1).第1次国家廃棄物管理10カ年計画(1992-2000)の背景と内容
第1次廃棄物管理10カ年計画は、1992年に策定された。同計画は、全国規模での廃棄物処理政策の基本となるものとして策定され、政策のシナリオとして2種類のシナリオを設定している。計画策定の背景、内容及びシナリオ設定の考え方、対象廃棄物について以下の表に整理した。
表3.2.1第1次国家廃棄物管理10カ年計画の背景と内容
項目 |
内容 |
背景 |
オランダでは、将来的な廃棄物処理容量の不足が大きな問題となっている。このため、廃棄物の発生を抑制し、再利用を促進する動きが必要とされているが具体的な成果が挙がるまでに時間がかかる。従来では、多くの燃焼処理プラントが活用されてきたが、有害物質を放出することが判明したものは閉鎖され、残りの廃棄物焼却処理プラントは、オーバー・キャパシティ気味である。新規の処理プラントの設置には当分時間がかかるものと考えられる。このような状況の中、環境上望ましくはないとはいえ、一般廃棄物や産業廃棄物の大量投棄が続くものと見込まれている。これらの状況を踏まえ、全国的規模での廃棄物処理政策の必要性から、第1次国家廃棄物管理10カ年計画が作成された。 |
計画の役割 |
第1次国家廃棄物管理10カ年計画は、3年ごとに改訂されるものであり、廃棄物政策に関連する全ての行政機関の大綱を示すものであるとされている。 |
計画の内容 |
|
シナリオの設定(廃棄物発生量抑制の成否) |
第1次国家廃棄物管理10カ年計画における廃棄物発生管理の政策シナリオ
上記の目的を達成するのに失敗した場合を想定するものであり、大量の廃棄物を最終処理する必要が生じる場合。 |
上記2種類のシナリオに基づく2000年時点での廃棄物発生量の予測値を下表に示した。 表中の数値は、各種の措置を実施した後に残存している廃棄物量を示す。 表 廃棄物の発生量、最終処理の1990年及び2000年のシナリオ 現状 抑制政策順調シナリオ 抑制政策失敗シナリオ 1990 年 2000 年 2000 年 家庭廃棄物 4,680 2,203 3,532 家庭からの粗大ごみ 540 438 470 オフィス、商店、工場からの廃棄物 1,480 781 1,092 工業(コンテナー入り)廃棄物 2,810 2,267 2,777 クリーニング・サービスからの廃棄物 1,120 776 885 病院からの普通廃棄物 120 72 96 建築現場や機械解体などによる廃棄物 3,500 1,996 4,006 シュレッダー廃棄物 120 136 153 残存廃棄物の総量 14,370 8,669 13,011 分離されたクリーンな有機廃棄物 280 2,634 2,151 最終処理合計 14,650 11,303 15,162 |
|
対象廃棄物 |
|
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
2)環境影響評価の手続き的事項
国家廃棄物管理計画に対する環境面からの評価は、制度的に義務付けられているものではないが、第1次国家廃棄物管理10カ年計画(1992~2002)、第2次国家廃棄物管理10カ年計画(1995~2005)の策定に際し、廃棄物協議機構(WMC)は、環境管理法の要件を全て満たしつつ、環境への影響に関する報告書を自主的に作成した。このため廃棄物処理管理のSEAでは、環境関連部局と一般市民との間の十分な協議、並びに独立したオランダ環境影響評価委員会による審査が行われた。
1990.7
:廃棄物協議機構(WMC)の設立 1991.4 :「環境への影響に関する報告」が作成され廃棄物協議機構に提出 1991.8 :「環境への影響に関する報告」のためのガイドライン作成 1991.末:第1次国家廃棄物管理10カ年計画案作成 1992.2 :第1次国家廃棄物管理10カ年計画策定 |
図3.2.1第1次国家廃棄物管理10カ年計画の策定手続
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
3 )オランダ環境影響評価委員会によるアドバイザリーガイドライン
オランダ環境影響評価委員会では、事業者の公告に対して専門的な見地からの提言を取りまとめたアドバイザリーガイドラインを提出している。同アドバイザリーガイドラインでは、事業の背景、提案されたプロジェクトの概要、検討すべき複数案の考え方及び考慮すべき環境影響に関して、提言が行われている。
表3.2.2アドバイザリーガイドラインの提言の概要
(第1次国家廃棄物管理10カ年計画1992-2002)
項目 |
内容 |
事業の背景
|
<現在の問題点>
等 |
複数案 |
|
環境影響 |
等 |
複数案の比較 |
等 |
出典:EIA Commission, ’A guidelines for the environmental impact statement on Ten Years Programme Waste of the Waste Management Council 1992-2002’
4 )複数案
第1次国家廃棄物管理10カ年計画で想定された2つのシナリオ(抑制政策順調シナリオ及び抑制政策失敗シナリオ)の下で、廃棄物最終処理に関する複数案の検討が行われた。1990年時点の廃棄物の最終処理は、投棄(約75%)、焼却(約20%)となっている。複数案の設定に当たり、複数の最終処理に関するオプションを設定した。複数案が3種類設定されたが、それに加えて、事前分別をやめ、廃棄物は全て焼却することとした参考案が設定された。これらの複数案の具体的な内容を次表に示した。
表3.2.3既存の政策に基づく最終処理シナリオ、単位1000トン(2000年)
抑制政策順調シナリオ |
抑制政策失敗シナリオ |
||
焼却処理 |
|||
全ての廃棄物を一緒に焼却 |
3,972 |
6,134 |
|
高カロリーの廃棄物(RDF) |
782 |
782 |
|
自然への投棄 |
|||
分別前廃棄物の投棄 |
0 |
0 |
|
不燃性の廃棄物 |
3,698 |
5,858 |
|
高カロリーの廃棄物(RDF) |
0 |
||
堆肥化処理 |
|||
クリーンな有機性廃棄物 |
1,170 |
873 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
901 |
933 |
|
酵素分解(バイオ処理) |
|||
クリーンな有機性廃棄物 |
780 |
582 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
0 |
0 |
|
合計残存廃棄物 |
8,669 |
13,011 |
|
分別収集 |
|||
クリーンな有機性廃棄物 |
1,950 |
1,455 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
684 |
696 |
|
合計最終処理 |
11,303 |
15,162 |
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
表3.2.4複数案の種類と概要
種類 |
概要 |
既存政策 |
|
参考案 |
|
複数案Ⅰ(焼却処理を最小限に抑制し、投棄するケース) |
|
複数案Ⅱ(投棄を最小限、事前分別を最大限とするケース) |
|
複数案Ⅲ(焼却処理を最小限に、事前分別は最大限とするケース) |
|
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
これらの各複数案に基づき、2000年に最終処理される廃棄物の数量について、抑制政策順調シナリオ及び抑制政策失敗シナリオの2種類について、下記のように推計された。
表3.2.52000年に最終処理される廃棄物の数量、単位1000トン
(抑制政策順調シナリオ)
既存政策 |
参考案 |
複数案Ⅰ |
複数案Ⅱ |
複数案Ⅲ |
||
焼却処理 | ||||||
全ての廃棄物を一緒に焼却 |
3,972 |
5,117 |
2,625 |
0 |
0 |
|
高カロリーの廃棄物(RDF) |
782 |
0 |
75 |
3,568 |
1,825 |
|
残存廃棄物処理 |
361 |
274 |
0 |
652 |
0 |
|
自然への投棄 |
||||||
分別前廃棄物の投棄 |
0 |
0 |
2,376 |
0 |
0 |
|
不燃性の廃棄物 |
3,698 |
3,552 |
3,574 |
4,157 |
4,157 |
|
高カロリーの廃棄物(RDF) |
0 |
0 |
0 |
0 |
1,743 |
|
残存廃棄物処理 |
398 |
409 |
548 |
359 |
896 |
|
堆肥化処理 |
||||||
クリーンな有機性廃棄物 |
1,170 |
1,170 |
1,170 |
1,170 |
1,170 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
901 |
684 |
703 |
0 |
0 |
|
酵素分解(バイオ処理) |
||||||
クリーンな有機性廃棄物 |
780 |
780 |
780 |
780 |
780 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
0 |
0 |
0 |
1,628 |
1,628 |
|
合計残存廃棄物 |
8,669 |
8,669 |
8,669 |
8,669 |
8,669 |
|
分別収集 |
||||||
クリーンな有機性廃棄物 |
1,950 |
1,950 |
1,950 |
1,950 |
1,950 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
684 |
684 |
684 |
684 |
684 |
|
合計最終処理 |
11,303 |
11,303 |
11,303 |
11,303 |
11,303 |
注:既存政策:廃棄物発生抑制が抑制政策順調シナリオに従った場合に既存の政策が継続した場合。
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
表3.2.62000年に最終処理される廃棄物の数量、単位1000トン(抑制政策失敗シナリオ)
既存政策 |
参考案 |
複数案Ⅰ |
複数案Ⅱ |
複数案Ⅲ |
||
焼却処理 |
||||||
全ての廃棄物を一緒に焼却 |
6,134 |
7,279 |
2,625 |
0 |
0 |
|
高カロリーの廃棄物(RDF) |
782 |
0 |
75 |
5,050 |
1,825 |
|
残存廃棄物処理 |
373 |
278 |
0 |
870 |
0 |
|
自然への投棄 |
||||||
分別前廃棄物の投棄 |
0 |
0 |
4,538 |
0 |
0 |
|
不燃性の廃棄物 |
5,858 |
5,732 |
5,743 |
6,481 |
6,481 |
|
高カロリーの廃棄物(RDF) |
0 |
0 |
0 |
0 |
3,225 |
|
残存廃棄物処理 |
484 |
494 |
533 |
433 |
1,118 |
|
堆肥化処理 |
||||||
クリーンな有機性廃棄物 |
873 |
873 |
873 |
873 |
873 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
933 |
696 |
726 |
0 |
0 |
|
酵素分解(バイオ処理) |
||||||
クリーンな有機性廃棄物 |
582 |
582 |
582 |
582 |
582 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
0 |
0 |
0 |
2,176 |
2,176 |
|
合計残存廃棄物 |
13,011 |
13,011 |
13,011 |
13,011 |
13,011 |
|
分別収集 |
||||||
クリーンな有機性廃棄物 |
1,455 |
1,455 |
1,455 |
1,455 |
1,455 |
|
汚染された有機性廃棄物 |
696 |
696 |
696 |
696 |
696 |
|
合計最終処理 |
15,162 |
15,162 |
15,162 |
15,162 |
15,162 |
注:既存政策:廃棄物発生抑制が抑制政策失敗シナリオに従った場合に既存の政策が継続した場合。
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
5 )スコーピングと指標の設定
環境影響を把握するための指標は以下の12項目が設定された。環境への影響(蓄積や潜在的な影響)ではなく、環境への物質の放出やエネルギーなどに着目した環境影響の把握が行われた。環境負荷全体に対する廃棄物処理の寄与度を全国的な規模で把握することを目的とした。局地的な側面の把握よりは、全国規模の状況の把握に重きが置かれた。環境への影響を把握するために、下記の12の環境指標が設定された。これらの指標は、物質の拡散による影響、酸性雨による影響、生活環境への影響、気候変動、エネルギー、廃棄物除去、空間の占拠などの分野にまたがる。
表3.2.7環境負荷の評価対象12項目
テーマ環境介入 |
単位 |
|
拡散 | 重金属(Hg+Cd) |
一般勧告、mg/ton |
PAK(多重芳香属炭素) |
PAK-total mg/ton |
|
ダイオキシン |
TEQ ug/ton |
|
有機物質 |
CZV g/ton |
|
酸性雨SO2 + NOx |
酸当量/ton |
|
生活影響悪臭 |
臭いの単位/ton |
|
気候変動CO2 + CH4 |
CO2 等価/ton |
|
エネルギー |
ジュール/ton |
|
除去 | 投棄残存物質 |
kg/ton |
投棄化学廃棄物 |
kg/ton |
|
再利用可能残存物質 |
kg/ton |
|
空間の占拠 |
cm2/ton |
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
6 )環境負荷の推計
具体的な評価の方法としては、有害物質排出量や環境への影響の原単位を廃棄物焼却と投棄の場合を比較し、各複数案の総合的な環境負荷を算出するものである。
一般的には、最終処分よりも焼却処理の方が有害物質(重金属、PAK 、ダイオキシンなど)や酸性ガスを環境に放出すると考えられている。また、焼却処理は浮遊ガス、煙塵などの廃棄物を多量に発生させる。一方、焼却処理の利点は、廃棄物の減量化やエネルギー回収が可能となること、回収したエネルギーを活用することでその他のエネルギー源から発生するCO2の削減が可能となることなどが挙げられる。未分別廃棄物を処理(焼却または投棄)する場合は、分別後の残存物(有機物を除去した残存物)を焼却または投棄する場合よりも環境負荷が大きい。有機廃棄物の処理については、堆肥化処理は悪臭などの生活影響を及ぼす可能性があるが、酵素分解はエネルギーの回収、CO2削減が可能となる点で、堆肥化処理よりもメリットがある。堆肥化と酵素分解は、最終的に投棄または焼却処理を必要とする残存物質を発生させるが、クリーンな有機廃棄物を処理すると、再利用可能な堆肥が多量に得られる。
表3.2.8廃棄物処理別の環境汚染負荷係数 1990年
焼却 |
埋立 |
コンポスト(堆肥)化 |
発酵 |
単位 |
|||||||
全ての廃棄物を一緒に焼却 | 高カロリーの廃棄物 | 分別前廃棄物の投棄 | 高カロリーの廃棄物 | 不燃性の廃棄物 | クリーンな有機性廃棄物 | 汚染された有機性廃棄物 | クリーンな有機性廃棄物 | 汚染された有機性廃棄物 | |||
拡散 | |||||||||||
重金属(Hg+Cd) |
1,825 |
1,825 |
3 |
3 |
3 |
400 |
3 |
400 |
3 |
mg/ton | |
PAK(多重芳香属炭素) |
20 |
20 |
0.3 |
0.3 |
0.3 |
0 |
0 |
0 |
0 |
mg/ton | |
ダイオキシン |
50 |
50 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
ug/ton | |
有機物質 |
67 |
67 |
78 |
20 |
0 |
0 |
78 |
0 |
110 |
g/ton | |
酸性雨 | |||||||||||
SO2 + NOx |
70 |
70 |
2 |
0 |
0 |
1 |
5 |
7 |
7 |
H+/ton当量 | |
生活影響 | |||||||||||
悪臭 |
0.004 |
0.004 |
0.02 |
0.01 |
0 |
5 |
100 |
1.3 |
1.3 |
Smell unit/ton | |
気候変動 | |||||||||||
CO2 + CH4 |
-100 |
15 |
619 |
180 |
0 |
22 |
22 |
-70 |
-70 |
kg(CO2eq.)/ton | |
エネルギー | |||||||||||
純エネルギー生産 |
1.8 |
2.4 |
0.12 |
0 |
0 |
-0.12 |
-0.12 |
0.40 |
0.40 |
GJ/ton | |
除去 | |||||||||||
投棄残存物 |
50 |
36 |
0 |
0 |
0 |
50 |
450 |
50 |
450 |
kg/ton | |
化学廃棄物 |
35 |
26 |
2 |
0.2 |
0.2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
kg/ton | |
再利用可能残存物 |
200 |
144 |
0 |
0 |
0 |
400 |
0 |
400 |
0 |
kg/ton | |
空間的側面 | |||||||||||
空間の占拠 |
35 |
25 |
700 |
700 |
700 |
40 |
430 |
40 |
430 |
cm2/ton |
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
これらの環境汚染負荷係数を各複数案の廃棄物処理量の値に適用し、廃棄物処理に伴う環境負荷の予測を行っている。当該予測では、全国規模での環境負荷のみを予測しており、局地的な環境負荷の状況の把握は行っていない。この結果を次表以降に整理した。
表3.2.9環境負荷の予測計算値の一覧(抑制政策順調シナリオ)
有害物質/悪影響 |
単位 |
1990年 の現状 |
既存政策 |
参考案 |
複数案Ⅰ |
複数案Ⅱ |
複数案Ⅲ |
拡散
-重金属(Hg+Cd) -PAK(多重芳香属炭素) -ダイオキシン -有機物質 |
kg kg g ton |
5,457 | 5,445 | 5,696 | 3,257 | 4,632 | 2,463 |
62 | 3.7 | 3.8 | 3.1 | 3.4 | 2.7 | ||
147 | 4.1 | 4.3 | 2.2 | 3.3 | 1.5 | ||
792 | 202 | 211 | 359 | 228 | 303 | ||
酸性雨 -SO2 + NOx | Meq.H+ | 222 | 107 | 111 | 68 | 99 | 53 |
生活影響 -悪臭 | 1012ge | 17 | 55 | 43 | 45 | 9 | 9 |
気候変動 ?CO2 + CH4 | kton | 4,349 | -1,496 | -1,525 | -175 | -1,526 | -494 |
エネルギー | Pj | 6.2 | 20.9 | 21.5 | 11.4 | 20.1 | -9.6 |
除去
- 投棄残存物 - 投棄化学廃棄物 - 再利用可能残存物 |
kton kton kton |
220 118 637 |
398 164 1,802 |
402 164 1,891 |
548 76 1,316 |
359 165 1,502 |
896 49 1,043 |
空間の占拠 | ha | 79 | 29 | 28 | 46 | 32 | 50 |
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
表3.2.10環境負荷の予測計算値の一覧(抑制政策失敗シナリオ)
有害物質/悪影響 |
単位 |
1990年 の現状 |
既存政策 |
参考案 |
複数案Ⅰ |
複数案Ⅱ |
複数案Ⅲ |
拡散
-重金属(Hg+Cd) -PAK(多重芳香属炭素) -ダイオキシン -有機物質 |
kg kg g ton |
5,457 |
7,233 |
7,476 |
3,072 |
5,989 |
2,278 |
62 |
5.4 |
5.5 |
4.4 |
4.9 |
3.8 |
||
147 |
5.8 |
6.0 |
2.2 |
4.7 |
1.5 |
||
792 |
269 |
278 |
523 |
299 |
386 |
||
酸性雨 -SO2 + NOx | Meq.H+ |
222 |
147 |
151 |
74 |
134 |
55 |
生活影響 -悪臭 | 1012ge |
17 |
55 |
42 |
45 |
8 |
8 |
気候変動 -CO2 + CH4 | kton |
4,447 |
-2,086 |
-2,112 |
363 |
-2,168 |
-317 |
エネルギー | Pj |
5.6 |
29.5 |
30.1 |
11.8 |
28.1 |
9.8 |
除去
- 投棄残存物 - 投棄化学廃棄物 - 再利用可能残存物 |
kton kton kton |
220 118 637 |
484 222 2,041 |
494 221 2,137 |
594 80 1,118 |
433 228 1,588 |
1,118 49 845 |
空間の占拠 | ha |
79 |
45 |
44 |
77 |
49 |
78 |
出典:Afval Overleg Orgaan,’MILIEU-EFFECTRAPPORT ONTWERP TIENJARENPROGRAMMA AFVAL 1992-2002’ Deventerb, januari 1992よりMRI作成
7 )評価及び複数案の比較
前述6)の結果を踏まえ、各項目ごと及び各複数案の比較が行われた。比較に当たっては、前述6)の結果の比較により分析が行われ、重み付けによる比較などは行われていない。分析の実施前は、複数案Ⅲが最も環境にやさしい案と考えられていたが、比較分析の結果、複数案Ⅱが最も環境にやさしい案との結果が得られた。計画段階の環境の視点からは、複数案Ⅱは実現可能性、環境影響の合理性、既存の環境目的との両立などの間の妥協案として適切であったとSEAでは結論づけた。既存の処理施設の処理能力が十分ではないこと、技術的な経験も十分ではないことから、短期的には、第1次国家廃棄物管理10カ年計画案で提案された抑制政策順調シナリオに基づき実施し、長期的には複数案Ⅱが実施できるような状況を作っていくことが適当であるとSEAの中で結論づけられた。複数案Ⅱ及びⅢの評価の詳細を以下に示した。
複数案Ⅲは、最小焼却/最大事前分別/酵素分解の組み合わせである。この案は投棄すべき廃棄物の量が増大し、空間の占拠の規模も拡大し、また、エネルギー回収量が減少するのでCO2削減効果は限定されるが、汚染物質の拡散は減少する。
複数案Ⅱでは、複数案Ⅲと比較すると汚染物質の拡散は助長されるが、エネルギー回収が促進され、空間の占拠の規模はかなり縮小する。複数案Ⅱで採用している分別と酵素分解能力を拡充することは環境負荷の低減に役立つものであり、複数案Ⅱは、政策シナリオと比べて環境保護には有利と考えられた。
8 )意思決定への反映
本SEAは、ボランタリーベースで実施されたものであるが、地域及び地元関係機関の十分な参加を得て実施されたため、SEAの結果や計画の結論は広く受け入れられ、全体としての評価は高かった。また、SEAは計画者にとって有益なものであることから、計画策定者は、第2次国家廃棄物管理10ヵ年計画策定時にもボランタリーのSEAを実施することを決めた。