環境影響評価法の成立、公布(平成9年6月)を受け、環境影響評価に関する基本的事項が平成9年12月に、また主務省庁が定める技術指針等(主務省令)が平成10年6月に定められた。
環境影響評価の技術手法については、基本的事項、技術指針等において、基本的な考え方や留意事項が示されているが、今後、環境要素ごとに国内外の最新の科学的知見や事例を収集・整理し技術手法のレビューを行うとともに、技術手法の開発・改良のための検討を行い、我が国の環境影響評価技術の向上を図る必要がある。さらに、その結果に基づき、基本的事項等を改訂していく必要がある。
これらの点を踏まえ、本検討会は、大気・水・環境負荷分野(「基本的事項」に定める「環境の自然的構成要素」及び「環境への負荷分野」を指す。前者は、大気質、騒音、振動、悪臭、水質、底質、地下水、地形・地質、地盤、土壌などの環境要素の汚染の程度及び広がり又はその状態の変化の程度及び広がりについて、これらが人の健康、生活環境及び自然環境に及ぼす影響を把握するため調査・予測・評価を行うもの、後者は地球環境保全に係る環境影響のうち温室効果ガスの排出量等環境への負荷量の程度を把握することが適当な項目又は廃棄物等に関し、それらの発生量等を把握することにより調査・予測・評価を行うものをいう。)に関する環境影響評価技術の向上を図ることを目的として、環境影響評価の効果的な技術手法について学識経験者による専門的な立場からの検討を行うものである。検討結果については、事業者、地方公共団体、国民、国の関係行政機関など環境影響評価に関わる様々な主体が参考とできるよう、とりまとめ、公表する。
環境庁企画調整局長の委嘱により、大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会を次のとおり設置して検討を行った。さらに、それぞれの環境特性に応じた検討を行うため、検討会の下に大気、騒音、水環境、環境負荷の4つの分科会を設けた。
なお、検討会事務局は環境庁企画調整局環境影響評価課に置き、検討のために必要な作業は、同課及び請負を受けた日本工営(株)が次のワーキンググループを設置して行った。
本検討会では、大気・水・環境負荷分野の環境影響評価の技術手法についての検討を進める。
検討は3ヶ年計画で進めることとし、初年度は、環境影響評価法において新たに導入されたスコーピング(方法書手続並びに環境影響評価の項目及び手法の選定)の段階に焦点をあて、その効果的な進め方について、大気、騒音、水環境、環境負荷の4つの分科会に分けて検討を行った。また、環境要素毎に最新の科学的知見等を収集・整理し、調査・予測評価の技術手法のレビューを行った。
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会
| 氏名 | 所属等 | 分科会・ワーキング | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 大気 | 水質 | 騒音 | 負荷 | |||
| 【検討員】 | ||||||
| 石川 忠晴 | 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授 | ○ | ||||
| 浦野 紘平 | 横浜国立大学工学部教授 | ○ | ||||
| 沖野外輝夫 | 信州大学理学部教授 | ○ | ||||
| 新藤 静夫 | 千葉大学名誉教授 | ○ | ||||
| 須藤 隆一 | 生態工学研究所代表 | ○ | ||||
| 橘 秀樹 | 東京大学生産技術研究所教授 | ★ | ||||
| ☆ | 永田 勝也 | 早稲田大学理工学部教授 | ★ | ★ | ||
| ◎ | 中西 弘 | 山口大学名誉教授 | ★ | |||
| 難波精一郎 | 宝塚造形芸術大学造形学部教授 | ○ | ||||
| 福島 徹二 | 横浜市環境保全局公害対策部長 | ○ | ||||
| 細見 正明 | 東京農工大学工学部教授 | ○ | ○ | |||
| 森口 祐一 | 環境庁国立環境研究所地域環境研究グループ総合研究官 | ○ | ○ | |||
| 横山 長之 | 財団法人日本気象協会参与 | ○ | ||||
| 若松 伸司 | 環境庁国立環境研究所地域環境研究グループ総合研究官 | ○ | ||||
| 渡辺 正孝 | 環境庁国立環境研究所水土壌圏環境部長 | ○ | ||||
| 【ワーキング委員】 | ||||||
| 安藤 文人 | (株)復建エンジニアリング環境計画部部長代理 | ○ | ||||
| 岩崎 好陽 | 東京都環境科学研究所応用研究部長 | ○ | ||||
| 内田 唯史 | 財団法人九州環境管理協会環境部部長代理 | ○ | ||||
| 沖山 文敏 | 川崎市環境局公害部騒音振動課長 | ○ | ||||
| 小島 伸一 | 新日本気象海洋(株)取締役環境技術本部副本部長 | ○ | ||||
| 古明地哲人 | 東京都環境科学研究所応用研究部主任研究員 | ○ | ||||
| 塩田 正純 | 飛島建設(株)技術研究所長 | ○ | ||||
| 手塚 和彦 | 千代田ディムズ・アンド・ムーア(株)環境管理計画室長 | ○ | ||||
| 中村 裕昭 | (株)地研コンサルタンツ取締役技術統括部長 | ○ | ||||
| 一柳 文雄 | 日本技術開発(株)環境防災事業部環境部部長代理 | ○ | ||||
| 村山 彰啓 | (株)オストランド循環社会計画部門主任研究員 | ○ | ||||
| 安楽岡 顕 | (株)数理計画数理計画本部取締役本部長 | ○ | ||||
| 山田 和人 | パシフィックコンサルタンツ(株)総合計画本部環境部課長 | ○ | ||||
| 横山 尚秀 | 神奈川県温泉地学研究所研究部長 | ○ | ||||
| 注1) | ◎:検討会座長、 ☆:検討会座長代理、 ★:分科会座長 |
| 2) | 各分科会における主な検討事項は次のとおり。 |
| 大気:大気汚染、悪臭、(風害、日照阻害、光害) | |
| 水質:水質、底質、地下水、水象、地盤、土壌 | |
| 騒音:騒音、振動、低周波音 | |
| 負荷:温室効果ガス等、廃棄物等 |
検討会及び分科会は、下記の日程で開催した。なお、検討会及び分科会についてはワーキンググループ委員の出席も得て開催した。
| 第1回 検討会 | 平成11年 3月 4日 |
| 第1回大気分科会 | 平成12年 1月25日 |
| 第1回環境負荷分科会 | 平成12年 2月16日 |
| 第1回騒音分科会 | 平成12年 2月17日 |
| 第1回水環境分科会 | 平成12年 2月24日 |
| 第2回騒音分科会 | 平成12年 4月24日 |
| 第2回大気分科会 | 平成12年 5月 9日 |
| 第2回水環境分科会 | 平成12年 5月12日 |
| 第2回環境負荷分科会 | 平成12年 5月18日 |
| 第2回 検 討 会 | 平成12年 7月10日 |
上記の初年度の検討結果を本検討会の中間報告書「大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(I)-スコーピングの進め方について-」としてとりまとめた。
中間報告書は、以下の構成とした。
| 序章 | 検討の目的と経緯 |
| 第1章 | 環境影響評価法の概要 |
| 第2章 | 大気・水・土壌環境分野のスコーピング(環境影響評価の項目・手法の選定)の考え方と実施手順 |
| 第3章 | 大気・水・土壌環境に関するスコーピングの進め方(各論) |
| 第4章 | 環境負荷分野のスコーピングの考え方と実施手順 |
| 第5章 | 環境影響評価における技術レビュー |
| 第6章 | 今後の検討課題 |
序章及び検討の前提となる第1章については、事務局の環境庁企画調整局環境影響評価課が記載した。第2章から第6章までは、検討会での検討結果をとりまとめたものである。
なお、この報告書のとりまとめにあたっては、検討会、ワーキンググループの各委員のほか、地方公共団体、(社)地下水技術協会、環境コンサルタントなどの多くの方々に貴重なご意見や資料の提供をいただいた。