平成12年度 第1回水環境分科会
資料7

資料一覧へ戻る

技術シート

登録番号:地下水-1

環境項目

地下水

技術等

の種類

調査・予測

評価・その他

技術等の名称

地下水流動:トレーサ法

技術等の概要

電解質(食塩・塩化アンモニウム)、染料(フロレッセン)、同位体等の人工の指標物質をトレーサとして投入孔などから地下水中に投入し、これを周囲に設けた観測孔などでその濃度を検出して、地下水の流向や流速を把握する手法である。
地下水の流向と流速を同時に測定する場合には、投入孔を中心として、投入孔から数m間隔の同心円上に8本以上の観測孔を設置し、流向が既知の場合には、地下水流動の上流側に投入孔を下流側に数本の観測孔を設置する。
試験は、投入孔からトレーサを投入、トレーサが到達する観測孔の位置、到達時間、濃度変化を測定する。

調査・予測の必要条件 ・投入孔、観測孔は、通常口径66~86mm程度で掘削。
・掘削孔内は、帯水層部分がスクリーン(ストレーナ)加工された外径50~75mm程度の塩化ビニール管を挿入し仕上げる。
・トレーサのバックグラウンド濃度の把握。
・使用するトレーサには以下の条件を満足する必要がある。
[1]地下水と同一挙動をとり、移動過程での吸着、沈殿が少ない。
[2]極低濃度までの検出が可能。
[3]毒性がない。
[4]天然の存在量が少ない。
[5]トレーサの入手、測定が簡易なこと。
適用範囲 ・比較的小規模河川堤防の維持管理、水源管理等の地下水流動系の把握に適用。
課題 ・本方法で得られる地下水流動は、以下の要因によりおおむね過大にでる傾向があり、場所、深度を変えて繰り返し行う必要がある。
・投入物質の比重が水より大きく沈殿するため、流動より拡散の影響が大きい。
・投入物質の量が多いため、口径の小さいボーリング孔では孔内水位の異常上昇や、地下水面の攪乱が生じる。
・採水時の地下水面の低下による影響を受けやすい。
・調査範囲が広くなると時間がかかり、不正確になる。
・観測データの取り扱いに経験を要する。
・水質等に係る関係法令の尊守
参考とした文献・資料 ・「地下水調査および観測指針(案)」(建設省河川局 1993年)
・「地下水調査法」(山本荘毅 1983年)
・「改訂地下水ハンドブック」((株)建設産業調査会 1998年)
・「地下水資源・環境論」(共立出版(株) 1993年)
備考 ・広域の地下水流動系の把握には、地下水に溶存する物質や地下水温を指標とする方法がある。
技術の内容の説明資料 あり・なし 事例 あり・なし

資料一覧へ戻る

前のページ

次のページ