大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(II)<環境影響評価の進め方>(平成13年9月)

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第6章 今後の検討課題

昨年度の検討内容であるスコーピングの進め方を受けて、本年度は、より具体的な調査・予測・評価の技術手法について検討を行った。これらの検討を進める過程で、各個別分野における課題は各章ごとに今後の課題として示したが、環境影響評価技術全般に関し、また今後の環境影響評価をより良いものとしてゆくための幾つかの重要な指摘がなされた。

以下には、これらの指摘を、次年度に検討を予定している環境保全措置及び事後調査の技術手法のなかで検討すべき視点と、幅広い視点に立って検討を行う必要のある事項に分けて示す。

<次年度検討予定事項に関する検討の視点>

・環境保全措置を踏まえた評価の考え方

本年度検討では、調査・予測を中心に検討し、評価については基本的な考え方を示すにとどめたが、評価を行うにあたっては環境保全措置を踏まえることが必要である。次年度には、環境保全措置の技術手法について検討を行う予定であり、環境保全措置を踏まえた評価の考え方や手法について、より具体的な検討が必要である。

・事後調査の実施とその結果の活用

環境影響評価の実施にあたっては、最新の知見や技術を用いることが望ましく、また、調査や予測には、常に不確実性を伴っていることから、環境影響評価手法の向上や予測の不確実性の低減のためには、環境影響評価結果と実際の環境影響の状況を調査・解析し、手法等にフィードバックすることが必要である。次年度には、事後調査の考え方や手法検討を予定しており、予測や評価、環境保全措置へのフィードバックの視点を入れた事後調査の実施方法等についての検討が必要である。

<幅広い視点に立って検討すべき課題>

・累積的、複合的及び広域的な環境影響評価について

これまでの環境影響評価では、主に個別事業の実施段階において、その事業よる直接的な環境影響について行われてきたが、一定の地域において複数の事業者が事業を行っている場合等、それら事業の複合的、累積的影響や地域環境全体への広域的な影響等を検討するのには一定の限界があり、今後はそれらの限界を乗り越えるための制度のあり方や総合的な環境影響評価手法等について検討する必要があると考えられる。

・環境影響評価におけるコミュニケーションの促進

環境影響評価が、事業者が自らの事業及びその環境影響についての見解を示し、市民、専門家、行政が有益な情報を提供してよりよい環境配慮を実現するという機能を担うものであることを踏まえると、環境影響評価におけるコミュニケーションの促進がより重要であり、より良いコミュニケーションのあり方等について検討する必要があると考えられる。

・有害化学物質について

有害化学物質については、大気、水環境、環境負荷分野に関係するものであり、かならずしも環境影響評価の技術手法が確立させているとはいいがたい状況であるが、住民等の関心が高く、PRTR法等による情報の公開や集積が進むなかで、環境影響評価の必要性が高まることが考えられることから、調査・予測・評価に関する知見の収集・把握等技術手法の向上が不可欠である。

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