海外における戦略的環境アセスメントの技術手法と事例(平成13年9月)

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(2)オランダにおける廃棄物管理

 1988年、住宅・国土計画・環境省(VROM)、州際協議会(IPO)、オランダ自治体連合(VNG)の3者が共同で廃棄物政策全国相互調整委員会(LCCA)を設置した。1990年7月、LCCAからの最終報告(1989)を出発点とし、VROM、IPO、VNGの協力協定に基づき、廃棄物協議機構(WMC)が設立された。WMCは、3年後毎に再検討することを前提として、第1次国家廃棄物管理10カ年計画を作成することとなった。1992年に第1次国家廃棄物管理10カ年計画が作成され、1995年に第2次国家廃棄物管理10カ年計画が策定されている。これらの国家廃棄物管理10カ年計画の作成にあたっては、自主的にではあるが、環境管理法に準じた戦略的環境アセスメント(SEA)が実施された。

オランダでは、廃棄物行政は地方政府レベルの所管であり、具体的な取組みは地方レベルが行う。地方政府は、環境管理法に基づき、地域廃棄物管理5カ年計画を作成する。オランダの廃棄物管理の実施者は、所管官庁及び大企業(自己処理)であり、地方政府は廃棄物管理に関連する施設の設置及び操業の許認可権限を有する。オランダの廃棄物行政では、有害廃棄物以外は、各州において自己処理することになっている。国家廃棄物管理計画は、国全体の廃棄物管理の基本となるものであり、地方レベルでの廃棄物管理の基礎的部分を構成するものである。国家環境政策計画の目標達成は、各州の義務ではないが、この目標から大きく逸脱することは望ましくなく、地域廃棄物管理5カ年計画もこの計画を反映して策定するものとされている。地域廃棄物管理5カ年計画が配慮すべき国レベルの戦略的決定事項は、環境管理法中の廃棄物管理規程、環境政策計画(The National Environmental Policy Plan)、有害廃棄物複数年計画(Multi-Year Programme Hazardous Waste)、埋立地デザイン及び廃棄物収集処理に関連する環境制度等である。


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