【Ⅲ-1】 表Ⅱ-1-1 地域特性に応じた人と自然との触れ合い要素の把握手法
地域 類型 |
着眼点 |
表現の精度及び 範囲(目安) |
把握すべき要素 | ||
大分類 | 要素例 | ||||
山 地 自 然 地 域 |
山地自然地域には原生的自然やすぐれた自然が比較的多く分布しており、その中では非日常的な自然体験型の触れ合いが主体となり、行動の範囲や眺望の広がりなどが比較的大きく、資源規模も大きくなる傾向にある。また、古くからの山岳信仰等の独特の生活文化の存在にも留意が必要である。 |
・1/20万~1/5万 ・20~30km四方 |
基盤的要素 |
特徴的な地形 | 緩傾斜地、急傾斜地、山頂、峠、稜線、尾根、断崖、洞窟、地形の変換点 等 |
水系 | 渓谷、滝、沢、湿地、温泉 等 | ||||
内水面 | 湖、池沼、ダム 等 | ||||
生物的要素 | 動物 | 中型・大型獣生息地、野鳥生息地 等 | |||
植物 | 自然林、草原、特定植物群落 等 | ||||
人文的要素 |
道 | 登山道、長距離自然歩道、自然観察路 等 | |||
歴史文化 |
信仰の対象物(巨木・巨石等)、寺社仏閣、文化財 等 | ||||
公的施設 | ビジターセンター、公園施設 等 | ||||
野外レク地 | スキー場、マス釣り場、キャンプ場、展望地 等 | ||||
法指定地域等 | 自然公園、鳥獣保護区、保安林、天然記念物(地域) 等 | ||||
里 地 自 然 地 域 |
里地自然地域には自然と人との様々な係わり合いの歴史があり、ふるさとの風景の原型として想起されてきたという特性がある。そのため、その中に存在する資源は二次的自然が多く、展開されている活動には人々にとって懐かしく、親しみや安らぎを与えるものが主体となる。古くから人の手が入った自然であるため、一般的には山地よりも活動範囲や規模は小さくなるものの、多くの要素がモザイク状に集まっているため、地形や景観のきめの細かさに特徴があり、多様な触れ合いの形態を可能とする点に留意が必要である。 |
・1/5万~1/1万 ・10~20km四方 |
基盤的要素 |
特徴的な地形 | 緩傾斜地、急傾斜地、山頂、峠、段丘、崖線、谷戸地形、地形の変換点 等 |
水系 | 河川、河原、渓谷、土手、用水路、湿地 等 | ||||
内水面 | 湖、池沼、ため池 等 | ||||
生物的要素 |
動物 |
里地型動物生息地、野鳥生息地、○○ウォッチングポイント 等 | |||
植物 |
雑木林、鎮守の森、巨樹・巨木林・名木、原っぱ、特定植物群落 等 | ||||
人文的要素 |
道 |
古道、○○の道(関東ふれあいの道等)、遊歩道、ハイキング道、自然観察路 等 | |||
農地 | 水田、畑、果樹園 等 | ||||
歴史文化 |
信仰の対象物、遺跡・史蹟、寺社仏閣、文化財、ランドマーク 等 | ||||
公的施設 | 学校、資料館、公園 等 | ||||
野外レク地 |
フィールドアスレチック、観光牧場・農園、花見の名所、○○の里、キャンプ場、展望地 等 | ||||
人口分布 | 人口分布、人口密集地 等 | ||||
法指定地域等 | 自然公園、 鳥獣保護区、保安林、緑地保全地区等、天然記念物(地域) 等 | ||||
平 地 自 然 地 域 |
平地自然地域では高密度な人間 活動が行われており、まさに日常生活の中で触れ合うことのできる身近な場所に残された緑地や水辺などの自然が重要な要素となる。そのため資源の規模は一般的に小さくなる傾向にあり、従来の価値観では見落としがちな要素が主体を成す点に留意する必要がある。 |
・1/2.5万 ~1/数千 ・10km四方 |
基盤的 要素 |
特徴的地形 | 緩傾斜地、丘、小高い山、地形の変換点 等 |
水系 | 大小河川、土手、河川敷、湿地、用水路、中洲等 | ||||
内水面 | 湖、池沼、ため池 等 | ||||
生物的要素 |
動物 | ○○ウォッチングポイント 等 | |||
植物 |
緑道、鎮守の森、学校林、屋敷林、巨樹・巨木林・名木、原っぱ、特定植物群落 等 | ||||
人文的要素 |
道 |
○○の道、遊歩道、自然観察路、サイクリングロード、散歩道 等 | |||
農地 | 水田、畑、果樹園 等 | ||||
歴史文化 |
信仰の対象物、遺跡・史蹟、寺社仏閣、文化財、ランドマーク 等 | ||||
公的施設 | 学校、資料館、都市公園、広場 等 | ||||
野外レク地 | 花見の名所、ボート乗り場、展望地 等 | ||||
人口分布 | 人口分布、人口密集地 等 | ||||
法指定地域等 |
自然公園、鳥獣保護区、緑地保全地区等、 生産緑地、市民農園、トラスト対象地、天然記念物(地域) 等 | ||||
沿 岸 海 域 |
沿岸域は海の自然と人との関わりを支える場であり、自然海岸~人工海岸、断崖~砂浜まで様々な条件が含まれることから、一概に資源の規模や活動の傾向を特定できない。ただし、水際線への接近性が高いほど、自然性が高いほど、許容し得る活動の幅は広がり、資源規模も大きくなる傾向がある。また、陸域での連続性がなくても、船を移動手段とした連続性や関連性が生じたり海域を挟んだ対岸に視覚的関連性が生じる可能性もあることに留意が必要である。 | ・1/20万 ~1/2.5万 ・後背地が山地・里地・平地のいずれの環境が主体をなしているかによって、それぞれの陸域の範囲を目安として設定するが、海域による連続性を考慮し、広めに設定することが望ましい。 |
基盤的要素 | 特徴的な地形 | 磯、砂浜、干潟、鼻、岬、断崖、珊瑚礁、河口、潟湖、汽水湖 等 |
生物的要素 |
動物 | タイドプール、珊瑚礁等の生息地 等 | |||
植物 |
海浜植生、海岸林、マングローブ林、特定植物群落 等 | ||||
人文的要素 |
道 |
散策道、○○の道、自然観察路、サイクリングロード 等 | |||
歴史文化 |
信仰の対象物、遺跡・史蹟、寺社仏閣、文化財、ランドマーク 等 | ||||
公的施設 | 港、灯台、桟橋、学校、資料館、公園 等 | ||||
野外レク地 | 海水浴場、ダイビングスポット、展望地 等 | ||||
人口分布 | 人口分布、人口密集地 等 | ||||
法指定地域等 | 自然公園、鳥獣保護区、天然記念物(地域) 等 |
注:「表現の精度及び範囲」はあくまで地域の一般的特性から見た地域概況調査に用いる精度及び範囲の目安であり、実際には事業の内容・規模および当該地域の特性に応じてケースバイケースで柔軟に対応する必要がある。また、「範囲」の○km四方とは、面的な開発事業を念頭においた表現であり、線的開発事業では事業区間に対し両側に幅○kmで範囲を設定するのが一般的である。