SEA総合研究会関連資料 平成14年第1回検討会(平成14年11月5日)
資料2 SEAと計画策定の関係
昨年度における「廃棄物分野における戦略的環境アセスメントの考え方」検討に際しても、また、海外の専門家との意見交換に際しても、SEAと計画策定プロセスとの関係をどう整理していくかが常に課題となっている。
SEAは、事業アセスメントと比較して、
- 取りうる選択肢の幅が広く、その代わり詳細な環境影響を評価することは困難であり、環境面からのチェックという側面よりも計画策定に環境面からの評価をなるべく早い段階から効率的かつ明示的に反映させることが目的となること
- 事業アセスに加えてSEAを行うことによる時間的負担を軽減する必要があること
から、SEAは計画策定そのものと同時並行で、かつ相互に強い関係を持ちながら進めることが望まれる。
一方で、総合研究会報告書で、「環境面からの評価が科学的かつ客観的に行われるためには、環境面からの必要性に対応して関与すべき者が適切に位置づけられた手続きが必要である。このため、SEAは環境面に終点を絞った一定の独立した手続きとして設けられる必要がある。」とされているように、一定の独立性も必要とされる。
そのような観点から、SEAと計画策定手続きとの関係をどのように整理するかが課題となる。
具体的には
- A案
- SEAは他の面からの計画策定手続きと分離した手続きとする。評価についても、環境面からの評価を明確にすることを目的とする。
- B案
- 環境面から必要とされる、環境面からの独立した調査・検討・評価が行われる等SEAとして必要な要素が明確なかたちで実施されれば、目標・指標の設定や評価に関する文書作成や公衆関与等の手続きに関しては他の面からの計画策定手続きと一体的に行われても良い。評価についても、最終的な計画策定に環境面からの情報が活用されることを目的とする。
という2つの考え方がある。
どちらの考え方を取るかによって、
- SEAの評価に関する公衆関与を独立して行う必要があるか?計画全体について公衆関与が行われる場合、その中で行われたこととしても良いか?
- SEAの経過に関して、独立した報告書が必要か?計画全体に関する報告が行われる中で情報開示がされれば良しとするか?
- SEAの評価は、あくまで環境面からの総合評価を目指してどの案が総合的に望ましいかを示すことを目的とするか、計画全体の評価を行うための材料としての機能を果たすように、環境から最も望ましい案を示すこと以上に、それ以外の案も含めてそれぞれの案の長所と短所を示すことに重点を置くか
といった点について具体的な手法に違いが出てくるものと考えられる。
この他、SEAと計画策定の関係については、次のような論点がある。
- 計画本体について情報公開や第三者関与が行われていない場合、SEAとしての情報公開や第三者関与が困難になる場合があるが、その場合も、あくまで環境に特化した情報公開や第三者関与を行うのか。
- 審議会等において計画策定が議論される場合、環境専門家の関与のあり方として、計画全体環境面について専門に議論する審議会を設置すべきか、環境面の分科会等を設ければよいか、全体の審議の中で環境面についても議論がなされればよいのか。
- 計画の性格により、SEAを実施することが効果的な段階が異なり、必要とされるSEAの精度も異なる。計画によっては極簡略な評価を行って大枠を定めた上で、通常のSEAを行う必要がある場合も考えられる。
- 計画本体の熟度によって、SEAにおいて必要とされる情報のレベルも異なる。さらに、具体的な個別事業が想定されない、より政策レベルに近い計画等の策定に対するSEAについては、SEAの手続き自体も簡略化される場合があり得る。(オランダのEテストほどではなくても、計画レベルに応じて必要となる環境面からの検討のレベルも異なるものと考えられる。)