1 検討の目的
環境影響評価法の成立、公布(平成9年6月)を受け、環境影響評価に関する基本的事項が平成9年12月に、また主務省庁が定める技術指針等(主務省令)が平成10年6月に定められた。
環境影響評価の技術手法については、基本的事項、技術指針等において、基本的な考え方や留意事項が示されているが、今後、環境要素ごとに国内外の最新の科学的知見や事例を収集・整理し技術手法のレビューを行うとともに、技術手法の開発・改良のための検討を行い、我が国の環境影響評価技術の向上を図る必要がある。さらに、その結果に基づき、基本的事項等を改訂していく必要がある。
これらの点を踏まえ、本検討会は、自然との触れ合い分野に関する環境影響評価技術の向上を図ることを目的として、環境影響評価の効果的な技術手法について学識経験者による専門的な立場からの検討を行うものである。検討結果については、事業者、地方公共団体、国民、国の関係行政機関など環境影響評価に関わる様々な主体が参考とできるよう、とりまとめ、公表する。
環境庁企画調整局長の委嘱により、平成10年12月に自然との触れ合い分野の環境影
響評価技術検討会を次のとおり設置して検討を行った。
【自然との触れ合い分野の環境影響評価技術検討会 名簿】
小河原 孝生 | 株式会社生態計画研究所長 | |
○ | 熊谷 洋一 | 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 |
小澤 紀美子 | 東京学芸大学教授・附属教育実践総合センター長 | |
斎藤 馨 | 東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授 | |
重松 敏則 | 九州芸術工科大学芸術工学部教授 | |
下村 彰男 | 東京大学大学院農学生命科学研究科助教授 | |
白幡 洋三郎 | 国際日本文化研究センター教授 | |
真板 昭夫 | 財団法人自然環境研究センター理事 | |
味蓼 導哉 | 財団法人国立公園協会常務理事 | |
村橋 克彦 | 横浜市立大学教授 |
○:座長 (50音順)
なお、検討会事務局は環境庁企画調整局環境影響評価課があたり、検討のために必 要な作業は、同課及び事業を請け負った財団法人自然環境研究センターが次のワーキ ンググループを設置して行った。
【ワーキンググループ 名簿】
海津 ゆりえ | 有限会社資源デザイン研究所代表 |
斎藤 馨 | 東京大学大学院新領域創成科学研究科助教授 |
下村 彰男 | 東京大学大学院農学生命科学研究科助教授 |
中川 重年 | 神奈川県森林研究所専門研究員 |
真板 昭夫 | 財団法人自然環境研究センター理事 |
松井 孝子 | 株式会社プレック研究所行政計画部次長 |
(50音順)
3-1 検討の方針
本検討会では、「人と自然との豊かな触れ合い」の区分における「景観」及び「人
と自然との触れ合いの活動の場」の項目を対象として、その他の項目との関係につい
ても十分留意しながら環境影響評価の技術手法についての検討を進める。
検討は3ヶ年計画で進めることとし、初年度は、自然との触れ合い分野の環境影響
評価の現状と課題を整理した上で、環境影響評価法において新たに導入されたスコー
ピング(環境影響評価の項目・手法の選定)の段階に焦点をあて、その効果的な進め
方について検討を行った。
3-2 検討会の開催日程
検討会は下記の日程で開催した。検討会についてはワーキンググループ委員の出席 も得て開催した。
第1回 検討会 平成10年12月1日
第2回 検討会 平成11年3月16日
第3回 検討会 平成11年5月11日
3-3 中間報告書の構成
上記の初年度の検討結果を本検討会の中間報告書(自然との触れ合い分野の環境影 響評価技術(I)-スコーピングの進め方について-)としてとりまとめた。
中間報告書は、以下の構成とした。
序 章 | 検討の目的と経緯 |
第1章 | 環境影響評価法の概要 |
第2章 | 自然との触れ合い分野の環境影響評価の課題と検討の進め方 |
第3章 | 自然との触れ合い分野のスコーピング (環境影響評価の項目・手法の選定)の進め方 |
第4章 | 自然との触れ合い分野のスコーピング段階での技術手法の解説 |
第5章 | 今後の検討課題 |
資料編 | 調査・予測・評価の枠組みと手法レビュー |
序章及び検討の前提となる第1章については、事務局の環境庁企画調整局環境影響評価課が記載した。第2章以降が検討会での検討結果をとりまとめたものである。
なお、この報告書のとりまとめにあたっては、検討会、ワーキンググループの各委員のほか、地方公共団体、研究者、環境コンサルタント、民間団体等の多くの方々に貴重なご意見や資料の提供をいただいた。