(公害防止事業団理事長あて環境庁長官通達)
公害防止事業団事業に係る環境影響評価については、昭和六〇年四月二〇日付け環企企第一九六号をもつて通知された「公害防止事業団に係る環境影響評価の実施について」の記「公害防止事業団事業に係る環境影響評価実施要領」(以下「実施要領」という。)により行われることとされたところであるが、実施要領第二の一において別に定めることとされている指針については、「公害防止事業団事業環境影響評価技術指針」として別添のとおり定めたので通知する。
おつて、実施要領に基づく環境影響評価の実施に際しては、これに十分留意され適切な調査等が行われるようよろしくお願いする。
公害防止事業団事業環境影響評価技術指針
公害防止事業団事業環境影響評価技術指針目次
第一 一般的事項
一 指針の適用範囲
二 調査等の手順
第二 環境影響要因の把握及び調査等の対象とする環境の要素の設定
第三 調査
一 調査についての共通的事項
二 大気汚染
三 水質汚濁
四 土壌汚染
五 騒音
六 振動
七 地盤沈下
八 悪臭
九 地形・地質
一〇 植物
一一 動物
一二 景観
一三 野外レクリエーション地
第四 予測
一 予測についての共通的事項
二 大気汚染
三 水質汚濁
四 土壌汚染
五 騒音
六 振動
七 地盤沈下
八 悪臭
九 地形・地質
一〇 植物
一一 動物
一二 景観
一三 野外レクリエーション
第五 評価
一 大気汚染
二 水質汚濁
三 土壌汚染
四 騒音
五 振動
六 地盤沈下
七 悪臭
八 地形・地質
九 植物
一〇 動物
一一 景観
一二 野外レクリエーション地
第六 環境保全対策の検討
第一 一般的事項
一 指針の適用範囲
この指針は、公害防止事業団が「公害防止事業団事業に係る環境影響評価実施要領」(昭和六〇年四月二〇日付環境庁長官通知)第一に定められた対象事業について、同通知第二の一に定められた調査、予測及び評価(以下「調査等」という。)を実施する場合に適用する。
二 調査等の手順
環境影響評価に係る調査等は、以下の手順に従つて実施する。(図―一参照)
(一) 環境に影響を及ぼすおそれのある要因(以下「環境影響要因」という。)の抽出
(二) 調査等の対象とする環境の要素の設定
(三) 調査の実施
(四) 予測の実施
(五) 評価の実施
(六) 環境保全対策の検討
第二 環境影響要因の抽出及び調査等の対象とする環境の要素の設定
一 対象事業の計画の内容に基づき、原則として表―一に基づいて環境影響要因を抽出する。
この場合、環境影響要因の抽出は、当該対象事業の実施に係る工事(以下「工事」という。)、当該工事が完了した後の土地又は工作物の存在(以下「存在」という。)及び当該土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動(以下「活動」という。)のそれぞれの観点から行う。
二 抽出された環境影響要因に応じ、原則として表―一に基づいて調査等で対象とすべき環境の要素の設定を行う。
この場合、環境影響要因の内容を可能な限り具体的に把握し、環境の要素の設定が適切に行われるよう配慮する。
第三 調査
一 調査についての共通的事項
(一) 調査は、対象事業の実施が環境に及ぼす影響を予測し、評価するために必要な情報を把握することを目的として、既存の資料の収集及び必要に応じた現地調査を行い、その結果を整理し、解析することにより行う。
この場合、予測及び評価を行う項目については、そのための必要な水準が確保されるよう配慮する。
(二) 調査は、対象事業の実施が環境に及ぼす影響について調査すべき地域(以下「調査地域」という。)の特性に配慮して行う。
(三) 対象項目に関連して必要となる自然条件及び社会条件については、調査等の対象とする環境の要素に応じ、表―二に基づいて選定し、資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
二 大気汚染
(一) 調査項目及び調査内容
(1) 原則として、以下の項目について大気質の現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
① 二酸化硫黄
② 窒素酸化物
③ 一酸化炭素
④ 浮遊粒子状物質
⑤ 光化学オキシダント
(2) 資料は、環境基準の達成状況、年間の平均的状況等について整理することとし、必要に応じ、気象特性等との関連に着目して行う。なお、窒素酸化物については、NO2/NOX比についても整理する。
(二) 調査の期間及び頻度
原則として一年間以上にわたる大気質の現状を把握することとし、その頻度の設定に当たつては、年間を通じた変動に配慮する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施により大気質が一定程度以上変化するおそれのある範囲を含む地域とし、既存の事例、簡易な拡散式による試算等によりその範囲を推定して設定する。
(四) 測定方法
測定方法は、「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和四八年五月八日環境庁告示第二五号)及び「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和五三年七月一一日環境庁告示第三八号)に定める方法とする。
三 水質汚濁
(一) 調査項目及び調査内容
(1) 原則として、以下の項目について水質の現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
① 人の健康の保護に関する環境基準項目
カドミウム
シアン
有機りん
鉛
クロム(六価)
ヒ素
総水銀
アルキル水銀
PCB
② 生活環境の保全に関する環境基準項目
水素イオン濃度(PH)
生物化学的酸素要求量(BOD)
化学的酸素要求量(COD)
浮遊物質量(SS)
溶存酸素量(DO)
大腸菌群数
全窒素
全りん
n―ヘキサン抽出物質(油分等)
(2) 資料は、環境基準の達成状況、年間の平均的状況等について整理することとし、必要に応じ水理特性、水域の自然汚濁、人為汚濁の状況等に着目して行う。なお、化学的酸素要求量及び生物化学的酸素要求量については、七五%水質値についても整理する。
(二) 調査の期間及び頻度
原則として、一年間以上にわたる水質の現状を把握することとし、その頻度の設定に当たつては、年間を通じた変動に配慮する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施により水質が一定程度以上変化するおそれのある範囲を含む地域とし、既存事例又は簡易な拡散式による試算等によりその範囲を推定して設定する。
(四) 測定方法等
測定方法は、「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和四六年一二月二八日環境庁告示第五九号)に定める方法とし、採水方法等は、「水質調査方法」(昭和四六年九月三〇日環境庁水質保全局長通知)に定める方法に準拠する。
四 土壌汚染
(一) 調査項目及び内容
原則として、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律施行令第一条に定める特定有害物質(以下「特定有害物質」という。)のうち、対象事業の実施に伴い搬出される土壌に含有されることにより農用地の土壌を汚染するおそれのあるものについて、その現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
(二) 調査の期間及び頻度
原則として、一回実施する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施区域及び当該事業の実施により影響を受けるおそれのある農用地を含む地域とする。
(四) 測定方法
測定方法は、「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係るカドミウムの量の検定の方法を定める省令」(昭和四六年六月二四日農林省令第四七号)、「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係る銅の量の検定の方法を定める総理府令」(昭和四七年一〇月二七日総理府令第六六号)及び「農用地土壌汚染対策地域の指定要件に係る砒素の量の検定の方法を定める総理府令」(昭和五〇年四月八日総理府令第三一号)に定める方法とする。
五 騒音
(一) 調査項目及び調査内容
(1)騒音の現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
(2) 資料の整理及び解析は、環境基準の達成状況、地域の土地利用状況等に着目して行う。なお、学校、病院等の施設がある場合には、当該施設における騒音レベルについても整理する。
(二) 調査の期間及び頻度
原則として、一年間程度の騒音の現状を把握することとする。また、頻度は年四日程度とし、「騒音に係る環境基準について」(昭和四六年五月二五日閣議決定)に準拠して実施する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施により騒音レベルが一定程度以上変化するおそれのある範囲を含む地域とする。
(四) 測定方法
測定方法は、「騒音に係る環境基準について」に定める方法とする。
六 振動
(一) 調査項目及び調査内容
(1) 振動レベルの現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
(2) なお、学校、病院等の施設がある場合には、当該施設における振動レベルについても整理する。また、地盤性状により振動が著しくなるおそれのある箇所についても資料を得るよう配慮する
(二) 調査の期間及び頻度
原則として、一年間程度の振動の現状を把握することとする。また、頻度は、原則として昼間及び夜間の区分毎に一時間当たり一回以上の測定を四時間以上行うこととし、年四日程度実施する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施により振動レベルが一定程度以上変化するおそれのある範囲を含む地域とする。
(四) 測定方法
測定方法は、「振動規制法施行規則」(昭和五一年一一月一〇日総理府令第五八号)等に定める方法とする。
七 地盤沈下
(一) 調査項目及び調査内容
地盤沈下量又は地下水位の現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
(二) 調査の期間及び頻度
地盤沈下状況については、経年的な情報を把握することが極めて重要であることにかんがみ、極力長期間にわたる既存資料の収集に努める。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施により地盤が一定程度以上沈下するおそれのある範囲を含む地域とする。
(四) 現地調査
現地調査は、以下により行う。
(1) 地盤沈下の状況についての調査は、原則として水準測量又は沈下計を用いる方法
(2) 地下水位についての調査は、ボーリング、物理探査等の方法
八 悪臭
(一) 調査項目及び調査内容
原則として、悪臭防止法施行令第一条に定める物質のうち、事業の実施に伴い使用又は生成することが想定されるものについて、その環境の現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
(二) 調査の期間及び頻度
原則として、一年間程度の悪臭の現状を把握することとする。また、頻度は、一日当たり一回の測定を、夏期を含み年四日程度実施することを原則とする。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施により悪臭の影響の及ぶおそれのある範囲とし、移転前の工場における影響の状況等を勘案して設定する。
(四) 測定方法
測定方法は、「悪臭物質の測定の方法」(昭和四七年五月三〇日環境庁告示第九号)に定める方法を原則とする。
九 地形・地質
(一) 調査項目及び調査内容
(1) 以下の項目の現状についての資料を収集し、その結果を整理、解析する。
① 地形及び地質の状況
② 特異な地形、地質及び自然現象の分布及び特性
(2) 資料の整理及び解析は、以下により行う。
① 地形、地質の状況の図示及び特性の解析
② 特異な地形、地質、自然現象の分布状況の図示及び特性の解析
(二) 調査の期間及び頻度
特異な自然現象については、その変動特性を考慮して調査時期及び頻度を設定する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施区域及びその周辺とし、影響の程度についてあらかじめ想定して設定する。
(四) 現地調査
資料が不十分な場合や特に重要と認められる対象が確認された場合は、現地調査により補足及び確認を行う。
一〇 植物
(一) 調査項目及び調査内容
(1) 以下の項目の現況についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
① 種、群落及び植生の状況
② 貴重な種、群落及び植生の分布及び特性
(2) 資料の整理及び解析は、以下により行う。
① 生育種リストの作成
② 植生の図示及び主要な群落の特性の解析
③ 貴重な種、群落及び植生の分布状況の図示及び特性の解析
(二) 調査の期間及び頻度
調査期間は、原則として一年間とし、植物の成育期等を考慮して調査時期及び頻度を設定する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施区域及びその周辺とし、影響の程度についてあらかじめ想定して設定する。
(四) 現地調査
既存資料により把握された概況をもとに、必要に応じ聞き取り及び踏査により現地調査を行う。
一一 動物
(一) 調査項目及び調査内容
(1) 以下の項目の現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
① 生息種、主要種の生息状況及び生息環境特性
② 貴重種の分布及び特性
(2) 資料の整理及び解析は、以下により行う。
① 生息種リストの作成
② 主要種の生息状況の解析
③ 生息環境特性の解析
④ 貴重種の分布状況及び特性の解析
(二) 調査の期間及び頻度
調査期間は、原則として一年間とし、動物の活動時期を考慮して調査時期及び頻度を設定する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施区域及びその周辺とし、影響の程度についてあらかじめ想定して設定する。
(四) 現地調査
既存資料により選定された主要種等について、必要に応じて、対象とする種に応じた方法により補足及び確認を行う。
一二 景観
(一) 調査項目及び調査内容
(1) 以下の項目の現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
① 主要景観地の分布及び特性
② 主要展望地点の分布及び眺望の特性
(2) 資料の整理及び解析は、以下により行う。
① 主要景観地の分布状況の図示及び特性の解析
② 主要展望地点の分布状況の図示及び眺望の特性の解析
(二) 調査の期間及び頻度
調査期間は、原則として一年間とし、景観の特性及び利用状況を考慮して調査時期及び頻度を設定する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施区域及びその周辺とし、影響の程度についてあらかじめ想定して設定する。
(四) 現地調査
既存資料により把握された主要景観地及び主要展望地点の分布等をもとに、聞き取り及び踏査により現地調査を行う。
一三 野外レクリエーション地
(一) 調査項目及び調査内容
(1) 主要野外レクリエーション地の分布及び特性の現状についての資料を収集し、その結果を整理し、解析する。
(2) 資料の整理及び解析は、以下により行う。
① 利用地域の分布状況の図示
② 地域の自然的特性の解析
③ 利用状況の解析
(二) 調査の期間及び頻度
調査期間は、原則として一年間とし、野外レクリエーション地の特性を考慮して調査時期及び頻度を認定する。なお、既存資料のある場合には、過去五年程度の利用状況を把握する。
(三) 調査地域
調査地域は、対象事業の実施区域及びその周辺とし、影響の程度についてあらかじめ想定して設定する。
(四) 現地調査
既存資料により把握された利用地域の分布をもとに、必要に応じ聞き取り及び踏査により現地調査を行う。
第四 予測
一 予測についての共通的事項
(一) 予測は、調査地域の特性に配慮して行う。
(二) 予測の対象時期は、工事、存在及び活動のそれぞれについて、個々の項目ごとに、その環境に及ぼす影響が最大となると予測される時期とする。
(三) 予測は、公害の防止及び自然環境の保全のための措置又は施策を踏まえて行うことができる。
二 大気汚染
(一) 予測項目
予測を行う項目は、原則として、二酸化硫黄、二酸化窒素及び一酸化炭素とする。
なお、他の項目について環境への影響が懸念される場合には、主として定性的な検討により予測を行う。
(二) 予測方法
(1) 定量的な予測は、発生源及び対象とする地域の特性等を考慮して、以下の予測方法又はこれらと同等以上の信頼性を有する方法の中から適切なものを選定して行う。
① プルームモデル
② パフモデル
③ JEAモデル
(2) 定性的な検討を行う項目については、対象事業の実施により排出される負荷量を把握し、他の発生源から排出される負荷量との比較検討、既存事例との対比等により予測を行う。
(3) 将来のバックグラウンド濃度の把握については、地方公共団体等から提供されるデータを用いて行うこととし、それが不可能な場合には現況の環境濃度を用いることを原則とする。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
三 水質汚濁
(一) 予測項目
定量的に予測を行う項目は、原則として化学的酸素要求量又は生物化学的酸素要求量及び浮遊物質量とし、必要に応じ全窒素及び全りんも含むものとする。なお、他の項目について環境への影響が懸念される場合には、主として定性的な検討により予測を行う。
(二) 予測方法
(1) 定量的な予測は、排水量及び排水先の水域の特性等を考慮して、以下の予測方法又はこれらと同等以上の信頼性を有する方法の中から適切なものを選定して行う。
① ジョセフ・センドナー式
② ボックスモデル
③ ストリーター・ヘルプス式
④ 岩井・井上式
⑤ 物質収支式
⑥ 数理解析モデル
(2) 定性的な検討を行う項目については、対象事業の実施により排出される負荷量を把握し、他の発生源から排出される負荷量との比較検討、既存事例との対比等により予測を行う。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
四 土壌汚染
(一) 予測項目
予測は、原則として、特定有害物質のうち農用地土壌を汚染するおそれのあるものについて行う。
(二) 予測方法
予測は、農用地の土壌の特性を考慮し、既存事例の引用又は解析等により行う。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、対象事業の実施により影響を受けるおそれのある農用地とする。
五 騒音
(一) 予測項目
予測は、騒音レベルについて行う。
(二) 予測方法
(1) 予測は、対象となる環境影響要因の特性、地域環境条件等を考慮して騒音伝播モデルによる数値計算、既存事例の引用又は解析等により行う。
(2) 予測対象とする時間帯は、環境基準の時間区分に配慮して設定する。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
なお、予測地点は、住居の集合状況、学校、病院等の分布状況、将来の土地利用計画等を勘案し、適切に設定する。
六 振動
(一) 予測項目
予測は、振動レベルについて行う。
(二) 予測方法
(1) 予測は、対象となる環境影響要因の特性、地盤性状等を考慮し、波動理論による数値計算、既存事例の引用又は解析等により行う。
(2) 予測対象となる時間帯は、規制基準の区分に配慮して設定する。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
なお、予測地点は、住居の集合状況、学校、病院等の分布状況、将来の土地利用計画等を勘案し、適切に設定する。
七 地盤沈下
(一) 予測項目
予測は、地盤沈下量又は地下水位の変動について行う。
(二) 予測方法
予測は、以下の予測方法又は既存事例の引用若しくは解析等により行う。
(1) 数理モデルによるシミュシーション
(2) ダルシーの法則による安全揚水量計算
(3) 水位変動と揚水量から許容揚水量を求める方法
(4) 地形、地質の類似性に着目した地盤沈下発生の程度の推定(パターン分析)
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
八 悪臭
(一) 予測項目
予測は、原則として悪臭防止法施行令第一条に定める物質のうち、事業活動に伴つて排出されるものについて行う。
(二) 予測方法
予測は、既存事例等を参考に、排出量と距離とを勘案することにより行う。なお、この際、風配等に十分配慮する。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
九 地形・地質
(一) 予測項目
(1) 予測は、以下の項目について行う。
① 地形、地質の物理的な改変の程度及び内容
② 特異な地形、地質及び自然現象の改変の程度及び内容
(二) 予測方法
(1) 対象事業の計画の内容をもとに、消滅の有無及び改変の程度を把握することにより予測する。
(2) なお、間接的影響については、既存の類似事例、専門家の意見等を参考に定性的に予測する。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
一〇 植物
(一) 予測項目
予測は、以下の項目について行う。
(1) 植生の改変の程度及び内容
(2) 貴重な種、群落及び植生の改変の程度及び内容
(二) 予測方法
(1) 対象事業の計画の内容をもとに、消滅の有無及び改変の程度を把握することにより予測する。
(2) なお、間接的影響については、既存の類似事例、専門家の意見等を参考に定性的に予測する。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
一一 動物
(一) 予測項目
予測は、以下の項目について行う。
(1) 貴重種等の生息環境の改変の程度及び内容
(2) 貴重種等の生息状況への影響
(二) 予測方法
(1) 対象事業の計画の内容をもとに、生息環境の消滅の有無及び改変の程度を把握することにより予測する。
(2) 貴重種等の生息状況への影響については、既存の類似事例、専門家の意見等を参考に予測する。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
一二 景観
(一) 予測項目
予測は、以下の項目について行う。
(1) 主要景観地及び主要展望地点の改変の程度及び内容
(2) 対象事業が主要展望地点からの眺望に与える影響
(二) 予測方法
(1) 対象事業の計画の内容をもとに、主要景観地及び主要展望地点の消滅の有無及び改変の程度を把握することにより予測する。
(2) 主要展望地点からの眺望に与える影響については、眺望の変化をできるかぎり視覚的に表現することにより予測する。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
一三 野外レクリエーション地
(一) 予測項目
予測は、以下の項目について行う。
(1) 利用地域の改変の程度及び内容
(2) 地域の自然的特性及び利用状況の変化の程度
(二) 予測方法
(1) 対象事業の計画の内容をもとに、利用地域の消滅の有無及び改変の程度を把握することにより予測する。
(2) 自然的特性及び利用状況の変化については、既存の類似事例、専門家の意見等を参考に予測する。
(三) 予測地域
予測地域の範囲は、調査地域の範囲に準じる。
第五 評価
一 大気汚染
(一) 定量的に予測を行つた項目については、「大気の汚染に係る環境基準について」及び「二酸化窒素に係る環境基準について」に定める環境基準に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
(二) 定性的な検討を行つた項目については、「排出負荷等が環境に与える影響が軽微であること」に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
二 水質汚濁
(一) 定量的に予測を行つた項目については、「水質汚濁に係る環境基準について」に定める環境基準に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。なお、この場合、環境基準の設定されていない水域については、現況水質、利水目的等を考慮し、環境基準の類型あてはめを想定して行う。
(二) 定性的な検討を行つた項目については、「排出される負荷等が排出先の水質に与える影響が軽微であること」に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
三 土壌汚染
農用地の土壌の汚染防止等に関する法律施行令第二条に定める指定要件に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
四 騒音
「騒音に係る環境基準について」に定める環境基準に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
なお、この場合、環境基準に係る地域指定が行われていない地域においては、将来の土地利用の動向を考慮し、環境基準の類型あてはめを想定して行う。
また、建設作業騒音については、「大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度」に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
五 振動
「大部分の地域住民が日常生活において支障がない程度」に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
六 地盤沈下
「地盤沈下により被害を生ぜしめないこと」に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
七 悪臭
「大部分の地域住民が日常生活において感知しない程度」に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
八 地形・地質
以下の環境保全目標に照らし、事業者の見解を述べることにより評価を行う。
(一) 全国的価値に該当するものは、当該自然環境の構成要素を可能な限り保全する。
(二) 地方的価値に該当するものは、当該自然環境の構成要素中主要なものを可能な限り保全する。
(三) 都道府県的価値に該当するものは、当該自然環境の構成要素中主要なものは相当程度保全する。
(四) 市町村的価値に該当するものは、当該自然環境の構成要素中主要なものへの影響を可能なかぎり最小化する。
九 植物
地形・地質に準じる。
一〇 動物
地形・地質に準じる。
一一 景観
地形・地質に準じる。
一二 野外レクリエーション地
地形・地質に準じる。
第六 環境保全対策の検討
一 評価の結果、必要に応じ環境保全対策について検討する。
二 環境保全対策についての検討は、工事実施計画等の変更、公害防止施設の設置等について行う。なお、必要に応じ事業実施後の環境監視方法についても検討する。