平成13年度第1回 騒音分科会
騒音分科会騒音分野における調査・予測・評価の進め方

 騒音・振動・低周波音の環境影響評価を進めていくうえでの留意事項として示したことが、これまでの全ての事例で考慮されていたわけではない。それぞれの留意事項を考慮し、併せて最新の知見等を参考とすることでより適切な環境影響評価へと近づいていくものと考えられる。

 今後の環境影響評価を進めていく上で、より適切な形へと近づくために望まれる事項は、以下に示すとおりである。

・複合騒音、在来鉄道振動、低周波音等の基準の設定
 複合騒音や在来鉄道等は基準が定められていないため、環境影響評価に際し、統一的な調査・予測・評価の手法が存在しない。騒音・振動・低周波音に環境配慮を効果的に進めていくためには、国レベルで定められた基準が不可欠であり、早急な対応が望まれる。
・事後調査等による、予測の不確実性の程度に関する知見の蓄積
 予測の不確実性は、これまでの要綱・条例アセスメントには無い、環境影響評価法によって示された考え方であり、これまでの研究や知見の蓄積が無く、実務レベルでの対応が非常に困難である。将来の予測の不確実性の低減に資するため、事後調査等により知見を蓄積し、解析していく必要がある。
・固体放射音に関する調査・研究
 道路や鉄道のトンネル部で発生した振動が地中あるいは杭を伝搬し、建物内で騒音として発生する固体放射音が問題となる場合がある。しかしながら、その発生が事業特性だけでなく発生する建物の構造等に強く依存すること、固体放射音の予測には詳細なデータが必要であるためアセスメント実施時点で予測することは困難であること等、環境影響評価で検討する場合には問題点も多く、今後の調査・研究が望まれる。
・音の質に対する考え方
環境庁が認定した「日本の音風景100選」に挙げられるような望ましい音環境の保全や、騒音の猛禽類等に対する影響について、環境影響評価における考え方を整理する必要がある。

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