大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(II)<環境影響評価の進め方>(平成13年9月)

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技術シート 登録番号:悪臭-1

環境項目 悪臭 技術等の
種類
調査
技術等の名称 臭気センサー
技術等の概要 嗅覚測定法による測定(官能試験)は、ヒトの嗅覚に頼るため、嗅力差や体調などによる誤差や、連続測定が難しいなどの難点がある。
このため、臭気測定のための臭気センサーが開発されつつあり、現場などで簡便に測定できるなどの利点がある。
一方臭気センサーの指示値は臭気物質の種類によってはヒトの嗅覚とは大きく異なる感度特性を示すことがあるため、官能試験結果とセンサーの指示値の相関関係を検討した上で用いる必要がある。
調査・予測の
必要条件
適用範囲
課題 官能試験結果と臭気センサーの指示値は、臭気の種類毎あるいはセンサーの種類に異なるため、臭気質毎に相関関係を求める必要がある。
アンモニアについては、臭気センサーの感度が低い上にセンサー指示値を下げる作用があり、また低級脂肪酸では臭気センサーの検出下限値より嗅覚閾値が著しく低いため、官能試験結果とセンサー指示値は特に大きく異なる。
参考とした
文献・資料
房家正博・雨谷敬史・松下秀鶴(1998)臭気センサーによる複合臭気の評価手法の検討(I).大気環境学会誌、33(5)、297-305.
房家正博・雨谷敬史・松下秀鶴・相馬光之(1999)臭気センサーによる複合臭気の評価手法の検討(II).大気環境学会誌、34(1)、17-24
備考

 

 

技術シート 登録番号:悪臭-2

環境項目 悪臭 技術等の
種類
予測
技術等の名称 発生原単位の整備
技術等の概要 悪臭の原単位は大気汚染物質より微量であったり、あるいは煙突だけが排気口とは限らないことなどから、排出口における濃度や敷地境界における濃度などの実測値を整備する必要がある。
調査・予測の
必要条件
適用範囲
課題   悪臭物質濃度については、悪臭防止法の対象物質とし尿処理場、下水処理場、廃棄物処分場、工場、畜産農業等の発生源を中心に原単位整備が進んでいるが、臭気濃度については原単位整備が進んでいない。
参考とした
文献・資料
環境庁(1998)環境影響評価における原単位の整備に関する調査報告[VII].官公庁公害専門資料、33(2).悪臭防止技術マニュアル総集編編集委員会(1988)悪臭防止技術マニュアル-総集編-.公害対策技術同友会.
備考

 

技術シート 登録番号:悪臭-3

環境項目 悪臭 技術等の
種類
予測
技術等の名称 発生源での臭気総排出強度(OER、TOER)からの推定
技術等の概要 TOER(総臭気排出強度:臭気濃度×排ガス量m3N/分)の値から、大まかに臭気の影響の起こり具合、臭気到達距離、苦情範囲を経験的に推定する。
TOER 悪臭公害の起こり具合 臭気到達距離、苦情範囲
104以下 一般的には起こらない
105~106 小規模の影響があるか、可能性が内在している 最大到達距離:1~2km苦情は500m以内が中心
107~108 小・中規模の影響あり 最大到達距離:2~4km苦情は1km以内が中心
109~1010 大規模の影響あり 最大到達距離:10km以内苦情は2~3km以内が中心
1011~1012 最大の発生源で、例はない 最大到達距離:数10km苦情は4~6km以内が中心

参照:「においの用語と解説」臭気対策研究会

調査・予測の
必要条件
類似対象事業(場所)でのTOERの調査が必要である。
適用範囲 あくまでも大まかな推定である。
参考とした
文献・資料
(社)環境情報科学センター(1999)環境アセスメントの技術.中央法規出版、東京、pp1018.
備考

 

技術シート 登録番号:悪臭-4

環境項目 悪臭 技術等の
種類
予測
技術等の名称 経験式に基づく臭気強度・臭気濃度予測
技術等の概要 類似施設の風下側での臭気強度、臭気濃度測定値を基に経験式を作成し、臭気強度、臭気濃度を求める手法。

臭気強度: 

風下距離が増す毎に臭気強度が減衰することを曲線等により示し、その曲線を対象事業の発生源の臭気強度に適用して臭気強度を予測する。

臭気濃度: 

類似施設風下側での臭気濃度測定結果から、臭気濃度の拡散希釈率を求め、対象事業の発生源の臭気濃度にこれを適用して臭気濃度を予測する。

調査・予測の
必要条件
類似施設における臭気強度・臭気濃度実測値対象施設における臭気強度・臭気濃度発生原単位気象条件
適用範囲
課題 類似施設における臭気濃度・臭気強度を、排出口や敷地境界のみならず、風下方向についても整備する必要がある。
参考とした
文献・資料
備考

 

技術シート 登録番号:悪臭-5

環境項目 悪臭 技術等の
種類
予測
技術等の名称 トレーサーガスを用いた予測
技術等の概要 風洞実験を用いた予測である。

ある一定の条件もとで、複雑地形における気流の分布等の予測に用いられる。風洞実験は、現実とモデルとの相似関係が保たれていることが前提となり、気流場の状態を表す無次元数のレイノルズ数及びリチャードソン数を満たすように、地形や建物の縮尺、風速、温度比を定めるとともに、風速分布、温度分布を満足するように粗度や風上側の条件を設定する。実験において、排出ガスの上昇を考慮してトレーサーガス(六弗化硫黄)を放出し、その濃度を測定することにより結果を得る。

計画地周辺の地形や建物の状況などを模型化することにより、それらの周辺で生じる濃度分布を把握することが出来る。

地形状況及び気象状況を比較的よく考慮しているため、他の予測手法と比較して予測精度は高い。

調査・予測の
必要条件
  • 計画地周辺の地形や建物などの模型を作成
  • 風速分布及び温度分布を満足すべく粗度や風上条件の設定
  • 実験の際の試料採取時間を30秒とする。
適用範囲
  • 風洞模型の作成範囲についてのみの予測・大気が中立状態の場合
課題
  • 多くの実験回数を得にくい
参考とした
文献・資料
(社)環境情報科学センター(1999)環境アセスメントの技術.中央法規出版、東京、pp1018.
備考

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