海域生態系の環境保全措置の実施事例

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表3-6(5) 関西国際空港護岸

環境保全措置の効果

2.藻類分布調査

[2]魚介類
出現した魚介類は、軟体動物11種類、節足動物5種類、棘皮動物6種、原索動物
1 種類、魚類86種類、ほ乳類1種類の合計110種類を観察(観察された魚介類は下記)
1) 空港島を周年すみかとして利用しており多数出現する魚介類
アイナメ、クジメ、コブダイ、スズメダイ、メバル、カサゴ、サザエ、ボラ、マダコ等
2) 水温の高い時期に空港島でみられる魚介類
メジナ、イシダイ、クロダイ、アイゴ、イシガキダイ、マコガレイ、マダイ、ウマズラハギ等
3) 水温の低い時期に空港島でみられる魚介類
マナマコ等
4) 出現量は少ないが、空港島でみられる有用な魚介類
イセエビ、クロアワビ、マダカアワビ、ヒラメ、カンパチ、クロイソ、キジハタ、シマアジ、ムラサキウニ等
5) 出現回数は少ないが、大群でみられる魚介類
マアジ、マイワシ、マルアジ、マサバ等
6) 空港島の藻場で産卵している魚介類
アイナメ、マダコ等

3.調査のまとめ

[1] 護岸構造と藻類出現種類数
海藻類の出現種類数は冬季に多く、夏季~秋季にかけて減少する季節変化を繰り返しながら徐々に増加している。
緩傾斜石積護岸における出現種類数は、直立護岸での出現種類数を常に上回る。
緩傾斜石積護岸が着生・成育に適した構造であることを示す。
[2] 藻場面積
表1 空港島に創出された藻場面積と大阪湾の藻場面積との比較
一般に藻場と呼んでいる大型海藻による藻場総面積は20.7ha、各種の実勢面積は合計9.0haである。
大型藻類に小型藻類であるテングサ場、アオサ場も加えた全藻場では総面積は22.2ha、実勢面積は9.6haである。
空港島に創出された藻場は、ガラモ場が10.9ha(大阪湾全体のガラモ場の26%)、海中林が20.3ha(大阪湾全体の海中林の5%)、テングサ場は10.5ha(大阪湾全体のテングサ場の16%)、アオサ場は7.3ha(大阪湾全体のアオサ場の4%)である。
大阪湾全体の藻場面積が20年の間に減少している可能性が高いことを考えると、空港島藻場が大阪湾において果たしている役割は大きいものと考えられる。

表1 空港島に創出された藻場面積と大阪湾の藻場面積との比較

調査年 場所 海中林 ガラモ場 アオサ場 テングサ場 アマモ場
1976~1977年 [1]大阪湾(大阪府側) 326.9 9.6 148.1 34.6 0
1977年 [2]大阪湾(淡路島側) 81.7 32.3 31.8 32.3 14.7
1976~1977年 [1]+[2]大阪湾全体 408.6 41.9 179.9 66.9 14.7
1989~1996年 空港島 20.3 10.9 7.3 10.5 0
空港島藻場の大阪湾全体に対する割合 5.0% 26.0% 4.1% 15.7% 0%

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