平成13年度における騒音分野の検討内容(案)
1 検討の枠組み
|
| |||||||||
|
|
2 これまでの検討の概要
1) 平成11年度の検討概要
環境影響評価法において新たに導入されたスコーピング(方法書手続並びに環境影響評価の項目及び手法の選定)の段階に焦点をあて、総論的に「スコーピングの進め方」と題してとりまとめを行った。
検討結果は、「大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(Ⅰ)<スコーピングの進め方> 平成12年8月」にとりまとめられているが、その中で引き続き検討すべき課題として以下のものが挙げられている。
【騒音分野】
(スコーピングの進め方に関する課題:3章) ・ 複合騒音の予測の考え方 ・ 道路交通振動の評価 ・ 建物内の振動の評価 ・ 低周波音(「感覚及び睡眠への影響」、「圧迫感・振動感の評価」、「建具のがたつきの評価」等) (調査・予測・評価の進め方に関する課題:6章) ・ 調査・予測・評価についての具体的な検討 ・ 予測値と事後調査結果の関係 ・ 環境保全措置や事後調査 (環境保全施策全体にかかわる課題:6章) ・ 騒音における指標量の統一化と基準等の再構成 ・ 騒音における複合影響に関する調査・研究 ・ 複雑地形や緩衝建築物における振動伝搬特性の調査・研究 ・ 家屋内における振動の調査・研究 ・ 低周波音に関する基礎研究(測定法、感覚閾値等) は、次年度(平成12年度)も引き続き要検討とした事項 |
2) 平成12年度の検討概要
「スコーピングの進め方」に引き続いて、環境影響評価における調査、予測及び評価の進め方、進める上での課題・留意点等
について「調査・予測・評価の進め方」として考え方をとりまとめ、具体的に検討・提示した。
検討結果は、「大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(Ⅱ)<環境影響評価の進め方> 平成13年10月」にとりまとめら れているが、その中で引き続き検討すべき課題として以下のものが挙げられている。
【騒音分野】
(騒音・振動・低周波音の進め方に関する課題:1章) ・ 複合騒音、在来鉄道振動、低周波音等の基準の設定 ・ 事後調査等による、予測の不確実性の程度に関する知見の集積 ・ 固体音に関する調査・研究 ・ 音の質に対する考え方 |
【全 体】
(今後の検討課題:6章) <次年度検討予定事項に関する検討の視点> ・ 環境保全措置を踏まえた評価の考え方 ・ 事後調査の実施とその結果の活用 <幅広い視点に立って検討すべき課題> ・ 累積的、複合的及び広域的な環境影響評価について ・ 環境影響評価におけるコミュニケーションの促進 |
3 平成13年度の検討計画(案)
1)保全措置、評価、事後調査の進め方 ・・・・・・・・・・・・基本的な考え方を整理する 2)留意事項の解説と事例等 ・・・・・・・・・・・・具体的な事例を中心に留意事項を解説する3)ケーススタディ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アセス法の観点での事後調査 4)技術シートの追加・見直し・・・・・・・・・・・・・ 環境影響評価技術の追加・見直し |
1) 保全措置、評価、事後調査の進め方(総論)
昨年の検討と同様に、騒音、振動及び低周波音を環境影響評価の項目とした場合の「保全措置、評価、事後調査の進め方」を総論的にとりまとめ、スコーピング、環境影響評価から環境保全措置、評価、事後調査への流れを明らかにする。
既存の環境影響評価準備書及び評価書から、以下に示す観点で保全措置、評価、事後調査を進める上での課題・留意点等を抽出し、検討を行う。
法アセスに移行に伴い、事業者、実施者、審査者等が疑問に思い苦慮する事項 |
従来から課題として指摘され、継続的に検討されている事項 |
これらの観点に基づいた課題・留意点は、「スコーピングの進め方」、「環境影響評価の進め方」においても指摘されているものもあれば、過年度(平成5年度~)における環境影響評価技術手法要素別課題検討調査の調査結果で既に整理されたものもある。
これらの知見を踏まえ、「保全措置、評価、事後調査の進め方」を技術面から総論的なとりまとめを行うとともに、課題・留意点等を整理し、それらに対する対応の考え方を提示する。
検討のポイント(例)
2) 留意事項の解説と事例等
課題・留意点についての解説を昨年度と同様に「留意事項の解説と事例等」として整理する。留意事項が机上の議論とならないように、極力具体的な事例をベースとして解説する。
事例抽出の主な視点は以下のとおり。
[1] アセス事例
・
評価の事例・・・・より良い技術の導入の評価事例 等
・
保全措置の事例・・新技術導入事例 等
・
事後調査の事例・・事後評価事例、事後調査で保全措置を強化した事例 等
[2] 環境保全事例・より良い技術の検討事例
これまでの検討結果や従来から検討課題として挙げられていた事項についての検討事例を収集・紹介する。
効果的な事例 (案)
3) ケーススタディ
今年度の検討事項である「環境保全措置」及び「事後調査」については、従来の閣議要綱に基づく環境影響評価では検討されていない。また、条例に基づいた環境影響評価においても環境保全措置や事後調査の捉え方に異なる部分がある。そのため、「2) 留意事項の解説と事例等」における既存の環境影響評価事例を用いた解説のみでは、総論部分を十分に解説することには困難であるものと考えられる。
したがって、総論部分をより分かりやすく解説するためにケーススタディを実施する。
≪ケーススタディ・・道路事業≫ Ⅰ 環境保全措置の検討 ●
その他発生源の状況 |
4) 技術シートの追加・見直し
「大気・水・環境負荷分野の環境影響評価技術(Ⅱ)<環境影響評価の進め方> 平成13年10月」において作成した技術シート
の追加・見直しを継続して実施する。
4 構成案
≪本文≫
(1) 環境保全措置の立案と調査・予測・評価などの関係(全体の流れ)
(2) 環境保全措置 (以下、検討テーマ)
※ 効果と不確実性
※ 事業者の実行可能な範囲
※ 環境保全措置の実施に伴い生ずるおそれのある環境影響
※ 環境保全措置を講ずるにもかかわらず存在する環境影響
※ 環境保全措置の実施の方法
※ 代償措置(?)
(3) 評価
※ 環境保全措置を踏まえた評価
(4) 事後調査
※ 実施方法
※ 予測結果との比較検討方法
※ 事業者以外が実施する環境モニタリングの活用
※ 環境監視
※ 公表の方法
(5) 留意事項の解説と事例等
(6) 事後調査のケーススタディ
(7) 今後の課題
5 その他
事後調査は、従来の閣議アセスにおいては位置づけられていなかったが、条例に基づく環境影響評価においては、事後調査が条例に基づいて実施されている場合があり、 例えば、東京都においては、既に200を超す事業が条例に基づいた環境影響評価を実施しており、そのうち約3/4が事業を着手し、事後調査を実施しているところである。
これらの事後調査結果を活用し、環境影響評価技術の向上を図ることは、以前から課題として指摘されている。
事後調査の活用には、下図のような方法が考えられ、事後調査結果を予測結果と比較検討することにより、予測式の精度向上といった予測技術の向上やより良い環境保全措置の検討等が可能となる。
|
予測技術の向上のうち、予測式の精度向上については、道路交通騒音・振動等の予測式について、モニタリング結果との比較等が実施され、予測精度の確保等に資されている。
しかしながら、予測条件の見直しや、より良い環境保全措置の検討を旨とした事後調査結果の検証は、一部の研究レベルに留まっている※。したがって、予測条件の検証やより良い保全措置の検討を目的とした事後調査結果の活用を検討する。
※ 東京都条例を事例とした研究が行われており、概要は以下のとおり。
[1] | 「事後調査による環境アセスメントの改善に関する研究 -東京都技術指針を事例として-」(第11回環境情報科学論文集、1997) 事後調査で報告された問題点の原因を明らかにし、指針の改定に際して新しい項目を加え、それまで見落とされていた事後調査結果と予測値が異なる原因が明らかになったとされている。 |
[2] |
「環境アセスメントの事後調査の機能強化に関する基礎的研究 -東京都における道路事業を事例として-」(第15回環境情報科学論文集、2001) 住民の関心が高い評価項目について、評価書と事後調査報告書を比較して、事後調査における問題点等を整理している。 |
「"実行可能なより良い技術"の検討による評価手法の手引き」
-環境影響評価における評価手法の考え方- (平成12年8月 環境庁)
環境影響評価法においては、複数案の比較検討やより良い技術の導入の検討により、環境への負荷をより低減するという考え方に基づく評価が求められており、環境保全対策の検討にあたって"実行可能なより良い技術"等の導入の考え方に基づき、技術的に適用可能であるとの側面や地域的特性の側面に加え、必要となるコストという側面からの検討といった評価手法を検討し、より客観的な評価手法の確立・導入を目指すことを目的とし、検討されたものである。
|
図 環境影響評価と"実行可能なより良い技術"との関わり