大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(III)TOPへ戻る
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 | ||
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技術等の名称 | 水質の簡易測定手法 | ||||
技術等の概要 | 水質の測定項目の多くは、JISや環境庁告示などにより測定の手法が定められているが、必ずしも公定法ではない簡易測定手法で測定地点や回数を増やす方が常に変動する現象を正しく把握できる場合もある。 メリハリのきいた環境影響評価の実施のためには、簡易測定により概略を把握し、必要に応じて公定の測定手法を用いることなどが重要となる。主な簡易測定手法には、以下のようなものがある。 主な測定手法を添付表に示す。
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調査・予測の必要条件 | 添付資料参照 | ||||
適用範囲 | 添付資料参照 | ||||
課題 | 現状では測定頻度の高いBOD、COD、n-ヘキサン抽出物質、メチレンブルー活性物質などの適切な簡易測定法がない。? 必要とされる測定頻度により、簡易手法や公定法を使い分ける必要がある。 | ||||
参考文献 | 浦野紘平・石井誠治(1998)水質簡易測定技術の現状と発展の方向.水環境学会誌、21(5)、258-263. | ||||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 |
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技術等の名称 | ダイオキシン、環境ホルモン等の化学物質の定量調査 | ||
技術等の概要 | 国立環境研究所の化学環境部等で、ダイオキシンのような環境汚染物質の高精度測定法、簡易測定法、分析方法の精度管理と標準化等の研究が進められている。 (研究内容) ・ 塩素系有機化合物の新しい測定法:超音波自由噴流の利用 ・ ダイオキシン類の簡易分析法の検討:四重極GC/MSによる測定とサンプリン グ法、分離精製法の改良 ・ 高分子量の有機塩素化合物の分析:ゲルカラムクロマトグラフィーが有用 |
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調査・予測の必要条件 | |||
適用範囲 | |||
課題 | |||
参考文献 | 参考文献 化学環境部(経常研究)(1998)平成9年度版 国立環境研究所年報. | ||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 |
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技術等の名称 | 化学物質の生態影響評価のためのバイオモニタリング手法 (河川水の連続暴露による生物試験) |
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技術等の概要 | 化学物質の潜在的な生態影響を無視できないことなどから、生物検定(バイオアッセイ)を用いたバイオモニタリングの研究が、環境庁国立環境研究所、建設省土木研究所(下水道部)等で積極的に進められている。 本バイオモニタリング手法は、試験生物を河川水に連続的に暴露する方法である。 (連続暴露による方法の有効性) ・ 急性的に高まる毒性物質の検出とその影響評価に有効 *河川水を採水する方法では、河川水の急激な変動に追随できず、過小あるいは過大評価の結果が起こりやすい。 ・ 低濃度、複合汚染による慢性的な生態影響評価に有効 内分泌撹乱物質(環境ホルモン)の各種生物の繁殖に及ぼす影響評価にも極めて有効 *汚染レベルが低い河川では高い検出感度が必要となる。また、繁殖影響など1~2世代にわたる試験では、連続試験が必要となる。 |
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調査・予測の必要条件 | 試験生物:目的に応じた選定が必要 試験生物の試験水に対する反応を監視するシステム(開発課題) |
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適用範囲 | 河川水 (有効な試験生物) 1)有害物質の流出事故等の早期警戒的なモニタリング ・ ヌカエビの行動変化:特に、殺虫剤汚染に関して感受性が高い ・ ウキクサ葉面の光合成活性の変化:1次生産への影響のモニタリングに有効 2)慢性的な影響評価のモニタリング ・ ヌカエビ:行動変化、死亡 ・生長あるいは繁殖の影響評価が可能 ・ ウキクサ試験(2週間):水草類の生長に及ぼす影響評価 |
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課題 | 1)試験生物の開発 ・ マシジミの水管伸縮:反応性は敏速であるが、試験生物化等が課題 ・ 二枚貝(ドブガイ、マシジミ):水中のみならず底泥中の化学物質を含めた総合的な影響評価の可能性があるが、試験生物化が課題である。。 2)試験生物の試験水に対する反応を監視するシステム |
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参考文献 | 森田昌敏・畠山成久・笠井文絵・菅谷芳雄・五箇公一・白石寛明・堀口敏広・高木博夫(1999)化学物質の生態影響評価のためのバイオモニタリング手法の開発に関する研究(平成7~9年度).国立環境研究所特別研究報告、SR-29-'99. | ||
備考 | (その他類似研究例) 「水生生物を用いた水質評価技術の開発」(建設省土木研究所(下水道部)ホームページ) |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 |
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技術等の名称 | LANDSAT衛星による温排水モニタリング | ||
技術等の概要 | 大容量臨海発電所の集中立地化に伴い、温排水の拡散域が広域に及ぶ例が多い。 広域モニタリングを迅速に行う手法として、LANDSAT衛星の熱赤外線センサー(TM)による温排水モニタリング手法の有効性が次のように確認された。 ・ LANDSATデータと水温実測値との相関は高い ・ LANDSATデータから得られる温排水拡散パターンは現地観測結果と非常に良好な一致を示す。 ・ 定期的あるいは計画的なLANDSATデータの取得は困難と考えられるが、全国平均では約4シーンに1つの割合で雲の影響の少ないデータが得られる。 |
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調査・予測の必要条件 | ・ LANDSAT衛星の熱赤外線センサー(TM)データ ・ 現地観測データ:初期設定に必要 |
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適用範囲 | 温排水の広域モニタリングを行う場合。 | ||
課題 | |||
参考文献 | 水鳥雅文・仲敷憲和・坂井伸一(1991)温排水モニタリングへのLANDSAT衛星の適用性.電力中央研究所報告書(U91006). 水鳥雅文・坂井伸一・仲敷憲和(1991)LANDSAT衛星による温排水モニタリングの実用性.海岸工学論文集、38、886-890. |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 |
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技術等の名称 | Four-flux modelを用いた光学理論に基づく複数物質混在水域の海中物質濃度推定法 (沿岸環境モニタリング技法の実用化のための衛星リモートセンシング画像解析手法) | ||
技術等の概要 | これまでの手法は、解析対象海域や衛星画像のセンサーが変わるごとに、衛星到達光を算出するために膨大な処理時間が必要とする。 本方法は、海域依存性やセンサー依存性のない衛星リモートセンシング画像解析手法の確立を目指すものである。 また、本方法は、従来の統計的解析手法によらず、光学理論に基づく手法であり、海域に混在する複数の物質を分離推定が可能である。 本方法は、海中の放射伝達理論に基づいて定式化されたものであり、海中に存在する物質の光学的特性、およびその濃度の違いに起因する衛星データの輝度値の違いから物質の濃度の推定を行うものである。 なお、定式化は、拡散放射理論に基づくfour-flux modelを用いて行う。また、次の仮定を設ける。 ・ 鉛直の濃度分布は一定とする。 ・ 水深に比べて光の透過距離が十分短いとし、海底からの反射は考慮しない。 |
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調査・予測の必要条件 | ・物質の光学的特性 ・ 衛星データ ・ 現地観測データ:初期値の設定に必要 |
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適用範囲 | 適用例:東京湾奥部 対象項目:クロロフィルa、土砂(SS分)、DOCの複数物質の濃度分布のリアルタイムの推定を行う。 |
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課題 | ・ 実用化に向けての基本的な課題をクリアした段階である。 ・ 水深が浅い湾岸部の衛星データは、海底面の影響が含まれているものと考えられ、改良が必要である。 |
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参考文献 | 宮崎早苗・灘岡和夫・熊野良子・ニ瓶泰雄・孟 ・劉寧(1998)新たな衛星画像解析法に基づく沿岸環境モニタリング技法の実用化に向けての検討.海岸工学論文集、45、1276-1280. | ||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 予測 |
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技術等の名称 | 湖沼堆積物を用いた環境変遷の検討 (鉛-210法,セシウム-137法による年代測定と珪藻化石の解析による) |
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技術等の概要 | 湖沼堆積物について、鉛-210法,セシウム-137法による年代測定と珪藻遺骸群集から湖沼の環境変化を推定する。 (適用例:手賀沼) ・ 表層約30cmの堆積物は、過去約50年の堆積物である。 ・ 堆積物中の珪藻遺骸群集は、1960年代前半から変化し(好清水性種の減少と好汚濁性種の増加)、水質の 汚濁化を示す。 |
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調査・予測の必要条件 | 堆積物の採取 | ||
適用範囲 | 長期的な水質等の環境変遷の解析 | ||
課題 | |||
参考文献 | 濱田崇臣(1998)湖沼堆積物を用いた手賀沼の環境変遷の検討(その2)- 鉛-210法・セシウム-137法による年代測定と珪藻化石による手賀沼の環境変化-.電力中央研究所報告書(U98016). 濱田崇臣・阿部信太郎(1998)湖沼堆積物を用いた手賀沼の環境変遷の検討(その1)- 手賀沼の特徴とその変遷および音波探査による地質構造-.電力中央研究所報告書(U98015). |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 予測 |
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技術等の名称 | 自然浄化効果のモデル化 (干潟実験生態系(メソコスム)を用いた物質収支等の観測) |
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技術等の概要 | 干潟の修復・創生に役立つ知見の集積を目的とし、1994年に干潟生態系を模擬できる実験施設(メソコスム)を整備し、次のような研究を続けている。 ・ 物質収支に関する実験:干潟浄化機能の解明 ・ 物理的撹乱等が底生生物群集に与える影響 ・ 底生生物群集の遷移等の観測 なお、干潟生態系は、バクテリア、付着藻類および粒状有機物(デトリタス)を起点として、ベントス(貝類・多毛類・甲殻類等)を経て鳥類に到る食物網が主要な物質循環経路であり、バクテリア、付着藻類およびベントスの底生生物が主要な構成生物となる。 実験生態系(メソコスム)の手法は、生物や環境条件を目的に応じてコントロールが可能であり、比較実験が容易に行える利点がある。 |
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調査・予測の必要条件 | ・ 物理的条件:波浪・流速 ・ 潮汐条件:周期、水位 ・ 土質条件:粒度組成、間隙率等 ・ 干潟勾配 ・ 海水交換頻度 ・ 水質条件:交換水 ・ 光条件等 |
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適用範囲 | 干潟の生態系 調査内容:波浪・流速条件等の環境条件と底生生物群集の動態および物質収支(浄化機能)等の関係 |
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課題 | 底生生物群集の安定に時間を要する(実験開始後27ヶ月で、現存量は動的平衡状態に達しているが、種類構成は初期の遷移状態にある)。 施設の生物量、代謝速度等の、底生生物の生理・生態的な影響の把握が必要である。 |
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参考文献 | 細川恭史・桑江朝比呂・三好英一・室善一朗・木部英治(1996)干潟実験施設を 用いた物質収支観測.港湾技術研究所資料、832、pp22. 桑江朝比呂・細川恭史・古川恵太・三好英一・木部英治・江口菜穂子(1997)干潟実験施設における底生生物群集の動態.港湾技術研究所報告、36(3)、3-35. |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 予測 |
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技術等の名称 | GISを利用した湖沼流域管理システム (環境情報データベース) | ||
技術等の概要 | 本システムは、湖沼地域の土地利用や土壌、地質などのデータをGIS情報(地理情報システム)として整備し、それを流域の水文・物質循環及び湖沼の水質変化を表現できるモデルと組み合わせることによって、総合的な湖沼流域管理に活用を図るものである。 (汚濁負荷の面的な流出過程のモデル化) 本システムでは、汚濁負荷の面的な流出過程(非特定汚染源)を再現するために、分布型降雨流出モデルに汚濁負荷の物質流動を組み込んだ分布型物質流動モデルを構築した。 従来、流域から流出する汚濁負荷量の推定には、土地利用に応じて日々一定の負荷が発生するという前提条件のもとで原単位法が用いられてきている。 今回のモデルは、降雨流出現象による負荷の変動を表現できる点に特色がある。 |
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調査・予測の必要条件 | 地目別土地利用 気象水文情報:AMeDASデータ等 地理情報:国土地理院の数値地図データ等 これらの情報は、GISを用いて作成する。 |
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適用範囲 | ノンポイントソース系(非特定汚染源)の汚濁負荷削減等の検討を行うには、原単位法では限界があり、地表面・表層・地中の汚濁物質の流動を表現できる本モデルの適用が有効である。 | ||
課題 | ・ 河川における汚濁負荷の沈殿・再浮上等を表現できる河道内の物質流動モデルの構築 ・ 土地利用の異なる流域を対象に物質流動シミュレーションを実施し、土地利用に応じた適切なモデルパラメー タの設定方法の検討 |
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参考文献 | 安部和雄・和田一斗・杉盛啓明・寺川陽(1998)湖沼流域環境管理シミュレーションシステム.土木技術資料、40(8)、20-25. (関連資料):建設省土木研究所ホームページ(環境部) |
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備考 | 各省庁で、水循環システムに係る技術開発が進められている。 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | ヴォーレンバイダー(Vollenweider)モデル | ||
技術等の概要 | 湖沼の面積当たりのリン負荷量(Lp)と平均水深/滞留時間比(H0/t)の関係、及び実湖沼の富栄養化データから、経験的に富栄養化現象発生の有無を推定するモデル。 Lp=C [W0+H0t] Lp:単位面積当たりリン負荷量(gT-P/m2・year) C :湖沼内リン濃度(g/m3) Wo:リンの沈降除去速度(10m/year程度) Ho:水深 t :平均滞留時間 Vollenweiderは貧栄養と中栄養の境界をC=0.01g/m3、中栄養と富栄養の境界をC=0.03g/m3としている。 |
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調査・予測の必要条件 | 上記の通り | ||
適用範囲 | 天然湖沼、ダム貯水池の富栄養化の目安として用いることができる。 | ||
課題 | Vollenweiderの用いたデータは欧米の天然湖沼のデータであり、温帯域とは条件が異なる。 ダム貯水池においては、水利用や管理の複雑化に伴い、より高精度かつ変動に対応するモデルが必要となっている。 |
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参考文献 | |||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 閉鎖性海域の窒素・リンに関する許容負荷量の推定 (湖沼におけるVollenweiderと同様な方法の内湾への適用) |
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技術等の概要 | 内湾の富栄養化と流入負荷量の関係を湖沼におけるVollenweiderと同様な方法により推定を行う水質の簡易予測方法。 [平均水深×更新率]と[N,Pの単位面積負荷量]の相関図より富栄養化レベルの推定を行い、湾の富栄養化の可能性と許容負荷量の推定を行う。 湖沼の方法を適用するに当たって、内湾での水の更新率(滞留時間の逆数)が、物質輸送が一過性の湖沼とは異なることや、外海からの流入物質量の影響についても考慮している。 |
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調査・予測の必要条件 | ・地形条件:水深、平面積、容積 ・ 流入負荷量(N,P) ・ 淡水流入量 ・ 滞留時間:湾内外の塩分量と淡水流入量より算出 ・ 更新率:滞留時間の逆数 |
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適用範囲 | 閉鎖性海域 湾全体を対象とする(完全混合を仮定)。 予測項目:富栄養化レベル(N,P濃度レベル) 影響要因:[平均水深×更新率]と[N,Pの単位面積負荷量] |
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課題 | ・ 湾内の成層強度や密度流、吹奏流等の効果が十分に生かされていない。 ・ 更新率の推定精度が解析精度に及ぼす影響が大きい。 |
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参考文献 | 松梨史郎・今村正裕(1998)閉鎖性海域の窒素・リンに関する許容負荷量の推定の試み.海岸工学論文集、45、1001-1005. | ||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 押し出しモデル | ||
技術等の概要 | 流れ方向への1次元による水質変化において、流れ方向への混合が全く起こらないとしたモデルで、下式により表される。 ![]() |
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調査・予測の必要条件 | ・ 水域の物質濃度 ・ 水域の容量 ・ 流入水量(排出量) |
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適用範囲 | 計算が簡単なため、水処理施設内における水質変化検討などに用いられていたことがある。 混合が全く起こらないと仮定されており、自然の水域への適用には難が多い。 |
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課題 | |||
参考文献 | |||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 完全混合モデル | ||
技術等の概要 | 湖沼、貯水池、ため池などにおける池内、あるいはボックスモデルのボックスにおいて、対象領域内は完全混合状態にあり、水質濃度は空間的に一定であると仮定するモデル。 ![]() |
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調査・予測の必要条件 | ・ 水域の物質濃度 ・ 水域の容量 ・ 流入水量(=排出量) |
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適用範囲 | 小規模なため池などで、池内容量に比較して流入水量が多く、池内が完全混合状態に近いと考えられる場合などに、水質の概略把握のために用いられる。 池内の場所や水深により濃度や水質が異なる場合には適用できない。 |
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課題 | |||
参考文献 | |||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 鉛直一次元モデル | ||
技術等の概要 | 水域において水温などの特性が鉛直的には違いが見られるが、水平には一様とみなせる場合に、水域を鉛直方向にのみ分割したモデル。 対象水域を厚さΔyの水平層に分割し、それぞれの層について連続式、熱・濁質・水質の各保存式を適用することにより、水温、濁度、水質を予測する。 基礎方程式を添付資料に示す。 |
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調査・予測の必要条件 | ・貯水池諸元 ・流入流出水量・濁度、水質 ・ 気象条件(日射量、気温、風速、湿度、雲量) |
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適用範囲 | ・成層状態にある湖沼や貯水池において、対象(水温、水質など)が水平方向に一様に分布しているとみなせる場合。 ・ 水塊や濁質塊が洪水の初期に流入してくる場合、鉛直方向の流動が生じる場合など、水平方向の水の挙動が一様でない場合には適用できない。 |
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課題 | ・水温、濁度の予測に主に用いられてきたが、現在では濁度、栄養塩については鉛直二次元モデルあるいは水平二次元多層モデルが用いられることが多い。 | ||
参考文献 | 森北佳昭・天野邦彦(1991)貯水池水質の予測・評価モデルに関する研究. 土木研究所報告、182(1)、1-109. 安芸周一・白砂孝夫(1975)貯水池流動形態のシミュレーション解析.発電土木、134、 |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 鉛直二次元モデル | ||
技術等の概要 | 河川、貯水池などにおいて、水平方向(流線に直交する方向)の流速、水質等は一定と考え、流れの方向及び鉛直方向の変化を対象としたモデル。鉛直方向への層間で伝達される物理量は運動量のみとし、各層内での密度を一定不変として扱う。 流れの場を連続式及び運動方程式で解くとともに、対象物質が保存系物質である場合には物質収支式(拡散方程式)により物質濃度を計算する。対象物質が沈降を伴う場合には物質変化過程に沈降項を組み込み、さらに非保存系物質の場合には物質の変化過程を定式化して計算する(物質循環モデル)。 ![]() |
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調査・予測の必要条件 | ・水域の形状 ・境界における流速 ・水温、水質 ・気象条件(日射量、気温、風速、湿度、雲量) ・ 再現性検討のための流速・水質観測データ |
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適用範囲 | ・感潮域を含む河川や細長い形状の閉鎖水域(内湾、貯水池など) ・水温、濁度、溶存酸素など、鉛直方向の変化を考慮する必要のある場合。 ・側方流入の著しい場合や、貯水池の二股形状などを考慮する際には不十分。 |
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課題 | |||
参考文献 | 森北佳昭・天野邦彦(1991)貯水池水質の予測・評価モデルに関する研究. 土木研究所報告、182(1)、1-109. 池田裕一(1998)水圏の環境.東京電機大学出版局、東京、pp404. 平野敏行(1998)沿岸の環境圏.フジテクノシステム、東京、pp18. (社)環境情報科学センター(1999)環境アセスメントの技術.中央法規出版、東京、pp1018. |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 水平二次元レベルモデル | ||
技術等の概要 | 水平方向の二次元的な広がりに加え、鉛直方向の流速分布を考慮したモデル。水平方向に加え、水域を鉛直方向にも層分割し、各格子点、各層の水平流速、鉛直流速、水面を計算する。 [1]潮汐、密度傾度、河川水流入、海上風を考慮する [2]流体は回転体上の非圧縮性流体として扱う [3]コリオリのパラメータは対象水域で一定とみなす [4]鉛直方向には静水圧近似が成り立つ基礎方程式を添付資料に示す。 |
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調査・予測の必要条件 | ・水域の形状 ・境界における流速・水温、水質 ・気象条件(日射量、気温、風速、湿度、雲量) ・ 再現性検討のための流速・水質観測データ |
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適用範囲 | |||
課題 | |||
参考文献 | 森北佳昭・天野邦彦(1991)貯水池水質の予測・評価モデルに関する研究. 土木研究所報告、182(1)、1-109. 池田裕一(1998)水圏の環境.東京電機大学出版局、東京、pp404. 平野敏行(1998)沿岸の環境圏.フジテクノシステム、東京、pp18. (社)環境情報科学センター(1999)環境アセスメントの技術.中央法規出版、東京、pp1018. |
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備考 |
環境項目 | 水質・水象 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 3次元数値モデル (河川水影響下における温排水拡散予測手法(表層放水)) |
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技術等の概要 | 河川水が表層に広がり密度成層場が形成される海域では、温排水が中層に潜り込むなど、一様な密度の海域とは大きく異なり、3次元的な拡散挙動を示すことが明らかになっている。 本モデルは、この様な河川水の影響のある海域についても温排水の拡散を精度よく予測するために、温排水の拡散挙動に重要な役割を果たす鉛直渦動粘性係数および拡散係数を水理実験結果から求めた実験式を用いて算定を行う。実海域(2海域)への適用結果は良好であった。 |
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調査・予測の必要条件 | ・ 地形、構造物形状条件 ・ 流入河川水量等 ・ 海域の水温・塩分分布 ・ 流動条件(潮流) ・ 温排水の水温・流速条件等 |
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適用範囲 | 河口などの淡水が流入し、密度成層が形成される海域 温排水の表層放水方式 予測項目:温排水の拡散予測 |
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課題 | 検証海域を多くする。 潮汐の水位変動の大きい海象条件下への適用。 |
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参考文献 | 水鳥雅文・仲敷憲和(1990)河川水影響下における温排水拡散予測手法の開発.電力中央研究所報告書(U90026). 仲敷憲和・水鳥雅文(1990)温排水と河川水の境界面における熱塩拡散特性.電力中央研究所報告書(U90025). |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 解析解による水質予測 | ||
技術等の概要 | ある一定条件下で拡散方程式を簡略化し、方程式を直接解くことにより水質濃度を求める方法。 代表的な式として以下のようなものがあげられる。 単純希釈式 (河川) ストリータ・フェルプスの式 (河川) 岩井・井上の方法 (河川・海域) ケッチャムの方法 (河川・海域) 新田の方法 (海域) 平野の方法 (海域) ジョセフ・センドナー式 (海域) 大久保・プリチャード式 (海域) 岩井式 (海域) |
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調査・予測の必要条件 | |||
適用範囲 | |||
課題 | |||
参考文献 | 横浜市公害対策局(1985)水質汚濁・土壌汚染に係る環境影響評価 指導・審査マニュアル. (社)環境情報科学センター(1999)環境アセスメントの技術.中法法規出版、東京、pp1018. |
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備考 |
環境項目 | 水質・水象 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 小流量の冷排水の簡易拡散予測手法 | ||
技術等の概要 | 地域冷暖房システム等から海域、河川へ放流される小流量の冷排水の拡散範囲を簡易に予測する手法のである。 (モデルの概要) ・ 本予測手法は、平面2次元の数値シミュレーションモデルである。 *水理実験から、水温影響範囲が1℃程度の場合の拡散特性は、平面2次元的な挙動を示す。 ・ 小流量の冷排水の拡散特性(水温や流速の鉛直分布、放水口近傍での連行や拡散、底面摩擦など)を考慮したモデルである。 ・ 拡散範囲の簡易算定図の作成:代表的な放流量に対し、概略評価できる簡易算定図 |
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調査・予測の必要条件 | ・ 地形、構造物形状条件 ・ 流入河川水量等 ・ 海域の水温 ・塩分分布 ・ 流動条件(潮流) ・ 冷排水の水温・流速条件等 |
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適用範囲 | 地域冷暖房システム等の小流量の冷排水ケース 水温影響範囲:1℃程度 平坦な海底地形に、底層放流された場合(水深が浅い場合)を対象とする。 予測項目:冷排水の水温分布の予測 |
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課題 | |||
参考文献 | 水鳥雅文・首藤啓(1994)小流量温・冷排水の簡易拡散予測手法の開発.電力中央研究所報告書(U94010). 水鳥雅文・首藤啓(1995)冷排水の拡散特性に関する研究.海岸工学論文集、42、1051-1055. (参考図書) 土木学会水理委員会水理公式集改訂委員会(1999)水理公式集(平成11年版). (社)土木学会、東京、pp625. |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | パソコンによる温排水拡散簡易予測モデル | ||
技術等の概要 | パーソナル・コンピュータを利用した温排水拡散簡易予測モデルの開発。 (モデルの概要) ・ 表層放流と水中放流を対象とする。 ・ 表層放流ケース 任意の地形、気象・海象条件および放水条件に対して、海域流動(簡易)計算、放水流動計算および温度計算を行う。 ・ 水中放流ケース 放水口形状や放水流量等の任意の放水口条件に対して、既往の実験式(片野ら,1989)をもとに温排水拡散範囲の簡易予測を行う。 |
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調査・予測の必要条件 | ・ 地形条件:水深、海底勾配等 ・ 流動条件:流速等 ・ 放水条件:放水流量、法流速、放水口の設置水深等 |
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適用範囲 | 温排水の表層および水中放流ケース 予測項目 ・ 温排水の拡散面積 ・ 温排水の沖合と沿岸方向の到達距離 ・ 海表面での最大上昇温度および最大流速 |
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課題 | |||
参考文献 | 坂井伸一・水鳥雅文(1994)パソコンによる温排水拡散簡易予測モデルの開発、電力中央研究所報告書(U94003). (参考図書) 土木学会水理委員会水理公式集改訂委員会(1999)水理公式集(平成11年版). (社)土木学会、東京、pp625 |
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備考 |
環境項目 | 水質・水象 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 乱流モデル (温排水の水中放水方式(複数管)の3次元数値モデル) | ||
技術等の概要 | 発電所の冷却水放水形式は表層放水と水中放水に大別されるが、最近では、環境配慮等の観点から、水中放水を採用する例が多くなりつつある。 表層放水方式の場合、従来から平面2次元モデルにより温排水拡散予測が行われているが、水中放水の場合、放水口形状や海底地形の影響を受け、温排水は3次元的でで複雑な拡散挙動を示す。このため、水中放水される温排水については、水理実験手法を主体とした予測が行われている。 本モデルは、水理実験結果を基に開発された、水中放水方式の温排水拡散予測に適用可能な3次元数値モデルである。 (モデルの概要) ・ 放水口から温排水が浮上する地点までの近傍領域を対象とした。 ・ 渦動粘性・拡散係数の推定に乱流モデル(k-εモデル)を用いるため、噴流が重合する領域についても計算が可能である。 ・ 温排水の水温・流速分布や、海底面の影響による温排水浮上経路の変化、放水口間隔等の影響による温排水の縮流(水平方向の経路の変化)等を良く再現できる。 |
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調査・予測の必要条件 | ・ 地形条件、構造物形状条件 ・ 温排水の水温、流速条件等 ・ 流入水量(河川等) ・ 流動条件(潮流) ・ 水温・塩分分布 |
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適用範囲 | 温排水の水中放流方式 放水口近傍領域 予測項目:鉛直方向の流速、水温分布 |
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課題 | ・ 実際の発電所の水中放水等への適用・検討 ・ 海域流動モデル(3次元)等と組み合わせて、広域的な温排水の拡散範囲の予測モデルの開発 ・ 水面に浮上後の、水平拡散へ移行した後の乱流特性を表現するモデルが課題 |
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参考文献 | 仲敷憲和 他(1996)3次元温排水拡散予測モデル.電力中央研究所研究年報(1996年版). (関連論文) 仲敷・松梨・坂井・丸山(1996)水平方向に放出された重力噴流の拡散挙動について.水工学論文集、40、511-516. (参考図書) 土木学会水理委員会水理公式集改訂委員会(1999)水理公式集(平成11年版). (社)土木学会、東京、pp625. |
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備考 |
環境項目 | 水質・底質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 堆積物の予測 | ||
技術等の概要 | 環境アセスメントにおいて、海洋や湖沼に設置した構造物等が流動、波浪や水質に及ぼす変化により、海底や湖底の堆積物の状態変化を予測することが提案され始めた。 モデルは通常の拡散方程式にSSの巻き上げによる洗掘フラックス及び沈降による堆積フラックスを付け加えたシルテーションモデルを基本としている。対象とするSSは在来泥より巻き上がるもの、内部生産により増加した植物プランクトンの死骸であるデトリタスや河川から流入するSSなど、目的に応じて設定する必要がある。 |
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調査・予測の必要条件 | ・ 地形条件、構造物形状条件 ・ 流動条件 ・ SS濃度初期分布、底質分布 ・ 底質の粒度組成 ・ 堆積および再浮遊、掘削に関する条件 ![]() |
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適用範囲 | |||
課題 | ・ 水深の浅い領域では波浪の影響が重要であり、流れと波浪場を外力として同時に評価できるモデルへの改良が必要。 ・ 懸濁物の供給量の与え方(巻き上げ係数、内部生産、河川起源等) |
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参考文献 | 中川康之:内湾域における泥質物の堆積過程に関する研究、港湾技術研究所報告、第37巻第4号、1998、pp.113-132. | ||
備考 |
環境項目 | 水質・底質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 水-底質モデル (水系・泥系モデル) |
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技術等の概要 | 水質・底質の悪化の著しい湾奥水域において窒素・リン(N,P)の循環を予測・評価するにあたって、水-底泥間のフラックスの把握は重要である。 本モデルは、底泥内の物質濃度の鉛直分布および窒素・リン溶出速度の実測結果を基に開発した底質モデルと、水質モデル(低次生態系)を結合させたモデルである。 (モデルの概要) モデルの構造は実用的なモデルを図り、単純化している。 ・ 底質モデルの構成要素 [1] 底泥を構成する有機態物質(N,P) [2]間隙水中の無機態物質(N,P) [3]底泥粒子に吸着している無機態物質(N,P) ・ 水-底泥間のフラックス [1]水中の有機態物質の沈降 [2]間隙水中の無機態物質の溶出(拡散) ・ 底泥内のフラックス [1]有機態物質の分解、堆積 [2]無機態物質の堆積 [3]無機態窒素の脱窒 ・湾奥部は嫌気的な状態とみなし、鉛直1層とする。 |
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調査・予測の必要条件 | ・ 地形、構造物形状条件 ・ 河川等流入水量・負荷条件等 ・ 水温・塩分条件 ・ 水質・底質条件 ・ 底泥の土質条件 ・ 流動条件等 ・モデルパラメータ関連:沈降速度、底泥の分解速度、脱窒速度、吸着速度、堆積速度等 |
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適用範囲 | 適用例:東京港 湾奥部のような嫌気的な海域 底泥の浄化対策ケース等 予測項目:窒素、リンの水-底泥間の循環の予測 |
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課題 | ベントス、付着藻類等の底泥系の生物が省略されており、好気的で底生生物の多い海域ではモデル化が必要と思われる。 | ||
参考文献 | 今村正裕・松梨史郎(1997)都市河川の流入する湾奥部における水-底質モデルの開発.電力中央研究所報告書(U97050). 今村正裕(1996)都市河川の流入する湾奥部における流動・水質モデルの開発. 電力中央研究所報告書(U96009).今村正裕・松梨史郎(1997)湾奥部における水-底泥間の窒素・リンのフラックス.海岸工学論文集、44、1081-1085. 松梨史郎(1996)東京港の夏季における窒素・リンの水-底泥間のフラックス.海岸工学論文集、43、1116-1120. |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 河川における物質循環モデル(N,Pを組み込んだ富栄養化モデル) | ||
技術等の概要 | 河川における栄養塩(N,P),水生植物、付着藻類、底生動物等の食物連鎖構造を表現した物質循環モデル。 本モデルは、河川生態学術研究会において研究開発が進められている。 |
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調査・予測の必要条件 | |||
適用範囲 | |||
課題 | |||
参考文献 | 資料:(財)リバーフロント整備センターホームページ(http://www.rfc.or.jp/) | ||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | |||
技術等の概要 | 貯水池の富栄養化の推定(OECDの方法) | ||
調査・予測の必要条件 | 浅い湖沼及び貯水池のリン濃度予測値として、Vollenweiderの式を修正した式として、以下の2式が提案されている。 ![]() |
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適用範囲 | 浅い湖沼、貯水池における濃度の目安として用いることができる。 | ||
課題 | 貯水池のリン負荷量及び水理条件のみをパラメータとしており、気象条件、流入・取水条件等は考慮されていない。 | ||
参考文献 | OECD Cooperatire Programme for Inland Waters(Entrophication Control)(1979)Final Report of the Project on shallow Lakes and Reserviors. | ||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 自然浄化効果のモデル化 (二枚貝の浄化力を考慮した汽水湖沼の水質) |
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技術等の概要 | 閉鎖性水域の浄化対策として、自然の浄化力に着目し、これらを維持あるいは増進させる対策が提案されはじめている。 また、本モデルが対象とした宍道湖は、シジミによる捕食が植物プランクトンの自然変動に大きな影響を及ぼしているものと考えられている水域である。 モデルは、植物プランクトン、アンモニア及びシジミの3変数による簡易モデルであるが、宍道湖の空間的な水質分布特性(シジミ分布密度の影響等)を十分に表現できる。 |
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調査・予測の必要条件 | ・地形条件:水深等 ・ 流入負荷量:アンモニア ・ 流入水量・ 水質分布:植物プランクトン(クロロフィルa、アンモニア) ・ 底質分布 ・ 二枚貝の水平分布:生息密度(季節別) ・ モデルパラメータ :植物プランクトンの増殖速度・死亡等、底泥の溶出速度、二枚貝のろ過速度・排泄速度・死亡速度等 ・ その他関連データ:水温、二枚貝の漁獲等 |
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適用範囲 | 二枚貝の水質変動への影響が大きい水域 予測項目:植物プランクトン(クロロフィルa)、アンモニア、二枚貝 影響要因:アンモニア、二枚貝 |
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課題 | 二枚貝の自然動態機構、モデルパラメータ等の技術知見の蓄積・解明 | ||
参考文献 | 中村由行・Fatos Kerciku・二家本晃造・井上徹教・山室真澄・石飛裕・嘉藤健二(1998)二枚貝が優占する汽水湖沼の水質のモデル化.海岸工学論文集、45、1046-1050. | ||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 自然浄化効果のモデル化 (藻場生産力予測シミュレーションモデル) |
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技術等の概要 | 藻場は、水産動植物の生息繁殖に重要な役割を持ち、海洋土木の分野では藻場の造成技術開発が積極的に進められ、生息環境を考慮した藻場生産力予測モデルの開発も進展が著しい。 水質等の生息環境を考慮した藻場生産力モデルの開発は、水質モデルへの藻場の影響を考慮することが可能となる。 本モデルは、流速および水温・栄養塩と藻類生産量との関係をモデル化したものである。 (モデルの概要) ・ 対象藻類:ホソメコンブ ・生産量式:植物群落の光合成速度と光強度の関係式をホソメコンブ群落に適用する。 ・ 流速・水質(水温・栄養塩)の影響を生産率として、生産量式に取込む。 なお、流速は波浪条件より推算。 ・ 単位面積当りの生残量(現存量)を予測する。 ・海藻の総生産量から生残量の算定には、先枯れ ・流出量、動物(キタムラサキウニ)による摂餌量を考慮する。 ・ 予測期間は、対象藻類の特性(1年生海藻)を踏まえ1年間とする。 |
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調査・予測の必要条件 | ・地形条件:水深等 ・ 波浪条件 ・流況条件:波浪条件より推算 ・水質条件:水温・栄養塩(硝酸態窒素)分布 ・藻場分布:海藻被度分布、動物分布等 ・藻類群落のモデルパラメータ :光合成速度、群落吸光係数、光強度、日長、葉面積指数、群落内の光減衰率等 ・ その他関連データ:動物の摂餌量、懸濁物濃度または透明度等 |
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適用範囲 | 浅海域 予測対象:1年生の大型海藻群落(ホソメコンブ) 予測項目:群落の面積当り生残量(現存量)(kg/m2) 影響要因:波浪・流況・水温・栄養塩・動物の捕食圧 |
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課題 | ・ 基質の傾斜等の形状の違いを反映させること ・ 栄養塩、ウニ等の捕食動物の分布状況についてのデータの蓄積 ・ 検証海域を増やすこと ・ 異なる藻類の場合のモデルの構築に要するパラメータ類の知見の取得 |
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参考文献 | 桑原伸司・佐々木秀郎・北原繁志・松山恵二・清野克徳・谷野賢二(1998)藻場生産力予測シミュレーションモデルの開発.海岸工学論文集、45、1101-1105. 桑原伸司・松山恵二・竹田義則・北原繁志・清野克徳・金川均・谷野賢二(1999)藻場生産力予測シミュレーションモデルの開発(第2法).海岸工学論文集、46、1156-1160. |
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備考 | カジメ群落の生産速度モデルの開発例 ・陸上植物の群落光合成理論を発展させたモデル ・光と温度の関数で表現する。濁りおよび温度変化の解析が可能 (資料) ・ 本多正樹他(1996)海中林(カジメ群落)の生産速度モデルの開発-光・温度因子と生産速度の関係-.電力中央研究所報告書(U95058). |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 予測 |
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技術等の名称 | 自然浄化効果のモデル化 (アサリの浄化能力:干潟の浄化能力) |
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技術等の概要 | 干潟には多くの生物が生息し、浄化機能があるといわれている。 盤洲干潟(小櫃川河口付近)において、生息量の多いアサリの浄化能力をろ水量と生息密度分布より試算した。 |
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調査・予測の必要条件 | ・ アサリのろ水量の測定:水温別、大きさ別 ・ アサリの生息密度分布:季節別・大きさ別 |
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適用範囲 | 干潟 底生のろ過食性の二枚貝 |
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課題 | 他の二枚貝との比較 ろ過速度のみではなく、同化作用についての検討も必要である。 |
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参考文献 | 細川恭史・木部英治・三好英一・桑江朝比呂・古川恵太(1996)盤洲干潟(小櫃川河口付近)におけるアサリによる濾水能力分布調査.港湾技術研究所資料、844、pp21. | ||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 調査 予測 |
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技術等の名称 | 自然浄化効果のモデル化 (ヨシ原の水質浄化特性) |
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技術等の概要 | 内湾奥部などの水際の水質浄化能力は、内湾の水質浄化にとって重要である。ヨシの栄養塩の除去作用は水際の浄化能力の重要な一つである。 ヨシを用いた栄養塩の除去作用を対象とし、ヨシ原の懸濁粒子の沈降促進作用・生物への吸収同化作用の2つの作用について、現地観察および室内実験を行った。 (調査・実験概要) ・ 塩分の栄養塩吸収への影響の検討 間隙水の塩分濃度20‰を越えると極端に吸収が悪くなることがわかった。 ・ ヨシ原内の水理的特徴・沈降特性の検討 ヨシ原の粗度効果の見積もりが可能であり、ヨシ原内の流れ、沈降・堆積の数値計算が可能であることがわかった。 ・ ヨシ原へのN,P貯留量および貯留速度は、ヨシの生息密度と面積との積で推定できることがわかった。 |
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調査・予測の必要条件 | 水質条件:ヨシ原内外の栄養塩、懸濁粒子等の分布 底質条件:ヨシ原内外の間隙水の塩分分布等 ヨシ原の分布:ヨシの生息密度、面積 流動条件:沈降速度 地形条件他 |
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適用範囲 | 干潟のヨシ原 調査・予測内容 :ヨシ原内の流速分布、沈降・堆積量の予測 :ヨシ原の栄養塩吸収量(貯留量)の推定 |
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課題 | カニ類等のヨシ原に生息する他の生物を含めた浄化機能の検討 | ||
参考文献 | 細川恭史・三好英一・古川恵太(1991)ヨシ原による水質浄化の特性.港湾技術研究所報告、30(1)、205-237. 細川恭史・三好英一・古川恵太・堀江毅(1990)植物体(ヨシ)による浄化能力の検討(その2)-ヨシ原の粗度効果と濁りろ過作用の水路実験-.港湾技術研究所資料、667、pp24. 堀江毅・細川恭史・三好英一・関根好幸(1987)植物体(ヨシ)による浄化能力の検討.港湾技術研究所資料、591、pp18. |
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備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 生物濃縮のモデル化 (沿岸生態系の食物連鎖における海産生物中のセシウム濃度の予測モデル) | ||
技術等の概要 | 沿岸生態系の底生魚類を最終とするデトリタス食物連鎖における核種の挙動の検討例は少ない。 本モデルは、デトリタス食物連鎖を含む沿岸生態系の海産生物中のセシウム(137Cs)濃度の予測基礎モデルである。 模擬計算で得られた(生物中セシウム濃度)/(海水中セシウム濃度)の平衡値は実測値とほぼ一致した。 |
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調査・予測の必要条件 | |||
適用範囲 | 底生性のデトリタス食物連鎖における核種の挙動の予測。 | ||
課題 | |||
参考文献 | 立田穣(1997)デトリタス食物連鎖における海産生物中137Cs濃度の予測基礎モデル.電力中央研究所報告書(U97022). | ||
備考 |
環境項目 | 水質 | 技術等の種類 | 予測 |
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技術等の名称 | 運命予測モデル (ダイオキシン、環境ホルモン等化学物質の環境影響評価モデル) | ||
技術等の概要 | 化学物質の環境影響評価モデルには、極めて概念的で簡易なものから詳細で具体的な濃度分布を算定するものまで多様なレベルが想定され、また、既に各種のモデルが便宜的に作成され、目的に応じて使用されている。運命予測モデルは、これらの統合型モデルである。 通産省の開発モデルであり、本モデルは、関東全体のような数都道府県にまたがる広い地域での、月平均化された化学物質残留濃度の空間分布の推定を行う。 (モデルの概要) ・ 化学物質の運命を、大気、土壌・河川および海域の各環境区分内での挙動として扱う。 ・ 一定時間、各環境区分内での計算を行った後、環境区分間の移行の計算を行う。 |
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調査・予測の必要条件 | 気象データ:アメダス等 水文データ:河川流量等 海域データ:潮流等 化学物質の物性、環境特性:蒸気圧、水溶解度、分配係数、分解速度等 環境放出量(負荷量)の推定 |
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適用範囲 | 大気、土壌・河川および海域 関東全体のような数都道府県にまたがる広い地域での、月平均化された化学物質残留濃度の空間分布の推定を対象とする。 突発的な点源からの放出は対象外。 |
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課題 | 観測結果の蓄積がまだ少なく、パラメータ等に問題が残る(開発途上のモデル)。 | ||
参考文献 | 中田喜三郎・堀口文男・米澤義堯(1996)有害化学物質の環境挙動と対策技術 化学物質の環境濃度予測に関する数値モデル.資源と環境、5(1)、19-26. (関連資料) 資源環境技術総合研究所ホームページ(平成10年度研究計画) |
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備考 | パラメータの不確定性の低減を図る例 :運命予測モデルは長期間のシミュレーションであり、パラメータの設定が重要 :ヘイズ確率の定理を用い、パラメータの更新を行う。 (資料)東海明宏・堀博・大坪和裕・湯浅晶(1996)化学物質の運命予測モデルにおけるパラメータの不確定性低減の評価.水環境学会誌、19(11)、897-903. |