平成5年11月に施行された環境基本法において、第20条に環境影響評価の推進に係る条文が盛り込まれた。この際、同法に係る国会審議において、宮澤内閣総理大臣(当時)より、「この基本法が成立いたしました後、内外の制度の実施状況に関してやはりみんな一体となって調査研究を行う必要もございます。それから、その結果を踏まえまして、社会経済情勢も変化してまいりますが、その中で、先ほど環境庁長官の言われましたように法制化も含めまして所要の見直しについて検討することが大事である。」との答弁が行われた。
また、平成6年12月の環境基本計画においては、「環境影響評価制度の今後の在り方については、我が国におけるこれまでの経験の積み重ね、環境の保全に果たす環境影響評価の重要性に対する認識の高まり等にかんがみ、内外の制度の実施状況等に関し、関係省庁一体となって調査研究を進め、その結果等を踏まえ、法制化も含め所要の見直しを行う」との政府方針が示された。
平成6年7月に環境庁企画調整局長の委嘱により設置された「環境影響評価制度総合研究会」(会長:加藤一郎成城学園名誉学園長、学識経験者17名)は、このような政府方針に沿って、関係省庁一体となって、内外の環境影響評価制度の実施状況、環境影響評価の技術手法の状況等について調査研究を行った。
環境影響評価制度総合研究会には、機動的に調査を実施するための「調査小委員会」(座長:小高剛名城大学教授、総合研究会メンバーから加藤会長を除く16名)と、環境影響評価の技術手法に係る科学的知見の状況について専門的に調査研究するための「技術専門部会」(部会長:中西弘大阪工業大学教授、学識経験者19名)が設けられた。
また、総合研究会における調査研究を関係省庁一体となって取り運ぶため、環境庁、防衛庁、国土庁、大蔵省、厚生省、農林水産省、通商産業省、運輸省、建設省及び自治省、計10省庁の課長級による「幹事会」が設けられた。
調査小委員会は計13回開催され、各省ヒアリング、地方公共団体ヒアリング、現地調査等を実施し、これらを踏まえつつ、国、地方公共団体、諸外国等の制度の実施状況等を環境影響評価制度をめぐる諸課題毎に横断的、総合的に分析整理する作業を実施した。
技術専門部会は計9回開催され、環境影響評価の技術手法に係る科学的知見について、大気、水質等の環境要素毎に横断的レビューを行った上で、共通的な課題につき検討し、「環境影響評価の技術手法の現状及び課題について」と題する報告書をとりまとめた。
総合研究会は計7回開催され、調査小委員会での検討及び技術専門部会の報告を踏まえて、平成8年6月3日に「環境影響評価制度の現状と課題について」と題する報告書をとりまとめた。
なお、平成7年9月には、同研究会における議論に供するために環境庁においてとりまとめた、「地方公共団体における環境影響評価制度の実施状況等に関する調査報告書」、「諸外国の環境影響評価制度整備状況調査結果報告書」及び「諸外国の環境影響評価制度について-平成6年度訪問先別調査結果-」の3つの調査結果が公表された。
また、平成7年10月17日から19日にかけて、カナダ及びオランダの担当官を招いて、環境アセスメント国際ワークショップが東京において開催された。