環境影響評価法の概要

2.環境影響評価法の概要

2-1 法律の概要

(1) 要点

 環境影響評価法は、閣議決定要綱をベースとしつつ、中央環境審議会において示された基本原則をすべて盛り込む形で立案されている。具体的に、新しく盛り込まれた点は次のとおりである。

 発電所(法律レベル)、在来鉄道(政令レベル)、大規模林道(政令レベル)などについて新たに対象事業とし、対象事業を拡大する。(第2条第2項)
 必ず環境影響評価を行う事業規模に満たない事業であっても一定規模以上のものについては、環境影響評価の実施の必要性を個別に判定する仕組み(スクリーニング)を導入する。(第2条第3項、第4条)
 早い段階から手続が開始されるよう、調査の方法について意見を求める仕組み(スコーピング)を導入する。(第5条~第10条)
 意見提出者の地域限定を撤廃し、意見提出の機会を方法書段階と準備書段階の2回設けることにより、住民参加の機会を拡大する。(第8条、第18条)
 不確実性に関連する記述、環境の保全のための措置の検討の状況の記述、委託先の名称の記述など、準備書の記載事項を充実する。(第14条)
 閣議アセスでは環境庁長官は主務大臣から意見を求められたときしか意見を言えなかったが、本法では環境大臣が必要に応じて意見を言えることとする。(第23条)
 環境大臣の意見や免許等を行う者等の意見を受けて、事業者が評価書を再検討することとする。(第25条)
 準備書に事後調査に係る記述を記載することとし、環境影響評価制度に事後の調査を位置づける。(第14条第1項第7号ハ)
 評価書が公告された事業や法律施行前に免許等を受けた事業でも、事業者が環境影響評価を再実施することができることとする。(第32条、附則第4条)
 手続の各段階で地方公共団体の意見提出の機会を設ける(第4条2項、第10条、第20条)とともに、対象事業・第二種事業以外はもとより、対象事業・第二種事業に係る地方公共団体における手続についても、この法律の規定に反しない限りで、条例で必要な規定を定めることができることとする。(第61条)