表3-1 植物群ごとの留意点(5/7)
地衣類 |
---|
-特性 ・地衣類は真菌類と藻類との共生生物である。真菌類の菌糸が藻類の外部を取り巻いて水分 と無機物を供給し、藻類は光合成により生産した有機物を真菌類に供給する。 ・地衣類はその生活形によって樹状地衣、葉状地衣、固着地衣の3つに大きく区分される。 ・地衣類は雨水から水分・無機物を吸収し、しかも植物体全体から直接吸収するため汚染物 質の吸収量が多い。また共生体であるため微妙な生理的均衡の上に生育している。このため、 樹木などの高等植物よりも環境の変化に敏感で、大気汚染などに対して顕著で早く反応する と言われ、環境指標生物として取り上げられることが多い。特にウメノキゴケは大気汚染の 指標として一般的である。 -調査手法 ・調査項目としては、種組成、被度、出現頻度などが挙げられる。 ・地衣類は非常に同定が困難なものが多いため、専門家に同定を依頼する必要がある。 ・日当たりがよく風通しの良い場所を好み、主に岩石や樹皮上、地表面等に付着して生育す るが、生葉上、河畔等の淡水、潮間帯付近に生育するものもある。 -調査時期・頻度 ・地衣類は常緑のため季節変化が小さく、あまり時期にこだわらず調査できる。 -留意すべき影響要因 -予測・評価手法 -保全方針検討の観点 ・個体の栽培や移植は困難であることが多いため、生育環境を維持することで保全を図る。 -事後調査手法 -事後調査期間 ・非常に成長が遅いため、急激な環境要素の変化や汚染が起こったとしても、成長量の減少 といった反応はすぐには確認しにくい。したがって長期間にわたって調査が必要となる場合 がある。 |