平成14年度 第2回水環境分科会

議事録

○日時 平成14年 6月12日(水)14:00~16:30

○場所 経済産業省別館1020号会議室

○出席者

 <検討員> 中西座長、青木委員、新藤委員、須藤委員、陶野委員
         
                      (欠席:石川委員、小松委員、谷本委員、細見委員、渡辺委員)

 <研究委員> 井上委員、内田委員、手塚委員、中村委員、西田委員

 <事務局> 小林課長、森谷室長、上杉調整官、柴田専門官ほか(環境省)
        
                      河村次長(日本環境アセスメント協会)
        
                      黒崎課長(日本工営)、奥村技師長(応用地質)

                      島田主査研究員(国土環境)、上田副本部長(サンコーコンサルタント)

○議題

(1)土壌環境・地盤環境の環境影響評価の進め方について

(2)水環境及び土壌環境・地盤環境の環境保全措置等の進め方について

(3)今後の検討課題について

(4)その他

○検討経緯


上杉調整官 定刻になりましたので、これより平成14年度大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会水環境分科会を開催させていただきます。
 まず資料の確認からさせていただきたいと思います。

                                               (配付資料確認)

上杉調整官 それでは、本分科会の座長をお願いしております中西先生から、議事の進行をよろしくお願いいたします。
 
中西座長 それでは、議事を進めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  本日の議事の進め方ですが、前回と同様に、まず土壌環境と地盤環境における環境影響評価の進め方について検討を行います。その後に環境保全措置と事後調査の進め方について、水環境と土壌環境を合わせて検討していきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 最初に、資料の説明を事務局からお願いいたします。
柴田専門官 資料の説明をさせていただきますが、資料の説明に先立ちまして、土壌・地盤の環境影響評価の進め方と環境保全措置等の進め方につきましては、1月22日、4月25日において、今まで2回分科会を開催してご検討いただいておりました。今回、この検討については3回目ということでございまして、できますれば今回でこの土壌地盤関係の環境影響評価の進め方と水環境・土壌地盤の環境保全措置の進め方につきましては、分科会として取りまとめをお願いできればと思っております。
 その後、全体の検討会を開きまして、最終的に取りまとめをさせていただければと考えてございますので、よろしくお願いしたいと思います。

                                                    (説 明)

中西座長 どうもありがとうございました。ただいまの土壌環境・地盤環境について、前回指摘されたところを中心に修正していただきました。今ご説明あったようにアンダーラインを引いたところでございますが、このことに関して、いろいろご意見がございましたら、これからお聞きしたいと思います。大体30分ぐらいを予定しています。よろしくお願いいたします。

新藤委員
 まずこまかいところから、17ページにある地盤沈下の仕組みの図は陶野さんのものをそのまま引用したものですか。

陶野委員
 そうですね、多分そのまま載せてあります。

新藤委員
 これは引用の仕方のルールに合っていないように思いますが、これでいいですか。

陶野委員
 本に載せるときは、後ろと同じように何年とか、どれを使ったかにしないといけないと思うんですけれども。

中西座長
 報文で出されたものからですか。

陶野委員
 古くは1970年代から使っていますので、普通の本にも、教科書みたいなものにも同じものを使っていますから、どれでもいいですけれども、後ろにある地盤沈下の対策も大体私が書いていますから、それにも載せています。ただ、書くときに若干絵とか字を変えていますけれども、基本的にはどれでも同じです。
 3ページの留意事項の一番最後のR層のところなんですけれども、少し「の」が多過ぎるので、できたら「からなる」とか「何々を有する」とか、どこかしらの「の」を入れかえていただくとよろしいかと思うんですけれども、「の」がたくさんあると、いろいろな意味合いにとれてしまうということがあって、もうちょっとはっきりさせるには、特に後ろの二つのうちのどちらかを外していただいて、別の文章、文字に置きかえていただく方が厳密になるかと思います。
 特に意見はないんですけれども、大局的には随分すっきりしたと思っていいと。細かく読んでいくと、また多少出てくるかもしれませんけれども、今ちらっと見る範囲では、かなり今までに比べればすっきりしていて、いいのではないかと私自身は思います。

青木委員
 9ページの上の方の【留意事項】の・です。下から2行目の「土壌汚染による環境リスク低減方策により」がどういうことかわからないんですが、「環境リスク低減方策による土壌汚染により」ならわかるんですが、ひっくり返すとわかるんですけれども、僕が勘違いしているんですかね。このままでいいのか。

応用地質
 「環境リスク低減」という言葉で難しく書いていますけれども、要は「土壌汚染対策により」という意味でご理解いただければと。

青木委員
 そうですか、ではこのままでいいんですね。
 ついでにすみません、13ページ【留意事項】の・の私が提案した土壌動物を用いた環境診断の記述ですが、「詳細は技術シートを参照のこと」とあるので読んでいただければわかりますけれども、2行目に「動物の種類数を指標とする」と、「種類が多ければ多いほど、自然の豊かさが高い」と書いてありますが、これは種類数ではなくて、環境変化に非常に敏感なグループとそうでもないグループと鈍感なグループの三つに分けて、どれが出てくるかということを指標にするわけです。ですから、単に種類数が多くても1点のものがたくさん出てもしようがないし、種類数が少なくても5点のものがたくさん出れば評価が高くなるわけです。書き方が難しいんですけれども、出現した動物群の環境適合幅を指標とするとか、そんな表現にして下さい。このままだと正しくないですね。

応用地質
 一つのご指摘は、土壌動物の種類数だけではなくて、トータルの数も指標になるよということ……。

青木委員
 その点数がね。5点、3点、1点という評価が書いてありますので、要するに敏感な感受性の高いものが多く出ればいいわけです。ですから、書き方は難しいですが、ちょっと工夫してください。

新藤委員
 13ページの【留意事項】の地形と土壌の関係について、ですけれども、僕がこの間指摘した趣旨は、土壌と地形とは互に密接に関係しているということです。すなわち地形が土壌タイプを反映している場合もあるし、逆に土壌タイプは地形の影響を受けているというか、そういうこともある。例えば、台地や丘陵地の小さな谷の合流点付近には還元性の土壌が発達するとか、水流に面した斜面の末端部などのように、常に飽和状態にあるようなところでは、土壌のグライ化が進んで暗灰色の粘性土壌に変質していたり、また上から土砂が流れてきて、それが谷にたまり、微高地をつくっている場合もある、といったように、相に密接に関係していると言っておいた方がいいのかなと思います。できれば、この点に関する資料が載っているといいのですが。

応用地質
 例えば、絵とかですか。

新藤委員
 地形と土壌タイプの関係を示す図などです。これだけだと分かり難いと思いますので。

応用地質
 例の匍行土とか崩積土といった区別が分かるような絵が入った方がいいということですね。

新藤委員
 そうです。でも、ほかとの並びがありますから、これだけ詳しくやってもしようがないのですが、ここでは相互に密接に関係しているという点だけでも強調しておいた方がよいと思います。

陶野委員
 青木先生のところで、どういう表現がいいのかわからないですけれども、例えば有孔虫なんか、今もいるわけですけれども、定性と浮遊性があるときに、少しでも環境が変化してしまうと死んでしまうのとすぐに環境に対して対応できるものとありますよね。ですから、そういう環境対応型と、特に環境に対応できない種のものが残っているということが環境としては自然性豊かということで、そういうことをうまい表現をしていただくと、ですから種によって、同じ仲間でも環境によって、生き長らえれるものと何かがあった途端に死んでしまうものとがありますので、そういうところを何が一番いい言葉づかいか思いつかないんですけれども、ああいうものだと環境依存性とか何とか使っていますけれども、何かそういうもので、逆に言うと、依存性があるというものがほかの人にどういう意味かが理解できるかどうかということもあるものですから、だれでもわかるような言葉づかいを見つけていただくとありがたいです。

応用地質
 今のご指摘は、先ほどおっしゃった保存動物を用いた環境診断の中に、点数が5点、3点、1点という言葉としての……。

陶野委員
 そうですね。点数の意味合いが、環境が変わっても、それにどんどん対応して生き長らえるものと対応できないものがありますから、生き長らえるものが幾らあっても、環境としては余り意味がなくて、生き長らえない種がどれだけ生き残っているかという方が重要なわけですよね、環境評価に対して。ですから、そちらの種をどちらかというと指標にしていく方がいいわけで、その辺のうまい表現を考えていただくとありがたいです。

井上研究委員
 同じところですけれども、「詳細は技術シートを参照のこと」というんですけれども、まだないですよね。
 
応用地質
 色ページの二つ手前、90ページ、青木先生からお借りした本を、この書きぶりについてはまたご指導いただかなければいけませんかもしれませんけれども。

井上研究委員
 もうちょっと詳しいことが言えるといいかな。せっかくの最終章で、これだけだとちょっと弱いかなと。

中村研究委員
 今の技術シート参照は、むしろ青木先生の論文自体をここに引用したらどうなんでしょうか。

青木委員
 図表が一つ入っていれば、ぱっとわかってしまうんですけれどもね。

陶野委員
 関係ないところで、今開けたついでに91ページに間違いがあります。「純粋な砂層で、粒径が均一な中粒砂」と書いてありますけれども、均等係数が限りなく1に近いものは液状化しません。それはソウ質(?)という舞浜海岸みたいな、ああいう均質な粒径でそろっているところは、どんな大きな地震が来ても液状化しません。緩くてもしません、粒径がそろってしまったら。ある程度、均等係数をばらさないと、全く逆に物すごく均等係数が大きいものもだめですけれども、小さいものもだめなんです。逆に言うと、ピンポンの玉みたいな丸い玉で液状化しても、まず起きないわけです、丸い粒径で、粒のそろったもので液状化試験やっても。ですから、ある程度、普通、自然から見れば均質なんですけれども、均一ではないんですよね。同じ粒径がそろってしまうと、あるいはそれに近いものばかりが、90%以上が同じような粒になってしまうと、普通の地震では液状化しません。ですから、比較的均質なんですよね。均一ではない。

須藤委員
 きょう直接のところではないんだけれども、土壌汚染のところは、溶出試験でいろいろな環境基準値が出ているんだけれども、汚染土壌のところは含有量でやるという方向で、1~2カ月の間で含有量の値等が出てくると思いますので、多分整理していく段階で、特に土壌の部分は新たな数値が導入されると思いますので、その辺はフォローしておいていただいた方が、せっかくやっていただくんですから、1~2カ月の間だと思いますので、その辺のところをお願いいたします。新たな基準値等を入れておいていただきたいと。今までと全く変わりますよね、水に溶けてきたもので基準値を決めていたんだけれども、今度は含まれている量で、土壌汚染対策をやるのでは、曝露するときには吸い込むではないですか。水に溶けたのでは余り意味がないでしょう。

中西座長
 その存在そのもの。

須藤委員
 そうです、存在そのものですね。

中西座長
 大体出ましたか。一応、前回のところでご指摘いただいたところを直していただいておりますが、きょう追加でいろいろお話しいただいたあたり、ご理解いただいていると思いますので、また検討をお願いいたします。
 まだお気づきの点があるかと思いますが、次に進ませていただきます。後ほど、お気づきのところがあれば、少し時間を持ちたいと思いますが、次の議題に移りたいと思います。
 次は環境保全措置、事後調査の進め方でございます。これについての検討に入りたいと思いますので、説明をお願いいたします。

                                                      (説 明)

中西座長 どうもありがとうございます。水環境及び土壌・地盤についての環境保全措置と事後調査についての前回からの修正箇所を中心にご説明いただきました。
 ご意見ございましょうか。

陶野委員
 まず水環境の方から、41ページの図ですけれども、どう見ても正しくないというか、間違っていると言わざるを得ないんですけれども、擁壁がある左側も右側も正しくない。左側に関しましては、まず地下水が上に上がっていますけれども、絵に書いてあるような水位の上がり方はまずしない。その下の浮力の増大も同じように書いてありますけれども、擁壁に向かってそちらの方が多くて、外側が小さくなるのが普通です。難透水層の下に関しては、間隙水圧が上昇するという形にとらえないといけない。
 次に、右側の方へいきますと、難透水層の上に関しては、水位は低下しますけれども、ここにある矢印までは下がりません。難透水層より、これは人工的に無理やりとれば別ですけれども、そうでない限りはあり得ないです。
 もう一つ、下の方に関しては、「井戸枯れ」と書いてありますけれども、それは汲むか汲まないかです。もし汲まなかったら井戸枯れを起こしません。そこも違います。そこに関しては、水位は低下しますけれども、井戸が枯れるということは、自分が汲んでしまえば枯れますけれども、汲まない限りは枯れない。
 同じように塩水化も、何もなければ上の層が塩水化するのであって、下の層は塩水化しません。ですから、基本的に地下水の流れからすれば正しくないです。
 水の方で気がついたところはそういうところです。全体的に地下水の流れを考えるときに、難透水層があるということでもう1回考え直していただければと思います。

中西座長
 これはどこかのものを引用されたんですか。
 サンコーコンサルタント 引用したものに若干手を加えさせていただきましたので、最終的には出典の方もきちんと載せるようにいたします。

中西座長
 引用されたもとがこういう格好だったら、今ご指摘があったようなことで直していただきたいと思います。

須藤委員
 26から27ページ、DOをここでやって、環境保全への配慮の考え方で、面積が減少してくるわけですか、私もそれでいいような気がするんですが、私の理解が十分ではないので、図 2.2、27ページの例だと思うんですけれども、1層、2層、3層、4層、もうちょっと説明していただけると。よく聞いていなかったのかもしれませんが、このところを説明していただけますか。

国土環境
 27ページの図 2.2ですが、絵が四つ出ております。第1層が左上にあります。これは水深0~2メートルのものです。第2層が右側の上になりますが、水深2~5メートル、以下、第3層が5~10メートル、第4層が水深10メートル以深ということでございまして、それぞれの層におけますDO濃度を凡例の方で-0.6、-0.6~ 0.4、-0.4から 0.2ということで、減少……。

須藤委員
 現状の濃度をとっているわけなんですか。

国土環境
 そうです。

須藤委員
 では、黒いものがすごく減少しているという意味なんですか。

国土環境
 黒いものがたくさん減っていると。

須藤委員
 そうすると、底の方が、深い方が……。

国土環境
 例えば、第3層のところでごらんいただきますと、面積が縦軸になっておりまして、その位置が大体70ヘクタールぐらいになります。試案2の方が75ヘクタールぐらい、試案3が70ぐらいになりますが、これでいきますと、試案1と試案3はDOが減る面積が試案2に比べて低いという読み取りをイメージしております。

須藤委員
 だけれども、凡例の中に書いてあるもので言うと、試案1の方がたくさん減るということではないんですか。この-0.6は違うんですか、黒いものが多いから。

国土環境
 これは減るということです。試案1が減る割合といいますか、量が一番多いと。今回、今第3層でご説明したのであれだったんですが、第4層の方で、一番最下層のところでどうかということをイメージしておりまして、絵の表現で見にくくなっておるんですが、試案1、試案2、試案3を第4層と比べておりまして、減少面積が一番小さいものが試案1であるということで、もうちょっと絵を見分けやすいように……。

須藤委員
 要するに、これをどういうふうに評価するかというところが理解し得ないとまずいですよね。DOが重要だということは承知しておるんだけれども、そのところの比較がきちんとわからないというか、理解が困難だったので、そこがもっとクリアになる方がよろしいのではないでしょうかということがコメントです。

国土環境
 ぱっと見てわかるような形で、絵の方も修正いたします。

須藤委員
 DOを取り上げていることはいいんですよね。だけれども、今おっしゃっていることとここが一致していないようなというか、はっきりわからない。ここからはっきり読み取れないとまずいなのではないですかと思います。

中西座長
 それに関連して、26ページの埋め立ての図、試案1、試案2、試案3があるが、これはいいのか。最終的に、その次ですか、決定したものが試案1ですね。結局、試案1・2・3は防波堤のところだけですね。このやり方でDOがどう変わるかというシミュレーションですね。

国土環境
 27ページまでは、早期段階での検討というイメージでして、26ページに試案1・2・3がございますが、地形自体の検討もしておると。それから、28ページ以降が環境影響評価の実施段階というイメージでございまして、より具体的な事業計画を検討する際の考え方ということで、34ページに保全措置としての検討ケースをケース1からケース3で載せてございますが、先ほどの試案1をベースにしまして、埋め立て地形はそのままで、それ以外に防波堤というものを考える際に、どういう防波堤にするのが一番環境保全措置として考え得るのかということを実施段階で検討したものが34ページというイメージで整理しております。

須藤委員
 そうしますと、私が疑問に思っていたのは、アマモ場の中の酸素のことを考えているんですか。アマモ場が事業をやろうとしているところ、埋立地、港湾つくるところの中で、これは仮定だからよろしいんだけれども、その中のアマモ場の中の酸素濃度を考えるんですか。

国土環境
 アマモ場周辺です。

須藤委員
 そうすると、事後調査の段階ではどういうことになるんですか。

国土環境
 事後調査の中では、38ページに事後調査実施案とございます。調査項目としましては、保全措置の対象項目そのものは水質のDOである、これを調査項目とします。あと、関連する環境要素としまして、それ以外の流れですとか、生態系の方ではアマモ場の生育状況ですとか、仔稚魚の出現状況などを項目としてイメージしまして、調査範囲でございますが、それらの項目につきまして、水質の悪化が予測された範囲で、それを基本にしまして、保全措置を行わない場合に、底層水が貧酸素化すると。予測された範囲全体を対象に事後調査をしますと。ただ、調査地点は水質悪化の直接的な影響の可能性が考えられますアマモ場ですとか、親水公園の水生生物に配慮しまして、その周辺に密にといいますか、そこにも設定しますということを書いてございます。

須藤委員
 アマモ場に限ったわけではないわけですね。

国土環境
 はい。

中西座長
 そうすると、早期の段階で埋め立て地形、試案1から3種類あるわけですね。一番影響の少ないものが試案1だということで、それを計画の中に入れたと。それに対しては、張りつく防波堤について3種類の原案があると。それでは相当DOが減るから、防波堤の構造を変えるということで、それが保全措置ですね。それによって、防波堤はこういうものを選んだと、そういうストーリーですね。

国土環境
 そういうストーリーです。

中西座長
 この場合の計画は、どちらも低減になるんですか。回避ではなしに低減ですね。ここと外れるかもしれませんけれども、いずれにしても、早期段階の埋め立て計画が岬の先にできますよね。今、埋立地のほとんどの計画はこのようになっていますよね。これ自体が全体に湾内の閉鎖度を高めるというか、そういう計画だけれども、初めからここに埋め立てをするという計画があるのか、それ以外のところで考えるのかという、そういう話はちょっと次元が違うのか、あるいはこれはSEAの問題かもしれませんけれども、いつもそう思うんです。閉鎖度を高める形の埋め立てがまず計画されるという。ちょっと余談ですけれども。

陶野委員
 地盤のところですけれども、一つは53ページのところで、改変後の河川・湖沼とあるんですけれども、地形だけに「○」がついているのは、どういう河川を意味しているのかよくわからないんですけれども、例えば蛇行しているものをまっすぐにするとか、堤防を埋めたものを変えるとすれば、地形改変でありますし、跡をコンクリートで張る、張らないとなれば、地下水にもろに影響、つまり底外地だけでなくて底内地に対しても影響を受けますので、結局地形改変と同じものが全部あっておかしくないはずなんです。地形自身が変わっていますから、水の流れ、特に河川は地下水と出たり入ったりしながら流れているわけですから、そういう意味では、周りの地下水と常に1対1の関係で持っていますから、それが変わることは既に地下水との関係が全部変わってきますから、それに対応する保水機能、生態系も全部影響するはずです。ですから、こういうものをしたときは、地形のところだけに「○」がついて、河川がないということはあり得ない。ですから、ある以上はどちらも一緒にしないといけないと思います。
 ついでにもう一つ、75ページで、相変わらず「洪積」という言葉を使われているんですが、洪積という意味は多分ご存じだと思うんですけれども、氷河堆積物という意味なんです。これがなぜ日本で生き残ったかというと、実はドイツ人に地質を習ったために、これでなくなったのは明治の初期です。1860年代です。世界的にはもう使われなくなってしまった用語です。ですから、世界で論文を書くときには、これがあると全部間違いになるんですけれども、たまたま明治のときに、ちょうど来たころ、初期のときにナウマン先生含めて、たくさんのドイツ人が日本に地質を教えた、それが生き残ってしまったということです。ヨーロッパアルプスのところは、その時代は確かに氷河なんです、ヨーロッパに関しては。ところが日本は、その時代、どこも氷河に覆われていませんから、そういう言葉づかいは基本的には正しくないので、ごく普通の、世界共通の言葉にしていただけると。「D」も氷河堆積物の意味を表す「D」なわけで、日本はその時代であっても沖積層なんです。ですから、言葉として変えていただく方がよろしいかと。もしやれば、注意書きか何かで説明すると。過去の明治の時代のものが一部のところで生き残っている、今になってもそれをそのまま使っていると。ドイツとフランスに行けば通用しますが、外国では全く通用しませんから。

中西座長
 日本のほかの教科書とかでは、広く使われているんですね。

陶野委員
 これは工学の人だけが使って、地質の方はとっくに使っていません。明治の時代から違うことがわかっていますから、地学の人はそれで直してしまったんですけれども、工学の人たちはその教えをいまだに、土木の人が直さないで引きずっているんです。

新藤委員
 地盤工学会あたりではまだ使っているようです。ただしカタカナで記述していますね。どうしますか。

陶野委員
 本当は正しくないんですけれども、だから地学学会でも私が説明するときはそういう意味だと。英語で論文を書くと、かなり有名な先生も全部バツになって、はじかれて返ってくるんです。それは使い方が間違っている。英語でそれに直してしまうと完全に間違いですから。日本語でやるときは、ただし書きをどこかで入れると。例えば、沖積層もいわゆる沖積層とか、括弧書きの沖積にしろとかということで、それは今の上のところを意味するというやり方にしないと、地質系の理学系は問題ないんですけれども、そういう使い方はしませんから。

中村研究委員
 土壌環境の67から71ページぐらいですけれども、たしか5ページのところで土壌構造の破壊を「攪乱」に置きかえたんですよね。67ページの表3-2-13からずっと「破壊」のまま、68、69、70、71ページとなっていますので、それが一つと、70ページの下から6行目ぐらいですか、「なお、土壌は生態系の色彩が強いことから」というものは何となく、色彩が強いと不確実性が大きいという言い回しが余りすっきりしないんです。何か誤解を招きそうな感じがしますので、ちょっと工夫をしていただければ。

須藤委員
 生態系の色彩が強いという、この意味は不適切ですよね。おっしゃりたい意味はわからなくはないので、複雑な生物分布を伴っていて、あるいは環境要素が組み合わさっているからということをおっしゃりたいんでしょう。そうおっしゃりたいんだけれども、生態系の色彩では、「生態系」という言葉をここに使われるのは余りよろしくないような気がします。

中西座長
 解説的に書いておいた方がわかりやすいですね。

応用地質
 修文いたします。

手塚研究委員
 水環境と土壌環境を並べてみますと、環境保全措置のときの構成が若干、文章の順番とか微妙にずれているんですけれども、統一されるか、あるいは何か意図があってのことなんでしょうか。

中西座長
 チェックして合わせるというふうな、特になかったですね。それぞれがお書きになっておるから、合わせてみるとちょっとずれておると、そういうことですかね。両方で相談していただいて、できるだけ合わせるようにお願いしたいと思います。

新藤委員
 水環境に関して、意味不明というか、理解しがたい文章があるので、できればもう1回検討してもらいたい点があります。例えば1ページの一番最後の段落から以下ですけれども、言わんとすることは分かりますが、「事後調査地点等を配慮して予測地点及び調査地点を設定するか否か等」からずっと続いて、「判断することは困難であり」とあって、その後、「環境影響評価の効率的かつ効果的な実施の上で重要となってくる」という、この間に文章が一つ欠けているのではないかなと思うのですが、要するに事前調査の段階から事後調査まで視野に入れておいてやりなさいよと。その方が効果的な評価ができる、というような意味だろうとは思うんですけれども、これでは文章が不十分ではないかという気がします。
 もう一つ、同じように、6ページですけれども、中ごろで、「しかし、水環境は、自然にあるいは人為的影響を受け、生態系等との関わりを持ちながら環境中を循環する複雑な系にあることから、その代償措置は、技術的な困難さを有している」という、この文章を分かりやすく表現した方がよいと思います。これも言わんとすることは分かりますが、要は、水環境はいろいろな要因の影響を受けながら循環しているので、代償措置を講ずるのは難しいんだということを言わんとしているんですけれども、これも説明が不充分かなと思います。
 代償措置については、次の7ページにも太字で書いてあって、「そのような複雑なバランスの上に成り立っている循環系にある水環境の機能を人為的に代償することは技術的に困難であることを念頭におく必要がある」と書いてありますが、そういうふうに言い切っていいのかなという気がします。
 例えば、水循環が有している機能的な側面を重視すれば、水循環の制御機能としての遊水池を設けることは機能的に可能なわけです。水循環のスピードというか、短絡を防止するために一たんそこに溜め、徐々に排出するという、自然が有している機能と同じような効果を発揮させることはできるわけです。ただし、代償措置ができるものと、できないものとがあるだろうと思うんです。生態系、あるいは自然との豊かな触れ合いの場云々となると、代償措置を講ずるということは確かに容易ではないけれども、機能の面で同じような機能、働きを人為的につくり出すことは不可能ではないですね、物によっては。この辺のところは表現に一工夫ほしいですね。できればその辺のところを議論しなければいけないのかなという気がするわけですけれども、いかがかなと思って。
 例えば開発行為によっては、地表の浸透機能が損なわれるようなことが予測された場合には、雨水浸透マスなどの設置を図れば、自然が有している機能をそれによってある程度代償することができるわけですよね。同じものを実際につくり出すということはほとんど不可能だけれども、別の方法で代償することは不可能ではないですよね、物によっては。その辺のところを含めて検討してもらった方がいいのかなという気がしますが、いかがでしょうか。

国土環境
 12ページで、保全措置の対象ということで例示しておるんですが、状態・現象面では、水文の状況であるとか、水質・底質の状況であるとか、機能の面では水質等浄化機能ですとか、浸透能ですとか書かれておるんですが、確かに今お話しございました、例えば浸透の機能ですとか、貯水の機能というものは、場合によっては代償可能なものがあるのかもしれません。その辺の趣旨を踏まえまして、先ほどの7ページにつきましては文章をつけ加えさせていただきたいと思います。

新藤委員
 表現を工夫された方がいいのかなという気がしましたので。
 もう一つ、1ページ目の最初の文章は非常に重要だと思うんです。その中で「逆プロセス」という言葉が書いてありますが、この用語が気になってしようがないんです。どういうことかというと、このようなことは既にいろいろなケースでも採られているわけです。ある事業が計画された場合に、何が評価項目として重要かということは、項目選定という段階で行われています。ここで殊更「逆プロセス」という分かり難い言葉を出す必要はないと思います。逆プロセスという言葉自体に若干抵抗があるんです。ほかの先生方のご意見も聞きたいのですけれども。

陶野委員
 文章としてすっきりしていないんですよ。何が言いたい、大事なことと補足の説明がごっちゃになって一緒に動いているから、全体の流れが見えてこないんです、すべてのところにおいて。ですから、もう1回一つ一つ細かいところをやって、全体の大きな流れと補足する流れを分離して、それから文章を構築していただくと、多分読んでいてすっきりしてくるんだと思うんです。そういうものが全部一緒になって、途中途中に補足的なものが、流れの中で変なところへ入ってきてしまうから、非常に読みにくくなるし、わかりにくくなってしまっているんだと思います。
 ですから、まず大事なもの、全体を通しての流れの文章とそれに補足する文章ときちんと分けて書いていただければ、もうちょっと読みやすいし、もうちょっとわかりやすい文章になるのではないかと思います。

新藤委員
 逆プロセスという概念は僕がさっき指摘したような意味でしょうか。

国土環境
 保全措置を考えるというのは、今回のテーマのメインになっておるんですが、それというのは一番最初の段階でそこまでのイメージがあって、それで初めて現地調査ですとか、予測というものが明確になってくるということを重視する必要があるということで、このような評価手法の検討、予測手法の検討、事後調査の検討というような考え方の流れと、当然とおっしゃられれば当然のことなんですが、明記した方がいいのかなと思いまして。

須藤委員
 実際のところから考察しようと、そういう意味で逆プロセスなんですか。

国土環境
 はい。

中西座長
 これは、今までの流れの中で、評価は普通の図で計画あって、次に調査があって、最後に評価があるけれども、そういう流れではなしに、逆から、逆の発想から評価をまず考えて、そのためには調査がどうあるべきかと、そういう発想が今までこの思想の中に流れていたと。それを簡単に「逆」とここで出てきているから……。

新藤委員
 言わんとしていることはよくわかりますが、同じように文章をもう少しわかりやすく書かれた方がよいと思います。

国土環境
 整理し直します。

中西座長
 先ほど問題提起された水環境と循環は、考え出したら相当深くて、実は私もよくわからないんですけれども、まず基本に健全な水循環ありきということで、いろいろキーワード的に使っていますね。では、果たして健全な水循環とは何ぞやと。果たして、それを明快に答えられる人は、多分少ないだろうと思うんです。私もよくわからないです。健全なというのは、要するに今まで自然状態であったものを仮に健全としたら、それを人為的にいろいろ阻害してきたものが不健全だと。そうすると、それは人為的に加えたものだから、人為的な欠陥を直すということ、修復、人為的に直すことはまた可能だと。そうすると、代償措置とか、それはある程度可能なはずで、そういう発想に立てば、要するに人為的にいろいろ、例えば自然で雨が浸透していたと。今度はコンクリートを打ったから浸透しなくなった。これは不健全になったから、今の発想として浸透性の舗装をしましょうとか、こういうことになっておるわけですね。
 だから、原点は、健全なというのは日本のこういう地形状態で、自然にあった状態、水が山から降って、非常に傾斜の激しいところを流れて、すぐに海へ行く、これが本来の日本の地形における水循環、水環境であったと考えたら、それを阻害するものが不健全だと。何かそんなふうに私は割り切らざるを得ないと思うんですけれども、これは相当議論されないと、簡単に結論は出ないから。そういう意味で、やはり健全な水循環とか、そういう発想から非常に複雑で修復と、こういうふうに難しくなったんですけれども、詰めていくと、基本的な話は議論していない。明快に完璧な文章になかなかなりづらいなという感じがしたんですけれども。

小林課長
 この問題自体は、確かに先生おっしゃるように、かなり議論が要る問題だと思います。少なくとも、今の場所、現状をどういうふうに認識するかということには非常に大きな左右される要素があるのかなと。現状がまさに微妙なバランスの上に精妙な系が成り立っているところで、たまたま事業をやりたいので代償措置というと、相当困難を覚悟しなければいけないでしょうし、相当開発が進んで、相当人工的な状態になっていると。そこに、さらに手が加わっていくときに、ある程度取り戻すために代償措置というものを考えるという、これは考える余地が結構あるのかなと思いますので、現状がどうかということとの関係で考えていく部分が大きいのかなという感じがするんです。

中西座長
 インパクトアセスだからですね。今度の事業行為によってマイナスになる分をどうするかという、その枠でいいわけですよね。

小林課長
 現状がかなり自然的に抵抗、ハイレベルにあるのか、かなり人工的状況下で手が加え得るかというところの難しさが相当違ってくると思うんです。一律に成り立つとか成り立たないと言ってしまうと、非常に誤解を招くところがあるのかなという感じがしたんです。

井上研究委員
 7ページの (3)ですけれども、手順のところですけれども、気にかかるのが、手順の中にスコーピング段階というものが入っているのがどうもおさまりが悪いような気がしてならないんですけれども、特に立案の手順の中にはスコーピング段階は入ってこないのではないかと思って、スコーピング段階にいろいろ考えることは必要ですよという基本的な考え方にこの部分は入るべきであって、手順はやはりどういう順番でやりますよという流れで、むしろ・の環境影響評価段階の話でないと、ここはおかしいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。スコーピング段階は、立案という話には、措置の立案はあくまでも影響評価段階の話だと思うんです。スコーピング段階には、環境に対する早期の措置をしなければいけないという考え方は持っていなければいけないということで、それは分けて書かれる方がいいのではないか。スコーピング段階をここに入れると、すごくわかりにくくなって、立案の手順が非常に、どこにどう入ってくるのかわかりにくい。
 スコーピング段階で、ここの考え方は基本的な措置の考え方の中に早期に必要だというのは入れておいてもらって、その次に手順が来て、内容はその次に来た方が、手順が来て内容の方が、土壌の方はそういう順番になっていますよね。どちらかで合わせた方がいいような気がしているんです。
 もう一つ、無理だったらあれですけれども、手順と言うからには、何かフローがあった方がわかりやすいなと思うんですが、全体を見ると、非常にフローにしにくい内容で苦労されているようなところがありますけれども、ここは一番重要なところだから、できるだけフローにできる方がいいような気がするんです。ここが全体のポイントですよね。フローにしにくければ、しようがないんですけれども、スコーピングが入るとフローにならないんですよね。なければフローになるのではないかと思うんですけれども、できなかったらしようがないんですが。

国土環境
 フローにつきましては努力してみます。スコーピング段階につきましては、確かにご指摘のとおり、環境保全措置として、4ページに全体の流れを入れてございますが、環境保全措置の立案はあくまで環境影響評価段階で行うものであって、スコーピング段階が環境保全の配慮という形にできると思いますので……。

井上研究委員
 配慮ですよね。案ではないから、分けた方がよくて、配慮することはすごく重要だけれども、だから、そのことは環境措置の考え方の中で、スコーピング段階から続いていますよという考え方が入っていればいいわけです。スコーピング段階のことを入れると、手順上非常に難しいですよね。ここは影響段階できちんと整理された方がいいかなと思うんです。

国土環境
 わかりました。

青木委員
 前の方に戻ってしまってもいいでしょうか。4ページに楽しそうな絵があるんです。これを見ていますと、確かにいろいろなものがかかわり合っているんだなとか、土壌環境が生態系を支えているんだなということは漠然とわかるんですが、こういう絵は大変強いイメージを与えてしまうので大事だと思うので、できましたら、生態系の三つの構成要素である生産者と消費者と分解者というものの位置づけがこの図の中に示されると大変いいなと思うんです。ふだん、私たちが見ている地上の世界は生産者と消費者の世界です。地面の下の土壌の世界に初めて分解者がいるんだということになるわけです。ただ、この絵を書きかえるのも大変でしょうから、せめて下の方の層位のところと団粒構造のところがありますね。左下の層位のところ、上の図の中から引っ張り出してきて拡大図にしてあるんですが、普通は拡大図にすると、拡大された方が正確にならなければいけないんですが、もとの上の方が実際に近い正確な図が書いてあって、引っ張り出された方が、B層が礫層みたいだし、母岩がばらばらに壊れているし、むしろ上に合わせて同じような図柄で書いていただけるといいなと思います。
 団粒構造ができることが非常に大事なように強調されていて、上から大きな矢印が三つ来ているんですが、この矢印の意味もわかりません。団粒構造が全部根の作用でできているみたいに書いてありますけれども、どの教科書を見ても、動物が出す排泄物、フンとか尿とか分泌物とか、そういうものが接着剤として重要な働きをしていることはわかっておりますので、根の作用だけではなくて、動物の作用も入れていただけたらいいかなと。
 右の方の生きている根の作用とありますけれども、これも根の作用と縮んだり乾いたりすることだけではなくて、動物がもぞもぞ動き回るわけです。それによって、ねばねばと粒が混ざり合って団粒ができてくるわけですから、その辺にも動物の作用が非常に大きいわけです。ちょっと手前みそですけれども。上の方はいいと思います。

中西座長
 一番下の団粒構造の説明は、そんなことですね。そういう位置づけで書いておけば、取り出して。そうするとわかりやすくなりますね。
 ほかにございませんでしょうか。
 また後でフィードバックしたいと思いますが、水と土壌・地盤環境の保全措置、事後調査を一応終えたことにして、次に進ませていただきます。
 4番は今後の検討課題についてでございますが、これについての説明をお願いいたします。

                                                  (説 明)

中西座長 どうもありがとうございます。水環境並びに土壌・地盤環境についての今後の課題ということで、両方まとめていただいておりますが、ここについてのご意見をいただきたいと思います。

須藤委員
 水環境の2番目の課題で、先ほどいろいろDOのことを伺ったので、それはそれでよろしいんですが、DO自身が生物の活動に非常に影響を受けるし、また逆に生物の活動がDOを下げるということもあるわけです。さまざまな問題が含まれているので、その総合指標としてこれから評価することは大変いいんだけれども、例えばの例でいけば、事業者が事後調査をやったらDOに問題がないよと。しかし、環境省がやったらDOに問題があるということが、例えば貧酸素化しているなんていうのは最近の例でもあるわけです。どうしてもそういうことが起こるのかというと、底層のDOといってもはかっている場所が違うわけです。どこの底層を言っているか。そういう問題が結局はこういうところに非常に重要になってくるんです、細かいことなんだけれども。例えば、環境省がはかれば、50センチからぎりぎりのところをはかる。事業者は中層より下ぐらいをはかる。そうしたら3だの、5だの違ってしまう。片方は無酸素です。片方は4なり、5なり、6なりと。ほとんどDOは問題ないよと、そういう結果になってしまうわけです。そういうことではいけないですよね。ですから、事後調査等も含めて、そういうことのないようにするためには、きちんとした調査手法を提示しなくてはいけないだろうと。
 例えば、底がはかれなかったとき、ぎりぎりにはかるというのは、経験者が多いと思うけれども、ぎりぎりにはかるのはかなり難しいですよね。例えば、1メートルか2メートル上ではかっても、3なり、4だったら、下は絶対無酸素なんだよということがわかれば、そこで決めておけば、3以下だったら底は無酸素だから、二枚貝にしてもゴカイにしても死んでしまうということがわかるわけでしょう。必ずしも無酸素を見つけなくてもいいんだろうけれども、そういうところは意外にできていないんですよね。研究者がはかるところはプロファイルでそういうことをやっているかもしれないけれども、こういうところの調査の中ではやっていないと思うんです。ですから、そういうところをきちんと、そんなに難しいことではないので、こういうところをやっていただきたいということが1点目です。
 DOは当然光合成活性が上がれば、今度逆に飽和になるから 200%、 300%も起こるわけだ。ですから、そういう富栄養化の評価も、表層のDOを見ることによって逆のこともわかる。 100%以上だったら富栄養化しているという事後調査になりますよね。クロロフィルをはからなくてもいいわけです。そういうこともあるので、DOはそういう意味でプロファイルを見ておくことが非常にいいのではないかと思うんです、底層に限らず。
 2番目が、ここに書いてあることは、湖沼と海というところはそれでいいんだけれども、川の問題の評価の事後調査の部分では、もうちょっと検討しておいた方がいいのかなという気がします。川も意外に難しいですよね、何を使って評価するかということは。ですから、その辺のところが、例えば濁りもあるだろうから濁度でもいいのかもしれないし、今のDOも、最近の河川は付着藻類が出てしまって、即DOが上がってしまうようなことがあるよね。夜間になるとDOがばっと下がったりしますよね。
 ですから、DOが一点ではなくて、ある時間変化なり、変動なり、そういうものでDOをとらえると。要するに、評価するときに、一点主義は余り効果が出ないですよね。ですから、DO一つとってもいろいろな見方があるので、ヒストリー、ある期間の問題でどう変動するかというふうな見方も大切かなと思うので、結局さっきのような話がDOから出てきて、私は大変結構だと思うんだけれども、具体化するためには、その辺の調査手法なり、そういうことをやっておいていただいた方がいいのではないかということで、細かいことで恐縮です。

国土環境
 課題の中で、その辺の話を盛り込んだような、わかりました。

須藤委員
 ですから、今後の課題でいいですよ。これに書いてくださいという意味ではないです。これからやるんでしょう。そういうことをお調べいただいた方がよろしいのではないですかという意味です。

西田研究委員
 今おっしゃっていたことと非常に関連するんですけれども、例えばぎりぎりのところとか、そういうところでとりなさいということの意味をどこかに裏づけとして載っけておいていただくと、要するにこれだけの違いがあるとこういう差が出てきてしまうんだよということがやる方にわかるようにしておいていただけると、この手法を使ってアセスをいろいろな方がやるときにはやれると思うんです。単に、土壌汚染の方なんかでいいましても、表層15センチ、50センチ、バンバン(?)でとりなさいと決めるだけではなくて、どうしてそういうところでとる必要があるのかということが、私はそこでやっているものですから、それなりの意味は理解してできるんですけれども、こういうことはちょっと違うのかもしれませんけれども、土壌汚染の調査という部分でいくと、数値だけで動いていることの問題点、数値の意味がどこにあるのかということがないと、調査をやる方の都合のいい判断で、それが便利なのかもしれませんけれども、都合のいい判断でやり得る可能性がある。それは、先ほど須藤先生おっしゃったように、立場の違う側でやってきたときに、答えが全く違うものになる確率が非常に高いわけです。同じ土俵の上でやらなければいけないんだということを、今後の課題なのかな、当然の基本なのかわかりませんけれども、それはどこかにあった方がいいのかなという感じはします。
 土壌に限らず、通常の開発行為に伴う環境アセスなんかでやっていても、正直言いまして、先ほどおっしゃられたように業者がやる側と反対がやる側の答えがまるっきり違う。とても同じ場所とは思えない。それはそうですよ、川のそばでとっているものと離れたところのデータを持ってきて、この範囲を代表してやっているわけですから。指定をすることの重要性は非常にあると思います。そこら辺が、こうしなさいではなくて、こういう点に気をつけなさいという表現をしておくことの方がいいのかなと思います。

中西座長
 基本的に、原点に帰れば、DOは生物影響だから、生物影響がわかる地点ではかりなさいと、こうしておけば、上ではかっても意味がないわけですね。

西田研究委員
 それは判断できる人がやるべきなんです。変な話かもしれませんけれども、今いろいろな面でいろいろな方ができるわけですから、何に従ってやればいいの、手順書、マニュアルに従ってやっているだけなんですよ。
中西座長 基本的に、底層の直上でやれと。底生生物はその下におりますから。真表面とか、そこのDOが問題なので。だから、そういうふうにマニュアルにもはっきり書いておけば。
西田研究委員 マニュアルに書くだけではなくて、そういうことがわかっている人がやるべきなのであって、マニュアルがあることによって、だれでもできることになってきてしまった弊害も……。

中西座長
 だから、そこに解説を入れて、生存を調べるためのDO測定だから、そこではかりなさいと。

西田研究委員
 これは指針ではないので、そこはちょっと難しいかもしれませんけれども、そういう考え方的なものが入っていた方がいいのかなという気はします。

中西座長
 そういう意味のことをつけ加えていただければいいのではないですかね。これは今後の課題か。重要ですよね。今後の課題ではなしに、できれば今回の中に入れば。DOは水環境では一番基本ですから。

須藤委員
 そうなんですよね。事業者は影響がありません、下がっていませんと。片方は下がっていますと言うんです。これでは、場所が違うからそうなってしまうんですよね。

中西座長
 生物の影響のあるところではかれと。

内田研究委員
 今の件ですけれども、同じ「超えた」でも「超えた」の判断が、見方によって超えたという人もいれば、あるいはそれは超えていないという場合もあって、今後の一つの課題ですけれども、どういう状態を持って超えたというか、そういう判断の基準が一つは必要なのではないかという気もします。

中西座長
 超えた頻度とか時間数というのか、1年間のうちの何ぼとか……。

内田研究委員
 特に貧酸素の問題ですと、以前からの、事業の前からの、例えば時々貧酸素の状態があって、事業が行われた後ももちろん出るわけですけれども、やはり頻度は少し高くなるんですけれども、それが事業の影響かどうかという判断が、事業者側と別の角度で見る人と違ってくることがよくあるわけです。ですから、その辺の見方も今後少し考えていく必要があるのではないかという気がします。

中西座長
 要するに、DOについて、みんなが相当注目してやろうということが入ればいいですね。今までは余り言わなかった。CODとしか言わなかったけれども、これからはDOの方が重要だから。そういうことで、水環境の特にこういうところの環境評価はDOが一番重要だという思想でいきますか。

須藤委員
 本来だったら、環境基準にそうあるべきなんだけれども、表層の環境基準しかないから、こうなってしまったんですよね。ですから、それは改めなくてはいけない問題だとは思っています。

西田研究委員
 土壌の方で一つお伺いしたいんですけれども、今後の課題のところの最初の中で、2番目の文章の中、「例えば」の2行目、「また、土壌汚染については、細心の法令等について留意すると共に」というところですけれども、具体的にはどういう点に留意すると考えるんでしょうか。

応用地質
 先ほどご指摘がありました直接暴露と地下水溶出リスクという視点を一つ考えていますし、今ご議論がありました、いわゆる適正な評価を下すためのサンプリングのあり方、精緻な分析へ持っていくまでの取り扱い等々もハード面での課題だと思います。

西田研究委員
 土壌汚染の評価ということ、汚染をしているものとしての評価は環境基準が中心になると思うんですけれども、リスク低減措置をやりなさいというときには、法律というか、パブリックコメントなんかの方でいくと、非常に現実的な対応、答えになっていまして、環境基準を守りなさいとも言っていないし、環境基準を超えたらやりなさいとも言っていないというところで、一番業者として気になってくるところが、ではいつやったらいいんだとか、何を超えたら対策をやったらいいんだというところもあるものですから、そこら辺を今後の課題という形で理解してよろしいんでしょうか。

応用地質
 その辺は、そこまで踏み込むかどうかはまたご指導いただきたいところですが、一番最初の回に新藤先生からもご指摘があったように、この土壌環境の中で、土壌汚染そのものをアセスの対象として突っ込んでいったら事業が成り立たなくなったと。事業計画予定地の中に、そういう懸念すべき場所があるかないかということでとどめておくべきでなかろうかというスタンスになるかと考えております。個人的な意見でございますけれども。

西田研究委員
 それなら安心して今後の課題を見ていけるなという気がいたします。ありがとうございます。

新藤委員
 前から申し上げていることですが、水環境の中には地表水も含まれる訳です。川・湖沼等に関することですね。今回はこれらに関しては、かなり欠けている面があるわけで、これらはいずれきちんと水環境のところでつくっていかなければいけないのではないかと思います。特に、流域規模で改変するような場合では、大きくは、流域変更というような問題も出て来るし、あるいは放水路の開削といった問題もあります。また小さな点では、さっきも話に出たように、蛇行している河川が直線化されるといった問題があります。これらは今後も規模が大きくなり、事例も多くなる可能性はあるわけですから、今後の課題として考えていただきたいと思います。今回は地下水を重視していますが、たしかに地下水の重要性は影響が長大な時間に及ぶこともあるし、地表から判断し難いところの現象であり、かつ地表水と連絡して循環しているということで、地下水に重点を置いてきたことは結構なことなのですが、地表水に手を加える行為が今後ますます多くなるので、今も実際多いわけですけれども、これらに関してはいずれやらなければいけない仕事ではないかなと思っています。その辺はむしろ環境省の方にお聞きしたいと思います。これは私たびたび申し上げていることですけれども、その辺のところがすっきり頭の中に入っていないものですから。

上杉調整官
 広い目で見ますと、水循環の話の大きな中で見ていかなければいけないのかなという感じもしておりますし、ここでいいます他分野との関連性ということも非常に関連してくる話かなと思っております。そういう意味で、まさに今後の課題として我々としても受けとめて、引き続き検討を進めるということを考えていきたいとは思っております。

新藤委員
 ぜひやっていくべきではないかと思います。その辺のところも加えておいた方がいいのではないかと思います。先ほど健全な水循環、確かに漠としたところがあるわけですけれども、これは具体的なイメージとしては、現状をなるべく変えないことが望ましいという点にある訳ですが、その範囲内で現状を代替できるというような視点を含めて今後の課題にしていくべきかなと思います。機能的に同一効果が期待できれば代替することができるわけです。調整池を造ったり、流出を抑えるための貯水可能な砂防ダムといったようなものは既にあるわけです。後者はいわば、人工帯水層とでもいえるものですが、これによって水循環を遅らせることは、機能的な面ではできないことはないわけです、流域を改変するような場合には。調整池なんかは既にあるわけですけれども。そういうものをいろいろ考慮した上で、地表水を含めた水環境についての保全措置といった内容のものを今後の課題として挙げておくべきではないかと思います。

西田研究委員
 細かいことかもしれないんですけれども、水環境の中の46ページと47ページのところで教えていただきたいんですけれども、保全措置A案は47ページのドレーン+通水管にリンクしているということでございますか。そうなりますと、47ページの一番右の欄は揚水井+注水井になっていますものですから、46ページの保全措置B案の集水井、排水井は揚水井、注水井にしておいた方がいいのかなと思うんです。
 それから、A案のトレンチ状のドレーン、いわゆる立て坑になるものを集水井としていいのか、右側の方が排水井になるのか、井戸という位置ではないのではないかという、ほかの言葉は思いつきませんけれども、ちょっと違うような気もします。
 
サンコーコンサルタント
 B案とA案の違いについて、再検討いたします。

西田研究委員
 方法はわかりますけれども……。
 
サンコーコンサルタント
 名称等で。

西田研究委員
 そうです。
 
サンコーコンサルタント
 区別いたします。

中西座長
 今後の課題だから言いますが、まだ法律になっていないけれども、話題になっている自然再生推進法がどうなっているか、どのぐらい進行しているか、よく知りませんが、あれができて、そういう事業はアセスの対象に入るんですか。

小林課長
 自然再生推進法は、今、党ベースで、議員立法でやろうということで検討されていまして、与党内はある程度素案ができていると聞いておりますが、国会全体でどうするかということで、最終調整の段階にあるように聞いております。
 そういう意味で、どこまでどういうものということが今申し上げられないのですが、大きく言いますと、全体の基本方針とか計画を立てて、いろいろな主体が関与して、これは各省ということもありますし、自治体、NPOも含めて、あるいは専門家も含めて、いろいろな議論の中で進めていくという枠組みはお考えのようであります。そういう体制をつくるような法律になるのではないかと思います。具体的に、アセスの対象になるとか、ならないとかまで大げさなものでは恐らくなくて、従来のように対象になるものはなるし、ならないものは必ずしもならないということだろうと思うのですが、自然を再生するという触れ込みのものですから、いずれ法律ができて動いていくときに、従来のような巨大な開発事業という感じのものでないにしても、そこで行われることの環境への効果とか、あるいはやりようによってはマイナスの影響も懸念されるわけですので、そういうプラスマイナスをどういうふうに見ていくのかということは、いろいろな意味で問われるようになるのかなと思います。そういうものに対して、法律ができて動いていく過程でということだと思うのですけれども、それなりに我々が勉強して、いろいろなものを提供していくことは必要なのかなと。それはこういう場の議論も活用したいと思いますし、もう少し計画全体を見ていくような中でどうするのかとか、もう少し幅広く考えなければいけないのかなとは思っています。

須藤委員
 今の件ですけれども、従来のなぎさ線をつくり直すとか、あるいは干潟をつくったものもありますよね。海浜をつくったものもありますね。いわゆる自然再生をしていますね。これはもちろん規模にもよるわけだけれども、要綱の部分、あるいは都道府県の条例とか何かで、当然そういうものも対象事業にはなっているんでしょう。違うんですか。例えば、葛西のなぎさ公園のところの護岸の部分とか、ああいうものはならなかったんですか。あれは規模が結構大きいですよね。

小林課長
 干潟造成が埋め立てかどうかという問題があって、必ずしもならないものが多かったのかもしれません。よほど大規模でないものを展開して、それに連なって人工干潟的なものをやるとかということで、大きな事業の一部として見たものもあるのかもわかりませんが、例えば単発で人工干潟をつくりますと言うと、結局水没するときもあるようなものですね。そうすると、必ずしも従来の感覚の埋め立てという概念には当たらない。埋め立て事業みたいな形で対象事業になることはなかったのかもしれません。

中西座長
 これからの課題ですね。

須藤委員
 ただ、そういうこともやはり、自然再生とは言っても、いいことはもちろんあるんだけれども、もしかしたら流れを変えて富栄養化を起こすとか、さまざまな問題があるでしょうから、自然再生とは言うものの、評価対象にしておくべきではないのでしょうか。

中西座長
 それは検討対象になるでしょうね。
 今後の課題について、よろしゅうございましょうか。ここで書いてもらっているものはそれぞれやらなければならないと意識されていることを入れていただいておりますので、それで大体結構かと思います。
 多少、時間があるので、初めに戻ってもいいですが、何か追加でご質問、どこでも結構です。ございましたら、ご発言いただきたいと思います。

内田研究委員
 資料4の39ページの事後調査報告の例のところで、土壌地盤の方では追加措置と今後の対応というところは記述があるんですけれども、水と地下水の方もそうなんですけれども、ここもDOというと入れにくいところがあるんですが、何か記載した方がいいような気もするんですけれども。

国土環境
 39ページの事後報告の例につきまして、追加的措置ですとか、今後の対応という部分を何かしら入れると。こういうような追加措置を考えましたですとか、今後の対応としてこういうことを追加でやる、調査をやろうと考えていますとか、そういうものを入れてしまうと、これ自体が事後報告の評価の事例になりかねないのかなと。それをごらんになった人が、この結果であれば、この程度の検討でいいのかというふうにとらえられかねないという懸念がありましたので、追加的措置ですとか、今後の対応は個々に考えていただくべき内容であろうということで、ここでは「・・・」という形であえて表示しなかった形にしております。

中西座長
 何を書くか、事例は示せないところですね。事例を示すと、まねすると。

西田研究委員
 どういう方向に考えればいいかぐらいのことは書いてある方が親切かなとは思うんですけれども、明瞭な答えではなくて、方向ぐらいはうたっていただいた方がいいかなと思います。

国土環境
 どういう形で検討を進めるとか、そういう趣旨の内容が入っていればいいかもしれないですね。

西田研究委員
 具体的なことを書いてしまうと、おっしゃるように、それが一つの物差しになって、それで全部動いてしまいますので。
陶野委員 そういう説明だと、例えばDOの最後のところ、「大きな変化は見られなかった」というところは書かない方がいい。そこまででやめておく方がいい。

須藤委員
 みんなこうなってしまったら困る。

陶野委員
 こうなると困るわけで、だから「値は」のところはいいけれども、最後の言ってみれば後ろにつながるような文章はとった方が趣旨に沿う。ほかもそうだけれども。

内田研究委員
 ハッピーエンドのシナリオになってしまっているから。

中西座長
 保全措置をしたからハッピーエンドになるんですね。
 今までずっと技術検討会をやってきましたので、水環境についてはきょうがラストチャンスということでございますので、水循環ということを大分ここでキーワードとして強調しているので、水循環というと、やはりその先に健全なということになるので、これはいろいろな意見があって難しいと思うんですけれども、こういうものが基準だと。これからずれたものがぐあい悪いとか、何かそういうことを解説的に示していただければ非常にありがたいんだけれども。

柴田専門官
 健全な水循環という部分につきましては、実は国土交通省を含めましていろいろなところで一つの連絡会議を持っております。そこの中で健全な水循環をどういうふうに考えていけばいいのかということの検討をしておりまして、その評価の考え方とか、そういうものを今まとめる方向で動いておりますので、そういったものを参考にしながら、我々の方でアセスとしてどういうふうにその辺を活用していくかということは、また検討していきたいと思います。

中西座長
 そこの成果を、私も大分前のものは見たことがあるんですが、一番ホットなものはよく知らないんだけれども……。

新藤委員
 省庁を超えた健全な水循環に関する連絡会議での議論や検討内容に関して、我々には情報は回ってこないんですか。まだ、その段階ではないわけですか。

柴田専門官
 連絡会議につきましても、その開催結果等については、実は今日の午前中にその会議がありまして、そちらの方に出席していたのですが、その辺は今後適宜オープンにしていくようなことで考えていらっしゃるようですし、まとまったものも出していくような、いろいろなケーススタディ的なことも取り組んでいるということでございます。

新藤委員
 例えば、国土交通省あたりでは多摩川の中下流域にスーパー堤防をつくろうという考えを持っていますよね、長大なものを。多摩川の河口から、内陸に向かって相当な面積のスーパー堤防をつくろうと。これは本当にやるのかどうかわかりませんけれども、構想図は大体できていますよね。河口から立川市の先の日野橋までやろうとしているようです。水循環の立場から見ると、非常におかしいではないかという考えを私は持っているわけで、実際多摩川に関する流域委員会でも大分強く発言していますが、当局は聞くだけは聞いてやるぐらいで、実際にはやろうとしているわけでしょう。そうすると、健全な水循環とはかけ離れてくることになるのではないかという疑念を抱いています。しかし当局ではこれをやろうとしているわけです。市民の方々もこの計画には疑念を持っています。このような中でうまく話がつくのかなと気にしています。このような場合、イニシアチブをどこでとるのかなと心配しているわけです。

柴田専門官
 まず地域の流域単位で、一つの流域全体の健全な水循環の計画といいますか、そういったものを立てていくということを方向としては考えているようなのですが。

新藤委員
 やはり縄張り争いで終わってしまうのではないかと。できることなら、環境省としての見解を何らかの形で述べておいた方がいいのかなという気がします。環境省が言いにくかったら、この分科会の名前において、なんらかのかたちで見解を述べてもよいのではないでしょうか。

中西座長
 分科会が強行にこういうことを言っていますと言っておいてもらえばいい。
 大体予定の時間に来ましたので、よろしゅうございましょうか。では、本日の検討会はこれで終わりたいと思います。また、後ほどお気づきのことがありましたら、事務局へ連絡をお願いしたいと思います。
 その他という項目で、他に連絡事項はございますか。

上杉調整官
 この後、今日いただきました意見をもとに修正しまして、次回は分科会が四つございますけれども、全体合わせた技術検討会という形でやりたいと思います。今のところ、時期としましては7月下旬ぐらいを想定しておりますが、日程については再度連絡調整させていただきたいと思っております。

中西座長
 ありがとうございます。全体の技術検討会を7月下旬ごろに予定するということでございます。先ほども申しましたように、追加で何かご意見ございましたら、事務局の方まで連絡をお願いしたいと思います。
 これで本日の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。
                                                                                                                (了)