戦略的環境アセスメント総合研究会報告書(平成12年8月)

戦略的環境アセスメント総合研究会報告書TOPへ戻る

第2章 SEAの原則

(検討の対象)

(1)計画等を決定するための既存の手続とSEAとの関係

(評価の統合について)

環境面、社会面や経済面に関する評価を一体として行う場合には、環境情報を有する 機関や公衆、専門家の間での情報交流のベースを提供し、環境面からの評価結果を意 思決定のための情報として活用することを可能とするため、SEAでは、環境面から の評価結果を記した文書を作成することが必要である。

(手続の統合について)

環境面からの評価が科学的かつ客観的に行われるためには、環境面からの必要性に対 応して関与すべき者が適切に位置づけられた手続が必要である。このため、SEAは環境面に焦点を絞った一定の独立した手続として設けられる必要がある。

(意思決定への統合)

SEAは、総合的な意思決定過程(mainstream)に環境情報を提供する一定の独立 した手続として構成されるべきであるが、SEAの意義・最終目的は環境配慮の意思 決定への統合にあり、当然にSEA結果の意思決定(最終判断)への反映は確保され ねばならない。同時にSEAの結果と他の政策決定要素についての検討が、計画等策 定者において総合的に進められることが必要であり、そのポイントは、環境以外の要 素も含めた事業の目的や制約条件の設定、即ち最も初期段階における統合である。

SEAと総合判断との連携・統合の一例:英仏海峡トンネル連絡鉄道の例

 

p15.jpg (101146 バイト)

(2)評価の手続等に関する原則

(評価の主体)

SEAは、当該計画等の策定者が自ら行うものである。それは意思決定者の自主的環 境配慮という環境アセスメント全般の大原則によるものであるとともに、計画策定段 階において、環境配慮を意思決定に円滑に統合するための必然でもある。ただし、こ れは十分な情報公開と第三者の関与によってはじめて正当化されるものである。

(公衆や専門家の関与)

○SEAでは、公衆や専門家の関与が必要である。

(公衆の関与の位置付け)

(評価の審査)

SEAでは、環境の保全に責任を有する機関(部局)が関与できることが必要である。

(3)スコーピング及び評価に関する原則

(複数案の比較による評価)

○SEAでは、複数の案について比較評価を行うことが必要である。

(検討すべき案の範囲)

検討される複数案は、とりうる選択の幅をカバーする必要がある。同時に「戦略的な」レベルで意味のある選択肢を検討すべきである。

(評価の視点)

環境保全面からの評価に当たっては、環境基本計画等で望ましい環境像や環境保全対策の基本方向が示されていることが望ましい。

(広域的な視点からの環境の改善効果も含めた評価)

SEAでは、より広域的な視点から、環境の改善効果も含めて、複数の事業の累積的な影響を評価することが期待される。

(スコーピング)

SEAでは、スコーピングは、単なる手法や項目の検討から「検討範囲の設定」及び「問題の絞り込み」という性格等が強まるため、事業の実施段階での環境アセスメント以上に重要である。

(スコーピングの手続における公衆等の関与)

戦略的環境アセスメント総合研究会報告書TOPへ戻る