○1996年に欧州委員会による「一定の計画及びプログラムの環境に及ぼす影響の評価に関する欧州議会及び欧州理事会の指令」(いわゆる「SEA指令」)の提案に関し、2000年3月に開催された欧州理事会が採択した案の概要は以下のとおり。
○今後、同指令案は欧州議会において検討が行われ、本年中に決定される見込みである。
環境に著しい影響を及ぼすおそれのある一定の計画・プログラムに対する環境アセスメントを実施することにより、高いレベルで環境を保護するとともに、持続可能な開発を促進するため、計画及びプログラムの作成及び採択に環境への考慮を統合すること。
環境に著しい影響を及ぼすおそれのある以下の全ての計画・プログラムが対象となる。
(a) 農業、林業、漁業、エネルギー、産業、交通、廃棄物処理、水管理、通信、観光、都市及び農村計画、又は土地利用のために作成され、1985年のEEC指令337号(公共及び民間の事業の環境への影響に関する指令)の附属書I及びIIに掲載される事業に対するその後の進展への同意のための枠組みとなるもの
(b) その立地に及ぼすと考えられる影響に鑑み、92年のEEC指令43号(野生動植物の自然の生息地の保全に関する指令)第6条又は第7条に従ってアセスメントが必要であるとされたもの
[1]環境アセスメントは、計画・プログラムを作成する過程において、かつ、その採択又は立法手続に提出される前に行われなければならない。
[2]本指令の要件は、計画やプログラムを作成するための既存の手続に統合するか、この指令に適合するために設けられた手続きに取り入れるかのいずれかが必要である。
[3]計画やプログラムが階層構造となっている場合、重複を避ける観点から、様々なレベルでこの指令に従ってアセスメントが行われることを考慮しなければならない。
環境アセスメントは、環境報告書を作成し、環境に責任を有する機関及び公衆との協議を行い、必要な場合には関係する加盟国との協議を行い、意思決定及び情報の提供の際に環境報告書及びそれらの協議の結果を考慮しすること等により行われる。
(1)この指令は公布の日から発効する。加盟国は、この指令の発効後[3]年以内に本指令に適合するために必要な法律、規則、行政規定を発効させなければならない。
(2)この指令の発効後、欧州委員会は[5]年以内にこの指令の実施状況と有効性に関する報告書を欧州議会及び理事会に送付しなければならない。その際、欧州委員会は、特に他の分野や他のタイプの計画・プログラム等へのこの指令の適用範囲の拡大の可能性について検討し、適切な場合には、この指令の修正を提案することとする。
1996年12月 | 欧州委員会(EC:EUの行政府に当たる)が指令案を提案 |
98年10月 | 欧州議会修正意見の提出 |
99年2月 | 欧州委員会(EC)提案を修正 |
99年6月~ | 欧州理事会(加盟国の代表(環境大臣)で構成)での検討開始 |
99年12月 | 欧州理事会で討議、政治的合意に達する。 |
2000年3月30日 | 欧州理事会で「共通の立場」を採択。 |
(a)理事会は、「共通の立場」を欧州議会に送付する。
(b)欧州議会が「共通の立場」を承認するか、欧州議会が3ヶ月以内に決定を行わなかった場合、理事会は「共通の立場」に従って指令を採択する。
(c)欧州議会は、3ヶ月以内に、絶対多数により理事会の「共通の立場」に対する修正を提案することができる。欧州議会が理事会の「共通の立場」を拒否した場合には、理事会は第2読会で全会一致で決定することが必要となる。
(d)委員会は、1ヶ月以内に、欧州議会の修正提案を考慮しつつ、理事会が採択した「共通の立場」を再検討し、再提案、受け入れることのできない欧州議会の修正及びそれに対する意見を理事会に送付する。理事会は(委員会が受け入れられない)修正を全会一致で採択することができる。
(e)理事会は、委員会で再検討された提案を一定の多数決で採択しなければならない。委員会が再検討した提案を理事会が修正する場合には、全会一致が必要となる。