する意見に対して見解をとりまとめるとともに、必要に応じ事業計画や環境影響評価の内容の修正(追加的な調査・予測・評価や環境保全措置の再検討を含む)を行い、評価書を作成する。
この評価書に対し、環境庁長官及び許認可等を行う行政機関から提出された環境の保全上の意見を踏まえて、事業者は、環境影響評価書の再検討を行い、必要に応じ事業計画や環境影響評価の内容の修正(追加的な調査・予測・評価や環境保全措置の再検討を含む)を行い、評価書を補正する。

(5)許認可等における環境保全の審査

 許認可等を行う行政機関は、許認可等の審査にあたり、評価書に基づいて対象事業が環境保全に適正に配慮されているかどうかの審査を行い、その結果を許認可等に反映する。(いわゆる横断条項、法第33条~第37条)
 この審査の結果、許認可等の処分で事業を拒否したり、環境の保全上の条件をつけることができる。

(6)フォローアップ(事業着手後の調査等)

 予測の不確実性に鑑み、環境保全措置の一環として、事業着手後の環境の状況を把握する措置(事業着手後の調査等)について準備書・評価書に記載する。(法第14条第1項第7号ハ)

図1-2 環境影響評価法の手続の流れ(フロー)
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図1-3 環境影響評価法の手続の詳細(フロー)
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2)閣議決定要綱から環境影響評価法への主要な改善点

 環境影響評価法は、従来の閣議決定などに基づいて行われてきた環境影響評価に比べ、次のような制度の改善・充実が図られている。

<法制度化>

行政指導により行われてきた制度を法律による制度とした。
<対象事業の拡大>

発電所、在来線鉄道、大規模林道などを新たに対象事業に追加した。
<対象項目の拡充>

環境影響評価の対象となる「環境」の範囲を、公害の防止と貴重な自然環境の保全に限定せず、環境基本法に対応して地球環境、廃棄物、生態系、身近な自然などを含む幅広いものにした。
<早期段階の手続の導入>

環境影響評価の実施の必要性を個別に判定する仕組み(スクリーニング)を導入した。

事業計画の早い段階からの環境への配慮と、事業特性、地域特性に応じた効率的な環境影響評価の項目・手法の選定を可能とする仕組み(スコーピング)を導入した。
<住民参加機会の拡大>

住民などの意見について、準備書段階に加え方法書段階でも提出できることとするとともに、意見提出者の地域限定を撤廃し、住民参加の機会を拡大した。
<準備書記載事項の拡充>

準備書の記載事項として、環境保全対策の検討経過(複数案の比較検討など)、 事業着手後の調査(事後調査)、委託先の名称などを追加した。
<新たな評価の考え方の導入>

評価の考え方について、全国一律の固定的な基準に適合しているかの評価だけでなく、環境影響を回避・低減するための最善の努力をしたかを評価する視点を取り入れた。
<環境庁関与の強化>

従来は、環境庁長官は主務大臣から意見を求められたときにしか意見を述べることができなかったが、環境庁長官が主体的に判断して意見を述べることができるようにした。
<評価書の補正>

環境庁長官の意見、免許権者の意見を受けて、事業者が評価書を再検討し、必要に応じて事業計画や環境影響評価の内容を修正することができるようにした。
<環境影響評価の再実施>

評価書が公告された事業でも、環境の状況の変化等の事情により、必要に応じて事業者が環境影響評価を再実施できることとした。
<地方公共団体のかかわり>

手続の各段階で地方公共団体に意見提出の機会を設けるとともに、地方公共団体における手続について、法律の規定に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができるようにした。

3)法の手続に関する留意事項

(1)条例との関係

 事業者に対する過重な負担とならないよう、法の対象事業に対しては、同一趣旨内容の手続の重複は避ける必要があるが、法の対象事業以外の事業(第二種事業に係る判定により、対象事業とならなかった事業を含む)に関する事項や法の射程外の事項、法の手続を妨げない内容については、地方公共団体の判断により独自の規定を設けることが可能である。

(2)特例

都市計画に定められる事業については、都市計画決定権者が事業者に代わって環境影響評価を行うとともに、準備書、評価書の公告・縦覧を都市計画決定の公告・縦覧と同時に行うなどの特例を設けている。
港湾計画については、上位計画段階での環境影響評価として、別途の手続が定められており、港湾管理者が一般意見聴取を含む環境影響評価手続を行う。
発電所については、この法律に定める手続のほか、国が早い段階から関与するなどの特例を設けることとし、所要の特例を電気事業法に規定している。

(3)手続の再実施

環境影響評価手続実施中に対象事業の目的及び内容を修正しようとする場合には、 軽微な修正その他の政令で定める修正に該当しない限り、方法書の手続からやり 直すことが必要である。
事業者は、評価書の公告後、環境の状況の変化その他の特別な事情により必要があると認めるときは、環境影響評価手続を再実施することが可能である。

(4)対象事業の実施の制限

事業者は、最終的な評価書を公告するまでは、対象事業を実施してはならない。
事業者は、評価書に記載されているところにより、環境の保全についての適正な配慮をして事業を実施するようにしなければならない。

 なお、環境影響評価法の関係規定の全体構成を図1-4、表1-3に示す。図1-4に示した主務省令のうち、「項目・手法選定指針」及び「環境保全措置指針」を一般に技術指針と呼んでいる。

図1-4 環境影響評価法関係の諸規定の構成

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表1-3 主務省令の事業種一覧

  事業種 都計特例 策定省庁
1 道路 建設省
2 大規模林道 農林水産省
3 ダム 厚生省、農林水産省、通商産業省、建設省
4 厚生省、農林水産省、通商産業省、建設省
5 湖沼水位調節施設 建設省
6 放水路 建設省
7 鉄道 運輸省
8 軌道 運輸省、建設省
9 飛行場(防衛庁) 総理府(防衛庁)
10 飛行場(運輸省) 運輸省
11 発電所 通商産業省
12 廃棄物最終処分場 厚生省
13 埋立て又は干拓 農林水産省、運輸省、建設省
14 土地区画整理事業 建設省
15 新住宅市街地開発事業 建設省
16 工業団地造成事業 建設省
17 新都市基盤整備事業 建設省
18 流通業務団地造成事業 建設省
19 環境事業団事業 総理府(環境庁)、通商産業省
20 住宅・都市整備公団事業 建設省
21 地域振興整備公団事業 総理府(国土庁)、通商産業省、建設省
22 港湾計画 運輸省
*都計特例:都市計画特例に係る主務省令・建設省令等を事業種に応じて策定。

6 基本的事項・技術指針のポイント

1)スクリーニング(第二種事業の判定)

 必ず環境影響評価法の対象になる第一種事業の規模に準ずる規模の事業を第二種事業とし、個別の事業の内容や地域の状況の違いを踏まえて環境影響評価法に基づく環境影響評価の実施の必要性を個別に検討し、対象事業とするかどうか判定する仕組みをスクリーニングという。基本的事項・主務省令において、その判定の基準を定めている。

当該事業の許認可等を行う行政機関が、都道府県知事に意見を聴いて、事業内容、地域特性に応じて環境影響評価を行う必要があるかどうかを判定する。
第二種事業に該当する事業の場合、事業者の判断により、スクリーニングを経ずに対象事業としてスコーピング以降の手続を実施することが可能である。
第二種事業の判定基準は、事業特性と地域特性から構成されており(図1-5)、具体的な基準は事業種ごとに主務省令において定められている。

図1-5 判定基準の構成
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2)スコーピング(環境影響評価の項目・手法の選定)

 スコーピングとは、個別の環境影響評価について、関係者(地方公共団体及び環境保全の見地からの意見を有する住民等)の意見を聴き、事業特性及び地域特性を勘案しながら、適切な環境影響評価の項目及び手法を選定するプロセスのことである。

(1)スコーピングの意義

 環境影響評価の項目、手法について意見を求める仕組みであるスコーピングを導入することの第一のねらいは、地域や事業の特性に応じて創意工夫のなされた環境影響評価を可能にすることである。これにより、調査等の作業の手戻りの防止、論点を絞って必要なことを重点的に行い不必要なことは行わないというメリハリの効いた効率的な調査・予測・評価の実施が可能となる。
 また、第二のねらいは、事業計画を変更することのできる幅が広い計画の早期段階で、地方公共団体、住民や専門家等の意見を反映することにより、事業計画により良い環境配慮を効果的・効率的に組み込むことを可能にすることである。その結果、事業者の環境保全に対する理解や住民等の事業に対する理解の促進が図られる。
 なお、環境影響評価の方法を画一的なものとする一因であった、国が作成する技術指針についても、唯一絶対の方法を定めるものではなく、標準的な方法を定めるものという位置づけにしている。

従来の制度 環境影響評価法
手続を始める時点 事業内容がほぼ固まった段階(準備書) 事業計画を柔軟に変えられる幅がより広い段階(方法書)
環境影響評価の方法 地域・事業の特性を反映しにくい画一的な方法「既製服型アセスメント」 地域・事業の特性に応じて創意工夫のなされた方法「オーダーメイド型アセスメント」

(2)環境影響評価で対象とする環境要素の範囲

 環境影響評価の対象となる「環境」の範囲を、公害の防止と貴重な自然環境の保全に限定せず、環境基本法に対応して地球環境、廃棄物、生態系、身近な自然などを含む幅広いものとした。(図1-6)
 環境影響評価の項目は、環境基本法第14条に規定される環境保全施策の範囲のものであり、従来は典型7公害及び貴重な自然等を限定列挙していたものに比較し、広く環境事象全般を対象としている。具体的には、大気環境では、大気質、騒音、振動、悪臭の他に「その他」の項目を設け、風害、低周波空気振動等の大気や空間に係る環境項目が広く読みとれるようにされている。水環境についても同様に、「その他」の項目で温排水、河川流量、水循環等が、「その他の環境」の「その他」としては、日照阻害、光害等が含まれる。
 自然環境については、第一に生物の多様性の確保や自然環境の体系的保全の観点から評価していくこととなり、「生態系」が新たな項目として追加され、従来の貴重な動植物だけではなく、身近な自然等も含めた幅広い観点からの評価が行われることになった。また、第二の視点として人と自然との豊かな触れ合いの観点が設けられたことにより、従来の「野外レクリエーション地」が「触れ合い活動の場」に変更され、居住地周辺の緑地や水辺地、里山等の身近な自然との触れ合い活動の場も評価対象として含まれることになり、また景観についても豊かな触れ合いの確保の観点から従来よりも幅広い景観要素を対象としていくことになった。
 廃棄物、温室効果ガスの発生等の環境負荷の総量として把握することがふさわしい項目についても「環境への負荷」項目として評価対象項目に新たに加えている。
 また、環境影響評価の対象項目の選定については、事業による環境影響の要因を「工事」、「存在・供用」の各段階ごとに抽出し、環境要素との関係をマトリックス表の形に整理することにより行うこととされた(表1-4)。

図1-6 対象項目となる環境要素の範囲(新旧比較)
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表1-4 対象項目となる環境要素の範囲(基本的事項-別表)

 環境影響評価の対象項目の範囲は、基本的事項で下表のとおり定められている。
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(3)スコーピングの手順

[1] 個別の事業特性と地域の特性(自然的・社会的状況)を把握する。
[2] 影響要因として、工事の実施中(工事)、工事完了後の土地または工作物の存在と事業活動の実施(存在及び供用)の各段階から環境影響の要因となる行為等(例えば、工事用資材等を運搬する自動車の走行)を整理する。
[3] 影響要因が、地域特性等に応じて表1-4左欄の環境要素に対して影響を及ぼすおそれのあるものを項目として抽出し、環境影響の重大性を考慮して適切な調査・予測・評価手法を検 討する。その際、事業種ごとの主務省令(技術指針)に示された標準項目・標準手法を参照し、地域特性・事業特性を勘案しながら簡略化・重点化の検討を行う。
[4] 環境影響評価の項目・手法の検討結果を方法書としてとりまとめ、方法書手続を通して得られた意見や各種の環境情報を踏まえ、適切な項目及び手法を選定する。
[5] 環境影響評価の項目・手法については、環境影響評価の実施段階で得られる情報によって必要な見直しを加え、より詳細な実施方法を練りながら調査・予測・評価を進める。この見直しの経緯及び理由と最終的に選定した項目・手法については準備書に記載し改めて意見を聴くことになる。

 スコーピングの手順を図1-7に、標準項目の例を表1-5、表1-6に示す。

図1-7 スコーピングの手順(フロー)
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表1-5 環境事業団が行う宅地造成に係る標準項目
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表1-6 事業種別標準項目一覧表
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(4)調査手法、予測手法の基本的考え方

環境影響評価の項目ごとに調査、予測、評価を行う。
手法として備えるべき基本的考え方を表1-7に示す。
項目の特性、事業特性、地域特性を踏まえて、調査手法(調査すべき情報、調査の基本的な手法、調査地域、調査地点、調査期間・時期・時間帯)、予測手法(予測の基本的な手法、予測地域、予測地点、予測時期・期間・時間帯)を選定 する。

表1-7 環境要素の区分ごとの調査・予測・評価の基本的考え方

※基本的事項より編集

環境の自然的構成要素の良好な状態の保持 環境基本法第14条第1号に掲げる事項の確保を旨として、当該選定項目に係る環境要素に含まれる汚染物質の濃度その他の指標により測られる当該環境要素の汚染の程度及び広がり又は当該環境要素の状態の変化(構成要素そのものの量的な変化を含む。)の程度及び広がりについて、これらが人の健康、生活環境及び自然環境に及ぼす影響を把握する。
生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全 環境基本法第14条第2号に掲げる事項の確保を旨として、
[1] 「植物」「動物」:陸生及び水生の動植物に関し、生息・生育種及び植生の調査を通じて抽出される重要種の分布、生息・生育状況及び重要な群落の分布状況並びに動物の集団繁殖地等注目すべき生息地の分布状況について調査し、これらに対する影響の程度を把握する。
[2] 「生態系」:地域を特徴づける生態系に関し、[1]の調査結果等により概括的に把握される生態系の特性に応じて、生態系の上位に位置するという上位性、当該生態系の特徴をよく現すという典型性及び特殊な環境等を指標するという特殊性の視点から、注目される生物種等を複数選び、これらの生態、他の生物種との相互関係及び生息・生育環境の状態を調査し、これらに対する影響の程度を把握する方法その他の適切に生態系への影響を把握する方法による。
人と自然との豊かな触れ合い 環境基本法第14条第3号に掲げる事項の確保を旨として、
[1] 「景観」:眺望景観及び景観資源に関し、眺望される状態及び景観資源の分布状況を調査し、これらに対する影響の程度を把握する。
[2] 「触れ合い活動の場」:野外レクリエーション及び地域住民等の日常的な自然との触れ合い活動に関し、それらの活動が一般的に行われる施設及び場の状態を調査し、これらに対する影響の程度を把握する。
環境への負荷 環境基本法第2条第2項の地球環境保全に係る環境への影響のうち温室効果ガスの排出量等環境への負荷量の程度を把握することが適当な項目又は廃棄物等に関し、それらの発生量等を把握する。

(5)重点化・簡略化

 事業者は主務大臣が事業種ごとに一般的な事業を前提に設定した標準的な調査・予測・評価の項目・手法(標準項目・標準手法)を出発点として、事業特性、地域特性等を考慮して、調査・予測・評価の重点化、簡略化を行い、メリハリが効いた、ポイントのわかりやすい環境影響評価を設計することが必要である。
 重点化には、調査・予測・評価の項目の拡充に加え、特に重要な環境影響項目については標準手法に比較し更に充実した調査・予測・評価を実施することが含まれる。例えば、汚染物質の滞留しやすい地形条件のところで大きな環境負荷をもつ事業が立地する計画の場合や保全上重要な動植物に重大な影響が及ぶ可能性がある場合などには、関係する項目についてより詳細な手法により調査・予測・評価の重点化を行う必要がある。
 一方、簡略化とは、調査・予測・評価の項目を一部省略することや調査・予測・評価の手法を簡易な方法にすることである。環境影響評価の実施において事業特性、地域特性から考えて重要な項目に費用や時間を十分かけるとともに、環境影響評価のポイントを一般に理解しやすくするためには、重要性の小さい項目については簡略にまとめ、メリハリをつけることが重要である。
 なお、標準項目・手法とは、一般的な事業を前提として項目・手法の選定の際に参考とするために設定されたものであり、なるべくこれに従うという性格のものではない(表1-5、6参照)。
 むしろ極力重点化・簡略化を行うことが重要である。
 また、環境影響評価の実施中に環境への影響に関して新たな事実が判明した場合等には、必要に応じて柔軟に調査・予測・評価の項目及び手法を見直し、または追加的に調査・予測・評価を行うよう留意すべきことが定められている。

<重点化を行う場合>

一般的な事業内容ではない等、事業特性により標準項目以外の項目に係る環境影響が懸念される場合
環境影響を受けやすい地域または対象が存在する場合
環境の保全の観点から法令等により指定された地域または対象が存在する場合
既に環境が著しく悪化し、またはそのおそれが高い地域が存在する場合

など

<簡略化を行う場合>
環境影響がないか、または影響の程度が小さいことが明らかな場合
影響を受ける地域または対象が相当期間存在しないことが明らかな場合
類似の事例により影響の程度が明らかな場合
など

(6)情報の公開

 情報の出典や予測の前提条件等の情報の明確化が必要である。一方、希少生物の保護への配慮等も必要な場合があるので注意すべきである。

3)評価の視点と環境保全措置の検討

(1)評価の視点

「目標クリア型アセスメント」から「ベスト追求型アセスメント」へ
 従来の制度では、環境基準などを環境保全のための目標として設定し、この目標を達成するかどうかだけを評価してきた。(目標クリア型のアセスメント)
 しかし、この方法では、全国一律の固定的な基準や目標の達成に評価の視点が限定され、それぞれの対象地域においてより良い環境配慮を追求していくための取り組みが行われない、また、自然環境などの分野では全国一律の客観的な目標を設定しにくい項目がある、という問題が指摘されてきた。
 そこで環境影響評価法では、環境影響の緩和措置、いわゆるミティゲーションの考え方を導入し、環境基準などの達成だけでなく環境影響を回避・低減するための最善の努力がなされているかどうかについて、事業者自らの見解をとりまとめることによって評価を行うという考え方を導入した。(ベスト追求型のアセスメント)
 なお、具体的な評価手法としては、複数の代替案の比較検討や実行可能なより良い技術の導入の検討その他適切な手法によるとされている。
 また、従来行ってきた評価の考え方についても否定されたものではなく、環境基準など国により示された環境保全の基準や目標、条例や地方公共団体策定の環境基本計画・地域環境管理計画等において示された基準や目標がある場合には、それらとの整合性も併せて検討することになっている。

(2)環境保全措置の検討

 調査・予測・評価を行う中で、環境影響の回避・低減、国等の環境保全の基準や目標の達成に努めることを目的として、環境保全措置の検討を行い、実行可能な範囲でより良い環境配慮を検討していくことになる。環境保全措置の検討にあたっては、ミティゲーションの考え方を導入して、環境影響の回避・低減を優先し、どうしても影響が残る場合にのみ、代償措置の検討を行うこととする(表1-8参照)。また、事業の特性、対象地域の環境の特性に応じて適正な環境保全措置が適用される必要がある。

「実行可能な範囲」とは、科学的知見、経済性等の観点から実行可能なことをいう。
環境保全措置の効果及び不確実性、環境保全措置を実施してもなお残る影響、実施により生ずるおそれのある他の環境要素への影響などを整理する。
代償措置を実施する場合は、これに加えて、回避・低減が困難である理由、損なわれる環境及び環境保全措置により創出される環境の位置、種類、内容を整理する。
環境保全措置の検討にあたっては、環境影響の評価と同様に複数案の比較等を行う。
準備書の記載事項として法に示されている「当該措置を講ずることとするに至った検討の状況」とは、複数案の比較検討の経緯等を指す。

表1-8 米国国家環境政策法(NEPA)における環境保全対策の分類

行為 定義
回避
(Avoidance)
行為の全体または一部を実行しないことによって影響を回避すること
最小化
(Minimization)
行為の実施の程度または規模を制限することにより影響を最小化すること
修正
(Rectifying)
影響を受けた環境そのものを修復、再生または回復することにより影響を修正すること
軽減/消失
(Reducation/Elimination)
行為期間中、環境の保護及び維持管理により、時間を経て生じる影響を軽減または消失すること
代償
(Compensation)
代替の資源または環境を、置換あるいは提供することにより影響を代償すること

(3)総合的な評価

 調査・予測・評価はそれぞれの環境影響評価項目ごとに行われることから、異なる項目間に生じるおそれのある影響等について十分に検討がなされないことも考えられる。このため、各項目ごとの調査・予測・評価の結果や環境保全措置、事後調査の内容について一覧できるように整理して、事業による環境影響を総合的に評価できるようにする。

(4)フォローアップ(事業着手後の調査等)

 予測の不確実性に対応するために事後調査を実施し、事後調査結果を踏まえ必要に応じて環境保全措置をとることにより、環境影響評価をフォローアップしていく。

7 地方公共団体による環境影響評価制度の現状

 環境影響評価については、国の制度のほかにも、地方公共団体が条例・要綱による独自の制度を設けている。地方公共団体の環境影響評価制度は、昭和50年代にその取り組みが始まったが、今回の環境影響評価法の制定を受けて、環境影響評価法の考え方や手続を取り入れた条例の制定(条例の改正を含む)が進められている。平成12年7月31日現在、全国の都道府県、政令市59団体のうち、58団体が環境影響評価法に対応した条例を制定している。

【地方公共団体の制度の役割】
 環境影響評価法による制度と地方公共団体の条例・要綱による制度は、同一の事業について事業者に同じ観点から義務を課すという重複が生じないように、守備範囲を違えた形で構成されている。
 その結果、地方公共団体の制度では、

[1] 法の対象でない事業を対象として環境影響評価を義務づける
[2] 法の施行に関する事務について地方公共団体が行う際のルールを定める
[3] 法の「環境影響評価」の概念に含まれない手続(法の射程外の手続を含む)を規定する

という3つの内容を定めることができる。
 このことは、地方公共団体は法律の範囲内で条例を制定することができるという日本国憲法に定める原則から導かれるものであり、これを確認するために、法は条例との関係に関する規定を置いている。(法第61条)
 [1]には、法が対象としていない事業種(ゴルフ場、廃棄物処理施設など)の事業や、法の対象事業の規模要件を下回る規模の事業を対象とすることが該当する。
 [2]には、都道府県知事が法に基づいて方法書、準備書に意見を述べるにあたり、第三者機関の意見を聴いたり、公聴会を開催したりすることが該当する。
 [3]には、環境基本法に定める「環境」の範囲外の「環境」(地域コミュニティの維持、防災上の安全の確保など)についての評価を義務づけたり、事業計画立案にあたっての環境配慮、工事着手後・供用時の調査や再評価などを義務づけたりすることが該当する。
 地方公共団体の制度の実際は、[1][2][3]の内容を地域の実情に応じて組み合わせることにより、各団体ごとに特徴あるものになっている。

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