欧州議会及び理事会は、
欧州共同体を設置している条約、特にその175条(1)を考慮して、
欧州委員会からの提案1を考慮して、
経済社会委員会の意見2を考慮して、
地域委員会の意見3を考慮して、
調停委員会で2001年3月21日に承認された合同文書を考慮して、条約の251条で定められた手続に従って4、
以下のことを考慮し、
(1)
条約の174条は、欧州共同体の環境政策が環境の質の保全、保護及び改善、人の健康の保護並びに天然資源の賢明かつ合理的な利用に貢献し、かつ環境政策が予防原則に基づくべきことを定めていること。条約6条は、特に持続可能な開発を促進するために、環境保護の要件が、欧州共同体の政策や行動を明確に規定するものとして、統合されるべきことを定めていること。
(2)
持続可能性に向けてと題する第5次環境行動計画、即ち、そのレビューに関する欧州理事会決定2179/98/EC5により補完された、欧州共同体の環境及び持続可能な開発に関する政策及び行動のプログラム6が、計画及びプログラムが環境に及ぼすおそれのある影響を評価することの重要性を再確認していること。
(3)生物多様性条約は、締約国に対して、関連する1つあるいは複数の分野の計画及びプログラムに、生物多様性の保全及び持続的利用を可能な限り、また適切に取り入れることを要求していること。
(4)
環境アセスメントは、一定の計画及びプログラムを実施することの影響が、それらの作成過程において、かつ採択に先立って考慮されることを確保するため、環境上の考慮事項が当該計画及びプログラムの作成及び採択に組み込まれるための重要な措置であること。
(5)
計画及びプログラムの段階で環境アセスメント手続を採択することは、関連する環境情報を意思決定の際に含める、より一貫性のある枠組を提供することによって、事業に役立つものとなること。広範な要因を意思決定に含めることは、より持続可能かつ効果的な解決に寄与すること。
(6) 加盟国で行われている様々な環境アセスメント制度に、より高いレベルの環境保護に貢献するために必要な、共通の手続的な要件が含まれることが必要であること。
(7)加盟国及び非加盟国に適用される1991年2月25日の国連欧州経済委員会越境環境影響評価条約は、加盟国に対し、その原則を計画及びプログラムにも同様に適用することを奨励していること。2001年2月26、27両日にソフィアで開催された第2回締約国会議において、越境環境影響評価の現行規定を補完する、戦略的環境アセスメントに関する法的拘束力のある議定書を作成することを決定し、2003年5月にキエフ(ウクライナ)で開催される臨時締約国会議で、「欧州における環境」と題して開かれる第5回閣僚会合において採択される見通しであること。欧州共同体内で実施されている計画及びプログラムの環境アセスメント制度は、一の加盟国で作成されている計画又はプログラムの実施が他の加盟国の環境に著しい影響を及ぼすおそれがある場合には、国境を越えた適切な協議が行われることを確保することが必要であること。非加盟国の環境に著しい影響を及ぼす計画及びプログラムについての情報は、加盟国と非加盟国との間の適切な法的枠組のもとで、相互の及び同等の原則に基づいて提出されることが必要であること。
(8)
そのため、補助原則に鑑みて、環境アセスメント制度の一般的な原則を規定し、その詳細は加盟国に任せつつ、最低限の環境アセスセメントの枠組を欧州共同体レベルで規定する必要があること。欧州共同体による行動は、条約に規定される目標を達成するために必要なものを越えてはならないこと。
(9)
本指令は、手続的な性格を有しており、その要件は加盟国の既存の手続に統合されるか、特別に設けられた手続きに取り入れられなければならないこと。アセスメントの重複を避けるために、加盟国は、計画及びプログラムの階層の異なる段階でアセスメントが行われるものであるという事実を、特定の場合には考慮しなければならないこと。
(10)
幾つかの分野のために作成され、かつ一定の公共及び民間の事業が環境に及ぼす影響の環境アセスメントに関する1985年6月27日の理事会指令85/337/EEC7の附属書Ⅰ及びⅡに掲げられる事業に対するその後の進展への同意のための枠組みとなる全ての計画及びプログラム、並びに野生動植物の自然の生息地の保全に関する1992年5月21日の理事会指令92/43/EEC8に従ってアセスメントが必要となると考えられる全ての計画及びプログラムは、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあり、原則として体系的な環境アセスメントを行うべきものとする必要があること。それらの計画及びプログラムが地方レベルで小規模な地域の利用を決定するものである場合、又はそれらの計画又はプログラムの軽微な修正の場合には、加盟国が環境に著しい影響を及ぼすと考えられると決定した場合にのみ、評価が行われること。
(11)
事業に対するその後の進展への同意のための枠組みとなるその他の計画及びプログラムは、環境に著しい影響を与えるものでは必ずしもなく、加盟国がそのような影響を及ぼすおそれがあると決定した場合にのみ、評価が行われることが必要であること。
(12) 加盟国がそのような決定をする場合、本指令に規定される基準を考慮しなければならないこと。
(13) 幾つかの計画及びプログラムは、その特別な性格のために、本指令の適用を受けないこと。
(14)
本指令によりアセスメントが必要な場合には、環境報告書は、本指令に規定する関連情報を含めて、また、計画及びプログラムの実施による環境に著しいものとなるおそれのある影響、並びに計画又はプログラムの目的及び地理的な範囲を考慮した合理的な代替案を明らかにし、記述し及び評価して、作成されなければならないこと。加盟国は、環境報告書の質に関して講じた全ての措置を委員会に通報しなければならないこと。
(15)
意思決定をより透明なものとし、かつアセスメントのために提供される情報が包括的かつ信頼できるものにするため、関連する環境上の責任を有する機関及び公衆が、計画及びプログラムの環境アセスメントにおいて協議を受けること、及び意見の提出を含めた協議に十分な時間的余裕を見込んだ、適切な時間枠が設定されることが必要であること。
(16)
一の加盟国で作成された計画又はプログラムの実施が、他の加盟国の環境に著しい影響を与えるおそれのある場合に、当該関係加盟国と協議を開始し、関連する機関及び公衆が通知を受け、意見を提出することが可能となるための規定が設けられる必要があること。
(17)
環境報告書並びに関連する機関及び公衆によって表明された意見は、加盟国間の協議の結果とともに、当該計画及びプログラムの作成の過程において、かつその採択や立法手続への提出の前に、考慮されなければならないこと。
(18) 加盟国は、計画又はプログラムが採択されたときは、関連する機関及び公衆が通知を受け、関連情報が入手できるようにしなければならないこと。
(19)
本指令と、例えば野生の鳥類に関する1979年4月2日の欧州理事会指令79/409/EEC9や欧州理事会指令92/43/EEC又は水政策の分野での欧州共同体の行動の枠組みを規定する2000年10月23日の欧州議会及び欧州理事会の指令2000/60/EC10のように、他の欧州共同体の法制によって、環境影響の評価が同時に義務づけられる場合には、アセスメントの重複を避けるため、加盟国は、関連する欧州共同体の法律の要求事項を満たしつつ、調整された又は共同の手続を規定するものとすること。
(20)
本指令の適用および有効性に関する最初の報告は、その発効の5年後に、それ以降は7年間隔で、欧州委員会により行われなければならないこと。環境保護の要件をさらに統合するため、それまでに得られた経験を考慮しつつ、最初の報告では、適当な場合には、特に他の領域/分野や他の類型の計画やプログラムへの範囲の拡大の可能性に関する、本指令の改正提案が伴われなければならないこと。
本指令を採択した。
第1条 目的
本指令は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある一定の計画及びプログラムに対して、本指令の規定に従って環境アセスメントの実施を確保することにより、高いレベルの環境保護をもたらすとともに、持続可能な開発を促進するため計画及びプログラムの作成及び採択に環境への考慮を統合することに寄与することを目的とする。
第2条 定義
本指令において、
(a)「計画及びプログラム」とは、欧州共同体が共同出資するものを含む計画及びプログラム、並びにその修正であり、
-国、地域若しくは地方レベルでの機関により作成され、及び/若しくは採択されるもの、又は議会若しくは政府による立法手続を通じて採択されるためにこれらの機関によって作成されるもの、かつ、
-立法、規則又は行政規定により必要とされるもの、をいう。
(b)「環境アセスメント」とは、第4条から第9条までに従って、環境報告書を作成すること、協議を実施すること、意思決定の際に環境報告書及び協議の結果を考慮に入れること、並びに意思決定に関する情報を提供することをいう。
(c)「環境報告書」とは、第5条及び附属書Ⅰで必要とされる情報を含んだ計画及びプログラムの文書の一部をいう。
(d)「公衆」とは、一もしくは複数の自然人もしくは法人、及び各国の法律もしくは慣例に基づくその連合(association)、組織(organization)又は団体(group)をいう。
第3条 範囲
1.環境アセスメントは、環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるものとして第2項から第4項に規定される計画及びプログラムについて第4条から第9条に従って行うものとする。
2.第3項に基づき、環境アセスメントは、以下の全ての計画及びプログラムについて行うものとする。
(a)
農業、林業、漁業、エネルギー、工業、交通、廃棄物処理、水管理、通信、観光、都市及び農村計画、又は土地利用のために作成され、1985年のEEC指令337号(公共及び民間の事業の環境への影響に関する指令)の附属書Ⅰ及びⅡに掲載される事業に対するその後の進展への同意のための枠組みとなるもの、又は
(b)
その立地が及ぼすと考えられる影響に鑑み、92年のEEC指令43号(野生動植物の自然の生息地の保全に関する指令)第6条又は第7条に従ってアセスメントが必要であるとされたもの。
3.第2項で規定される計画及びプログラムであって、地方レベルで小規模な地域の利用を決定するもの、又は第2項で規定される計画若しくはプログラムの軽微な修正にとどまるものは、加盟国が環境に著しい影響を及ぼすと考えられると決定した場合にのみ、環境アセスメントを行うことを要するものとする。
4.加盟国は、事業に対するその後の進展への同意のための枠組みとなる、第2項に規定される計画及びプログラム以外の計画及びプログラムについて、環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるか否かについて決定するものとする。
5.加盟国は、第3項及び第4項に規定されている計画及びプログラムが環境に著しい影響を及ぼすおそれがあるか否かについて、ケース・バイ・ケースの検討によるか、計画又はプログラムのタイプを特定するか、あるいは両方のアプローチを混合させるかによって決定するものとする。このため、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある計画及びプログラムがこの指令の対象となることを確実にするよう、その全ての場合において附属書Ⅱに規定される基準を考慮に入れるものとする。
6.第5項に基づき、ケース・バイ・ケースの検討を行う場合並びに計画及びプログラムのタイプを特定する場合には、第6条第3項に規定される機関と協議を行うものとする。
7.加盟国は、第5項に基づく結果を、第4条から第9条までに従って環境アセスメントの実施を必要としないとした理由も含めて、公衆に公開するものとする。
8.以下の計画及びプログラムは、本指令の適用を受けない。
-国防又は民間の緊急事態に対処することのみを目的とする計画及びプログラム
-資金又は予算の計画及びプログラム
9.本指令は、理事会規則(EC)1260/199911及び(EC)1257/199912に基づく現在の各計画期間13において共同出資を受ける計画及びプログラムについては適用しない。
第4条 一般的義務
1.第3条に規定される環境アセスメントは、計画又はプログラムを作成する過程において、かつ、採択される前又は立法手続に提出される前に行うものとする。
2.本指令の要件は、加盟国における計画及びプログラムを作成するための既存の手続に統合するか、又は本指令に適合するために設けられた手続に取り入れるものとする。
3.計画及びプログラムが階層の一部を形成しているときには、加盟国は、アセスメントの重複を避けるために、計画及びプログラムの階層の異なる段階で、本指令に従って、アセスメントが行われるものであるという事実を考慮するものとする。特に、アセスメントの重複を避けるため、加盟国は第5条第2項及び第3項を適用するものとする。
第5条 環境報告書
1.第3条第1項により環境アセスメントが必要とされる場合には、環境報告書を作成し、その中で計画及びプログラムの実施により生じるおそれがある環境に対する著しい影響、並びに計画又はプログラムの目的及び地理的な範囲を考慮した合理的な代替案を明らかにし、記述し並びに評価するものとする。この目的のために提供されなければならない情報は、附属書Ⅰに規定される。
2.第1項に従って作成される環境報告書では、現在の知見及び評価手法、計画又はプログラムの内容及び詳細さの程度、意思決定プロセスの中での段階、アセスメントの重複を避ける観点から当該プロセスにおける他の段階において特定の事項についてより適切に評価することが可能かどうかの程度を考慮した上で、合理的に必要とされる情報を含むものとする。
3.計画及びプログラムの環境への影響に関して利用可能な関連情報並びに他の意思決定の段階や他の欧州共同体の法制を通じて得られた関連情報は、附属書Ⅰに規定される情報の作成に際して用いることができる。
4.環境報告書に含めるべき情報の範囲と詳細さのレベルを決定する場合には、第6条第3項で規定される機関と協議するものとする。
第6条 協議
1.第5条に従って作成される計画案又はプログラム案及び環境報告書は、本条第3項に規定される機関及び公衆が利用できるようにするものとする。
2.第3項に規定される機関及び第4項に規定される公衆は、計画又はプログラムの採択又は立法手続への提出の前に、適切な時間枠内で、当該計画案又はプログラム案及びそれに伴う環境報告書に対して意見を表明する、早期のかつ効果的な機会を与えるものとする。
3.加盟国は、環境に責任を有するという理由により計画及びプログラムの実施による環境への影響に関係すると考えられる協議機関を指名するものとする。
4.加盟国は、第2項の目的のために、本指令に基づく意思決定によって影響を受ける者もしくは影響を受けるおそれがある者、又はこれに利害関係を有する者を含め、環境保護を促進する関連非政府機関及びその他の関係組織を含む公衆の範囲を特定するものとする。
5.情報及び関係機関及び公衆との協議に関する細則は、加盟国が決定するものとする。
第7条 越境協議
1.加盟国が、当該国の領土に関して作成中の計画又はプログラムの実施が、他の加盟国の環境に著しい影響を与えるおそれがあると考えるとき、又は著しい影響を受けるおそれのある加盟国が要求したときは、当該国の領土内で計画又はプログラムを作成中の加盟国は、その採択又は立法手続への提出の前に、計画又はプログラムの案及び当該環境報告書の写しを当該他の加盟国に送付するものとする。
2.加盟国が第1項に基づき計画又はプログラムの案及び環境報告書の写しの送付を受けたときは、加盟国は、計画又はプログラムの採択又は立法手続への提出の前に協議を開始することを希望するかどうかを他の加盟国に対して表明するものとし、かつ加盟国がその旨を表明した場合には、関係する加盟国は、計画又はプログラムの実施が及ぼすおそれのある国境を越えた環境影響及び当該影響を低減又は回避するために考えられる措置に関する協議を開始するものとする。
そのような協議が行われるときは、関係する加盟国は、加盟国内の第6条第3項に規定する機関及び著しい影響を受けるおそれのある第6条第4項に規定する公衆に情報を与え、合理的な時間枠において意見を提出する機会が与えられることを確保するための細則に関して合意するものとする。
3.加盟国が本条に基づき協議を開始する必要がある場合には、加盟国は、当該協議を開始する際に、協議の期間に関する合理的な時間枠について合意するものとする。
第8条 意思決定
第5条に従って作成された環境報告書、第6条に従って表明された意見及び第7条に従って開始された協議の結果は、計画又はプログラムを作成する過程において、及びその採択又は立法手続への提出に先立って考慮されるものとする。
第9条 意思決定に関する情報
1.加盟国は、計画又はプログラムが採択された場合には、第6条第3項に規定する機関、公衆及び第7条に基づき協議が行われた加盟国が、情報を与えられ、かつ通知された者が以下の項目について入手できるようにするものとする。
(a)採択された計画又はプログラム
(b)環境への考慮が計画又はプログラムにどのように統合されたのか、及び第5条に従って作成された環境報告書、第6条に従って表明された意見及び第7条に従って開始した協議の結果が第8条に従ってどのように考慮されたのかを要約した説明、並びに考慮された合理的な代替案に照らし、採択された計画及びプログラムを選択した理由
(c)監視に関して第10条の規定に従って取り決められた措置
2.第1項で規定されている情報に関する細則は、加盟国が定めるものとする。
第10条 監視
1.加盟国は、特に、計画及びプログラムの初期段階で予期できない悪影響を明らかにし、適切な修復措置をとることができるように、計画及びプログラムの実施による環境への著しい影響を監視するものとする。
2.監視の重複を避けるため、第1項の規定に適合する目的で、監視に関する既存の仕組みを用いることが適切な場合には、これを活用することができる。
第11条 他の欧州理事会の立法との関係
1.本指令に基づき実施される環境アセスメントは、指令85/337/EECに基づく全ての要件、及びその他の欧州共同体法の要件に抵触するものではない。
2.本指令及び他の欧州共同体規則に基づいて、ともに環境への影響の評価が義務づけられる計画及びプログラムについて、加盟国は、特にアセスメントの重複を避けるために、関連する欧州共同体の法律の要求事項を満たしつつ、調整された又は共同の手続を規定することができる。
3.欧州共同体が共同出資して実施される計画及びプログラムの場合、本指令に基づく環境アセスメントは、関連する欧州共同体の法律の規定と整合を図るよう実施されるものとする。
第12条 情報、報告及びレビュー
1.加盟国及び欧州委員会は、本指令を適用することにより得られた経験に関する情報を交換するものとする。
2.加盟国は、本指令の要求を満たす十分な質の環境報告書を作成し、環境報告書の質に関して講じた措置を委員会に通報するものとする。
3.欧州委員会は2006年7月21日までに、本指令の適用及び有効性に関する最初の報告書を欧州議会及び欧州理事会に送付するものとする。
環境保護の要件をさらに統合するため、条約第6条に従い、加盟国において本指令の適用により得られた経験を考慮しつつ、適当な場合には、最初の報告は本指令の修正提案を伴うことが期待される。特に委員会は、特に他の領域/分野や他のタイプの計画やプログラムへの範囲の拡大の可能性について検討を行う。
新たな評価報告書は7年毎に更新するものとする。
4.欧州委員会は、本指令とEC規則1260/99及び規則1257/99との関係について、本指令とそれに続く共同体規則の整合性を図るため、これらの規則に規定されている計画期間の終了の前に時間的な余裕を持って、報告するものとする。
第13条 本指令の実施
1.加盟国は、2004年7月21日までに、本指令に適合するために必要な法律、規則及び行政規定を発効させるものとする。加盟国は、講じた措置につき、ただちに欧州委員会に通知するものとする。
2.加盟国が措置を講じるときには、これらの措置に本指令への言及を記載するか、又は、それらを公布する機会にそのような言及を伴せて行うものとする。当該言及の方法は、加盟国によって決定されるものとする。
3.第4条第1項に規定される義務は、最初の公式な準備のための行為が第1項に規定される日の後に行われる計画及びプログラムに対して適用されるものとする。また、最初の公式な準備のための行為が第1項に規定される日の前に行われ、その24か月後以降に採択又は立法手続に提出される計画及びプログラムは、ケース・バイ・ケースの原則に基づいて加盟国が実行不能と決定し、その決定を公衆に公表する場合を除いて、第4条第1項に規定される義務に従うものとする。
4.加盟国は、2004年7月21日までに、第1項に規定される措置に加え、第3条の規定に従い、本指令に従って環境アセスメントを行うこととなる計画及びプログラムのタイプに関する情報を、欧州委員会に通知するものとする。欧州委員会は、この情報を加盟国が利用できるようにするものとする。この情報は定期的に更新される。
第14条 発効
本指令は、「欧州共同体公式機関紙」に掲載された日に発効するものとする。
第15条
本指令は加盟各国に向けられたものである。
2001年6月27日、ルクセンブルクにて、
欧州議会のために
欧州理事会のために
欧州議会議長
欧州理事会議長
N. FONTAINE
B. ROSENGREN
付属書Ⅰ
第5条第1項において言及されている情報
第5条1項に基づき、第5条第2項及び第3項に従って、提供されるべき情報は以下の通りである。
(a)計画又はプログラムの概要、主な目的並びに他の関連の計画及びプログラムとの関係
(b)現在の環境の状況及び計画又はプログラムが実施されない場合に予想される状況
(c)著しい影響を受けるおそれのある地域の環境特性
(d)計画又はプログラムに関連する既存の環境上の問題。これには、特に、理事会指令79/409/EEC及び92/43/EECに従って指定された地域などの環境上特に重要な地域に関連するものが含まれる。
(e)計画又はプログラムに関連する国際的なレベル、欧州委員会レベル又は加盟国レベルで確立された環境保護の目的、及びこれらの目的や環境上の考慮事項が、計画又はプログラムの作成中に考慮に入れられた方法
(f)生物多様性、人口、人の健康、動物、植物、土壌、水、大気、気候変動要因、有形資産、建築学上の遺産及び歴史的遺産を含む文化的遺産、景観、及び以上の要素間の相互関係を含む環境に及ぼすおそれのある著しい影響14
(g)計画又はプログラムの実施が環境に与える著しい負の影響を回避し、低減し、できる限り相殺するために構想された措置
(h)検討された代替案が選択された理由の概要、必要とされた情報を収集する際に直面した(技術的欠陥又はノウハウの不足等の)困難な点も含めてどのようにアセスメントが行われたかの記述
(i)第10条に基づく監視に関して構想された措置の記述
(j)上記の表題のもとで提供された情報の非技術的概要
付属書Ⅱ
第3条第5項に言及される、影響が著しいおそれがあるかを決定する基準
1.計画及びプログラムの特性、特に以下の事項を考慮する。
-事業その他の活動に関して、計画又はプログラムが、その位置、性格、規模及び実施条件又は資源を割り当てることにより、その枠組みを設ける程度
-計画又はプログラムが、その階層の中での影響を含め、他の計画又はプログラムに与える影響の程度
-特に持続可能な開発を促進する観点から、環境上の考慮を統合するための計画又はプログラムの妥当性
-計画又はプログラムに関連する環境上の問題
-欧州共同体の環境に関連する法律(例えば、廃棄物管理や水の保護に関連する計画又はプログラム)を実施するための計画又はプログラムの関連性
2.影響及び影響を受けると考えられる地域の特性、特に以下の事項を考慮する。
-影響の可能性、期間、頻度及び可逆性
-影響の累積性
-影響の越境性
-人間の健康又は環境へのリスク(例 事故によるもの)
-影響の大きさ及び空間的な範囲(地理的な区域及び影響を受けるおそれのある人口の大きさ)
-次の事項のため影響を受けるおそれのある地域の価値や脆弱性
-特別な自然特性又は文化的遺産
-環境基準又は上限値を超える汚染
-集約的な土地利用
-国家レベル、共同体レベル、国際レベルで保護の必要が認識されている地域や景観への影響
1 OJ C 129, 25.4.1997, p.14及びOJ C 83, 25.3.1999, p.13
2 OJ C 287, 22.9.1997, p.101
3 OJ C 64, 27.2.1998, p.63及びOJ C 374, 23.12.1999, p.9
4 1999年9月16日に承認された(OJ C 54, 25.2.2000, p.76)、1998年10月20日の欧州議会の意見(OJ C 341,
9.11.1998, p.18)、2000年3月30日の欧州理事会の共通見解(OJ C 137, 16.5.2000,
p.11)、2000年9月6日の欧州議会決定(OJ C 135, 7.5.2001,
p.155)。2001年5月31日の欧州議会決定及び2001年6月5日の欧州理事会決定。
5 OJ L 275, 10.10.1998, p.1
6 OJ C 138, 17.5.1993, p.5
7 OJ L 175, 5.7.1985, p.40. 理事会指令97/11/ECにより修正された(OJ L 73, 14.3.1997, p.5)。
8 OJ L 206, 22.7.1992, p.7. 理事会指令97/62/ECにより最終修正された(OJ L 305, 8.11.1997, p.42)。
9 OJ L 103, 25.4.1979, p.1. 理事会指令97/49/ECにより最終修正された(OJ L 223, 13.8.1997, p.9)。
10 OJ L 327, 22.12.2000, p.1.
11 構造基金に関する一般的な規定を定める1999年6月21日の欧州理事会規則(EC)1260/1999(OJ L 161, 26.6.1999, p.1)。
12
農村開発のための欧州農業指導保証基金(EAGGF)からの支援に関する1999年5月17日の欧州理事会規則(EC)1257/1999及び一定の規則の修正及び撤回(OJ
L 160, 26.6.1999, p.80)。
13
欧州理事会規則(EC)1260/1999に基づく2000-2006年の計画期間及び欧州理事会規則(EC)1257/1999に基づく2000-2006年及び2000-2007年の計画期間。
14 これらの影響には、二次的、累積的、相乗的、短期的、中長期的、一時的な正及び負の影響が含まれる。