技術シート
登録番号:騒音-1(1/2)
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
ASJ Model 1998 |
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技術等の概要 |
等価騒音レベルLAeqの予測手法 エネルギーベースの計算モデルを基礎としていること、一般道路、道路特殊部も含めてほとんどすべての構造・形態の道路を対象としている。 高架構造物音、高架裏面反射音などの予測手法も含んでいる。
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調査・予測の必要条件 |
道路構造、排水性舗装の有無 交通量(時間別車種別)、走行速度 周辺の状況(地表面の状態、近接建物の有無等)
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適用範囲 |
道路一般部(平面、盛土、切土、高架)、道路特殊部(インターチェンジ部、掘割部、半地下、トンネル坑口周辺部、高架・平面道路併設部、複層高架部)。 制限なし 自専道と一般道の定常走行部については40~140㎞/h、一般道路の非定常走行部については10~60㎞/h、インターチェンジ部などの加減速・停止部については0~80㎞/h。 制限なし(道路から水平距離200m、高さ12mまでは検証されている)。 無風で特に強い気温の勾配が生じていない状態を標準とする。 |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
日本音響学会道路交通騒音調査研究委員会(1999)道路交通騒音の予測モデル“ASJ Model 1998”-日本音響学会道路交通騒音調査研究委員会報告-.日本音響学会誌、55(4)、281-324. |
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備考 |
・騒音予測における平面の等騒音レベル分布図(コンター)作成は、建物背後(2列目以降の建物)の影響並びに周辺地形の影響を反映することは困難なケースが多く、表現方法等に検討を要する。 ・伝播計算の過程によるA法、B法の実績値の検討事例の蓄積が必要。 |
技術シート 登録番号:騒音-1(2/2)
添付資料-1 |
図 道路交通騒音の予測計算の手順
道路交通騒音の伝搬計算方法には、A法(精密計算方法)とB法(簡易計算方法)の2種類がある。このうち、A法は波動音響理論に基づく計算方法である。計算式は波動の周期性や位相を考慮するため複素数表示の音圧によって表現されている。 B法は幾何音響的取り扱いに基づいた計算方法であり、実験的、経験的手法が取り入れられている。計算式は、自動車の平均的なパワースペクトルを設定し、回折効果と地表面効果を補正量で与える方法で表現されている。 A法とB法の選択方法としては、周波数別の予測値が必要な場合、音源の周波数特性や地表面・障壁表面の音響特性に任意の設定が必要な場合など、音源の周波数特性や伝搬過程における境界条件(音響特性)の微細構造を変化させながら精密に予測計算を行う場合にはA法を選択する。 一方、周波数別の予測値を必要とせず、簡便で実用的に予測計算を行う場合にはB法を選択する。しかしB法では、原理的に幾何音響学的な考え方によっているので、半地下構造道路や高架裏面反射の計算などで反射パスが複雑となる場合には、計算精度に限界が生じる可能性がある。また、複数の障壁やいわゆる先端改良型遮音壁による多重回折、建物群背後の複雑な反射や回折についてこの方法を適用するには検討が必要である。 |
技術シート 登録番号:騒音-2(1/2)
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
エネルギーモデル(等間隔点音源モデル) |
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技術等の概要 |
インターチェンジやジャンクション部においては、構造が複雑であり、ランプ部の影響及び自動車の速度変化等の影響を含めて騒音の計算を実施する必要がある。 インターチェンジ、ジャンクション部については、観測区間を音響パワー、車両速度、平均走行速度、音響伝播特性がほぼ一定とみなしうる範囲ごとに区分し、各対象区間からの伝達量をエネルギー加算することにより等価騒音レベル(LAeq)を求め、車頭間隔を考慮した中央値への変換式を使用して中央値(L50)を求める。 |
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調査・予測の必要条件 |
自動車のパワーレベル 大型車、小型車の走行速度 自動車と計算点との距離 道路の縦断勾配による補正値 周辺の建物、地形等の障壁位置の設定 |
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適用範囲 |
インターチェンジ、ジャンクション等の特殊箇所での適用 |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
愛知県(1996)名古屋都市計画道路1・3・7号名岐道路、尾張西部都市計画道路1・3・1号名岐道路 環境影響評価参考資料. 愛知県・豊田市・知多市(1997)豊田都市計画道路3・2・25号衣浦豊田線、衣浦東部都市計画道路3・2・25号衣浦豊田線 環境影響評価参考資料. |
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備考 |
技術シート 登録番号:騒音-2(2/2)
添付資料-1 |
図 インターチェンジ、ジャンクション部騒音予測手順 |
技術シート 登録番号:騒音-3
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
点音源シミュレーションモデル |
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技術等の概要 |
このモデルは、道路構造、沿道の地形、建物等の状況をモデル化するとともに交通条件(交通量、走行速度等)に基づき発生させた乱数により自動車の位置を決め、各車両からの騒音レベルの瞬時値を予測地点ごとに求める計算過程を繰り返したのち、騒音レベルの統計値(中央値L50)等を算出する手法である。 予測精度は極めて高いのが特徴である。 |
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調査・予測の必要条件 |
自動車のパワーレベル 大型車、小型車の走行速度 自動車と計算点との距離 道路の縦断勾配による補正値 周辺の建物、地形等の障壁位置の設定 |
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適用範囲 |
道路の分合流点、インターチェンジなど、道路構造が複雑な部分。 自動車が非定常走行をする部分。 トンネル坑口周辺など、無限長直線道路とみなすことができない部分。 |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
佐々木寛・山下充康(1984)道路特殊箇所の騒音の予測方法に関する検討-インターチェンジ部周辺-.日本音響学会誌、40(9)、638-643. 神奈川県(1994)三浦縦貫道路事業環境影響予測評価書 資料編. |
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備考 |
技術シート 登録番号:騒音-4(1/2)
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
新交通、モノレール及びリニア等の鉄道騒音予測 |
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技術等の概要 |
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調査・予測の必要条件 |
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適用範囲
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対象とする車両形式及び構造の鉄道騒音のみ適用となる。 なお、石井らによる提案式及び森藤らによる提案式の適用範囲は添付資料-1に示すとおりである。 |
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課題 |
[1]リニア(リニア推進方式)の供用路線が限られており、また、そのほとんどが地下構造となっているため、事例調査が非常に困難である。しかし、新交通システム(ゆりかもめ等)については十分な調査が可能である。ただし、供用区間であることから調査結果データの取り扱いは慎重に行なう必要がある。 [2]在来線の高架鉄道において、バラスト系以外の軌道(省力化軌道)の導入が進んでおり、リニア推進方式と同様、石井らによる提案式、森藤らによる提案式を準用しているが、事例調査が困難な状況にある。また、周波数成分の違い等も課題。
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参考とした 文献・資料 |
環境庁大気保全局(1995)在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針. 石井聖光・小安勝・長祐二・木庭啓紀(1980)在来線高架鉄道からの騒音予測方法(案)について.騒音制御、4(2)、4-10. 森藤良夫・長倉清・立川裕隆・緒方正剛(1996)在来鉄道騒音の予測評価手法について.騒音制御、20(3)、146-151. 森藤良夫(1997)在来鉄道騒音の評価と対策.騒音制御、21(3)、156-160. (社)日本騒音制御工学会(1999)環境アセスメントに係る騒音予測とその実習 平成11年度. 東京都・東京臨海新交通㈱(1998)環境影響評価書案 都市高速鉄道東京臨海新交通臨海線(有明~豊洲間)建設事業. |
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備考 |
技術シート 登録番号:騒音-4(2/2)
添付資料-1 |
【予測式の適用範囲】
本式による方法は、在来線を列車が走行するときその軌道から約10~100mの距離における騒音レベル(転動音、高架構造物音)の概略値を試算するために用いられるもので、次の条件が満たされるときにのみ適用される。
参照:石井ほか(1980)
基本的な計算式は、石井らによる提案式による方法とほとんど同じであるが、相違点は、
の二つである。この式における適用範囲は、上記の石井らによる提案式による方法と同様である。 参照:東京都環境保全局(1995)、森島(1997)、森島ほか(1996) |
技術シート 登録番号:騒音-5
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
高架構造物以外の鉄道騒音予測 |
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技術等の概要 |
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調査・予測の必要条件 |
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適用範囲
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対象とする構造の鉄道騒音のみ適用となる。 |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
環境庁大気保全局(1995)在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針. 石井聖光・小安勝・長祐二・木庭啓紀(1980)在来線高架鉄道からの騒音予測方法(案)について.騒音制御、4(2)、4-10. 森藤良夫、長倉清、立川裕隆、緒方正剛(1996)在来鉄道騒音の予測評価手法について.騒音制御、20(3)、146-151. 森藤良夫(1997)在来鉄道騒音の評価と対策.騒音制御、21(3)、156-160. (社)日本騒音制御工学会(1999)環境アセスメントに係る騒音予測とその実習 平成11年度. 東京都・東京臨海新交通㈱(1998)環境影響評価書案 都市高速鉄道東京臨海新交通臨海線(有明~豊洲間)建設事業. |
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備考 |
ラーメン高架構造以外(桁式、開床式等)の高架構造についても、全く同様のことがいえる状況と言える。 |
技術シート 登録番号:騒音-6
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
建設作業騒音の予測 |
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技術等の概要 |
等価騒音レベルに基いた建設作業騒音の予測。 等価騒音レベルによる騒音パワーレベルの設定を行ない、音の伝搬理論式から予測を行なう。騒音規制法における規制基準との比較では、等価騒音レベルとLA5、LAmax及びLAmax5とのレベル変換値(ΔL)から算出する。 等価騒音レベルに基づいた予測式であるため、複数の建設機械が稼動する場合の複合影響を予測することが可能である。 また、建設機械の標準的な組合わせ(以下、ユニット)毎の作業における騒音パワーレベルを設定している。 なお、統計的な指標であるLAxへの変換式が提案されている。
ここに、
r :ユニットと予測地点との距離(m)
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調査・予測の必要条件 |
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適用範囲 |
・騒音の変動特性が同じ場合にエネルギー合成が可能 |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
橘 秀樹・山本貢平(1998)建設工事騒音の伝搬計算方法の基本的考え方.日本音響学会講演論文集、p7. 河川事業環境影響評価研究会(1999)ダム事業における環境影響評価の考え方. 塩田 正純(1998)騒音・振動の予測手法の現状と課題.騒音制御、22(2)、88-96. 新田恭士・村松敏光(2000)工事中に発生する騒音の予測手法.土木技術資料、42(1)、48-51. |
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備考 |
技術シート 登録番号:騒音-7
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
発破騒音予測及び評価
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技術等の概要 |
既存の実測データである音圧レベル・騒音レベルを換算距離(m/kg1/3)との関係で整理し、回帰式を求めて予測に用いる方法。 発破現場の諸要因も考慮に入れ、発破条件の関係で整理する方法。 ベンチ発破からの発生音の統計的予測式として以下の式が示されている。 重回帰分析により、Kp、a、b、n、cの各係数を求める。
類似発破条件における実測結果から予測する。 |
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調査・予測の必要条件 |
・発破の諸条件 薬量、段当たり薬量、ベンチ面積等 なお、[2]、[3]の場合は、類似地形及び類似発破条件(薬量、ベンチ面積、岩区分等)での多点による実測調査が必要 |
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適用範囲 |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
(社)日本騒音制御工学会技術部会・低周波音分科会(1996)発破による音と振動.山海堂、東京、pp307. |
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備考 |
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技術シート 登録番号:騒音-8(1/3)
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
音圧レベルを基に騒音レベルのピーク値を求める方法 |
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技術等の概要 |
ベンチカット発破を矩形面音源とし、矩形面音源における音の伝播式(近似式)から予測地点における音圧最高値を求め、既存の発破騒音の測定結果より推定された換算式より騒音レベルを計算する。 |
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調査・予測の必要条件 |
P0=800~4,000Pa
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適用範囲 |
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課題 |
岩盤から大気中へ投射される音波の音圧(P0)の設定値によって予測値が左右される為、このP0の設定について妥当性の検証が必要である。 |
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参考とした 文献・資料 |
大阪府(1986)阪南丘陵開発計画に係る土砂採取工事に関する環境影響評価書. 和歌山県土地開発公社(1986)加太開発計画に係る土砂採取事業に関する環境影響評価書. |
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備考 |
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技術シート 登録番号:騒音-8(2/3)
添付資料-1 |
図 発破の騒音の予測手順 |
技術シート 登録番号:騒音-8(3/3)
添付資料-2 |
[2]予測モデル 予測モデルは、音圧レベルを基に騒音レベルのピーク値を求める方法である。
発破による音圧レベルは、適正内部装薬発破が行われ、音源と予測地点との距離が十分離れていることから、次式を用いる。なお、面音源からの音圧比の距離減衰は下図に示すとおりである。
図 面音源からの音圧比の距離減衰 (相対距離が十分離れているときは直線となり上式が成立する) 音波のピーク値のレベルから騒音レベルへの換算は、実測調査結果より次式を用いる。
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技術シート 登録番号:騒音-9(1/3)
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
航空機騒音の予測式:加重等価感覚騒音レベルWECPNL |
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技術等の概要 |
米国連邦航空局(FAA)が提案した航空機騒音予測モデル(INM:Integrated Noise Model)はEPNL(実効感覚騒音レベル)とスラントディスタンス(航空機から受音点までの最短距離)とで整理された騒音距離減衰のデータベース(以下、騒音基礎データという)を基に計算するものであるが、そのままでは国内に適用できない。 本予測手法は、このINMの騒音基礎データを「航空機騒音に係る環境基準」に定めるWECPNL算出式に対応させるために、EPNLを騒音ピークレベルdB(A)に換算した騒音基礎データを用いてWECPNLを計算する方法である。 WECPNLの予測式は、「航空機騒音に係る環境基準について」に示される計算式を用いる。(添付資料-1参照) |
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調査・予測の必要条件 |
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適用範囲 |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
宇田浩三・渡辺正己(1987)関西国際空港における航空機騒音の予測.騒音制御、 11(2)、83-86. (社)環境技術科学センター(1999)環境アセスメントの技術.中央法規出版、東京、pp1018. 東京都(1998)環境影響評価書 大島空港拡張整備事業. |
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備考 |
技術シート 登録番号:騒音-9(2/3)
添付資料-1 |
[1]WECPNLの予測手順
図 WECPNLの予測手順 |
技術シート 登録番号:騒音-9(3/3)
添付資料-2 |
[2]スラントディスタンス-騒音レベル曲線(騒音基礎データの例)(B747-LR)
出典:宇田川・渡辺(1987) |
技術シート 登録番号:騒音-10(1/2)
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
ヘリコプター騒音:時間帯補正等価騒音レベルLden |
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技術等の概要 |
ヘリコプターの運航に伴う騒音の予測を行うものである。「小規模飛行場環境保全暫定指針」(環境庁 平成2年9月)に基づく時間帯補正等価騒音レベルLdenを求める。予測式は点音源の距離減衰式(自由空間)を用いる。 |
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調査・予測の必要条件 |
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適用範囲 |
運行予定ヘリコプターと同機種の騒音レベル測定結果が必要。 |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
大阪市(1996)舞洲ヘリポート(仮称)建設事業 環境影響評価書. 宮城県(1991)宮城県庁ヘリポート整備に伴う環境影響評価 報告書. |
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備考 |
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技術シート 登録番号:騒音-10(2/2)
添付資料-1 |
図 予測の手順 |
技術シート 登録番号:騒音-11
環境項目 |
騒音 |
技術等の種類 |
予測 |
技術等の名称 |
屋外の音の伝播における空気吸収の計算 (JIS Z 8738:1999)(ISO 9613-1:1993) |
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技術等の概要 |
ISO 9613-1に基づき作成された日本工業規格であり、音源から遠く離れた場所での環境騒音のレベルを予測するため、屋外を伝わる音の空気吸収による減衰を計算する方法を定めている。主な内容は以下のとおりである。
空気吸収による鈍音の減衰の基本式は以下に示すとおりである。 減衰の基本式 Pt=Piexp(-0.1151αs) Pt:音圧振幅 Pi:初期値 s:距離 0.1151:定数 音圧レベルの減衰 また、周波数fの純音の音圧レベルがs = 0の地点の初期値から距離sの地点のレベルになるまでに受ける空気吸収の減衰δLt(f)(単位:デジベル)は次式で示される。 δLt(f)=10log10(Pi2/Pt2)=αs (dB) |
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調査・予測の必要条件 |
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適用範囲 |
次に示す変数の範囲において適用される。 ・音の周波数:50Hz~10kHz ・気温:-20℃~50℃ ・相対湿度:10%~100% ・気圧:101.325kPa(1気圧) |
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課題 |
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参考とした 文献・資料 |
日本規格協会(1999)屋外の音の伝播における空気吸収の計算(JIS Z 8738). |
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備考 |