Bay-deltaは、サンホアキン川とサクラメント川がサンフランシスコ湾に流れ込む河口に位置するアメリカの西海岸で最も大きな入り江である。750種類以上の植物、野生動物の宝庫であるとともに、カリフォルニア経済にとり、また、飲料水として、世界最大の農業地域への農業用水として重要であるが、数十年に渡りその管理及び保護の方法についてこれまで合意が得られていなかったが、動植物の生息地の減少、水質の劣化、沖積提の喪失が進んでいた。
1992年に州政府が水政策評議会を設けたことを契機に、93年に連邦政府がBay-Deltaの保護・管理の調整のための連邦生態系理事会(FED)を設け、94年には州政府と連邦省庁は「枠組協定」に合意した。協定では、水質基準を設定し、水供給、及び絶滅に瀕した種の保護等に関する調整の改善を図ることと併せ、Bay-Deltaの生態系の健全性の回復や水の管理の改善を図る長期的かつ包括的な計画である「CALFED Bay-Deltaプログラム」を実施することとなった。
このプログラムは、Bay-Deltaの管理や規制に責任を有する州及び連邦の15の省庁によるものであるが、連邦諮問委員会法に基づき、州知事や大統領から任命された水利用者や環境団体などの利害関係者から構成される「Bay-Delta諮問委員会(BDAC)」が長期的な解決に向けた中心的な役割を担っている。諮問委員会はフォーラムの開催などにより、市民参加を確保する役割も担っている。
このプログラムでは広範な合意を得るため、以下の3つのフェイズを経る。また、国家環境政策法(NEPA)及びカリフォルニア環境質法(CEQA)に基づき、PhaseIIの段階でプログラムレベルの環境レビューを、PhaseIIIの段階で事業レベルの環境レビューを行うこととなっている。
Phase1において、プログラムの主要な要素のうち、水質保全、水の有効活用、生態系の保全、沖積提の保全、水の放出、流域管理については共通プログラムが作成されたが、水運について3つの代替案が考案された(なお、それぞれ貯水を新設・拡張する案が出され、計12の案が考案された。)
98年3月に、SEAの環境影響評価書の案がまとめられている。
重要な影響項目として、表流水、地下水、地質・土壌、魚類・水生生態系、植生・野生動物、農業資源、都市的資、レクリエーション資源、洪水管理、発電・エネルギーが選ばれ、それぞれの項目毎に、各代替案(共通プログラムを含む。)及び何もしない代替案との比較検討が行われている。
さらに、7つの重要な特性が選び出され、以下の比較表が作成されている。
どの代替案を選択するかを決定するには、SEAの最終報告書を作成するまでに、さらに諮問委員やCALFED省庁、地方公共団体、利益団体及び市民の間での対話が必要であり、また、次のような課題に応えていく必要があるとされている。
・CALFED BAY-DELATA program Executive Summary, Draft Programmatic Environmental Impact Statement/ Environmental Impact Report March 1998