海域生態系の環境保全措置の実施事例

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表3-3(5)  中城港湾新港地区公有水面埋立事業(人工干潟試験造成地)

環境保全措置の効果

◎人工干潟試験造成地の追跡調査結果
底質の物理的条件並びに化学的条件は、ともにトカゲハゼ生息地に適する状態で維持されている。
造成当初全くみられなかった各種の干潟生物も周囲から侵入しており、出現種類数、生物量ともに増加し、生物相としては豊富になり安定してきた状況である。
冬季~春季にはトカゲハゼの成魚が侵入し、生息孔を作って生息していたことが確認された(成魚の生息地として機能することの確認)。
稚魚の接岸・着底も確認されたことから、干潟域へ戻ってくる稚魚の着底基盤としても機能することが確認された。

課題

 表2 中城港湾新港地区におけるトカゲハゼ生息数の経年変化
これまでのところ個体数は、試験放流も含めて維持されており、自然状態での個体群の安定した再生産を確保し、個体数の増加が図られることが必要である。
個体群の安定した再生産の確保のため、成魚の安定した生息と産卵までの生息条件の整備が重要な課題である。
トカゲハゼの生態については、仔魚の分布域が水深20~30mの海域に多く分布している理由、仔魚の移動を規定している条件、仔魚の分布域と海象条件との関係、トカゲハゼと他の生物との相互関係、生息密度に地域間差異が出る理由など、解明すべき事項が残されていることから、今後も引き続き調査・研究を行い、トカゲハゼの保全計画を実効あるものとするよう努力する必要がある。
万一トカゲハゼの生息数が激減した場合に、人工増殖によって資源の回復を図るための技術を開発する目的で、平成5年度からは基礎的な飼育実験を行いデータの収集に取り組んでいる。

表2 中城港湾新港地区におけるトカゲハゼ生息数の経年変化
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