1. 環境影響評価における保全措置の事例(表-1)
現段階で評価書等に記載されている環境保全措置について、環境影響評価情報支援ネットワーク(http://www.eic.or.jp/eanet/assessment/)を利用し事業種類別にまとめた。
ここでは水環境に関わる事業として、
道路、河川、飛行場、発電所、廃棄物処理施設、埋立て及び干拓、各種土地造成、(下水終末処理施設、レジャー施設、土砂採取)()内は詳細事例なし。
の10事業を選択した。
検索は1997~2001年の過去5か年を基本としたが、詳細な記述が記載されている件数が少ない事業(河川、廃棄物処理施設、埋立て及び干拓)については1992~2001年の10か年とした。事例を以下に示す。
<道路>
1) | 小樽都市計画道路1・3・1小樽山手道余市都市計画道路1・3・1余市望海台通(余市町~小樽市間自動車専用道路)環境影響評価書 |
2) | 東金茂原道路環境影響評価書 |
3) | 横浜湘南道路(鎌倉市関谷~藤沢市城南一丁目)環境影響評価書 |
4) | 横浜湘南道路(横浜市栄区田谷町~横浜市戸塚区東俣野町)環境影響評価書 |
5) | 七尾都市計画道路1.3.1能越自動車道線能越自動車道(七尾~大泊)環境影響評価書 |
6) | 環境影響評価書(八鹿都市計画道路1.3.1号北近畿豊岡自動車道/和田山都市計画道路1.3.2号北近畿豊岡自動車道) |
7) | 環境影響評価書 白浜都市計画道路1.4.2号高規格幹線道路白浜すさみ線 日置川都市計画道路1.4.1号高規格幹線道路白浜すさみ線すさみ都市計画道路1.4.1号高規格幹線道路白浜すさみ線 |
8) | 環境影響評価書 打田都市計画道路1.3.2号京奈和自動車道紀北西道路線/岩出都市計画道路1.4.1号京奈和自動車道紀北西道路線/和歌山海南都市計画道路1.3.2号京奈和自動車道紀北西道路線 |
9) | 玉島笠岡道路環境影響評価書 |
10) | 岩国大竹道路環境影響評価書 |
11) | 岩国大竹道路環境影響評価書 |
12) | 中津都市計画道路1・3・1号三光宇佐線宇佐都市計画道路1・3・2号三光宇佐線環境影響評価書 |
<河川>
1) 天塩川水系サンルダム建設事業環境影響評価書 | |
2) 夕張シューパロダム建設事業環境影響評価書 | |
3) 石狩川水系幾春別川総合開発事業環境影響評価書 | |
4) 石狩川水系当別川当別ダム建設事業環境影響評価書 | |
5) 岩木川水系津軽ダム建設事業環境影響評価書 | |
6) 雄物川水系成瀬ダム建設事業環境影響評価書 | |
7) 利根川水系思川開発事業環境影響評価書 | |
8) 斐伊川放水路事業環境影響評価書 | |
9) 斐伊川水系尾原ダム建設事業環境影響評価書 |
<飛行場> | |||||||||
1) 花巻空港整備事業に係る環境影響評価書 | |||||||||
2) 関西国際空港2期事業に係る環境影響評価書 | |||||||||
3) 岡山空港拡張整備事業(3000m化)に係る環境影響評価書 | |||||||||
<発電所> | |||||||||
1) 大間原子力発電所環境影響評価書 | |||||||||
2) 広野火力発電所5・6号機環境影響評価書 | |||||||||
3) 東亜石油エネルギー供給施設環境影響評価書 | |||||||||
4) コスモ石油四日市霞発電所環境影響評価書 | |||||||||
5) 大分製鐵発電所(9号機)環境影響評価書 | |||||||||
<廃棄物処理施設> | |||||||||
1) 山本東処理場建設に係る環境影響評価 | |||||||||
2) 第3山口処理場建設に係る環境影響評価書 | |||||||||
3) 布施畑環境センター拡張事業環境影響評価書 | |||||||||
4) 響灘西地区廃棄物最終処分場建設に係る環境影響評価書 | |||||||||
<埋立て及び干拓>
|
<各種土地造成> |
1) 土浦・阿見都市計画
阿見吉原土地区画整理事業環境影響評価書 2) 水戸・勝田都市計画十万原新住宅市街地開発事業環境影響評価書 3) 研究学園都市計画 葛城一体型特定土地区画整理事業 島名・福田坪一体型特定土地区画整理事業 萱丸一体型特定土地区画整理事業環境影響評価書 4) 研究学園都市計画中根・金田台特定土地区画整理事業環境影響評価書 5) 研究学園都市計画上河原崎・中西特定土地区画整理事業環境影響評価書 6) 浦和都市計画 岩槻都市計画 浦和東部・岩槻南部地域土地区画整理事業環境影響評価書 |
7) 川口都市計画事業 新郷東部第2土地区画整理事業 環境影響評価書 |
8) 市原都市計画事業 市東第一特定土地区画整理事業に係る環境影響評価書 |
9) 常磐新線沿線(柏市域)一体型特定土地区画整理事業に係る環境影響評価書 |
10) (仮称)西八千代北部特定土地区画整理事業に係る環境影響評価書 |
11) 坂浜平尾土地区画整理事業 環境影響評価書 |
12) 福井都市計画 市場周辺土地区画整理事業 環境影響評価書 |
13) 福井都市計画森田北東部土地区画整理事業 環境影響評価書 |
14) 大津湖南都市計画事業 伊香立土地区画整理事業 環境影響評価書 |
15) 愛宕山新住宅市街地開発事業に係る環境影響評価書 |
16) 今治新都市第1地区土地区画整理事業に係る環境影響評価書 |
17) 今治新都市第2地区土地区画整理事業に係る環境影響評価書 |
<飛行場、埋立て及び干拓> |
1)
中部国際空港建設事業及び空港島地域開発用地埋立造成事業に関する環境影響評価書
|
表-1(1) 環境影響評価書等に記載された環境保全措置の例(存在)
事業計画の段階 | 事業種類 | 環境影響評価書等での記載 | 出典 |
存在 |
道路 |
【水象】
|
|
埋立て及び干拓 | 【水質】
|
7 13 19,20 |
|
各種土地造成 | 【水質】 ・ 調整池による雨水排水の調整 【地盤沈下】 ・ 標高が高い部分におけるまとまった緑の配置 【水象】 ・ 区域内排水施設等の定期的管理 【その他】 ・ 地下水・湧水の保全のために、水循環の維持に努める/地下水のモニタリングを行う/流況等を監視する |
8 8 6 11 |
|
飛行場、 埋立て及び干拓 |
【水質】 ・ 空港島形状のさらなる曲線化 |
1 |
表-1(2) 環境影響評価書等に記載された環境保全措置の例(供用)
事業計画の段階 | 事業種類 | 環境影響評価書等での記載 | 出典 |
供用 | 道路 | 【水質】 ・ 関係法令を遵守した路面排水計画 【その他】 ・ 面清掃やトンネル洗浄排水時の排水、降雨時の雨水排水については排水路に集水枡を設置し適切に処理 |
5 11 |
河川 |
【水質】 ・ 灌水前の立木伐採 ・ 選択取水設備の設置 ・ ダム流入部、ダム湖、ダム直下流部の水質管理 ・ ダムの運用に当たっては選択取水等により水温変化・濁水現象を防止 ・ 富栄養化現象発生防止のための施設の検討と設置 ・ ダム及び周辺河川の水質調査の実施並びに適切な保全対策の実施 【地盤沈下】 ・ 必要に応じ、地盤高の継続的な測定 【その他】 ・ 地下水-地下水観測網の整備/地下水利用実態調査の実施等データ収集 |
|
|
飛行場 |
【水質】 ・ 中水の利用、上水の節水 ・ 現状程度以上の良好な水質となるよう高度処理する。 ・ 水質環境の保全に十分留意する。 【その他】 ・ 供用後に不測の事態が発生した場合には、必要に応じて追跡調査を実施し適切な措置を講じる。 |
|
|
発電所 |
【水質】 ・ プラント排水の回収再利用 ・ 工程排水(脱硫排水等)は脱気処理した後既設排水処理設備で処理 ・ 生活排水、冷却排水は浄化槽を通した後既設排水処理設備で処理 ・ 発電所からの排水は、中和処理後放流 ・ 脱硫排水の無水化 ・ 冷却棟で使用する薬品は低燐系のものを採用 |
|
表-1(3) 環境影響評価書等に記載された環境保全措置の例(供用)
事業計画の段階 | 事業種類 | 環境影響評価書等での記載 | 出典 |
供用 |
廃棄物処理施設 | 【水質】 ・ 原水、処理水及び周辺の地下水について、環境モニタリングを実施。排水処理施設の砂ろ過、活性炭素等による高度処理の継続 |
3 |
各種土地造成 | 【水質】 ・ 公共下水道への接続 ・ 研究施設等における除害施設の設置 【地盤沈下】 ・ 落葉樹の植栽による表土の腐食層・保水性の確保/計画地外周斜面部の緑地化による地区外の地下水涵養/透水性舗装・雨水浸透枡の設置及び市民参加による維持・管理 |
|
|
飛行場 及び 埋立て及び干拓 |
【水質】 ・ 中水の利用/空港島全体の汚水系を整備し、公共用下水道で処理/冷水と温水を混合して排出/水温の低い海水の取水/上水の節水 |
1 |
表-1(4) 環境影響評価書等に記載された環境保全措置の例(工事)
事業計画の段階 | 事業種類 | 環境影響評価書等での記載 | 出典 |
工事 | 道路 | 【水質】 ・ 水質への影響を与えない工法や汚濁負荷の小さい工法の採用(トンネル工事、橋脚工事、河川内工事) ・ 事前ボーリング・防水工等による地下水対策 ・ 掘削工事、トンネル工事等により発生する濁水やトンネル洗浄水の適正な処理 ・ 路面の清掃 ・ 沈殿池等やトンネル工事における濁水及びアルカリ排水の処理に伴うpH中和施設等の設置 ・ 適切な環境監視 ・ 沈砂池等の設置による濁水や雨水排水の河川流入防止 ・ 薬液注入工法等を実施する場合の汚水処理施設の設置等適切な環境保全措置の実施 ・ 早期法面保護による濁水の発生防止 【地盤沈下】 ・ 必要に応じた地盤改良などの補助工法の採用 ・ 地質・地下水の詳細な調査による適切な設計・施工 ・ 地下水位や地盤変動の観測による適切な施工 【水象】 ・ 水路と交差する土工部における管渠等による流路の確保地下水の詳細調査による適切な設計・施工 |
|
河川 |
【水質】 ・ 水温変化及び濁水現象については、さらに選択取水設備の適切な運用等の検討を実施 ・ 流入水質及び貯水池内水質を継続的に監視し、貯水池内水質の保全に努める ・ 工事中に発生する濁水は、沈殿池、機械処理等による浄化を実施する ・ 水質浄化と循環使用/水質監視 ・ 関連法令の遵守 ・ 湛水区域内の立木の事前の伐採 |
|
表-1(5) 環境影響評価書等に記載された環境保全措置の例(工事)
事業計画の段階 | 事業種類 | 環境影響評価書等での記載 | 出典 | ||||||||||||
工事 | 飛行場 | 【水質】 ・ 工事の初期段階では仮設沈砂池を設ける。/必要に応じて濁水処理プラントの設計も検討する。/早期緑化により、裸地の期間を短くする。 |
1 | ||||||||||||
発電所 |
【水質】 ・ 監視調査 ・ 汚濁拡散防止膜の設置 ・ 仮設沈殿池及び排水処理装置等による処理 ・ 取水工事時の仮締切 ・ し尿処理の業者委託 【地盤沈下】 ・ 掘削工事時の止水対策 ・ 鋼矢板による土留等適切な工法の採用 |
1 1,2,5 1~5 1 1,2 1 2 |
|||||||||||||
廃棄物処理施設 | 【水質】
|
|
表-1(6) 環境影響評価書等に記載された環境保全措置の例(工事)
事業計画の段階 | 事業種類 | 環境影響評価書等での記載 | 出典 |
工事 | 埋立て及び干拓 | 【水質】 ・ 汚濁防止膜の設置 ・ 浚渫船にカバーや汚濁防止膜を展張 ・ 護岸・岸壁の先行築造による土砂流出防止 ・ 護岸締切後の埋立地内の排水の濁り防止 ・ 余水は処理施設により処理後に排水 ・ 沈砂池及び余水吐を設ける ・ 余水吐の周囲に汚濁拡散防止膜を展張 ・ 工事が一時期に集中しないように工事日程の調整 ・ 工事中に適正監視を行う ・ 有害物質を含まない埋立土砂の使用 ・ 浚渫の際の濁りの少ない船舶、機械、工法の採用 ・ 外界遮断されていない施工護岸の海上施行は、海苔の養殖が行われていない時 期に限定して行う ・ 基礎捨石及び裏込石の背面には、腹付土などの流出を防ぐため、防砂シートを布 設する ・ 護岸背後に止水板及び遮水シートを使用 ・ 自然石による傾斜式護岸の積極的採用 ・ 浸出水の流出を防止 ・ 土取り浚渫を広い海域で浅く実施 ・ 廃棄物の処理については関係法令を遵守 ・ 埋立処分場に受け入れる廃棄物は基準に定められたものに限定 ・ 一般廃棄物の最終処分場には排水処理施設を設ける。 ・ 廃棄物埋立護岸は遮水シート及び止水矢板を用いた不透水性の構造とし、埋立区 域内の雨水が周辺海域に浸出するのを防止する。 ・ 雨水排水は公共下水道に放流し、周辺海域への汚濁負荷を軽減する。 |
|
表-1(7) 環境影響評価書等に記載された環境保全措置の例(工事)
事業計画の段階 | 事業種類 | 環境影響評価書等での記載 | 出典 |
工事 | 各種土地造成 | 【水質】 ・ 段階的な施工による土砂流出抑制 ・ 仮調整池、防災小堤、流出防止柵、土堰堤等による濁水処理や流出抑制 ・ 河川改修区域における土嚢設置による雨水流入防止 ・ 降雨時における濁水発生工事の中止 ・ 仮設沈砂池、沈澱池、調整池の点検管理の徹底を図る。 ・ 工事の段階的施工、施工後の転圧、植栽、種子吹き付けによる土砂の流出抑制 ・ 種子吹き付け等による法面保護 ・ 軟弱地盤改良時の薬剤不使用 ・ 水がない状態での河川改修の実施 ・ 調整池掘削完了前に盛土工事は行わない。 ・ 沈澱池等の設置を行い、周辺井戸を調査する。 ・ 必要に応じ周辺部の井戸の水位等の観測 【地盤沈下】 ・ 地盤状況の詳細調査及び適切な対策・工法の選定 ・ 構造物埋め戻しの際の施工管理の徹底 ・ 盛土材の各種試験の実施 ・ 最良の施工方法の採用 ・ 建物周辺や公園、道路等における浸透性施設の整備 ・ 遮水性の高い調整池による地下水低下の防止 ・ サンドドレーン工法等地盤安定のための工法の採用 ・ 監視井戸による地下水位・水質の監視 【水象】 ・ 開発面積に対応した仮設沈砂桝等の設置 |
|
飛行場、埋立て及び干拓 | 【水質】 ・ 護岸等の概成後に埋立工事を実施/埋立工事の最大工事量の分散化/汚濁負荷量の小さい材料の使用増加/余水吐からの排水のpH調整/濁りの拡散状況に応じたきめ細かい施工管理/汚濁防止膜の展張による濁りの拡散防止 |
1 |
2. その他の事例(表-2)
地下水等に関する環境保全措置は環境影響評価書にはほとんどみられなかった。そこで、環境影響評価書以外の技術資料において地下水等に関する環境保全措置の事例を整理した。
表-2(1) その他の環境保全措置の例(存在)
事業計画の段階 | 事業種類 | 対策の概要 | 出典 | 備考 |
存在 | 埋立て及び干拓、空港 | 【工 法】
周辺に比べ地盤の沈下量が大きい埋立地内において、海水の浸入を防 ぐため、止水壁を設置し、地下水位の上昇を抑制した。 【工事規模】 - 【観測手法】 工区内に17の観測点を設け、沈下量の計測実施。 【予測手法】 現場計測 【対策効果】 - |
日経コンストラクション | |
各種土地造成 | 【工 法】 扇状地上の水田地を改良し、道路部に透水性舗装を、全体に砕石混じ りの透水性地盤を各々施し、さらに道路部には砕石による浸透トレンチ を下位の砂層に連結させる。 【工事規模】 福島県伊達町諏訪野団地、等 【観測手法】 - 【予測手法】 全集水域の84%が浸透地盤を通り地中に浸透し、100年確率降水に対し てもこの区域からの表面流出はないと予測。 【対策効果】 - (地下水涵養、表面流出防止) |
雨水浸透・地下水涵養(日本地下水学会編) | ||
汚染源浄化 | 【工 法】
重金属及び揮発性有機溶媒による地下水・土壌汚染地では、雨水浸透 や地下水流動に伴い、汚染域が移動・拡散(二次集積含)する。 汚染源の除去及び拡散防止を目的に遮水壁による封じ込め、地下水・土 壌の浄化(原位置浄化=揚水・曝気、掘削除去、生物処理、化学処理等) が行われている。 【工事規模】 国内外の化学工場(跡地含)等、多数 【観測手法】 多くは対策地内に観測井戸を設置(地下水観測) 【予測手法】 - 【対策効果】 汚染土壌の除去・置換による水質浄化、汚染地下水の浄化(希釈等) |
環境省・JASERA資料、日経コンストラクション等 |
表-2(2) その他の環境保全措置の例(供用)
事業計画の段階 | 事業種類 | 対策の概要 | 出典 | 備考 |
供用 | 海岸部 | 【工 法】 海岸部の帯水層における塩水化防止の目的で、下水処理水を 4層の帯水層に直接注水している。 【工事規模】 米国カルフォルニア州オレンジ郡WF21 【観測手法】 - 【予測手法】 - 【対策効果】 地下水涵養、塩水化防止 |
雨水浸透・地下水涵養(日本地下水学会編) | |
鉱山 |
【工 法】
鉱山の坑廃水は強酸性(pH=1程度)であり、これを水処理する場 合莫大な建設・維持コストが必要である。昭和50年代まで国内鉱 山の一部では酸性坑廃水を地下還元し、希釈・浄化させる方 法 が採られていた。 工法としては、50-150mの還元井を数本~数10本削孔し、坑口 (鉱滓堆積場浸出水)から自然流下させた坑内水を注入するとい う簡単な排水システムである。 【工事規模】 鉱山内 【観測手法】 下流側河川及び湧水箇所での水質管理 【予測手法】 - 【対策効果】 河川及び土壌の酸性化、重金属汚染防止等 |
鉱山資料 |
表-2(3) その他の環境保全措置の例(工事)
事業計画の段階 | 事業種類 | 対策の概要 | 出典 | 備考 |
工事 | 鉄道 (神戸市地下鉄工事) | 【工 法】
工事に伴う周辺井戸の枯渇対策として、掘削溝内側より帯水層に 水抜き井戸を設け、背面地下水位を低下させる工法を採用した。 【工事規模】 工区延長382m、掘削深さ22-30m 【観測手法】 観測井戸 【予測手法】 文献から現水位より3m程度のダムアップ現象の発生が予測さ れた。 【対策効果】 実際にはかなりの伏流水があったが、事前にダムアップの可能 性と対策を検討していたことから迅速な対応ができた。供用後も 含め、地下水流動を阻害する問題は発生しなかった。 |
地下水流動保全工法に関する研究委員会資料 | キーワード;H綱、PC版遮水壁、通水管 |
鉄道 (仙石線地下化工事) | 【工 法】 開削工事に伴う地下水の地表面湧出、井戸枯渇等の防止のた め、遮水壁(SMW)の一部を削孔・撤去し、函体周辺に高透水性埋 戻材を使用した。 【工事規模】 - 【観測手法】 観測井戸(施工前から周辺地域に新設) 【予測手法】 準3次元浸透流解析により対策範囲の予測を行い、通水孔面積 を設定した。 【対策効果】 工事の影響による水位変動は発生せず、対策効果は明らかではない。 |
同上 | キーワード;SMW、開削工法、地下函体、立体交差 | |
鉄道 (京都市地下鉄工事) | 【工 法】 開削工事に伴う地下水流動阻害の対策として、通水工法を採用し た。 開削工法による延伸工事で、SMWによる遮水壁とその欠損部に 薬液注入を行った。工区内500mにつき、平均間隔10mでSMW縦 方向に上流側6m、下流側12mの砂利置換えによるドレーン材φ600 を、水平方向に通水管φ200を計42セット設置した。 【工事規模】 工区延長627m、掘削深さ19.5-24.5m 【観測手法】 観測井戸(掘削径150mm、深さ20m、36本を工区全域に新設) 【予測手法】 準3次元浸透流解析(定常)により対策範囲の水位予測を行い、 上流側、下流側での水位変動幅を推定した。 【対策効果】 通水後、下流側地下水位は低下が少なかった。 |
同上 | キーワード;地下鉄、開削、SMW、SNF |
表-2(4) その他の環境保全措置の例(工事)
事業計画の段階 | 事業種類 | 対策の概要 | 出典 | 備考 |
工事 | 道路 (東京都トンネル工事) | 【工 法】 道路をアンダーパス化する工事に伴う地下水流動阻害対策として、 通水工法を採用した。 地中連壁の施工後躯体底盤に通水管φ300を設置。土留め壁を削 孔し壁背面地盤に水平ストレーナを設置し通水管を繋ぐ。同様に躯体 上床盤でも土留め壁の削孔、壁背面地盤へのストレーナ設置を行い通 水管と繋ぐ。土留め壁の根入部が帯水層であり、SMW芯材を残しソイ ルモルタルを切削する。 【工事規模】 工区延長1263m、掘削深さ20m 【観測手法】 観測井戸(既設、新設井戸)、流向・流速観測、通水管の性能試験 実施 【予測手法】 3次元FEM解析により通水管の効果、水位予測を行った。 【対策効果】 躯体上床盤での通水効果確認、その他は復水効果が不十分であ った。 |
同上 | キーワード;地下連続壁、SMW、開削トンネル、地下水面図、3次元FEM解析、現場計測 |
大規模地下開発工事(廃棄物処理施設) | 【工 法】
大規模地下開発時に発生する湧水の処置について、水中の懸濁物 質を処理後に地下に還元するシステム(リチャージ工法)を利用し、地下水 流動阻害の軽減等、水環境保全を行った。 この工法は、水中の懸濁物質やリチャージ中に空気と触れ生成した酸 化物や微生物により復水井が目詰まりし、復水機能が低下する現 象を、水処理システム(バッファータンク、高速濾過・真空膜脱気装置含)で 低減することで、連続した地下水還元(水位変動抑制効果)が可能。 【工事規模】 - 【観測手法】 - 【予測手法】 - 【対策効果】 福岡県、埼玉県、東京都で実績。水質浄化及び塩水化防止対策で も実績有。 |
竹中土木、鹿島、熊谷組HP、等 |