大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会中間報告書
大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(II)<環境影響評価の進め方>(平成13年9月)

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3 今後の課題

 水環境の環境影響評価を進めていく上での留意事項として示したことが、これまでの全ての事例で考慮されていたわけではない。それぞれの留意事項を考慮し、併せて最新の知見等を参考とすることでより適切な環境影響評価へと近づいていくものと考えられる。
 今後の環境影響評価を進めていく上で、より適切な形へと近づくために望まれる事項は以下に示すとおりである。

(1)他分野との関連性を考慮した環境影響評価の手法
 水環境は、生態系の基礎をなす重要な基盤的要素となっているほか、水辺における人と自然との触れ合い活動の場などの環境要素との関わりが深いことから、他の環境要素との相互関係に留意した環境影響評価の考え方についての検討を進める必要がある。
(2)生物の活動に関わる変動等を対象とした予測手法
 閉鎖性が高く富栄養化した湖沼や海域の水質は、生物の活動による変動が大きい。また、長期的には水底への懸濁物の堆積などにより底質性状の変化が考えられる。しかし、現段階では、このような生物の活動や底質の性状の変化を予測するには、科学的知見が十分でなく、今後の調査・研究が望まれる。
(3)予測の不確実性に関する知見の集積
 予測の不確実性についての研究や知見の蓄積は乏しく、実務レベルのでの対応が困難な面もあるが、予測精度の向上や環境影響評価制度の健全な発展のためには、二点補正など予測の不確実性を少なくする方法についての研究を進めるとともに、事後調査等により知見を蓄積し、解析していく必要がある。
(4)水循環系の環境影響評価手法
 本検討では地下水等については、水循環的視点にたった検討を行ったが、水循環系そのものを対象とした環境影響評価手法は、現状では確立されているとはいえない状況にあることから、水循環系を対象にした環境影響評価手法について、調査・研究を進めていく必要がある。

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