廃棄物分野における戦略的環境アセスメントの考え方TOPへ戻る
1) 計画の構想段階と複数案の考え方
個別の一般廃棄物処理施設整備計画の構想段階として、施設の処理方式や立地等を検討する段階を想定している。本報告書では、[1]一般廃棄物焼却処理施設の処理方式の複数案を検討する場合[2]一般廃棄物最終処分場の立地の複数案を検討する場合を検討した。
個別の一般廃棄物処理施設整備計画の構想段階として、「2-1)-(2)一般廃棄物処理計画と個別の一般廃棄物処理施設整備計画の構想段階との関係」について述べたように、施設の処理方式や立地等を検討する段階を想定している。例3-1に一般廃棄物焼却施設の処理方式の複数案を検討する場合、例3-2に一般廃棄物最終処分場の立地の複数案を検討する場合を示す。
なお、立地選定については、環境影響評価法の検討過程において、立地決定の以前に立地に係る複数案を含めて、公表して議論を行うことについて、我が国の場合、環境影響以外の利害関係を含んだ議論をより際だった形で誘発するおそれや事業内容によって地域間の対立を生じ、混乱を発生させる恐れがあるという指摘がなされている。しかし一方で、近年の情報公開法の制定、パブリックコメント制度の導入、政策評価の導入などにおいて、透明性の向上・アカウンタビリティの確保の動きが見られるほか、廃棄物処理法に基づき策定された基本方針において、「国民の環境に関する意識の高揚等に対応して、廃棄物の処理体制の確保に当たっては、施策の安全性等に関する情報公開を一層進め、地域住民の理解を深めていくことが必要である。」と位置づけられている。参考資料1-3に示すように、実際に立地に係る複数案を含めて公表し、議論が行われている案件も見られる。このような事例を積み重ねることなどにより、指摘された懸念を払拭するよう努めることが必要であると考えられる。また、既に施設の用地を確保しているなどの前提条件から、計画等の策定上、立地の複数案を検討する余地がない場合は、立地の複数案に係るSEAは必須ではなく、そのような事情を明らかにしつつ立地以外の複数案を比較することが考えられる。