平成13年度 第1回環境負荷分科会

議事録

○日時  平成13年5月24日(木)10:00~12:30

○場所    経済産業省別館E11号会議室

○出席者

<検討員>
小松委員、新藤委員、須藤委員、中西委員、渡辺委員

(欠席:石川委員、細見委員)

<研究委員>
手塚委員(欠席:内田委員、中村委員)

<事務局>
小林課長、上杉調整官、柴田専門官、川越補佐ほか(環境省)
西村部長ほか(日本工営)
細田部長、島田主査ほか(国土環境)
上田副本部長(サンコーコンサルタント)

 4.議題

(1)調査・予測・評価の進め方

(2)その他

 5.検討経過

  上杉調整官 これより大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術検討会水環境分科会、通算では4回目を開催したいと思います。

 最初に資料の確認をさせていただきたいと思います。

                (配付資料確認)

 上杉調整官 それでは、座長の中西先生から議事の進行の方をよろしくお願いいたします。

 中西座長 議事の進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、今説明があった資料1及び資料2について、事務局より説明をお願いいたします。

                 (説  明)

 新藤委員 ちょっとよろしいでしょうか。めったにない委員会でだらだらと説明して、時間のロスが多いように思うんです。これでケーススタディをまたやって、それで時間が終わってしまうのではないですか。よろしいんですけれども、委員長、これはいかがでしょうか。この話を聞いてもいいんですけれども、この委員会でケーススタディは重要ですか。僕は説明を受けた今までの方が重要だと思うんです。これは読んでおいてくださいということでいいのではないかなと思うので、どうしても説明する必要があるんでしょうか。

 島田(国土環境) そうしたら、ケーススタディはどんな内容が入っているかだけ、ざっと……。

 新藤委員 できればなるべく簡略して、めったにない委員会を説明だけでもう1時間使っているわけですね。やるなら早くやってください。

 島田(国土環境) わかりました。

 中西座長 予定では大体50分で説明を終える予定だったんですが、ちょっと長くなりましたので。

 島田(国土環境) 申しわけありません。

 中西座長 では、項目だけお願いします。

                 (説  明)

 中西座長 ケーススタディの方は本当のアウトラインだけですが、今まで説明いただきました資料1と資料2、特に資料2が主でございますが、これについてのご意見をいただきたいと思います。

 須藤委員 復習で申しわけございません。余り頻度が高くない委員会なものですからちょっと忘れてしまった。私どもの中西先生が委員長の守備範囲は水環境と 117ページの土壌環境、両方を含むんですね。

 中西座長 はい。

 須藤委員 そうすると、新藤先生からそういうご発言があったので、土壌環境のところのご説明がほとんどないわけだけれども、もし当方でやるならば土壌はやはり大事ですよね。水と土壌はある意味では一体なんだけれども、ですから少し事業が進んだら、土壌環境の部分の要点だけでもお話しいただかないと、ほかで土壌をやるなら別だけれども、これは一体であるので、一体であるところの部分はやはり連携を、さっきの地下水のお話もそうなんだけれども、地下水と土壌は一体なんだけれども、その点のとらえ方が大変私は重要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。そういうふうになっているというのであれば、それはそれでいいんですが。

 新藤委員 私も同感で、さっき私がはしょれと言ったもので、ここもはしょってしまったみたいなので、これは聞きましょう。

 須藤委員 ここはやらないと、ここは非常に重要な、水と土壌ですからね。ですから、済みませんけれども。

 中西座長 はい。ちょっと時間の方が説明の予定をオーバーしていますが、土壌の方を少しお願いいたします。

                 (説  明)

 中西座長 これからご意見、ご質問を受けたいと思いますが、どこからでも結構でございますのでお願いいたします。

 新藤委員 全体的なことで質問をさせてもらいますが、きょうの位置づけは、この後くるのはこれで、きょうで議論というか、この委員会は終わりということになりますか。

 上杉調整官 最後にスケジュールのご説明をしたいと思っておりますけれども、分科会としてはきょうが今年度分の2回目になって、分科会としては一応区切りをつけて、次は全体の検討会で横並びといいましょうか、全体の構成ですとか、あるいはそういうものも含めて全体検討会をしたいと思っております。ただ、きょうも議論の時間が大分少なくなっている点もございますので、個別にまたケーススタディ等も含めて先生方にご相談はさせていただきたいと思っております。

 新藤委員 つまりどういうことかといいますと、はっきり言いまして、これはまだ非常に不十分ですね。ご苦労されたのはよくわかるんですが、これでまとめるのは僕は無理だと思うんです。一々指摘したら切りがないんですが、例えば今の土壌の話を挙げれば、非常に不完全だし、何のためにここでこういうことをやるというフィロソフィーが見えない。

 これは水循環という一つの幹になっているわけですね。その中で、土壌の中で何で地盤沈下が出てくるのかとか、土壌の中で話していた汚染ももちろん重要な問題だけれども、水循環という立場から見れば非常に重要な役割を演じているわけだし、特に最近は山地、丘陵地域の開発がひどく進んでいるわけで、それは当然水循環に影響を与える、そういう視点からの記載がほとんどないわけです。それは地下水の項目についてもそうだし、恐らくホンバンもそうだし、何かこれで終結に向けるのは無理ではないかなという気がしてきたんです。

 もう一つ全般的なことを言いますと、先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、前回からきょうまでの間に、私は前回にも言ったと思うんですけれども、委員会の我々の立場、結局いろいろアドバイス申し上げるわけですけれども、この時期になって、出てきたものを見てだらだらと説明を受けても時間のロスだけであって、これで我々が指摘したことがいつ生かされるのか。そのためには今までの間に随分時間があったんだから、頻繁に個々の委員に問い合わせるなり、あるいは聞きに来るなりしてくださいよ、わかりましたとこの間は別れたはずなんです。ところが数日前になって、これを見ておいてくれなんて言ったって、全然ここに生かされる時間がないわけで、今説明を受けた内容と私がこの間読ませていただいたものが全然生かされていない。それはそうですよ、だって1日か2日の間に直せるわけないんだから。そうでしょう。それをここで、委員会で議論してくださいと言っても、私はここまで立ち戻ればいろいろ意見を申し上げないけれども、はっきり言いまして半分お手上げですね。どうしましょう。ちょっときついようなことを言いましたけれども。

 上杉調整官 最初は、水循環という観点で全体をとらえていかなければいけないだろうというのは、我々もそういう意識をしたいと思っておりますが、ただ現状のアセス法上のどういう項目でやるかという、もう既に整備されてしまっている中では、まだ残念ながらそこまで大きくとらえた視点が入っておりません。これはまさに今後の大きな課題だと我々自身も認識しております。今回、ただそうは言っても、新しい考え方が抜けても、整理しなければいけない点についてはぜひいろいろご指摘をいただいて、課題を浮き彫りにするという観点も含めていろいろご指摘をいただきたいなと思っておりますし、そういう意味では、水循環の視点としかまだ十分書き切れていないのが現状かと思います。それをアセスの中でどういう形に位置づけていったらいいのかということについては、簡単に済む話ではない、非常に大きな問題ではないかなという感じがしております。

 あと個々の話につきましては、本当にご指摘のとおり、申しわけございませんが、これは準備不足そのものであろうということでございますので、これからまた鋭意個別にどんどんご指摘いただいたところを反映できるように直す作業は引き続きやっていきたいと思っております。

 新藤委員 個々には限りなくあるわけですけれども、大きく指摘、例えば水循環の立場では、ここは地表に到達して、地面、要するに河川はどこで扱うんですか、河川・湖沼。

 上杉調整官 切り口として、河川・湖沼というとらえ方では通常やっていない形になっております。環境の要素の分け方で今はとらえていると。

 新藤委員 それはそうだけれども、当然水循環の立場で河川を通過するわけで、全然ここに河川のカの字も、多少は出ていますけれども、だからといって全く触れないのはどうなんでしょうか。例えば、河川の水、ふだんの水は言うまでもなく地下水ですよね、基底流出は。流域における地中の水の挙動を定量的に測りなさいというのはなかなか難しいけれども、河川の水、あるいは湧水でもいいんですけれども、測定することによって流域の水循環にどういう変化が及んだかとわかるはずですよね、出口を抑えるわけですから。そういう意味で、全くこれがそういう視点で触れていないのはおかしいと思うんです。河川そのものではなくて、河川も重要な水循環の中の1プロセスであって、ある意味では地下水の流出ですよね。

 だから、なかなか難しいところがありますけれども、少なくとも河川の基底流出を支配している部分は地下水である、あるいは土壌水であるわけですから、そういう視点で河川についてもどこかで触れる必要があるとか、そういう大きな点も抜けているし、それから土壌についても、さっき言ったように、今説明いただいた三つの話の中では、ちょっとおろそかにされているなとか、地盤沈下が何でここに、するならやっぱり僕は別項目ではないかなと思いますけれども。

 須藤委員 私も大きな分野というか、今の、先ほども土壌のことを発言しましたのは、この分野をここでやると思わなかったものだから発言をしたんですけれども、これが一体となったら、この部分は多分、もし項目を起こすとしたら土壌・地盤環境とか何かにして、地盤ということが表に出てこないと、土壌・地盤の話の中で水循環の一つの要素の媒体としての話はそれなりに書いてあるのかなという気がするんだけれども、今新藤先生がおっしゃったんですけれども、ここに例えば地盤沈下の話が環境影響評価書に出るのなら、ちゃんとそういうふうに初めの方にも書かなくてはいけないし、それから地盤沈下、土壌汚染の問題、水循環の媒体としての問題とか、これをきちんと分けていかないと、ここのところの評価というのは、もちろん環境基準とか何かというのは水ほど多くはないんだけれども、評価していく中では、最終的には土壌・地盤に環境影響は集約されてしまうような気もするんです。今後の話としては、水よりもこちらの方が重要ではないかという気もするんです。ただ、今までも研究は進んでいないし、環境基準も余りないから、そんなに評価がされていないんだけれども、後の廃棄物の問題やらいろいろなことも含めて非常に重要なので、ここは強化しておいた方がよろしいのではないかなという気がするので、何となくぱっと見たら軽いし、もう一つは、水の循環の媒体としてのとらえ方はまあまあいいかなとは思ったんだけれども、先生もおっしゃってられたけれども、私はその辺、全体としてまず感じました、土壌の扱いが。土壌環境というと、地盤のことはぱっと見たときに、括弧では書いてあるけれども、もし地盤を扱うのならきちんと扱った方がいいのではないかなと。土壌環境と分けるのだったら、土壌環境、3番目に地下環境と地盤環境と分けるか、それとも一緒だったら土壌・地盤環境とやってしまった方がいいのではないかなという気もしたんですけれども、いまさらこんなことを言ってはまずいのかもしれないけれども……。

 新藤委員 まずくはない。私が心配しているのは、だから今までの間に、私たちは個々にお話ししますからと言っているのに1回も来ないわけですよ。だから、私はそれはけしからんと言うわけ。我々は何のためにここに座っているのか。単に出てきたものを「はい、そうですか、結構です」と言うだけの役割なのか。そうではないはずだと私はとらえているし、今までもずっと言い続けてきたわけです。こういう委員会が何回もできないなら個々に来てくださいよと言っているわけです。私もこの間土壌については、まがりなりにも私はゼミをやっていますし、流域水循環という立場を随分やっていますし、こんなに膨大にレポートもあるから、それは差し上げますからと言っているわけですよ。じゃくださいと来ない。僕の書いたものは大して役に立たないのかなと思って、私はひがんでしまっているわけだけれども、とにかくそういうのは相当あるわけですよ。だから、悪いけれども、私はコンサルタンツは手抜きだと思っている。それだけ言っているのに1回も来ないんだから。この席でちょっと強いことを言いますけれども、少し困ったなと思っているものだから。膨大なものがありますよ、土壌、流域水文、森林関係では。一向に来ないですよ。土壌はどちらでまとめたんですか。

 島田(国土環境) 土壌はうちです。

 新藤委員 おたくでやられたわけ? おたくにも言いましたよね。前の委員会で言っていますよ。土壌はどういう水分特性があるとか、物理特性があるか、そういうデータもあるわけだし、九州大学の竹下先生なんかも膨大な資料をやっているわけです、林学の先生だけれども。それから農工大学の塚本先生とか相当やっているわけです。それが土壌の中で全然出てこない。それだけの先輩先生方がやられた仕事がこの中で全然生かされていない。これは手抜きと言わざるを得ない。

 中西座長 今ご提言いただいたことは非常に重要なことでして、一つ基本的にどうしていくか相談したいんですが、スケジュールを見ると7月にまとめたいということでやっていると。その中で、今提起された問題はとても十分に検討できないという、スケジュール的にそうですよね。

 それと須藤先生もおっしゃったように、土壌の分野は、今まで環境基準の面からは余り表面に出ていないですが、非常に底が深いということで、これは将来に備えては非常に重要な項目になってくることも皆さんご認識されていますし、そういう意味で、ここで現在スケジュールが決まっている中で、仮に最大限盛り込むとしてもごく一部だと思うんです。だから、問題はこういうことがあるということ、今各委員からいろいろご指摘いただいたと思うんです、それをもって、今回7月にまとめたいというのなら、一応そういう宿題を残して、課題をいっぱい挙げておいて、これは次に検討しますというスタイルで最大限盛り込んだらどうかなと感じたんですけれども、いかがでしょうか。何かそのあたりについてご意見をいただければ。

 渡辺委員 スケジュールはもう決まっているんですか。おくらせることは可能なんですか。

 上杉調整官 これはまだ確定しておりませんので、ほかの分科会については一応6月上旬までで一通りやる形になっておりますけれども、その後についてはまだフリーにいろいろ考えることはできるかと思います。ただ、取りまとめ自体は、一応夏に向けて一通り一段落つけるということにしたいと思っておりまして、もちろん全部終わらない、課題が残る部分は課題として明らかにして、来年度といいましょうか、今年度分についてもやる予定にしておりますので、そこで残った分は当然詰めていかなくてはいけないと。

 中西座長 大気とか水についてはある程度の歴史があるから、知見もある程度まとまっているし、コンサルの方もそれだけ把握されておると思うんですけれども、今おっしゃったように、土壌の問題については、今までの環境サイドからの把握では、言うたら非常に貧弱だということですよね。もう一つは、土壌とかそういうものについては、我々のメンバーにおられますけれども、それ以外にも非常に造詣の深い方がおられるので、そのあたりのご意見も聞いて、しっかりしたものにしなくてはならないというふうに感じたんですけれども、だから今スケジュール的にどういう方向で今年度についてはどうやっていくか、その枠の中で最大限盛り込むということにしても、ちょっとその辺の枠についてのご意見をいただければと思うんですけれども。

 須藤委員 それが最終、今おっしゃっているスケジュールでこういうもの(「大気・水・環境負荷の環境アセスメント(I)」)にするんでしょう。とりあえず大気だの、ほかのも集めてこういうものにするんでしょう。それは、皆さんいろいろ地方自治体とか何かやっていると急いでいるから、それの参考書が必要だから早く出さなくてはいけないというために使うんでしょう。

 上杉調整官 はい。

 須藤委員 ですから、あくまでもこうでなくてはいけないというものではないですよね。新藤先生がおっしゃっているのは私当然だと思うので、私も土壌の分野については感じているわけですけれども、要するに土壌がまだ不十分で、こういうことについて、それこそ委員会でヒアリングしていただいて、項目ぐらい挙げておいて、これについては具体化して調べる、こういうふうにするというので、まだこの検討会は続くんでしょう。この検討会というか、うちの検討会はとにかくとして、全体にしても続くんでしょう。

 上杉調整官 はい。

 須藤委員 そうしたら、その中で、土壌だけではないかもしれないけれども、土壌・地盤はおくれでもいいのではないですか、それだったら。どうしてもあなた方がある時期につくるのなら、つくるのはそこまでにしておいて、だからといって、えいやで全部できてしまったような印象を与えるのは、それは、新しくはないんだけれども、新しいとらえ方の環境要素をやる場合にはもう少し時間をとって、それこそ新藤先生とか細見先生とか土壌の専門の先生、よくわかる人がまだこの分科会にもおられますよね。そういう方にちゃんと伺った方がよくないですか。

 上杉調整官 おっしゃられるような形にしたいと思っています。そういう意味で、今回書けて整理できてしまう部分と全然できない部分を分けまして、できていないところといいましょうか、そこについては特に問題点をご指摘いただいて、これは次の年度分の宿題であることを明確にした上で、それは来年度分でぜひやっていく形がとれれば、我々としてはそういう形にできると思っておりますし、そういうふうにお願いしたいと思います。

 その際、例えば検討の体制、分科会をまた新たにつくるのはなかなか難しいとは思うんですが、もう少しワーキンググループ的にメンバーを拡充するだとか、いろいろ検討の体制についても我々としては考え直す必要があれば、やらなければいけないかとも思います。その点についてもいろいろご指摘をいただければと思います。

 渡辺委員 今全体を見させていただいて、これは水環境の影響評価の進め方という非常に大きな題を言っておられるわけなんだけれども、その割には全体を全然見通していなくて、章立てを見ても、地下水は随分頑張られてたくさん書いておられるなという印象があって、かつケーススタディがやけに多いんですよね。その割には、今まで各委員から指摘があった全体のコンポーネントをきちんと、考え方としてどういうふうな考え方で進めていくかということについての記述が随分とごろごろ抜けているというのは、これは国の予測評価の進め方という大項目を言うには余りにも何も考えていないのではないかということを逆に露呈してしまうことになって、ページ数を稼ぐためにケーススタディを入れているのではないかというぐらいの疑惑がこの目次から見えてしまうんですよね。

 ケーススタディによって何が言いたいのかよくわからないんだけれども、過去にこんなことをやりましたということを予測評価の進め方の文章として別にそれは必要ではなくて、むしろ環境省としての考え方を留意点という形でここに述べるべきであって、だからこのままでたとえ年度の報告書と言うにしても、これだけのケーススタディを並べて、単にボリュームをふやしただけというものはちょっといかがなものかなという印象を受けました。

 上杉調整官 ケーススタディそのものは、あくまでも総論で書いていることの理解をよくしてもらうために、総論はやはり抽象的になりがちでありますので、そこを具体的に理解してもらうために、あるケースを想定してより具体的なことを書き込んでいこうというのが趣旨であろうと思います。

 渡辺委員 それはそのとおりなんだけれども、よりよく理解することのプライオリティは、まず全体の水環境というのはどういう考え方でやっていくのかという、いわゆるマルチコンポーネント、マルチレベルの話をまず全体としてやろうというのが趣旨だから、そこを抜かしてまで個別のものを細かく説明する必要はないのであって、それは次の段階で、最終的にこういうケーススタディがありますということを添付資料みたいな形で出せばいいわけだから、それは個々に集めていけばいいことだと思う。むしろ、省としての考え方を全体として述べるべきであろうと思います。だから、個別に1個1個の細かいことを最初の段階でやる必要はないのではないかと思います。

 上杉調整官 そういう意味では、水環境全体のとらえ方、あるいは水循環のとらえ方はもう少し深める、あるいはよりわかりやすく整理していく必要性があるかなというのはご指摘のとおりだと思います。そうしていきたいと……。

 渡辺委員 だから、一等最初の図の中に書いてあるようなコンポーネントが随分抜けているという指摘が、今ございましたように湖沼が入っていないとか、河川が書いていないとか、全体の話は確かに言っているんだけれども、それが項目の中に全然入っていないことはやはり重要な指摘だと思います。

 上杉調整官 あと1点ございまして、環境アセスメントを進めるに当たってのどういう項目でやるかということについては、既に法律で明らかにされてしまっております。それをどう見るかということについても、片方で我々としてはやはり示しておきたいと。その際、特に新しいアセス法になって、従来と違って考えなくてはいけない点がいろいろありますので、そこはぜひ明確に書いていきたい。そういう両方の要素が入っておりまして、恐らく……。

 渡辺委員 それが書いていないですよね、今ご指摘になった従来の環境アセスメントと新しいアセスメントでどこが違うのかということがどこにも書いていないですよね。

 須藤委員 全体の本の最初に書いてある、これではなくて。これは分冊みたいなものだから。それは書いてあるよね。

 上杉調整官 もちろん昨年整理したときに、制度上の違いは整理させていただきまして、それに沿ってこの水分野について見ていくとどういう進め方をしなくてはいけないのかということになっていまして……。

 渡辺委員 そうですね、おっしゃるとおりだと思うんですよ。その前段に書いてあるものを踏まえて、この水環境というところに持ってきたときに、そこの点を具体的に書くのであって、個々の地下水のケーススタディがどうこうということを具体的に言うわけではなくて、従来なされてきた環境アセスメントと今度新しい環境アセスメントになったときの水環境における違いは何なのかということをむしろ述べるべきであって、それはどこかに書いてあるんですか。

 上杉調整官 それを具体的な留意事項等を含めて、従来やるべきだけれどもやれていなかったようなことも含めて、記述をそれなりに書いてはいると。ただ、そういう意味での非常にメリハリを含めた、見えにくい、見えやすいで言えば見えにくくなっている、埋もれ込んでしまっていることあるかもしれないと思います。

 渡辺委員 だから、そういったことをこの検討会で議論するんですよね。ここはもう少し見えやすく書いた方がいいでしょうとか、そういった場合に、従来なされてきた例えば湖沼についての環境影響評価が今後新しいアセスメント法のもとではどういう位置づけで議論するのかということは当然ここで書くべきですよね、例えばの話として。それが抜けていると。河川についても同じことだということだと思うんです。

 上杉調整官 そういう意味で、例えば湖沼・河川というところの水環境という目でどういう重点を置いた見方をしなければいけないかとか、そういう指摘はぜひいただいて、その中で調査をどうする、予測をどうするというところにまでつなげた書き方をお願いしたいというのが趣旨だと思います。

 渡辺委員 だから、当然それが入っていないままに報告書に載せるわけにはいかないということですよね。

 中西座長 湖沼とか河川というのは水環境の基本的要素の中にあるんですよね。どちらかというと、ここはちょっと水循環が強く出て、今までのいきさつがあって、今まで逆にそれを触れないでアセスをやってきたから、そこで指摘されて、それについて多少の抵抗があったんです、逆に言えば。結局、その方法でいきましょうということになると、今度は循環が余りにも強くて、循環ばかりで書いて、ほかのこと、肝心のことが抜けているというのが今ご指摘のところだと思うんです。やはり循環は起点だけれども、循環ですべてではないということで、循環系の中でも湖沼とか河川は非常に重要ですから、ただここは今まで地下水が余りなかったら、地下水について力が入ってきたということがあるから、やはり原点に返って軌道修正が必要ではないかと思うんですが。

 上杉調整官 そういう意味で、9ページ以降に海域・湖沼・河川ということで表が載っているんですけれども、そういう意味ではもう少しこういうものを深めるという趣旨でご指摘を具体的にいただけると、我々としても非常に作業が進めやすくなるのではないかと思っております。

 須藤委員 それと、環境というのはすべてそうなんだけれども、湖沼・河川は、要するに人間と同じにみんな個性があるわけだよね。個性があって、そこにいろいろインパクトが働くわけで、そのインパクトも逆にいえば個性あるものと違うわけで、特に湖沼だの河川で非常に、上流も中流も下流も違いますよね。そういうことがある一つのインパクトと水環境との関係では一概に言えない部分は多分ある。そういうことを言い出したら1個1個書かなくてはいけないんだけれども、そういう留意事項は私は大切だと思うんです。非常に川とか湖沼は、ほかの環境よりも個性が多分あるんだろうと思うんです。それぞれの顔を持っている、そういうところの部分がスコーピングであれ、何であれ、ちゃんと考えておかないといけない部分が多分あるのではないかなという気が全体的にします。

 あと、先ほどから渡辺先生もおっしゃっているんだけれども、従来がこうだったから、ここが新しくなったというのは、それで新しいところが強調されるよりも、やはりこれは新しい制度なんだから、過去のこととか何かよりも、本来こうであるんだということで入っていった方が、昔横川先生の時代にやっていなかった人も多いわけだから、今初めてこういう本に触れる、新しく卒業してこういう仕事は初めてで、昔のことを知らなくてもこれで始まるというふうにしないといけないのではないでしょうか。もちろん歴史を知っていくことは必要なんですけれども、全体としてはそんな気がします。

 中西座長 どうしますかね。細かい話ではなしに、この中間報告の方向として。

 須藤委員 細かいところは、専門家ですから多分、皆さんよくご存じだと思うから……。

 中西座長 方向づけだけしておけば、湖沼のことについて書いてくださいとあれば、それはそれなりに書くだけの知見があると思いますので、その辺の基本構成をどう考えるかご意見いただいて、地下水とか地盤については、これはとても今年度の中間報告の中に盛り込めないから、課題というふうな格好で盛り込めばいいんですけれども、水環境全体としては、来年に回しますというわけにはいかないですよね。今までで相当知見があるので、この報告を今の視点として、やはり水環境の中で重要要素である河川とか湖沼の項をつくって……。

 須藤委員 それは余り触れていないんですよね。

 中西座長 全体に循環系で、しかも地下との絡みとか、流れの話、それはそれでいいんです。それだけで、これを参考にしてそれぞれアセスされるときに、本来あるべきものがほとんど書いていないということになると、これだけでいいんですかということにもなってしまうと、そういうことでは困るから、どういうふうにやりますかね。

 須藤委員 新しいことだけ書くのではないですよね。

 中西座長 それだけではないから。新しいことはここに入っているということで。

 渡辺委員 急いで入れてもらうしかないのではないですか。

 須藤委員 今ぐらいのところなら入るのではないですか。渡辺先生がさっきおっしゃったようなことだったら、全体の位置づけと流れがきて、何を受けて、それで水環境というのはどういうものかと。それで湖沼なり河川がある、そのぐらいのところだったら、それこそ有能な方々だから、環境省の方も含めて、それこそこの辺は本来調整官に書いていただいていいわけですよね、環境省のあるべき姿で。数ページですから、そんなにかかることではないのではないですか。

 新藤委員 この図(1ページ)が私に言わせれば、いかにも幼稚なんですよ、はっきり言って。これを手抜きしているから後がない。要するに、ここのところで土壌の話が全然ない。

 須藤委員 字しか書いていない。

 新藤委員 私、この間見せていただいて、これが非常に問題であって、特に地下水と地表との間が全く手抜きですよね、この絵を見ても。もちろんこれに対応する記載も手抜きですよね。手抜きというのは悪い意味ではない、要するに書くべきことを書いていない。だから、今のお話、ここのところにきちんとフィロソフィーを図の中で説明して、それを受ける形でやっていただきたいなという感じです。だから、河川の問題に直接というのが大変だとすれば、さっきも言ったように、少なくとも地下水と河川はツウツウなわけですし、今非常にそこが問題になっているわけです。どこの河川改修にしても、スーパー堤防をつくるとかつくらないの問題にしても、流域の水循環を考えながらやっていないところがありますよね、これからやろうとしているのかわからないけれども。そういうところに対して、きちんと環境省としては言わなくてはいけないと思います。そのためには、河川も何にも出てこない。多少出てくるけれども、大したことはない。それではやはりインパクトがないように思うので、ぜひそれは入れるべきだと思う。

 中西座長 これはどうなんですか、私もちょっと理解が薄いかもしれませんが、ここで出される、それから河川と言えば河川担当の省がありますね。そこでは河川については非常に詳しいですね。それだけのアセスのマニュアル的なものをつくっていると。そういうものの中では河川とか湖沼がいっぱい入っているわけです。その辺との絡みですよね。その辺の中のポイントというか、それも参考にしてまとめたらどうですか。それはいいんでしょう。あそこの省庁に……。

 小林課長 いいものはどんどん入れればいいと思います。基本はそうだと思います。

 中西座長 入れたらいいわけですよね。これはあっちの特許だからこっちとは違うとか、そんなことではないですからね。だから、その辺を参考にされたら、あちらは、どちらかというと湖沼とか河川サイドからいっぱい見ているし、だから……。

 上杉調整官 各事業を所管されている省庁の方では、事業のアセスを進める視点でいろいろ技術マニュアル的なものを整理されていることになっていると思います。我々は個別の事業ごとではなくて、環境の要素別にいろいろな重要な点を整理するということでは相互に関係が当然あると思いますし。

 中西座長 大もとになるけれども、まとめるときに、これを補強するときにその辺も参考にして、これは環境省が大もとですから、それを受けて、項目について各担当事業部局・省庁がやられると思うんですけれども、そういうスタイルだと思うんですが、そこに河川、河川と見ているから、やはりいいものがあると思うんです。それも参考にして、今の水環境全体の視点をもう一度見ていただくと。

 水循環については相当努力されているということはわかるんです。それは新しい項目だし、今まで余り概念に、環境要素の中に入れていなかったですよね。それをここで強調したから、これだけまとめてもらったんですけれども、それだけではまだ不十分だというか、全体像としては、新しいものだけが書いてあってということになるので、ちょっと構築を考えて、追加というか、再構成を考えていただいたらどうでしょうか。

 新藤委員 河川の話ですけれども、日本の縦割り行政の悪さがそこに出ていると思うんです。つまり、今でいう国土交通省の範囲は堤防で囲まれた部分が河川なんです。僕は、実は多摩川流域委員会というところでずっと委員に参加させてもらっているんですけれども、結局河川の水は周辺の地下水とつながっていて、周辺の地下水、要するに地下水もそうだけれども、水循環の立場でやらないとだめではないですかと言っても、それは私のところの縄張りではないというような、そうは言わないけれども、そういうふうなニュアンス。今度上流の方に行きますと、国が扱っているのはどこどこまでと何かあるんですね、標高で分けているんですか。標高何メートル以上は林野局だと。下流が国土交通省。そうすると上流でも分けてしまっているわけです。

 ところが、水循環という立場で言うと、そんな省の縄張りは関係なく流れているわけです。山の方ではこうと。それがここで出てしまっているのではないかと思うんです。だから、僕は水循環という立場でやるなら、堂々と環境省がそういう立場でどんどん踏み込んでいただきたいわけです、河川にも湖沼にも。林野庁の方でも、林野庁は農林水産省ですか、そういうところをつなげるのが環境省の役割で、それをよその省庁に気兼ねしている必要はないと思う。そういうことで、もう少し踏み込んでいただきたい。

 渡辺委員 これは7月の報告書の公表・印刷というのはこういう形(「大気・水・環境負荷の環境アセスメント(I)」)で出すという意味なんですか。これになるわけですか。

 上杉調整官 はい。

 渡辺委員 最終報告じゃないですか。

 上杉調整官 この「I」が「II」になるという、「III」まで予定しておりますので、まだもう1年あるという形です。

 渡辺委員 これになって出ると、「II」については最終のものになるわけですね。

 上杉調整官 そうですね。

 中西座長 IIとして最終か。

 渡辺委員 IIとして最終なんですよ。印刷と書いてあるから、これ(「大気・水・環境負荷の環境アセスメント(I)」)になるんですよ。だから、IIとしては最終報告書ですね。IIIがまたくるんだけれども、そこではやはりちょっとまずいかなという気がしますよね。

 須藤委員 IIを否定したことは書けないわけだな、追加は書けるけれども。

 中西座長 追加は書ける、だからIIとして本来入るべきものにまだ至らないから、問題提起としてIIIに……。

 渡辺委員 IIIって何ですか。

 上杉調整官 ちょっと説明をさせていただきますけれども、これは分野でいいますと、もう一つ生物多様性の方はI、IIともう出てしまっていまして、今回III、最後が出る予定になっています。大気・水・環境負荷分野の方は1年おくれでスタートしているものですから、去年Iでスコーピングを中心になりまして、ことしIIで、環境影響評価の実施そのもののところの考え方を中心にやっていると。IIIでは、まだ環境保全措置をどうするかだとか、事後調査をどうするかだとか、さらにそれを踏まえた評価を再度考え直すというところがまだ残っております。これは作業を来年具体的にしなくてはいけないのがまだ残っているという意味になりますけれども、例えば土壌については、確かに今まで検討が薄いこともありまして、そういう部分は根本のところからやりましょうという形は十分とり得るのではないかと思っておりますが、水環境全体的な話のところについては、できるだけIIで入れ込めるものは全部入れ込むというふうにしたいと思っております。

 とりあえず今後のスケジュール、7月と書いてございますけれども、もちろんほかの分野も含めて作業の中身の詰まりぐあいで、当然完成度の低いものを無理に公表することは我々も考えておりませんので、中は十分詰めさせていただいた上で印刷することにしたいとは思っております。

 そういう意味では、足りない点、当然きょうの指摘を踏まえて直して、必要があれば、例えば分科会を再度もう1回やれということであれば、分科会を開くことを考えてもいいと思っております。そこは中身の詰まりぐあいがまさにどこまでできているかということによっていると思います。

 中西座長 IIの中に水環境の全体像としては、作業としても入り得るということですね。時期がそういうことで多少ずれるかもしれないと。ただ、土壌については、これは宿題が多過ぎるから、とてもまとまり切れないので、Ⅲの方になだれ込むというか、少し追加というのか、そういうことで入るという認識でよろしいですかね。

 渡辺委員 土壌と地下、地盤というのはやはり分けた方がいいのではないかと思いますね。全然違うものが提示されているので、もし可能であれば、地盤と土壌とは違うので。

 中西座長 将来、大きな課題のところですね。

 小松委員 東京都ですけれども、これがIIという形で表に出てくるのはいつごろ、割と早いと見てよろしいんですか。というのは、東京都のアセスの指針には、いろいろ土壌も水質も入っているんですが、こういう大きな水環境という視点ではとらえていなくて、アセスの審議会の中でも個別に水質汚濁はどうだとか、土壌汚染がどうだとか、水環境と唯一出てくるのは地下水の流動阻害があった場合には、それを回避するようにしましょうという話はあるんですが、こういう大きな視点では見ていないんです。

 東京都のアセスは東京都個別でやっていますのでいいという話にもなるんですが、実は国のアセスにかかったものでも事後調査については東京都の制度でやるというのが出てきてしまっているんです。そうなると、私どもも水環境全体で見るというような形で今後腹をくくっていかないとやっていけなくなってしまうわけでして、そういった専門の技術者が今いないという状況で、そういうのをそろえなくてはいけないということになります。東京都の事情ばかり言って申しわけないんですが、早急にそういった体制を整えなくてはいけないということと、審議会にもそういう説明をしなくてはいけませんので、ちょっとその辺のスケジュールといいますか、いつごろこれが表に出て、これが実際に使われるようになるのかという、その辺のところを聞きたいんですけれども。

 上杉調整官 一つ、これは先ほどから言っていますように、具体的に公表できるように中身がまとまった上でないと出せないと思っております。スケジュール上では全体の検討会を大気ですとか、環境負荷も含めて、全体の進度調整をして最後合わせてやるというふうに考えておりまして、今の予定では7月とスケジュール表上は入れているんですが、そこは個々の進度を見て、最終的にいつになるかというのは決めたいと思っております。ただ、やはり夏ぐらいをめどにとずっと考えてきておりまして……。

 小松委員 それが印刷の時期ということですね。

 上杉調整官 もう1点ありますのは、まさに事後調査の話は、法律の方は明確に事後調査、もちろん事後調査は不確実性の高いものなどについてはやるということになっているんですけれども、むしろ自治体の条例の方が進んでいるのではないかと。例えば、事後調査の結果について、報告をもらってさらに勧告を出すというふうな仕組みまであるという意味では、法の制度よりはよほど進んでいる形になっております。

 東京都の技術指針の中では、水文というのがありますね。そういう意味では、水環境的な要素は当然視点として入っているのではないかなという感じもするんですけれども……。

 小松委員 入ってはいるんですけれども、こんな大きな視点ではとらえていないんです。

 上杉調整官 ただ、我々としては、そういう意味では水環境とか水循環を大きい目でとらえていく必要性があるだろうと、環境行政全体としては当然そうだろうと思うんですけれども、現実のアセスの今の制度上では、水環境の項目は何かということでいえば水質、底質、それから地下水という項目は一応明確に示されております。そういう意味では、現況の法律上のアセスでどう進めなくてはいけないかという現実にあるものと本来あるべき姿では、そういう意味ではまだ若干ずれがあるのが現状であるという点がございます。

 そういう意味で、今回の資料の一番頭のところで水環境のとらえ方、水循環の視点ということを出してはいるんですけれども、個別の項目になると、今のアセスの項目、水環境の中では水質、底質、それから地下水といったところを中心にまとめていかざるを得ないという現状の制約が片方であることになります。

 ただ、我々の視点としては大きくとらえて、何が必要かということをぜひいろいろご指摘いただいて、特に総論的なところではまとめていくことはしたいと思います。

 新藤委員 東京都の話が出ましたけれども、私が委員をやっているときに何度も主張して、それで水文環境という項目を実は私が主張してつくっていただいたわけですけれども、それに伴う改正の指針も私が最後の仕事でやってきたんだけれども、今おっしゃったようにまだ不十分で、それは今言ったように東京都の職員の中にいろいろ係がいるけれども、水の専門家がいないんです。それだけ厳しいから大変なんだけれども、本当は前から言っているように水というのは非常に重要だから、職員の中に水のわかる人を入れるべきだと言っているんですけれども、それはそれとして、よく勉強はされているんだけれども、やはりわからない。

 実際に、いろいろアセスで対応するのは職員の方がやるわけです。せっかく委員がいるんだから、そういうときには呼び出してくれと。私は何度も呼び出されて、職員が対応できない場合には直に対応してやってきましたけれども、はっきり言ってまだまだ不十分ですね。水循環、あるいは水文環境という点、特に傾斜地というか、山林地域は非常に不十分です。東京都の水源地域、多摩川、これはまだ非常に不十分です。だから、今言われたように、こちらできちんと示してくれると、土壌も含めてそういうものを出してくれると、自治体の方も非常にやりやすくなるという趣旨だろうと思いますので。

 中西座長 ありがとうございます。では、基本的な行き方は今議論したようなことでご理解いただいたと思いますので、その方向で進めていきたいと思います。

 多少時間がありますので、個々のことでも結構ですが、お気づきの点があればご指摘いただきたいと思います。

 新藤委員 個々についてですけれども、大変あり過ぎるんです。ここで私とても説明する時間がない、これだけでも1時間たってしまいますので、これ(メモ)はそっくり渡してありますので、たださっきも言ったように、この原案を持ってくる時期がつい1週間ほど前ですか、その間に読んで、これを示して、では書き直してではきょうに間に合わない。だから、私の指摘したことは全然ここには入っていないんです。

 それから、さっきも言ったように、もっと早くこういうものを見せるべきなんです。私は、これに基づいて、ざっと見て20項目ぐらいあるので、これはぜひ検討していただきたい。わからない点、問題があれば、私だって 100%正解ではありませんので、そこはやはり議論させていただきたいなと思っております。これは地下水関係ですけれども。ほかについてはきょう初めて見たので、意見は出にくいし、専門が外れますので。

 中西座長 ありがとうございます。新藤先生のご指摘の点はメモにしていただいていますので、事務局の方にお渡しということですね。

 上田(サンコーコンサルタント) 新藤先生からご指摘いただいた点、ごもっともでございまして、怠慢と言われれば怠慢ですし、それに関しましては至急対処して、先生のご理解をいただけるような努力はさせていただきます。

 中西座長 今ご指摘いただいた以外の点で何かございますか。

 新藤委員 一言、基本の中で、水循環の中で、それをどうやってとらえるのかというところの中で、地下水のポテンシャル概念がどこにも出てこないですね。これは物すごく重要ですよね。

 それから、被圧地下水と不圧地下水といとも簡単に使っているんだけれども、それの定義というか、ただ言葉がぽんと、第三者がこれは被圧地下水なのか不圧地下水なのか、これを見ただけではわからないですね。どういう考えなのか、どういう視点でこれを区別されているのか、どこにも出てこない。概念的にはわかりますよ。でも、どこどこの水は被圧地下水か不圧地下水かわかりますか。すぐに判定できますか。それをわからせるのはポテンシャルですよね。それがないと議論できないはずなんです。用語が先行して、それを説明するものが、相手、アセスする側がその辺の知識は持っているという前提で書いているわけです。相手はわからないわけですよ。それは一つ基本的なところです。

 須藤委員 私も一つだけ、今まで特に水質の話になりますと、いろいろ評価をするときに年間平均値なり、そういうもので評価してきましたね。それが環境基準に合っていればいいんだというようなことで、そのことについては14ページに書いてあるんですが、今まで私がお手伝いした中で、やはり一番問題なのは年間平均値が合った、合わないではなくて、後で結果論としてはイベントというか、例えば赤潮が出た、貧酸素になった、それで環境が悪くなってしまったというので、それでアセスが悪かったのではないかというふうなことで、特に水環境については指摘はたくさんあるわけです。その辺、幾つかのあるインパクトによって何かの現象が起きたということについての評価は難しいんですよね。難しいとは書いてあるんだけれども、この辺の取り上げ方はきちんとしておかないと、多分これからも年間平均値で評価せざるを得ないんだけれども、その辺のところの評価をどういうふうに考えるのかということをやっておかないと、例えば最近の有明なり諫早なり、ああいう例なんかの問題もそういうことで起きてしまって、多分アセスの結果の水質だけで言えば、予測どおりかもしれないんですよ。だけれども、違うことが底質で起こったり、あるいはある時期に違うことが起こっているから、ああなってしまったということなので、特に季節で言えば夏、あるいは春から夏の問題、それから底質の問題の部分。底質には環境基準もないから、水はあるにしても照らし合わせる基準値もないですよね。それから、DOも普通は表層に近い部分のDOしか環境基準では決めていない。低層のDOなんていう環境基準はつくっていませんよね。そういうふうな、いろいろ評価基準もないわけです。

 そういう中で、実際には環境基準に合っているんだけれども、大きな障害、環境影響が出てしまうというのが今までの例ですよね。今までの例を結局ちゃんと評価できるようになっているかどうかというのは、私は原則としてチェックしていただきたいんです。ここにいっぱいいいことが書いてあるんだけれども、今までの問題になっている部分が、それをちゃんとやっておけば、そのことは事前に評価できているのかどうかというところは、最近の水環境の例、海にしてもいっぱいあるではないですか、埋立の問題にしても。それが評価し得なかったから問題だったんですよね。これでやれば、し得るのかどうかというところが私は基本的に、細かいところは専門家の皆さんだから私はお任せをするんだけれども、今までの例でそういうことが評価し得るのかどうかということをぜひお願いしたいと思います。レアイベントと言っていいのか、どう言っていいのかわかりませんが。

 小林課長 私が気持ちを申し上げるのは、先例というんですか、先に進んでいるものの中からいい点とか悪い点というものもだんだん蓄積が出ていると思いますので、そういった先例に学ぶというんでしょうか、そういうところが何か必要ではないかなと受けとめたところです。須藤先生もご存じのとおり、環境基準の方のまた充実もあわせて行っていかないといけないなとも思っていまして、これは水部とも話し合わせてもらおうかなと思っています。

 須藤委員 これは基準値がある、ないの問題とは関係なくていいんですよね、環境影響評価だから。

 小林課長 それはそうだと思うんですが、やはり必要なものが抜けていないかどうかという……。

 須藤委員 それは水環境分野が悪いんだから。

 小林課長 その点は、たった今おっしゃっていただいたとおり、例えば個人的には底層の酸素については2とか3mg/lとか、そういう値をもっとはっきりと位置づけてもいいのかなという、個人的には思ったりもするものですから……。

 須藤委員 私もそう思っています。

 小林課長 そういうものと相まって、先例から抜けていた着目点があれば、それはやはりどんどん明らかにしないといけないなという気持ちでいます。

 須藤委員 ですから、基準値があるところだけ合っていればいいということではないんでしょうと。

 小林課長 もちろんそうだと思います。

 須藤委員 環境影響評価というのはそうですよね。環境が悪くなるかどうかを評価するわけでしょう。

 小林課長 健康診断と同じで、一つの指標だけであなたは健康ですというのはなかなか難しくて、パーツパーツのところが本当に大丈夫かというのは、精密検査も必要だろうという、そういう気持ちかなと思っていますけれども。

 須藤委員 余りにも環境基準にこだわって、それも年間平均値にこだわるような評価は、やはり過去に多分禍根を残しているのではないかと私は思いますので、そこは学んでいただきたいというか、どこかに書いておいていただきたいと思います。

 上杉調整官 14ページのところのご指摘だろうと思うんですけれども、一つは底層の貧酸素水塊の話が例としては挙がっているんですけれども、ほかにもっと過去の、例えば先ほど事後調査の話も出たんですけれども、なかなかアセスをやった後、実際どうだったかというのを完全にフォローしている例は実はそれほどない。事業者の方は持っているかもしれませんけれども、なかなか結果の評価ということについてはそれほどやられていないのが実情だと思いますし、ただ、問題点はいろいろ指摘をいろいろなところでされている例はあるのではないかと思います。そういう意味で、視点としてもう少し具体的にいろいろこういうところは従来やっている基準値であるものだけではなくて、こういう点が重要ではないかというのはぜひご指摘をいただけると、我々の整理の仕方がいろいろできるのではないかなと思っております。一つの例として書いてはあるんですけれども、もう少しほかにもあるのではないかという点をぜひいろいろご指摘をいただきたいなと思います。

 中西座長 私、三つばかり発言させていただきたいんですが、一つは水循環の中で、自然の水循環が基本というか、健全だという前提に立っていろいろな話になっていますけれども、健全な水循環を壊しているのは、いわば人為的な活動で、それは巨大な利水系があって、水道とか含めて、工業水とか農業系、利水系があって、しかもそれは、もっといえば排水系があるわけです。その巨大な利水・排水系をうたっているのに、ここの話の中ではそういう利水系がどうなっているか、あるいは排水系がどうなっているかということがほとんど書いていないので、そういう視点から見なければ水循環ということは論じられない。それが抜けておる。

 もう一つ、今須藤先生からご指摘あった環境基準が年平均的で、ほとんど水質というとCODとかBODが主体できたわけです。実際の水質被害が顕在化しているのは貧酸素レベルとか、赤潮とか、こういうことで世間の評価が違っておると。ただし、先ほどおっしゃったように、今の環境基準がまだそこまでいっていないわけです。だから、当然将来環境基準がそういうものを視点にとらえる必要があると。それから、シミュレーションがそこまでいっていないですね。今、年平均をあらわすシミュレーションできているけれども、季節変動をあらわすとか、微妙な赤潮の生物系が、どんなプランクトンが出るという予測はほとんどできていない点もあるし、貧酸素の場合は何とかある程度予測があるけれども、これは季節変動が非常にあるから、季節変動を含めた膨大なシミュレーションをやらなくてはいかんですよね。しているんだけれども、社会的関心は非常に大きいから、当然環境基準の視点の問題で大いに今後検討するべき課題があるということですよね。そうしなければ、社会ニーズに対応できないと。

 もう一つ、私は最近考えているのは、諫早と有明の関係で、アセスはどうあるべきかというのをいろいろ考えているんですけれども、例えば有明ののり被害が出たとなったら、有明全体のアセスをするとなったら、有明地域の開発がいろいろあるわけですね。諫早もその一つだと。熊本県の何やろとか、いろいろ言われていますよね。それを全部見て、有明地区がどうなるかという視点から評価しなければならないですね。それは現在やられているかもしれない。一般の論調は、諫早のアセスが不十分だったから、アワセメントであったら、あそこののり被害が評価できないと、こういうふうな論調で短絡しているわけです。

 しかし、今諫早で仮にアセスをやれと言ったって、そんなレベルまでアセスはできないわけです。というのは、有明という全体をしたら、もっと別の要素が全部入ってくるわけです。それも踏まえて、その諫早という事業が責任を持ってアセスできるかと言ったら、やはりできないと思うんです。諫早は諫早の前面海域のところにどれだけ環境負荷を出しますとか、その程度で、その前面ぐらいで、その先のことは別の視点で解析しなさいとなるわけです。そうすると、アセス制度として影響というのはどこまでやるべきかということを明確に指針に示さなくてはいかんと思うんです。今の諫早のアセスが悪いから有明の予測ができない、あれはアワセメントだということが堂々と新聞に書かれて、だれもそれに反論しないということですよね。これはアセスできないですよ。今のアセス制度というか、諫早でその事業が全部有明の、あれはテストケースですけれども、そんなことがいろいろ起こってくるかもしれない。瀬戸内海のどこか一部で埋立の仕事をした。アセスをやったといったら、周防灘で開発をやったものが広島のところで赤潮が出たとかプランクトンベースで何かなったら、そんなものはとてもアセスで対応できないから、アセスというのはこういうもので、それはまた別の次元でやらなくてはならないということを環境省として、アセスのあり方について十分検討していただきたいと思うんです。それが水環境の評価の中の精神の中にも入ってくると思うので、私はそういう議論をする、有明の場合は例だと私は思っていますけれども、そういうことをちょっと踏まえていただきたい。

 何かありますか。

 小林課長 2点ありまして、一つ目は最初言おうと思ったことで、2点目は今先生から聞いたことで思ったことなんですけれども、1点目は、中身についてはきちんともう一度見ないといけないとは思っているんですが、最近出されたレビュー書というものがありまして、博多湾のアイランドシティのレビュー書があるんです。これは最初予測したことについて、五、六年調査をした結果を踏まえてもう一度再予測しているものなので、それは一つの参考になるかなと。昔やったことが今のレベルで、新たな情報を得て見直したらどうかという参考になるかなと思うので、どんな形か、適切かどうかも含めて検討した上で何らかの資料的なものとして検討していただくのもいいのかなと思ったのが一つです。

 2点目は、実は今先生がおっしゃったことは国会議員の先生からも別な視点でというか、有明と諫早というよりも、かの原発と瀬戸内海という視点で言われていまして、そこで何だというと、例えばスナメリという視点なわけです。

 何が言いたいかというと、個々の開発事業はその近傍ではある一定の、ここだけの評価、小さいとか大きいとか、大体小さいとみんな出してきますけれども、小さいところまでいって出してきているのかもしれないんだけれども、それできちんとやらないといけないけれども、いろいろな開発事業が集積して、もっと広くとらえたところで、そこの環境がどうなるかという視点、環境管理という言葉で私はとらえた方がいいかなと思うけれども、環境省はその両方見ていかないといけないなと思うんです。だから、諫早のアセスはどうだったかということと、有明全体の開発がいろいろ伴って、いわゆる健全さという言葉で私は理解したいと思うんだけれども、それがどう変わったか両方押さえないといけないなと思っています。

 中西座長 この場で今外れてもの申すではないけれども、一番抜けているのはそこなんですよ。仮に瀬戸内海で言ったら、これは海ではないから、瀬戸内海で一番抜けているのは埋立の相互影響は全然やっていないですよ。過去の影響だけで、だけれども、それは個々の……。

 小林課長 そういう質問が国会議員からありました。

 中西座長 それと温排水、原発の場合も相当出るけれども、あれは全体でどうかとか、スナメリもそうですよ。そういうことは各事業でできないんです。これは環境省がやらざるを得ない。環境省の大きな仕事ですよということを私も前に何回か言ったことがある、具体的な機会に触れて言っているけれども、それは大きな仕事だから、堂々とこういうことは必要だということで計画か予算請求でもされたらいいと思うんだけれども、そういうところが抜けておるんです。

 上杉調整官 今の話は、多分評価のところに実はすごくかかわってくる話だと思っております。つまり、個別の事業の負荷の量は個別の事業で出るわけですね、予測が一応できると。ところが、出たところの全体の、いわゆるバックグラウンド的な話になれば、当然いろいろなものが複合して影響が与えられている。その地域全体の基準を超えている、超えていないのところに新しく来る事業がどれだけ寄与しているかについてどう見ていくんですかというのが多分評価、個別の事業のアセスについてもそこは求められております。例えば、この24ページにそのことが少し書かれているんですけれども、これは付加分の低減の程度(低減率)で評価したらどうかというのがここには書かれているんですが、そういう考え方でいいのかどうかというのは、実は我々も十分こなれていないところがあるかと思います。

 これは水の分野だけではなくて、大気の方でも、例えばNOx が非常に基準を超えているようなところで新たに道路をつくることがどうなのかというときに同じような問題がやはり起こっております。そういう基準、NOx 法によって特別の対策をとっても、そもそもの基準を満たされないような地域で新たにできる道路の付加分をどう見るのかというふうな話、同じような議論がやはりございまして、これは評価の考え方のところをどうしていくかという話としてはアセスに書いてございまして……。

 中西座長 個々の事業評価ではとてもそんなことは対応できないから、全体像は。これはまた別の組織というのか、それを踏まえたのは、これは事業者に全部それをやろと言われても、例えば個々の事業が瀬戸内海全体にどう響くかとか、とてもそんな、個々でやった軽微になってしまうわけです。せやけど、ほかの事業があるからこうなるので、それは別の作業としてやらざるを得ないし、それは環境省の大きな仕事ではないかなと思います。

 最後に何かえらい脱線してしまったけれども……。

 須藤委員 基本的な事項ですから、いいのではないんですか。

 中西座長 基本的なアセスの重要な要素だと思いますので。ここでは、この関係の中で入れていただきたいのは、今言ったような人為的な利水・排水の課題、これがあって水循環がゆがんでいるということだから、その辺を強調していただきたい。それから、河川、湖沼の問題をしっかり触れていただきたい。それと土壌関係がまだ積み残しになるということです。入れられるものは全部入れていただく。そんなところでよろしいでしょうか。

 討論の議題はそれで終わりまして、あとは今後のスケジュールですか。先ほどから今後のスケジュールに触れておりますが、何か事務局の方から。

 上杉調整官 スケジュールは先ほど話したようなことで、1点気になりますのは、そういう意味でもう一度整理したものを分科会として見ていただく必要性があるのかないのかということをむしろ決めていただいて、必要があれば、我々としては分科会をもう1回やるのはできると思いますし、やればいいかなと思っておりますが、いずれにせよ、一番最後には大気とか環境負荷も含めた全体の検討会を1回やって、横並びといいましょうか、構成の仕方ですとか、あるいは評価の考え方のところとかは非常に共通部分があるものですから、一度全体のものはやりたいとは思っております。最終の締めはそういう全体の検討会ということにしたいと思っておりますけれども、それまでの段取りとしては、どうも先ほどの議論をお伺いしていると、もう1回分科会をやった方がいいということであれば、それは検討会の前に再度やる形にしてもよろしいかと思うんですが、どういたしましょうか。

 中西座長 内容は大分注文があるので、それを踏まえた格好で皆さんとご相談していただいたらいいと思いますが、場合によってはもう一度やると。それはご検討いただいて。

 上杉調整官 では、まとまりぐあいでまた個別に相談させていただいて、必要があればやると。大分整理がうまくいけば、検討会に上げられるような資料ができれば、それでやってみるということで、少し作業を進めてみたいと思います。時期につきましては、7月と一応書いてございますけれども、目安ということで、中身がやはり十分詰まっていないものを表に出すことまでは考えておりませんので、当然内容の詰まりぐあいを見て、日の設定等は再度相談させていただきたいと思います。

 中西座長 わかりました。ちょうど予定の時間になりましたので、これで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

(完了)