平成12年度 第2回陸域分科会

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[11年度の検討内容]

○陸域分科会では「陸域生態系」を対象として、10年度のスコーピングに関する検討を踏まえ、環境影響評価の実施段階の調査手法及び予測手法を中心に検討し、効果的な調査・予測作業の進め方、実施上の留意点などをとりまとめた。

○スコーピングについても、生態系へ与える影響の整理方法や調査地域の設定方法など、前年度十分な検討ができなかった事項について補完的な検討を行い、作業手順の再整理を行った。 

○陸域生態系の検討に際しては、総論として示す環境影響評価の一般的な考え方や留意点をより良く理解できるように、多様で身近な二次的自然が存在する関東地方の丘陵地(里山地域)を例に取り上げ、架空の環境と事業(面整備事業)を想定したケーススタディを行い、スコーピングから調査、予測まで、一連の具体的な作業例を示した。

○「陸域生態系」に関する調査・予測手法

陸域生態系アセスの調査・予測手法について、基本的事項で例示された上位性、典型性、特殊性の視点からの注目種による手法を具体的に示した。

・注目種による手法の検討と併せて、動植物項目の調査(植生調査や動植物相調査)や地形・地質、水環境に関する調査結果を有効に活用して、対象地域の生態系の類型と基盤環境、生物群集の関係を整理して、事業がそれらに及ぼす影響を捉えることを検討し、その手法を具体的に示した。

関東の里山地域での面整備を想定したケーススタディを行い、具体の作業例を提示した。作業例として示した注目種は、フクロウ、ヤマガラ、シュレーゲルアオガエル、カタクリの4種であり、それぞれについて具体的な調査及び予測手法を示した。またこの解析にはGISを活用した。

○生態系の調査・予測・評価手法を検討する上で参考となる既存の手法についてレビューした結果を整理して示した。

図Ⅰ-2-2 ケーススタディの作業のフロー

図Ⅰ-1-5 基盤環境と生物群集の関係の調査から予測の流れ

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表Ⅰ-1-3 基盤環境と生物群集について調査する情報(例)

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図Ⅰ-2-13 詳細類型区分図

表Ⅰ-2-14 詳細類型区分と動植物種の対応関係

図Ⅰ-2-14 隣接する詳細類型区分と基盤環境、植生の関係

表Ⅰ-2-15 事業による詳細類型区分の消失面積及び割合

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表Ⅰ-1-16 事業計画案ごとの影響の比較

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図Ⅰ-1-6 注目種・群集の調査から予測の流れ

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図Ⅰ-2-16 フクロウの調査・予測の流れ

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図Ⅰ-2-17 フクロウの生息場所好適性区分図作成のための手順

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表Ⅰ-2-17 フクロウの類型化された18の生息場所区分ごとの好適性(A~E)

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表Ⅰ-2-18 推定行動圏内の生息場所好適性区分別面積(ha)

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表Ⅰ-2-19 各事業計画案とペアaの好適な生息場所の消失面積(ha)

 

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図Ⅰ-2-18 フクロウ生息場所好適性区分図

2.今年度の検討事業(昨年度の中間報告書より)

 今年度検討する陸域生態系に関する環境保全措置、影響評価、事後調査の内容については、昨年度同様に生態系の保全の観点からより良い環境配慮を事業計画に組み込むための効果的な環境影響評価手法としてとりまとめていく必要がある。

 本検討会の今年度における主要な検討課題として昨年度の中間報告書は次のような事項をあげた。

今後の検討課題

(平成11年度中間報告書より)

1 「生態系」項目に関する事項

(1)陸域の環境特性、事業特性に応じた調査・予測・評価

(2)環境保全措置

(3)影響評価

(4)事後調査

2 「植物・動物」項目及び「地形・地質」項目に関する事項

3.今年度の陸域分科会の検討の進め方

 今年度の陸域生態系については、一昨年度のスコーピングの進め方、昨年度の環境影響評価の実施段階における調査・予測手法に関する検討結果を受けて、残る評価手法、環境保全措置の検討方法、事後調査の手法について検討を行う。

1)評価・環境保全措置・事後調査

 陸域分科会では本年度評価及び環境保全措置、事後調査の検討を行うこととする。この検討については、現在知られている評価手法、環境保全措置、事後調査の事例をレビューして整理し、これらを行う場合の検討の考え方、手順、留意点、わかりやすい記載や表現方法等について検討するとともに、事例についてはアセスの実施に資する基礎資料として整理するものとする。(表-1)

2)動物、植物、地形・地質項目

  動物、植物、地形・地質のそれぞれの項目の環境影響評価の実施段階における調査・予測・評価手法、環境保全措置の検討方法、事後調査の手法に関する検討については、海域、陸水域両分科会と横断的に、それぞれ個別に別途検討を行うこととする。

表-1 平成12年度生物の多様性分野の環境影響評価技術検討会
陸域分科会 検討スケジュール

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