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つくば市では、平成7年2月に策定した一般廃棄物処理基本計画の検討段階で、一般廃棄物処理システム全体に関する複数案を検討した(表-1、図-1)。
表-1:一般廃棄物処理システム全体に関する複数案の検討事例(概要)
ケース0:現状移行システム
ケース1:プラスチック焼却システム ケース2:プラスチック単独分別システム
ケース3:非焼却システム ケース4:堆肥化+プラスチック燃料化システム
出典:「つくば市一般廃棄物処理基本計画」(平成7年)
複数案について、表-2に示す視点を基に各案について定性的な評価が行われている(表-3)。また、まとめとして、計画期間を前期(平成11年度まで)、中期(平成16年度まで)、後期(平成21年度まで)の3つの区分に分けたうえで、前~中期的に目指すべきごみ処理システムとして、ケース0及び1が、中~後期的に目指すべきごみ処理システムとしてケース4が示されている。
表-2:ごみ処理の基本的なシステムについての比較の視点の事例
視点1:一般廃棄物処理基本計画の基本理念にかなっているか
[1]地球環境の保全(環境負荷の軽減)がなされているか
※環境負荷=排ガスなどによる大気への負荷
排水などによる土壌・水への負荷
埋立による土地への負荷
[2]持続性・発展性があるか
[3]真の豊かさの実現(現状のライフスタイルの転換)に役立つか
[4]人の参加(市民・事業者・行政のそれぞれの役割)がなされるか
[5]都市の自立性(区域内での処理・処分)がなされるか
視点2:今後15年間という計画期間の間で実現可能か
[1]現在の事業からの移行は容易か
[2]全市的な導入が容易か
[3]排出者の負担はどうか
出典:「つくば市一般廃棄物処理基本計画」(平成7年)
表-3:評価の事例
視点1-[2]持続性・発展性があるか
持続性については、従来からある焼却処理を中心においたケース0~ケース2が、安定した処理が可能ですが、今後未来永劫にわたって焼却処理により大気への負荷を発生し続けてよいものだとは思われません。
その点、生ごみを再び土壌に還元するケース3、4は、高度な分別がなされ土壌への汚染がなければ、持続性・発展性からいって評価すべき点があります。
また、プラスチック類などを固化、又は油化して燃料として使う案(ケース2~4)は、焼却処理と同様、結局どこかで大気への負荷をかけることになり、それなら焼却施設で集中的にエネルギー回収と排ガス処理を行った方がよい、という考え方もあります。しかし、固形化、又は油化した燃料はストックとして必要な時に使用できるので、今後の技術開発次第では、エネルギーの効率的な利用という面では、今後発展する可能性があります。現時点ではまだ未知数の部分が多いのも事実です。