大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(III)<環境保全措置・評価・事後調査の進め方>(平成14年10月)

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序章 検討の目的と経緯

1 検討の目的

  環境影響評価法の成立、公布(平成9年6月)を受け、環境影響評価に関する基本的事項が平成9年12月に、また主務省庁が定める技術指針等(主務省令)が平成10年6月に定められた。
環境影響評価の技術手法については、基本的事項、技術指針等において、基本的な考え方や留意事項が示されているが、今後、環境要素ごとに国内外の最新の科学的知見や事例を収集・整理し技術手法のレビューを行うとともに、技術手法の開発・改良のための検討を行い、我が国の環境影響評価技術の向上を図る必要がある。さらに、その結果に基づき、必要に応じて基本的事項等を改訂していく必要がある。
これらの点を踏まえ、環境影響評価技術の向上を図ることを目的として、大気・水・環境負荷分野(「基本的事項」に定める「環境の自然的構成要素」及び「環境への負荷分野」を指す。)の検討会を設け、環境影響評価の効果的な技術手法について学識経験者による専門的な立場からの検討を行うものである。検討結果については、事業者、地方公共団体、国民、国の関係行政機関など環境影響評価に関わる様々な主体が参考できるよう取りまとめ公表する。
平成11年3月から3ヵ年計画で検討を開始し、平成12年9月に「大気・水・環境負荷の環境アセスメント(I)」、平成13年9月に「大気・水・環境負荷の環境アセスメント(II)」として中間報告書をとりまとめた。平成14年は環境影響評価制度の中で最も重要な部分にあたる環境保全措置を中心に検討を行い、その成果を報告書として取りまとめた。これにより大気・水・環境負荷のアセスメント技術が一通り整理されたことになる。

2 検討体制


環境省総合政策局長の委嘱により、大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会を設置して検討を行った。さらに、それぞれの環境特性に応じた検討を行うため、検討会の下に大気、騒音、水環境、環境負荷の4つの分科会を設けた。
検討会事務局は環境省総合政策局環境影響評価課に置き、検討のために必要な作業は、同課及び請負を受けた(社)日本環境アセスメント協会がワーキンググループを設置して行った。なお、各ワーキンググループでの作業は、日本工営(株)(大気・騒音分野)、国土環境(株)・サンコーコンサルタント(株)(水環境)、応用地質(株)(土壌・地盤環境分野)、八千代エンジニアリング(株)・東電環境エンジニアリング(株)(環境負荷分野)が担当した。

3 検討の経緯

3-1 経緯

1)11年度の検討内容

11年度は、環境影響評価法において新たに導入されたスコーピング(方法書手続並びに環境影響評価の項目及び手法の選定)の段階に焦点をあて、大気質・悪臭、騒音・振動、水質・地下水、土壌・地盤環境、環境負荷(温室効果ガス、廃棄物等)の各分野を対象として、それぞれの分野の特徴を踏まえ て効果的なスコーピングを実施するために、事業特性、地域特性に応じて適切な項目や手法を選定していく考え方と手順を取りまとめた。
また、環境アセスに用いられる(あるいは用いられる可能性のある)技術について、国内外の最新の知見も含めたレビューを行い、アセス技術に求められるニーズへの対応状況をマトリックスとして整理した上で、個々の技術の概要や適用範囲などを技術シートとして示した。

2)12年度の検討内容

11年度のスコーピングに関する検討を受けて、環境影響評価の実施段階の調査・予測・評価の基本的な考え方や手法,効果的な調査・予測作業の進め方、実施上の留意点などを分野別に取りまとめた。
また、大気分野では調査・予測に関する留意事項について、既存の事例を引用して説明を補足した。その他の分野では総論として示した考え方や留意点をケーススタディにより具体的に例示した。
さらに、昨年度にまとめた技術シートについて、最新の科学的知見等を収集・整理し、追加・修正を行った。
なお、土壌環境・地盤環境分野については、環境影響評価を行うにあたっての視点について、その考え方を示した。

3)13年度の検討内容

12年度の調査・予測に関する検討を受けて、環境保全措置の立案と調査・予測・評価の関係、環境保全措置や事後調査の検討内容や立案の手順などについて取りまとめるとともに、環境保全措置を踏まえた評価の考え方についても分野別に取りまとめた。
また、分野別に総論として示した考え方や留意点をケーススタディにより具体的に例示した。
さらに、昨年度にまとめた技術シートについて、最新の科学的知見等を収集・整理し、追加・修正を行った。
なお、土壌環境・地盤環境分野については、12年度の検討を受けて、調査・予測・環境保全措置・評価・事後調査について基本的な考え方や手法、実施上の留意点などを取りまとめた。

3-2 検討会の開催日程

検討会及び分科会は、下記の日程で開催した。なお、検討会及び分科会についてはワーキンググループ委員の出席も得て開催した。

大気分科会平成14年 3月18日/平成14年 5月20日

騒音分科会平成14年 1月 8日/平成14年 6月13日

水環境分科会 平成14年 1月22日/平成14年 4月25日/
平成14年 6月12日

環境負荷分科会 平成14年 3月 6日/平成14年 5月22日

検討会平成14年 7月22日

1)報告書の構成

上記の検討成果を報告書「大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(III)-環境保全措置・評価・事後調査の進め方について-」としてとりまとめた。
報告書は、以下の構成とした。

序 章 検討の目的と経緯

第1章 大気環境の環境保全措置・評価・事後調査の進め方

第2章 水環境の環境保全措置・評価・事後調査の進め方

第3章 土壌環境・地盤環境の環境影響評価・環境保全措置・評価・事後調査の進め方

第4章 環境負荷分野の環境保全措置・評価・事後調査の進め方

第5章 環境影響評価における技術レビュー

第6章 今後の検討課題

序章については、事務局の環境省総合政策局環境影響評価課が記載した。第1章から第4章までに検討会・分科会での検討成果をとりまとめるとともに、環境影響評価に際して参考となる技術手法についてレビューしたものを5章に示した。
なお、この報告書のとりまとめにあたっては、検討会、ワーキンググループの各委員のほか、地方公共団体、研究者、環境コンサルタントなどの多くの方々に貴重なご意見や資料の提供をいただいた。特に、第3章の土壌環境・地盤環境分野の取りまとめにあたっては、基礎地盤コンサルタンツ(株)、国際航業(株)、中央開発(株)、(株)日さく各社の協力を得た。

【大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会 検討員名簿】

氏名 所属等 分科会・ワーキング
大気 騒音 水環境 環境
負荷
【検討員】
青木 淳一 神奈川県立生命の星・地球博物館長
石川 忠晴 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授
浦野 紘平 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授
沖山 文敏 川崎市環境局公害部長
鹿島 茂 中央大学理工学部教授
小松 秀明 東京都環境局環境評価部事業アセスメント審査担当課長
塩田 正純 飛島建設(株)技術研究所長
新藤 静夫 千葉大学名誉教授 
須藤 隆一 生態工学研究所代表
橘 秀樹 東京大学生産技術研究所教授
谷本 丈夫 宇都宮大学農学部教授
陶野 郁雄 山形大学理学部教授
☆ 永田 勝也 早稲田大学理工学部教授
◎ 中西 弘 山口大学名誉教授
難波 精一郎 宝塚造形芸術大学造形学部教授
福島 徹二 (財)川崎・横浜公害保健センター事務長
細見 正明 東京農工大学工学部教授
森口 祐一 国立環境研究所社会環境システム研究領域資源管理研究室長
横山 長之 財団法人日本気象協会参与
若松 伸司 国立環境研究所大気微小粒子状物質(PM2.5)・ディーゼル排気粒子(DEP)等の大気粒子状物質の動態解明と影響評価プロジェクトリーダー
渡辺 正孝 国立環境研究所水土壌圏環境研究領域長
【研究委員】
安藤 文人 (株)復建エンジニアリング環境計画部部長代理
井上 康平 (株)緑生研究所代表取締役
内田 唯史 財団法人九州環境管理協会環境部部長代理
白鳥 栄司 清水建設(株)安全環境本部環境部主査
末岡 伸一 東京都環境科学研究所応用研究部主任研究員
手塚 和彦 E&Eソリューションズ(株)環境部環境管理計画室長
内藤 弘 (株)エックス都市研究所エネルギー・環境計画部長
中村 裕昭 中央開発(株) 技術顧問 水土
西田 道夫 (株)ジオテック環境事業部長
家形 一生 日本技術開発(株)都市環境マネジメント本部センター長
安楽岡 顕 (株)数理計画数理計画本部取締役本部長
山田 和人 パシフィックコンサルタンツ(株)総合計画本部環境部課長

注) ◎検討会座長、☆検討会座長代理、★各分科会座長、水:水環境研究委員、土:土壌環境研究委員

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