平成13年度第1回陸域分科会

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3.評価  

 本事業の当初計画(事業計画1・2・3)の実施は、大規模な森林の減少・断片化や水田の減少、水田と森林の分断、地下水位の変化などを招き、里山とこれを構成する広葉樹林、谷戸、などの単位でとらえた生態系に影響を及ぼすことが予測された。
 そこで、事業計画を修正し、道路のルート変更、地形改変・道路構造の形式の配慮、環境復元などの措置を中心としたシナリオAと、これに事業規模の縮小を加えたシナリオBを設定した。
 シナリオAとシナリオBの評価の比較検討結果を表3.1に示す。この結果、シナリオBの保全措置を採用することにより、当該生態系への影響を実行可能な限り回避・低減できると評価した。
 ただし、当該生態系の予測と環境保全措置の効果に関しては、不確実な部分が多く残されている。

表3.1 生態系の評価の検討例

  保全措置案

 

 

評価項目

 シナリオA   シナリオB
事業規模をほぼ維持し、道路のルートの変更や地形改変・道路構造の形式・形状の配慮、環境復元などを中心とした措置で対応。 事業規模の縮小、道路のルート変更、環境復元などを中心とした措置で対応。
 生 態 系  地形改変を低減したり透水性や水質を確保したりして、シュレーゲルアオガエルに代表される良好な水環境やカタクリに代表される特殊な水環境などを保全することで一定の効果を上げると予測される。しかし、北部の丘陵地における樹林が一部改変されることで、フクロウ、ヤマガラ、シュレーゲルアオガエルの存在に代表される保全対象(森林の広がり・つながり、水域~森林のつながりなど)への影響が残る可能性が出た。 事業規模を縮小するシナリオBと比較すると、影響の程度が大きいと評価される。  事業規模を縮小することが保全に大きく寄与すると考えられ、さらに、道路のルート変更、環境復元などにより、北部の広葉樹林や谷戸が残り、生態系への影響を実行可能な限り回避・低減することがことができると評価される。 ただし、当該生態系の予測と環境保全措置の効果に関しては、以下のような点で実績が少ないことにより不確実な部分がある。

・フクロウ:森林の改変が里山生態系に 及ぼす影響、森林回復までの環境変化 で受ける影響

・ヤマガラ:最西端のペア(c)の分布域近 辺における森林減少が、広葉樹林の生 態系に与える影響

・カタクリ:復元等による生育地回復 

4.事後調査  

 環境影響評価の結果必要となった環境保全措置については、現時点では効果の不確実性が大きいと予測された。このため、事業実施後の環境調査の実施により、環境保全措置の効果等の検証を行い、不確実部分の解明を図ると同時に、適切かつ効果的に環境を保全することとした。  なお、ここでは、シナリオBの事後調査について示す。

4.1 目的
 注目種等の存在により代表される生態系に対して講ずる環境保全措置の効果と不確実性を検証するため、各注目種の利用状況等について事後の追跡調査を実施する。

4.2 調査地域
  環境影響評価で設定した調査地域を基本とする。特に、工事ヤードに隣接する地域や環境復元を試みる森林、改変地に近い水域に関しては、重点的に事後調査を行う。

4.3 調査項目
 フクロウ(上位性)、ヤマガラ(典型性)、シュレーゲルアオガエル(典型性)、カタクリ(特殊性)の存在により代表される生態系の事後調査の項目は、図4.1に示すとおりである。

4.4 調査期間
 調査期間は以下のとおりとする。 ・工事中:事業者による詳細調査 ・供用後1~5年:事業者による詳細調査 ・供用後5年以降:管理者による概略調査

4.5 調査手法(詳細は「調査・予測」を参照)

・フクロウ:
・ヤマガラ:
・シュレーゲルアオガエル:
・カタクリ:

4.6 調査結果の取り扱い方針
  調査結果については、報告書にとりまとめ公表する。公表は、関係機関における公告・縦覧、ホームページ等により行う。調査結果とこれに関する意見から、環境保全措置の見直しが必要であると判断された場合は、環境保全措置の修正を検討する。

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